ボーイ8メンタルアウトアウト~学園都市編~ 作:真夜中のミネルヴァ
ⅩⅩⅩⅢ
「まさか私が服を脱ぐところを見ていたいの?」
「ダメですか?」
操祈は驚いたが、レイは当然のことのようにしれっとした顔をしている。
恋人にはもう体の隅々まで知られていても、それでも着替えをじっと見られるているのには女として障りを感じるのだった。
「ボクも脱ぎますから、それならおあいこでしょ?」
少年は自分から先にワイシャツのボタンを外し始めて、仕方なく操祈もカーディガンのボタンの一つ一つに手をかけていく。その次はベストを脱いで、清楚な白長袖のブラウスの襟のリボンタイを
互いの視線をチラチラ意識しながら、着ているものを脱いでいくと、先に全裸になったのはアイテムのずっと少ない少年の方なのだった。股間のものを高々とそそり勃たせたまま肘掛け椅子にどっかり腰掛けると、身を乗り出すようにしてまだ肌着でいる操祈を興味深げに見つめている。
「あんまり見ないで……男の人が女の着替えを覗くのはエチケット違反よ……」
「ボク、見てるだけで、覗いてなんていませんから」
「へりくつ言わないのっ」
ブラを取ると、はちきれんばかりだった両の乳房がゆっさり重たげに解き放たれて、華奢なデコルテラインとの対比が優美に、どこか痛ましげになった。たわわな実りに見合う大きめの
最後に残ったショーツに手をかけたときには、既に自分が肌着を湿らせていることに気がついて、操祈はつくづく情けなくなってしまうのだった。
「ほんとにこっち見ないでっ」
と、つい余計なことを口走ってしまったために、かえって少年の好気を焚き付けてしまうことになる。
「見ないでって言ってるのにぃっ!」
ほとんど悲鳴に近い抗議の声も無視されて、結局、間近で全裸になるのをバッチリ見届けられたばかりか脱いだものまで奪われそうになって、さすがにそれだけはダメ、と必死に抗って後ろ手に隠した。すると今度は無防備になった股間に無遠慮な視線を注がれることになってしまうのだった。
「もう、イヤな子ねぇ、そんなにじろじろ見ないでよぉ」
「だって先生にとっては日常なのかもしれないけど、ボクはいま信じられないくらい美しいもの目にしている真っ最中なんですから、仕方ないじゃないですか」
少年は股間の物を軽くしごいて、自身がいかに感動しているかを操祈に見せつけてくるのだ。猛々しい牡の情熱の昂りは、十五歳だがすでに完成した男であることを示しているのだった。
それに対して操祈の下腹部は、小麦色のヘアが素のままにふんわりふわふわの容子が見るからに素朴でやさしく、彼女らしい愛らしさを感じさせている。レイがトリミングを嫌うので長めの毛足がまぁるく繁って秘裂を健気に隠していた。
「ご満足、いただけましたか? ご主人さま――」
全裸になった操祈は、値踏みされる奴隷女にされたような気分になって椅子に座るレイの前に立った。
「うんっ、凄く綺麗です。やっぱり先生は何も身につけていない時がいちばん自然で美しいんだってことがよくわかります」
骨細なつくりの全身から立ちのぼる、そこはかとなく漂う無垢の香りが男の庇護欲をかきたて、同時に強い征服欲も刺戟していた。体に流れるどの曲線も甘い謎を描いて、女の弱さと哀しさをうったえかけているようなのだ。
「もっと近くに来て下さい……」
少年は股間の物をニョッキリさせたままで招くと、操祈の体に手を伸ばしてなめらかな肌触りを楽しむように
「きれいな肌……もっちりすべすべ……」
「よして、くすぐったいから……」
「キモチのいいことって、くすぐったいことのほんのちょっと先にあるんですよね」
そう言いながら目の前にあった亜麻色のヘア――それはわずかに蜜を含んで毛先がしんなりしていたが――を指先でサッと撫でて操祈の顔に
「ねっ――?」
女体の勝手を知った顔が得意げに見上げていた。
「もう、レイくんったら、ホントにエッチなんだからぁ」
操祈の言葉にも
じゃれあいながら互いの距離を詰めていく、男と女の恋の駆け引きにも終わりが近づいていた。
「じゃあ次はリボンですね、どこに付けたら可愛いかな? 二の腕……太腿……胴まわり……」
レイはリボンを取ると色合わせをするように、操祈の体のあちこちにあてがっていたが、
「やっぱり首に巻くのがセクシーかな……どう思われますか?」
操祈の背後にまわりこむと、両手で左右に拡げたリボンを首筋のなかほどにあてて訊く。
「そんなことわからないわ……」
「じゃあ、まずは首に巻いて飾ってみましょう、きっと良くお似合いだと思いますから」
少年は女の細っこい首に黒いリボンを巻き付け蝶結びにすると、芸術家がするように一歩下がって出来映えを確かめていた。
白い肌に黒いリボンのコントラストが、首の線の繊細さをいっそう印象的にしていて、可愛らしさと美しさ、瑞々しさと
さらに少年は、鞄の中から小さなひな菊ほどのコサージュを三つ取り出してくると、
「どの色がお似合いだと思われますか?」
操祈に訊くのだった。
掌の上には、白、桃色、赤の三色の薔薇をかたどった、花径が二センチほどの造花が並んでいた。
「どうするんですか? これを……」
「リボンの結び目の真ん中に貼ってアクセントをつけたら可愛らしいんじゃないかと思って」
身をかたくしていた操祈が選べずにいると、少年はひとつひとつを首もとに照らして、
「白だと肌の色に隠れてしまうし、ピンクだと……少し弱いかな……バストトップの色とも重なってしまいそうだし……」
「………」
「やっぱり赤かなあ……いまの先生にいちばん映えるのは……」
操祈は終始、不安げに大きな目をパチクリさせるばかりだった。
「じゃあ、赤にしましょう――」
女体へのボディラッピング――と言っても首にリボンを巻きつけただけだったが――が終わると、
「せっかくですから記念に写真を撮っておきましょう」
と、彼女にしてみればさらにとんでもないことを言い出すのだ。
「ちょっと待って、こんなの撮らないでっ」
「スタンドアロンの普通のカメラですから心配しないで下さい。先生とボクの生理データで暗号化しておけば、ボクたち二人が一緒に居る時にしか画像は開けませんから」
用意がいいことにカメラまで持ってきている。
「もう、初めっからそのつもりだったのね、ひっどぉーいっ!」
操祈自身をバースデープレゼントにするつもりで、アレやコレやのアイテムを準備していたのが分って、プレゼントを用意し忘れてシュンとしていたのがお人好しのおバカさんみたいに思えてくる。
「ボクだって、先生とのデートとなれば考えますからっ、この後だって“いろんなこと”しますよっ」
「いろんなことって……?」
「それはもう、いろんなことですっ」
少年からそう宣告された操祈の瞳には、わずかに怯えの色がうかんだが、それもすぐに薄れて消えていき、入れ替わるようにして官能の焰がチロチロと見え隠れするようになっていくのだった。
どうせいつもどおりに彼のペースでやりたいようにされるのだから。
それがわかっていて自分も嬉々としてやってきているのだから――と。
「でもまずは写真を撮っちゃいましょう」
「えーっ、ほんとに撮るのぉ?」
「だってもったいないじゃないですか、こんなにカワイイ先生を放っておくなんてっ!」
その後の小半時あまりの時間、操祈はレンズの前でさまざまなポーズを取らされて、フレームの中に永遠に捕らえられて行ったのだった。