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幽々子さんから白玉楼へのお誘いがあって少しの時間が経った。
部屋へ戻ると、正直予想外の人が待っていた。
「よっ」
「妹紅さん……?」
「お邪魔してるよ」
「それは構いませんが……」
もう帰ったと思っていた、だからいたのは驚きだな……
「あの妹紅さん……このたびは……」
「ああ、そうだなすまなかった。土下座した方がいいか?」
「え……?」
謝るのは俺の方じゃ無いのか?
なのに何故妹紅さんの方が謝っているんだ?
「何驚いてるんだ?お前殺されかけただろう?」
「あー……まあそうですね……」
「おいおい、しっかりしてくれよ?」
「しっかりはしてますが……」
そうだよな、本来であれば幾ら恩人だって殺されかけたのに彼女の為に全力を尽くしたのは違和感がある……
死生観が薄れているのだろうか?
「と言うわけですまない。私は殺そうとしたのに全力で私の事を考えて動いてくれたって聞いて……本気で申し訳なく思ってる」
「俺としてはかつて助けられた側ですし……二人の関係を知らなかったせいで嫌な目に合わせたのもあったので……こちらとしてもむしろ申し訳ない限りですが」
「……正直どっちもどっちとは言えないけど、お互い様という事にしようか」
「了解しました」
確かにこのままだと自分が悪いとネガティブの連鎖が続くだけか、大人しく一度切った方が良さそうだ。
「それで、結局輝夜さんはどうなったんです?」
「ああ、適当な土下座に挙げ句の果てに帰れだってさ。自分で言ったのに酷いもんだ」
「……」
もしかして妹紅さんを更に不快にさせてしまったか?
「後は私含めて皆永遠亭から早いうちに出て行ってだそうだ。聞いた話だと輝夜が呼んだって話なのにな」
「あの……妹紅さん……」
「おっと勘違いしないで欲しいけど、私の溜飲は幾らか下がったし、輝夜以外の永遠亭のメンバーとは仲良くなれたしな」
「……それなら良かったです」
「それで、お礼というか願いをその事でふいにしたみたいだし、こっちで叶えられる事は叶えるけど何がいい?」
「いやいや、こちらの恩返しって話だったはずですが」
「それじゃあ私が納得出来ないんだよ」
うーん、予想以上に強情だ……ただ彼女に願う事なんて何も無い……いや知っているかどうかだけはありか?
「無縁塚って知ってます?」
「まあ知ってはいるよ。行った事はないけど」
「あっ竹林からほぼ出ないからでしょうか?」
「いや……死ねないし行く必要がないからだけど」
「……ごめんなさい」
「別に怒ってはいないけど」
「それじゃあ無縁塚の事、分からないですよね?」
「申し訳ないけど、分からないね……と言うか君にも関係ない場所なんじゃ?」
「ちょっと……気になったんです」
夢のような記憶だけど、無縁塚……そこで誰かが……
「だったらどうするの?本を漁るの?」
「いえ、直接行ってみようかなって。見れば何かあるかもしれないし」
「そっか、どうしても行く気なんだ」
「はい、だから少しでも知ってる事があればと思いまして」
「成る程成る程……」
「妹紅さん?」
「一人で行く気?」
「いえ、それは怒られるので誰かと共に行こうかなと」
「誰か一緒に行けるか決まっているの?」
「いえ……アリスさんが一緒に行けないかなって……」
相手の都合も聞いていないのに、あくまで願望でしかないが……アリスさんなら許してくれるだろうし行けるだろうと言う無茶振りを信じている。
「着いて行こうか?」
「え?」
「どうせ竹林にいると暫く輝夜が何かして来そうだしな。それなら逃げようかなって」
「着いて来てくれるって言うなら……有難いですが」
「それより君の方は大丈夫なの?」
「え?何がですか?」
「……あの吸血鬼達に気に入られていたようだけど、紅魔館から出れるの?」
「それは流石に大丈夫じゃないですか?レミリアが何かするわけ無いだろうし」
「監禁とかされたり……?」
「流石に無いと思いたいが……」
「いいならいいけど」
「正直俺も寂しい気持ちもあるし、紅魔館でまた皆と色々騒ぎたい気持ちもあるけど……」
それでも俺はまだ幻想郷中を回りきってないし、色々と調べてみないと行けない場所がある。
レミリアにまた色々と言われそうだが、今回が最後じゃ無い。また絶対に紅魔館に来るし、たとえ俺が死んで相手が忘れてようと友達として図々しくね。
「いいって言うなら止めないよ、男の子らしく冒険心があるのはいい事だし」
「なんか初めて褒められた気がする……」
「どう言う事?」
「大概は危険だの無茶だの言われましたし……いや俺の事考えて言ってくれてるの分かっているので文句は言えませんが」
「結局、皆連司の事が大事なんでしょ」
「そうですね……本当に有難い限りです」
この後の予定は決まった、後はアリスさんや、紅魔館へ行ってレミリアに伝えるだけだ。
「一先ずは先に永遠亭にいるアリスさんに……」
「呼んだかしら?」
「え……?」
流石に言った瞬間に出てくるのは……俺も驚くんですが……
「ああ、もしかして驚かせたかしら?ごめんなさいね」
「いえ……それはいいんですが」
「それで、私に何か用があったのかしら?」
「はい、肝試しが終わったので……無縁塚に行こうと思っているんですが……」
魔法の森のその先にあると聞く、少なくともアリスさんに一切伝えないと拗れるだろうし……
「成る程、私も着いて行くわ」
聞かなくてもそうしてくれる、勝手に思っていたが本当にそのようで良かっ……
「と言えれば良かったのだけどね……」
「え?」
「ごめんなさい小野寺君。私も魔か ……行かなければならない場所があって……だから無縁塚は諦めてちょうだい」
予定を聞かなかった俺が悪かったが、アリスさんが無理だとは思わなかった。決め付けた予定はやはりよく無いって事か。
「それなら問題ない、私が着いていくよ」
「妹紅が……?」
アリスさんは一度妹紅さんの方を見る。
「まあ、私以上に大丈夫そうと言えば大丈夫そうね……用件は分からないけど無理はしないように」
「分かりました、気を付けます」
妹紅さんが着いて来てくれる、決まっておいて良かったかもしれない。
流石にアリスさんも単独じゃ許してくれなかっただろうし、俺も危険だらけなのは理解している。
「まだ決まってないけどね」
「え?」
どう言う事だ……?まだ何か?
「レミリアとちゃんと話しなさいよ」
「分かってます」
何を言われるか分からない、でもこれは絶対話さなきゃいけない件だ。
「寂しいけど……今までだってそうだ」
地底での出会いと別れもあった。妖怪の山でも出会いと別れがあった。
人は出会いと別れを繰り返すから……
「しっかりと話さないとな」
そう意気込んだのであった。
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to be continued