いや~。気づけば1ヶ月近くたっていようとは、自分で書いててわかったことですが小説を書いてる人たちの苦労がよくわかりました。特にオリジナルの話を考えている人たちはもっと大変なんだなと思いました。
それから、この作品のお気に入りがついに300を超えました。登録してくださった読者の皆様本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
翌日、俺達は【オルクス大迷宮】に挑むためにメルド団長率いる騎士団員複数と共に冒険者達のための宿屋町【ホルアド】に来ていた。新兵訓練によく利用するようで王国直営の宿屋があり、そこに泊まるそうだ。
二人に一部屋なので王宮と同じように俺とハジメは同室となった。本来なら錬成師であるハジメには城で待機してほしいのだが、メルド団長曰く「何事も経験するのが大事」だそうだ。まぁ、俺としてもハジメがどれぐらいやれるのか見たいので良しとしよう。
そんな俺達は明日のための荷造りをしている。
「ハジメ、例の
「うん。試運転も済ませたから後は実戦で使えるか確認できればバッチリだよ」
「そうか」
この遠征はハジメが創った
「…………悟、笑顔が怖いよ?」
「っ!?」
ハジメに指摘され慌てて顔を触りながら元に戻す。これは最近になって解ってきたことだが、どうやら俺はあくどいことを考えていると無意識に不気味な笑顔になるそうだ。初めて指摘してくれた恵里が言うには「なんか~、悪の親玉みたいな顔だったよ」だそうだ。
「ゴホン。……それよりもハジメは荷造りの最終確認は済ませたのか?明日は早いんだしっかりと睡眠を取らねば」
「うん。後もう少しで終わるよ」
ハジメは陽気に返事をしていたが、その手は微かに震えていたのだ。これは………
「ハジメ……明日のことを考えているのか?」
するとハジメは先程までの笑顔から一変し暗い顔になった。
「………うん。正直生き残れるかどうか不安で…」
「ハジメ…………」
(本当に自分が嫌になる。ハジメが荒事を嫌っていることを知っているのに、なぜ俺はもっとメルド団長を説得しなかったのだ)
俺は自分が友を危険な目に合わせていることに今さらになって後悔した。だからこそ俺は………
「…………ハジメ。もしもお前が危険な目に合う時は必ず俺が守ってやる」
「えっ」
俺の突然の言葉に驚くハジメ。
「い、いや悪いよ。そんなの」
「遠慮するな。これは俺がやりたいから言っているんだ」
「でも…………」
俺の提案をハジメは余り心から喜んではいなかった。
「……ハジメ。お前は自分の事をどう思っているのか知らないが、俺はお前の事は凄い奴だと思っている」
「えっ!?」
俺の言葉にハジメは目を大きく見開いた。
「お前は、俺でも考えつかないことをするしお前は周りから何を言われても諦めない努力家だ。正直俺にもそこまではできない。だからこそーー」
俺はそう言いながらハジメに手を差し出す。
「親友と認めているお前と共にいたいんだ。そして無事に生還して地球に帰ろう」
俺の言葉にハジメは最初は面を食らっていたが、次の瞬間、笑っていた。
「おい、ひどいぞ。人の言ったこと笑うなんて」
「ハハハ、ごめんごめん。なんか告白みたいな事をいってるから、つい」
確かに傍目から見ればそう思われても仕方ないな。俺が自分の言った事に恥ずかしさを感じていると
「でも、ありがとう。悟のおかげで少し肩の荷が下りたよ」
「そうか」
「正直、嬉しいよ。悟がそんな風に僕を思っていたなんて考えてなかったからさ。そして親友として見てくれたことも」
そして今度はハジメから手を差し出す。
「だから、もしも僕が危険な目にあった時、その時は助けて。そしたら、今度は僕が悟を助けるから。親友として」
そう言いながら力強い目でこちらを見ながら宣言するのだった。
(……まったく、かなわないなハジメには)
俺はハジメの手を握りしめて誓いの握手を交わすのだった。
そして互いの荷造りが終わりそろそろ就寝しようとしたその時、扉をノックする音が響いた。
俺とハジメは瞬時に飛び起き、突然の夜の訪問者に警戒をする。
(まさか、檜山達か!………嫌、この魔力の感じからしておそらく…………)
俺は“魔力感知,,を使い、その魔力が誰のものか分かると警戒を解く。
「南雲君、起きてる?白崎です。ちょっと、いいかな?」
やはり、予想通りその夜の訪問者は白崎のようだ。するとハジメは一瞬硬直するも、慌てて扉に向かう。そして、鍵を外して扉を開けると、そこには純白のネグリジェにカーディガンを羽織っただけの白崎が立っていた。
「……なんでやねん」
「・・・」
「えっ?」
ある意味、衝撃的な光景に関西弁でツッコミを入れるハジメと黙りこむ俺。よく聞こえなかったのか白崎はキョトンとしている。
ハジメは、慌てて気を取り直すと、なるべく白崎を見ないようにして用件を聞く。
「あ~いや、何でもないよ。えっと、どうしたのかな?何か連絡事項でも?」
「ううん。その、南雲君と話しがしたくて……やっぱり迷惑だったかな?」
「………ええっと…」
白崎に言われハジメは俺の方をチラッと見てきた。どうやら同部屋の俺に確認をしたいようだ。
(…いったい白崎は何をしに、まさか夜這いか!………いや、あの天然の白崎がそんなことするわけ………ないよな?)
白崎が何をしに来たかはわからないが、俺みたいなおじゃま虫は、ここはしばらく去るとしよう。
「いいぞ。白崎、ちょうど俺もメルドさんに用事があるのを思い出したからな。ゆっくりとハジメと話しをしてくれ」
「えっ!?」
「ありがとう!鈴木君」
俺の言葉にハジメはショックをし、白崎はパァッと喜んでくれた。
部屋を出る間際、俺はハジメの緊張を少しでも和らげるためと二週間前にからかわれた仕返しとしてハジメの耳に口を近づけてささやく。
「男になれよ、ハジメ」
「なっ!?///」
「?」
俺の言葉にハジメは顔を真っ赤にし、突然ハジメが顔を赤くしていることに白崎は首を傾げていた。俺はそんな二人の様子をニヤニヤしながら部屋を立ち去るのだった。
だが、この時の俺は少し浮かれていたのか、気づかなかった。俺達の部屋をどす黒い眼で視ていた存在に…………
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「さて、どうしたものか」
ある意味、部屋を追い出された形となった俺はすでに明日の準備以外する事がなかったので手持ち無沙汰となってしまった。
「……仕方ない。さっき言った通りメルドさんに明日の日程を詳しく聞いておくか」
そうと決めた俺は早速メルドさんが使っている部屋に向かうのだった。
しばらく、歩いていると噴水がある中庭にたどり着いた。今日の天気は晴れていて、空にある月が幻想的な輝きを放ち、噴水の水が光を反射していて、とても綺麗だった。
すると中庭からブンッ!ブンッ!と何かを振り回すような音が聞こえた。誰かが素振りをしているのかと思い見てみると
「フッ!……ハッ!……タァッ!!!」
そこには剣で素振りをおこなっている八重樫の姿があった。他が寝ているこの時間帯にやるとはマジメな奴だな。だが俺はある違和感に気づく。
(あれ?八重樫の素振り………少しブレがあるな)
以前にも剣道部で彼女の剣は見たときは一切の曇りのない美しいものであったが、何故か今の剣技には少し迷いのようなものが見えた。気になった俺は彼女に近づきながら声をかける。
「精が出るな。八重樫」
「……す、鈴木君!?」
彼女はかなり集中していたのか俺がこうして近づくまで気づかなかったようでかなり驚いていた。
「まぁ、立ち話するよりもあそこの長椅子にでも座ろう」
「え、ええ」
俺は噴水の近くに設置してある長椅子を指差しながら彼女を促す。彼女はそれに従い一緒に座る。
「こんな時間に素振りをしているなんて珍しいな。王城でもそんなことはしなかっだろう?」
「……ええ、少し眠れなくて………そう言う鈴木君は?」
「ああ、その…なんだ。白崎がネグリジェ姿でハジメに会いに来てな。話したいことがあるらしくてこうして部屋を出たんだ」
「……………まったくあの子ったら」
頭を抑えながらブツブツと言っているその姿からハジメがたまに八重樫のことを「オカン」と言ってるのが頷けた。
「明日はいよいよ実戦だな?」
ここで俺は話しを変えようと明日のことについて話す。
すると彼女はビクッとなりながらブツブツ言うのを止めた。
「………ええ、そうね」
彼女は暗い顔になりながら返事をした。その姿から先程のハジメの姿を思い出した。もしかして彼女も………
「……八重樫。明日の実戦が不安なのか?」
「っ……やっぱり、あなたにはバレるものね」
やはりそうか。普段、凛としている彼女も1人の女の子なのだ。突然こんな世界につれてこられて戦争に参加するなど思いもよらなかっただろう。気持ちの整理がまだ整っていないはずだ。
「そう言う鈴木君はどうなの?」
今度は彼女から質問が来た。
「俺は…………」
ここで俺は最初は嘘をつこうと思ったが、それは彼女のためにならないだろうと判断し、自分の思いを正直に話す。
「俺だって、不安だよ……」
「……意外ね」
俺の返答が予想外だったのか八重樫は目をパチクリとさせていた。
「俺だって1人の人間だ。いきなり、こんな世界に連れてこられて戦争に参加してくれなんて、今まで平和的に生きてきた者としては不安にならない方がおかしいさ。それでも………」
「元の世界に還るためには俺は戦わなくてならないんだ。……正直、イシュタルが言うように神エヒトが無事に俺達を還してくれるとは思えない。だが、この世界は広い。戦っていけば他に元の世界に帰る方法はあるはずだ。皆が無事に帰るために俺は戦う!!!」
俺は拳を握りしめながら空に向かって宣言するのだった。
「……やっぱり、あなたは
最初はキョトンとしていた八重樫は俺の宣言を聞くとフッと笑みを浮かべた。
すると俺はある疑問がわいた。彼女は
それは高校の入学式の日、入学試験で一位とった俺は新入生の代表挨拶を済ませてクラスを振り分けられ同じ教室の同級生とお喋りをしているとクラスが一緒になった彼女から声を掛けてきたのだ。その時は、初対面だったため「初めまして」と挨拶すると、彼女は突然、目に涙を浮かべ泣き顔になったのだ。これには俺もさっきまで喋っていた同級生の子達も驚いてしまい、どうすればいいのか分からずオドオドしていると、「雫に何をするんだ!!」と言いながら同じくクラスが同じになった天之河に殴られたのだ。これには周りの生徒達が騒ぎだし、騒ぎを聞きつけた先生方が天之河を取り抑えてくれたのですぐに騒ぎは収まった。
その後は先生方が事情を聞き、天之河は「雫がイジメられていたから助けるためにやりました」と言っているが俺は挨拶をしただけなのでそんな事実は無く、周りにいた生徒達が証言をしてくれたので事なきを得た。俺を殴った天之河は勘違いとはいえ人にケガを負わせたので一週間の停学となった。この事がきっかけで天之河は俺に噛みつくようになったのだ。
その次の日、八重樫は自分のせいでケガを負わせてしまったことに対して謝ってくれた。俺も特に気にしていなかったのだがどうしてもお詫びがしたいとのことだったので彼女に剣道について指導をお願いした。それからは八重樫に剣道の指南をしてもらいながら充実な学校生活を送っていた。
「……八重樫、もしかして俺と君はどこかで会ったことがあるのか?」
思い返せばあの涙には理由があるのではないかと思い八重樫に質問をすると八重樫は顔を暗くし落ち込んだ。
「……………やっぱり、あなたは覚えていないのね」
どうやら俺の疑問は当たっているようだ。
八重樫は落ち込んだ顔を下に向けていたがすぐに顔をあげた。
「いいわ。話してあげる。あなたと私の出会いを」
まるで独り言のように空に向かってゆっくりとその過去を話すのだった。
今回は4000文字を超えるため前編と後編に分けてみました。後編のほうはすぐに投稿するので楽しみにしてください。