ボーイ8メンタルアウトアウト~学園都市編~   作:真夜中のミネルヴァ

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永遠(とわ)の夕暮れ、乙女の身果つるまで……

 

「……ああっ……レイくぅんっ、おっ、おねがいよっ……もう……もう、いじわるしないでっ……いまやめられたら……あたしっ、ホントに変になっちゃうからぁっ……」

 教室で生徒たちを相手に数理を説く怜悧な教師の時とはまるで違う、オクターブを上げた高い声になって啼いてうったえた。

 逸楽に屈してすっかり従順になった操祈は、ミルクのような真っ白い肌を薄桜色に上気させ、健気に乳先を尖らせた豊満な肉体のつくるやさしい曲線にはさらに蜜の甘さがのって、黄金色の長い乱れ髪に鼻筋の通った高貴な顔立ちとのコントラストは、さながら性のいとなみを決意をした誇り高き処女神のようなのだった。

 牡を奮い立たせずにはおかない魅力に溢れている。

 彼女は今、その美貌にふさわしい運命の(しとね)にあって、若いけれども少し意地の悪いところもある恋人を相手に凄艶な悲劇のヒロインを演じさせられている。

「頑張ってください、先生……もう少しだけ……」

「あっ……やだっ――」

 彼が指を交えてきて、たまらず身を揉んでたぷたぷと豊満な胸の肉を波打たせて喘いだ。

 イジワルな、とてもイケナイな指が彼女を(さいな)んでいる。

「ね? いい気持ちでしょ……でも……ほうら、こうするともっと気持ちがいい……」

「ああ、レイくんっ……それっ……いいっ……いっちゃうっ……」

 裏側から指で支えて押し出したものを、信じられないくらいのやさしさで吸われて、操祈は身を仰け反らせた。白い喉元をわななかせて歓びを迎え入れる姿になる。

 だが、彼女の願いはけして叶わない。

「ほらほら、ボクのすることを見ていないとダメですよ」

「……え? うん……ああ……だから、やめないで……」

 手を伸ばして少年の顔を留めようとするが、肝心の動きが求めているものとは少しだけ違うのだ。

 ポイントを僅かに外して悩ましい。

 はぐらかして、焦らして、もったいつけて……。

 けれども諦めた操祈が身を投げてぐったりすると、また近づいてきては要所を捉えて慰め始める。

 一つならずも、二ヶ所も三ヶ所も同時に連動させる女殺しの秘奥義。

 彼女の泣き所を心得た者ならではの心憎い仕打ちが繰り返されるのだった。

 どこまでもやさしいのに、どこまでも無慈悲な。

 こんなことを幾度となく繰り返されていると、本当に体も心もどうにかなってしまいそう。

 実際、操祈の体にはもうどこにも固く締まったところはなくなっている。充実した肉をいっそう柔らかにして、その一部は()っくの以前からすでにしどけなく融け出しているのだ。

 彼女の女性特有の組織、愛を知るために誂えられた奇跡の器官は、まるで一杯にまで温かい蜜を含んだスポンジのように情熱を満々と湛えて、ぐっしょりとなっていて、身も心も蕩けてしまうようなすばらしい刺戟に応えてしなやかな若い筋肉がキュっ痙攣するたびに歓びのひとしずくを放っている。

 そして欲深になった彼女がさらなる高み、それも二度と戻れないのではないかと思えるほどの歓喜の極みを目指して舞い上がろうとすると、少年はその瞬間を見越していたように直前で停まってしまってそれを許さない。

 呑気な愛撫に戻って、操祈を現実へとまた連れ戻そうとする。

 本当に、あともう少し……だったのに……。

 それなのに……。

 その上、狡智に長けた恋人がさらに残酷なのは、そんな操祈をけして()ませたりはしないことなのだった。

 体を問い詰める代わりになると、今度はいっそうやさしさを思い知らせてくるようになるのだ。だから、心までもがもう壊れてしまいそう。

 官能の荒波に翻弄されてすっかり心細くなった女の体の、その最も敏感な肌に、彼女のことをどんなに大切に思っているか、愛しているかを切々とした行為でうったえられては女心が蹂躙されるも同じだった。

 カラダにも心にもけして消えない記憶となって深く刻まれる、うら若き無垢な美女を恋の奴隷へと変える愛という名の呪い。

 目には見えないが、既に全身の隅々にまで(まじ)の烙印が押されてしまっていて、操祈は自ら鎖に繋がれることを切望するようになっているのだった。

 諦めの瞼を開くと、潤んだ瞳に最愛の恋人の顔が見えた。鼻下に濡れた飴色の髭をたくわえて、愛情に溢れた視線が恋に酔った女の胸をさらに甘く切なくさせる。

 彼がそこでいま何をしているのかが判るというのがいっそう悩ましいのだ。視界からの刺戟がデリケートな隈の部分をさらに鋭敏にさせて歓びを膨らませていく。

 他人にはけして見せられない見苦しい姿を彼にだけは晒して、そこから紡がれる果てのない甘い経験。

 恥ずかしさと心地よさと嬉しさと、そして口惜しさとが依り合わさって、操祈は畏れと幸せとを全身で感じていた。二人だけの特別に濃密な時間が互いの思いを刻々しっかりと結びつけていた。

 刹那が永遠ともなる中で愛のありかを必死に求めあう、男と女の命をかけたいとなみ、それは一点のくもりもなく純粋で、そして一途なものなのだった。

 形のないものが肌と肌、肉と肉を接することで確かな像を結んでいく。

 これが……わたしの気持ち……。

 羞恥と歓びが愛情に結晶して、大きな感動が胸の中で輝いて、背中には汚れのない純白の翼がいっぱいに羽を伸ばしていた。舞い上がった心は地上をはるかに超えて、遠く銀河の彼方にまで届くような全能感、開放感をもたらしている。

 この子のためなら……どんなことだって……。

 愛してるの……あなたのことを……。

 大好きよ……。

 年上の可愛い恋人の意識が肉体の(くびき)から解き放たれるのを待ちかねていたように、少年はようやく彼女の体にもその後を追わせるようにと促すことにしたらしい。それは密やかな肉ばかりか女の全身の細胞を振動させて心の感動と響き合い、さらに大きなうねりとなって鳴動させていく。

 やがて――。

 永遠に続くかと思えるほどの至福の瞬間を迎えて、眩いばかりの光の玉となった操祈は、時を超えて、空間を超えて、無限の一点を目指して拡がっていくのだった。

 

 

 

 目が醒めた時にはいつものように恋人の胸の中に居た。そこが彼女の拠り所、どこよりも安らげる居場所なのだ。

 愛情を注がれて、体に中心に命を吹き込まれて、目眩(めくるめ)く恋の試練を乗り越えて女であることの歓びに満たされていた。

 髪を撫で、背中をさする手のやさしさ、温もりにキュンとなる。ぐっと愛着を込めて抱きすくめられると嬉しくてまた意識が遠のきそうになるのだった。

 彼のベッドで、レイにとってのホーム、ということもあったのかいつも以上に手をかけられて愛されたのだと感じている。それが心と体に沁みていた。

 すばらしい経験だった。

 行為の最中、薄く開いた瞼に、目に映る世界の全てが輝きを放っているように感じていたのを思い出す。

 けれど、最初の歓喜を迎え入れてからの後のことは、本当のところはもうよくわからなかったのだ。

 現実なのか夢なのか、記憶なのかそれともその時の心が勝手に描き出した幻想なのかも曖昧になっている。

 辿れたのはただ自分が抱いた鮮やかな感情の記憶――。

 きっと幾度も声をあげて歓びを訴えていたのだろう、彼が愛おしくてならなかった。

 そしてひとりに取り残されると胸がつぶれそうなほど切なくなったのだった。

 だから自分からも求めてしまったのかもしれない。すっかりしどけなくなって、どんなに恥ずかしくてはしたないことでも進んで挑もうとしていたのだろう。

 彼をそこに閉じ込めようとして――。

 そんな自分に対しても少年はけっして手を抜いたりおざなりにするようなことはなく、いつでも快く大切に可愛がってくれたのだ。

 細やかな気遣いを感じる手の運び、肌の上を這う唇と、凹みを切り分ける舌の貪欲な動きとともに、愛された――という確かな感覚だけははっきり残っている。

 それだけで女にとっては十分すぎるほどのことなのだった。

「お目覚めですか……?」

「……うん……」

 操祈は男の胸に頬を擦りつけて甘えた。いつものように響く彼の鼓動に耳を傾けている。

 トクン、トクン、トクン……。

 最も尊い命の時を刻む音、彼が血の通った人の子であることの証。

 薄く目を開いて顔を上げると男の顔と目が合った。彼も満たされて幸せそうでいる容子に胸が熱くなる。お腹にあたる猛々しい強張りを感じているのに、それなのにこんなにもやさしい顔をして自分を見つめてくれる恋人。

 本当なら、この子の情熱も満たしてあげたいのに……。

 自分にできることならどんなことでも厭わずにやりたいと思う。それなのに、彼は未だに自身の肉体の欲求充足については関心が薄くてストイックなのだ。

 でも……そういえば、今日は……そうだわ……。

 陶酔の余韻が醒めていく間に、起きた出来事のひとつがぼんやりと脳裏に蘇えり、次第に形をなしていった。

 ……一度だけ、あったわね……そういうことが……うふっ……。

 その日、彼ははじめて男にしかできないことを彼女の体に求めようとしてくれたのだった。

 肉と肉を接して、ひとつに繋がろうとしていた。

 

 

「……あったかいなぁ、キミのからだ……やさしくて、柔らかくて……とてもステキ……」

 上になって組み敷かれて、彼女の体の中にこわばりを充ててきて――。

 初めてのことだったので余計にびっくりだった。

 一瞬ではあったが、レイの本気を、男の強さとたくましさを思い知らされていた。

 でも障りとなるところまで来ると、もう彼はそれ以上は求めようとはしてくれなかったのだ。

 自分はその先を望んでいたのに……。

 身も心も何もかも全てを捧げて彼のものにされてしまいたい、そのためならどうなってもかまわない。

 そう思っていた。だからそれを言葉にして訴えた。

 けれども――。

「……先生は良くても、ボクが困ります……大切な先生に痛みを与えてしまうようなことは、今のボクにはできません……だから今日はここまでにします……とても名残惜しいですけど……」

 そういうと少年は再び体位をずらしていって、また心やさしい愛撫に戻ってしまったのだった。

「……先生の痛みに見合うくらい、ボクはもっともっと、先生にはいっぱい歓びと幸せを感じて欲しいから……」

 その言葉にはほんの僅かでも嘘や誇張がないことを、彼の行為が彼女の体に教えてくれていた。

 

 

 ステキだった……。

 ……すごぉくエッチで、いじわるで……でも、とっても心のやさしい男の子……。

 大好き――。

 欲しいもの、ご褒美をたっぷり与えられて、幸福感と満足感にぬくぬくとする。

 そうかと思うと、また自身が演じてしまったおぞましい瞬間が蘇ってきて羞恥に身を竦める。

 深く愛された後の乙女は、体だけでなく心もまたむき出しにされた予後のショックを引きずって、とかく反応が大きく振れがちになるのだ。

 それを知っているのだろう、レイは事後にこそ操祈を独りにしないようにと気配りを欠かさない。

 しっかり寄り添って、心と体の負担を分かち合おうとしてくれる。

 余韻の熱気が体の中から次第に引いていき、自分の汗の臭いと、他ならぬ自身の分泌物のニオイに気がつくと、操祈はせつないため息をひとつついた。

 真冬のベッドで、全身汗まみれになってしどけなく乱れてしまった。

 また彼はそんな情けない姿をいつものように冷静に、残酷に、細大漏らさずすっかり見とどけていたのに違いない。

 あんなに緻密な絵を描くことができるのだから、また何もかも記憶に留められてしまったのだろう。

 淫らな、恥ずかしいことばっかりしているところを……。

 ワルいこと、いっぱいしちゃったから……。

 くやしいな……かなわないな……レイくんには……。

 恥ずかしくてたまらないのに、嬉しくて自然に目頭が熱くなってくる。

「愛してるわ……レイくん……」

 言葉にできることには限りがあって、だから体で思いを伝えたばかりだったのに、それでも口にせずにはいられない。

「ボクもです……大好きです、先生のことが……でも、先生に恋をするのは容易(たやす)いことだから……キミのようにかわいい女のコなら誰だって大好きになる……」

 まるで秤の傾きが一方に寄っていると言わんばかりの物言いには、いつもながら当惑させられていた。

「それなのにいつでもキミはボクにいっぱいの愛を贈ってくれます……ボクはほんの少ししかお返しができないのに……」

 ほんの少しですって? いっぱい愛されたのはあたしの方なのに――?

「……かわいい男の子に、セックスの手ほどきをするのは、本当は大人の女の役目のはずなのに……生徒から教えてもらうばっかりだなんて、ダメな先生ね……」

「そうでしょうか……ボクは嬉しいな……だって先生の全てをボクだけのものにできるんだから……」

「………」

「こんなに綺麗な女のひとの……今日はキミのいちばん可愛い顔をたくさん見せてもらえたから、すごく嬉しかった……」

 彼の両手が操祈の広い額にかかる乱れ髪を丁寧に整えて顔を面にすると、頬を挟むようにしてじっと見つめてくる。

「きっとキミは造化の神さまが、美しい魂に相応しい依り代として、最愛の一人娘に与えた人の姿の模範解答……」

 人の模範――!? このあたしがっ!? もう、何を言ってるのよ、この子は……。

 こんなどこにでもいるような、オバさんになりかけた女をつかまえて……。

「……そんなことを言われたら、わたし、これからどうしたらいいか……困るわ……」

 少年は自分をまるで女神であるかのように崇めている。

 あまりハードルを上げられてしまうと、かえって気詰まりを感じてしまうが、でも、自分の真の姿を知りつくしているのに、それでも今も憧れの気持ちを抱き続けてもらえることはやはり嬉しくて、女の矜持が満たされてもいる。

「そしてボクは、そんな可愛い女神を自陣へ引きずり込むために、地の底から地上に遣わされた女神殺しのサキュバスの弟……」

 少年はいつものように思わせぶりな笑顔を向けていた。

「醜い小鬼の淫魔で、たしかインキュバスって言ったかな――」

 インキュバスというのは、真夜中に淑女の寝所に忍び込んで夢の中で交わるという伝説の魔物のことであるのを操祈も知っていた。

「まぁ、なんて可愛らしいインキュバスさんなのかしら……でも、そうかもしれないわね、レイくん、ワルいこといっぱいするんだもん……」

「それはキミを永遠に地上の監獄につなぐために、キミが自分の意思でボクとセックスをしたくなるように呪いをかけているから……」

「それならあなたの勝ちよ……この体はもうあなたのことしか見えなくなってしまっているわ……ひどいわよね、どうしてくれるのよぉ……」

 自分の言葉にも甘えの蜜がのっているのを感じながら、操祈は男の肌に身をすり寄せている。

「いいえ、勝ったのは先生です……呪いをかけるつもりで、先生の心と体の美しさにうたれて虜にされてしまったのはボクの方だから……所詮、下級の魔族だから女神の御威光には太刀打できる筈もなく……」

「本当に物は言いよう、口は重宝なものねっ」

「たしかに口は達者なつもりですけど……だって先生はご存知ですよね、ボクのお口の働きを」

「こらぁっ、もう、すぐにそういうことを言うんだもんっ……憎らしいっ」

「だってキミのはとっても美味しくて、お口がとろけてしまいそうなくらいだから……それに、とってもいいにおいがするし……いつだって顔を埋めていたいなって思いますよ……」

 直截なものいいは女をたじろがせずにはおかないもの。これまでなら強い羞恥にたちまち真っ赤になって彼の胸の中に逃れていたところだった。けれどもその時の操祈は、

「バカ……もう、バカなんだからぁ……」

 頬をバラ色に染めながらも恋人の熱い視線に堪えていた。

 彼の手に(おとがい)をとらえられていたこともあったが、少年の視線をまっすぐ受け止めて見つめ返している。

「……でも……あなたになら……いいの……」

 自分の秘密を、女の醜い姿まで知り尽くしている相手に、もう虚栄も、(てら)いや外連(けれん)も意味がなくて必要もないのだった。

 全てを許して受け容れてくれたのだから、何も怖いことなどないと言い聞かせる。

 だから自分も彼の全てを受け止めるつもりでいた。

「……それなら好きなだけあげるわ……みんなあなたのものなんだから……どうせイヤだって言っても、あたしのことなんて聞いてはくれないしぃ……」

「ボクは先生を傷つけることは……ぜったいにしたくないです……」

「知ってるわよ、そんなこと……」

「じゃあ、続きをしませんか……」

「続きって……」

 操祈はさすがに驚きに目をまるくする。

 たった今まで愛し合っていたばかりなのに、少年はまた唇を窄めて舌舐めずりをしているのだ。

 まるでお気に入りのスイーツを前にしている子供のような顔をして。

「見すぼらしい魂が捧げる女神への祈り……誓いのキスを……したいな……」

「誓いのキス……」

 言葉は美しくても、中身はとても口にはできない淫らなことだった。

「だってレイくん……」

 やっと解き放たれて、安らぎの時を迎えたばかりだというのに、少年はまだ操祈を抱き足りないということらしい。

「ボク、のど乾いちゃった……」

 少年は(わざ)とらしくのど仏をゴクリと上下させて、それは彼女を愕然とさせる要求なのだった。

 彼がそういうとき、何を求められているのかをもう知っていた。

 初めてのことではなかったからだ。

 イケナイこと、ワルイこと……恥ずかしいこと……そして……。

「……変なこと……いわないで……」

 さすがに気持ちが退いてしまう。 

「だって先生のカラダがつくってくれるものは、ボクにとってはみんな甘いご褒美だから……」

「……変態よ……レイくんは……」

「そう言っていただけるのは光栄です――」

 少年は悪びれたようすなど微塵も見せずに言った。

「……イヤ……あれはイヤよ……ホントにダメ……」

「そんなこと言わないで……」

「え? ちょっと、なによぉっ」

「なんでもないですよ」

「やだっ、ねぇレイくんっ……イヤって言ってるのにぃ……きゃっ――」

 ボディタッチから始まった軽いじゃれあいから、(たしな)めようとした一瞬の隙を突かれて、少年の手がいち早く股間に伸びてきたのだった。守りの弱い背後から攻めかかられてはひとたまりもなかった。

 あっ、と思った時には両脚を担がれて、また彼の両手を二つのお尻の下に感じている。

「ああ……もう、言うこときいてくれないのね……」

 いつもの無防備な体勢に、ベッドの上でのおきまりのポジションになっていた。そこからさらにいくつもの大胆な体位へと展開する前のとば口ともいえる、長く愛し合うと決めた時のものに。

「可愛い毛並みの愛の妖精さん……」

 身動きを封じられて下生えを指先でくすぐられながら、

「先生のにおいが欲しいから……心やさしい女神さまのにおいが……ボク、無理強いはしませんから……だから、怖がらないでください……」

 妥協点を探るつもりなのか、少年は少し要求のハードルを下げていることを臭わせていて、この姿になって求められては操祈は折れて受け容れるしかなかったのだった。

 それに一時の休息を得てまどろんでいた体は、わずかのきっかけですぐに本気になってしまい、彼の眼前にぷりっと爆ぜた姿を晒すようになっていたのだ。

 うらめしいことに女の体は言葉ほど都合良く本音を隠してはくれないのだった。

「すごいな、先生は……とってもきれい……」

 股間に感嘆の声がして、すぐに唇が落ちてきて瞼を閉じた。目を瞑っても今度は咎められることはなく、賛美をうったえていた彼の口が、また思いをじかに囁きかけ始めた。

 この子はどうしてこんなにも人にやさしくできるんだろうと感動せずにはいられない、やわらかなタッチの愛情深い口づけ。操祈の形を確かめようとして、丹念に隈なく行きつ戻りつをしている。

 まだ我を失うような強い刺戟にはなってはいない、それでも再び彼女を楽園へと誘う逸楽の途が目の前には示されていた。

「かわいいっ……先生が、かわいくて……ボク……」

「レイくぅん……」

 なにかとても大切なことを忘れているような気がしたが、少年の祈りのキスに熱がこもると、それもどうでもよくなってしまうのだった。

 まるで巨きな白い花が開花のときを迎えたように、操祈は長い脚をゆっくりと大胆に開いて、二人にしか許されない神秘の儀式のもたらす歓びに美しい体を委ねていくのだった。

 




ちょっと誤字、脱字他がひどいので
後ほど修正します

申し訳ありませんでした
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