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香霖堂。妹紅さんが言うように確かに不思議な雰囲気があった。
店内は何というか……
「この店……普通の店と言うよりかは骨董屋に近いような……」
「骨董屋?」
「いえ、こっちの話です」
流石に急にそんな事言っても分かるわけ無いな。
むしろそうだろうとか骨董屋をモチーフにしたとか言い出されても逆に困ったけどさ。
「気になる事はトコトン突き詰めるタチでね。その単語について聞いてもいいかい?」
「えぇ……?」
変なところで熱心だなと。
熱心なのは嫌いじゃ無いけど、熱を入れるタイミングが間違っている気がする。
「何というか、昔の道具や美術品とか……年季が入ったものを始め、如何にも古くて歴史を感じるような物を売る店?うまく説明できないな」
少なくとも自分が知る意味での骨董屋って言うのはこんな感じだが、正直説明しきれてる気がしない。
古臭いものとか怪しい物とかを売る店とかなら簡単に言えるが、流石にそれをいうのはあんまりだろう。
「つまりは古い物を売る店か」
「まあ雰囲気だけですし、何より古い物には普通以上に希少価値があったりしますからね!!」
「希少価値か、確かにあるだろうね」
「まあ俺が勝手にそう思ったくらいですから……」
「簡単に言うとこれらの商品は殆ど外の世界のものだ」
「え……?」
慌てて周囲を見渡す、本当に外にこんなもんあるの?って思う。
ただ明らかに変なマスクとかはパーティーグッズに使う用途とかの物だったか?
「ん……?」
よく見ればカメラまである……久し振りに見たとは思ったが……流石にレンズが割れてるし使えないな。
「カメラが気になるのかい?」
「え?名前知ってるんです……?」
「その口ぶりだと、君も知っているようだが」
「……」
迂闊過ぎるな本当に……
ついつい珍しいと思っていたが、口を滑らせてしまうのは良くない。
「そう言う機会があったんですよ……」
「なら深くは問わないが……使い方は分かるのかい?」
「分かりますが……流石に壊れているので使えませんよ?」
「それは残念だ……」
「と言うか壊れた物売っていて良いんですか?お客さんに怒られそうですが」
「壊れているか分からなかったしね、客もどうせ分からなかっただろう」
「……壊れてるの分からないのに名前は分かるんですね」
「それは僕の能力が理由だよ」
「能力ですか……?」
妹紅さんとかも能力があるのは知っているが……この店主にも能力あるのか。
と言うか男だから能力は手に入らないと思っていたし少しずるい。
「道具の名前とその用途が分かる程度の能力と言うんだが」
「あーはい、聞いただけでわかりました」
地味どころかかなり便利だな。
霖之助さん相手だと能力でダミーとかがあっても見破られるんじゃないだろうか?
「だから、カメラと言うものは写真を撮る為の物だと言う事までは分かっているけど……その使い方が分からない」
「なるほど……どっちみち使えないんですけど」
「そのようだね、どこを触っても反応しなかったし」
もしかしたらにとりさんなら直せるかもしれないけど、それはもしかしたらであって、そもそも彼女と会う事は今は難しいだろう。
「……そんなノリで商売成り立って居るんですか?」
「元々趣味でやっている店だし問題ないよ」
「趣味で外の物を集めて……」
好事家でもありそうだし……いよいよ骨董品屋だなこの店。
ダメなわけではないけど……使い方を説明出来ないのに買う側もそれで良いのかになる。
「まあ気になる商品があったら言ってくれたまえ」
そのまま霖之助さんは倉庫へと入る。
まだまだ倉庫内に外の商品があるのか……?
正直気になったが倉庫にまで入るわけにはいかないので妹紅さんの方へと足を向けた。
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「ん?どうしたの蓮司。めぼしい物でもあった?」
「いえ……どちらかと言うと勿体無い物が色々と」
「どう言う事か聞かせてもらってもいいかい?」
「店主がどう言うものかは分かっているようなんですが使い方が分からないようでして……宝の持ち腐れが多いなと思いまして」
「確かに分からないのは勿体無いけど……仕方ないんじゃない?」
「それはそうですね……」
「店主がそれで満足しているならそれでいいじゃない」
「それ言われると何も言えなくなってしまうんですが……」
「分かるって言うなら教えてあげればいいし。そう言うって事は少しは分かるんでしょう?」
「少なくとも分かるやつはあるなって程度でどれくらいかは分からないですね」
「まっ私達は一応は客だしな、出来る程度でいいんだよ」
「そうですね」
「それで、欲しい物は見つけたか?」
「流石に無駄遣い出来る程は持っていないので、欲しいとかは考えてなかったですけど」
「興味があって来たんじゃないの?」
「興味やロマンって物があっても!!予算という言葉が邪魔するんです!!」
「そっそう……」
若干引かれてしまった気がする……
確かに金がないロマン人間はやばいか。
「どうしても欲しい物があるなら最悪ここで少し働けば良いんじゃない?」
「どっちみち働いたら妹紅さんを待たせる事になるでしょう……」
無縁塚に用があって付き添って貰っているのに、余計な寄り道ばかりしてどうするって話だ。
「別に良いけどね、数日なんて私にはあっという間だし」
「それでも俺が気にするんです」
「律儀だね」
「常識かと……」
親しき中にも礼儀ありって言葉が存在する様に、いくら許してくれる存在であるからと言って好き勝手するのは違うだろう……
何より不死だから待たせても大丈夫は流石に違う。
逆に今まで何度も待っているのだから、待たせる事を出来るだけ減らしたほうがいいだろうとすら思える。
「でもそっか、気に入っても買わないっていうなら。全力で今見て楽しんだ方がいいんじゃない?」
「それはそのつもりです。ここでしか見れない物は沢山あるでしょうし」
カメラを始め外の世界の物はまだまだあるだろう。
そう考えると全部見たいって気分になる。
少なくともここでだけは、外の世界を思い返せるだろうから。
「私も慧音に自慢出来るような物探しに行こうかな」
「……自慢出来るんですか?」
珍しいとは言え、この店は普通の店だ。
VIPしか入れないとかそう言った扱いは一切ない。
なら……自慢出来ない気がするけど。
「慧音はなんでも褒めてくれるしな」
「それは……凄い知り合いですね」
ただ店見に行ったって言うと凄いぞって褒めてくれる人は、流石に恐怖かもしれない。
「それじゃあ蓮司」
「え?何かあります?」
「いや、店の商品多少は分かるんでしょう?」
「まあ……確実な自信は無いですが……」
「それでもいいよ、分からないやつ教えてね」
そのまま手を引かれて店の商品を案内する。
振り回されたものの、偶には良いかとそのまま二人で店を回り始めた。
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to be continued