何故だろうか
「さて、これから第二回天宮家家族会議を始めます」
「いぇーい」
「パチパチパチ」
昨日から一晩が過ぎた。朝から何故家族会議を始めるかというと、今後の方針を決めるためだ。
正直、寂しいからと琥珀と黒兎を創ってみたはいいものの、これから何をすればいいか分からないのだ。
それで、家族会議という訳だ。
「今後の方針についてだけど.....二人はどうしたい?」
「ん〜......琥珀は兄様がやりたい事をやりたい!」
「僕も、琥珀と一緒です」
「うーん。嬉しい返答なんだけど、困っちゃうなあ」
ボクのやりたいこと。なんだろう?────ああ、そうだ。ボクは創りたいんだ。何かを、新しい何かを生み出したいんだ。
「なら、大きな空間を創ろう。大きくて、広くて、無限にあるような。そこに大地を創って、空を創って、人を創って。いっぱい創っても有り余るぐらい大きな空間を」
「いいと思う!」
「僕も賛成です。でも、兄さん。どうやって創るんですか?」
「もちろんボクの能力で。でも、これだけスケールが大きいとボクの力だけだときついからね。二人にも手伝ってもらおうと思ってる」
「分かった! 琥珀頑張る!」
「ぼ、僕も頑張ります!」
二人が張り切ってくれてるようで良かった。実は昨日分かったことがあった。ここに草原や家を創ったときに体から力が抜ける感覚があった。これだけの規模の物を創造するのだから使う力も相当だろう。だから、二人の力を借りるに越したことはないない。
しかし、ボクも含め琥珀も黒兎も生まれてまもない。それまでに力を付けた方がいいだろう。
「じゃあ琥珀、黒兎。これから修行だね」
「修行?」
「そう、修行。ボクが創造するときに力が抜ける感覚があるんだ。こんなに大きいと抜ける力も増えるだろう? だから、創造に使う力を増やそうって訳だ」
「分かりました」
「はーい!」
「うん。聞き分けのいい子でお兄ちゃんは嬉しいです。それじゃあ、ご飯食べよっか」
この家族会議は朝イチで始めたので実の所、お腹がペコペコだった。
「何がいい?」
「うーん、軽めでいいよ。これから動くしね」
「りょーかい」
天宮家の料理担当は琥珀だ。まあ、昨日の一件からしたら当たり前だけど.......。
ちなみに、ボクが料理すると何故かダークマターが出来た。味は美味しかったが、流石に見た目がアレだったのでボクは即刻外された。
黒兎は味や見た目など気にせずに栄養だけ考えて作ったらしい。
琥珀は見た目よし、味よし、栄養よしという三人の中ではダントツだった。
「じゃあ、おにぎりでも作るね。兄様と黒兎は具は何がいい?」
「なんでも。栄養させあれば」
「うーん、じゃあ焼き鮭で」
「おっけー」
琥珀は長い髪をひとつに結び、割烹着を着て台所に立つ。そんな彼女の姿にボクは思うことがあった。
「.......」
「どうしたの兄さん。琥珀の方をじっと見て」
「いや、琥珀はいいお嫁さんになるだろうなと思ってね」
「えへへ。そ、そうかな?」
「そうだよ。まあ、琥珀をお嫁に貰いたいならボクのことを説得出来たらだけどね」
可愛い可愛い妹が嫁ぐ所はボクの目で直々に見定めないと気が済まない。可愛い子には旅をさせよとは言うがボクも付いていく。
おにぎりはとても美味しかったです。
ボク達は家から離れた所に来た。
「さて、ご飯も食べたし、修行しようか」
「どうやってするの?」
「とりあえず沢山創造して、どれくらい神力があるか調べてみるよ」
ボクは使用する力を神力と名付けた。琥珀と黒兎も自身の能力を使う時に力が抜ける感覚があると言っていたので、恐らく神様全てが持っている力なのだろう。
「そうだなあ.....沢山あっても困らないし、野菜や果物でも創ってみようかな」
「私達はどうしよっか」
「僕達は....どうしようかな?」
二人の能力は確かに現状では使いにくい。それに二人揃わないと発動しない特殊な能力だ。どうしたものか......
「うーん.....じゃあ、体の中にある神力を操ってみようか」
「操るって?」
「こうやって神力を右腕に集中させたり、足に集中させたりしてコントロールするんだ。これだったらできると思うよ」
ボクは右腕に青白いオーラを纏わせる。そして、同じ要領で両足にも纏わせる。この青白いオーラはボクの神力で、琥珀はオレンジで黒兎はグレーだった。恐らく、神様によって色や質、容量も違うのだろう。
「分かった! 琥珀やってみる! 一緒にやろう、黒兎!」
「う、うん。僕、頑張るね」
「ほほう.....これは....」
琥珀の差し出した手に黒兎は顔を赤らめながら手を重ねると、二人は手を繋ぎながら少し離れた所に走っていった。
あの反応は恐らく黒兎は琥珀を好いているのだろう。生まれて二日で
恋に落ちるとは.....まあ、琥珀はすごく魅力的だからね。ボクもああいうことをいつか体験する時が来るのかな?
「まあ、気にしてたってしょうがない。ボクはボクのやるべき事をやろう」
そう言ってボクは色々な野菜や果物などを創造し始めた。しかし、幾ら創っても神力が枯渇するような気配は無い。
「......一度創った物は神力が要らなくなるのかな? けど、同じ物を創造した時に少しは無くなっているのは感じる。となると、一度創造した物は使う神力の量が減るのか」
────なら、新しい物を創ろう。
簡単な事だ。一度創った物は必要とされる神力が減少するのなら、新しい物を沢山創ればいいだけの話。琥珀や黒兎に服でも創ってあげよう。柄の違う服だったら使う神力も減らないだろうし。
こうしてボクの色々な物創りが始まった。
「ふう、こんなものかな。これから生きるのに必要な道具は人通り揃ったと思うよ」
「凄い、凄いです兄様! 私達の服まである.....! 黒兎黒兎、これ着てみて。次はこっちね」
「あ、ああ。分かったよ」
黒兎はぐいぐい来る琥珀に照れながら色々な服を着る。
しかしこれは.....琥珀も黒兎のことを好いているようにも見える。服を渡す際に手が触れた時に二人揃って顔を赤らめている。恐らく、二人きりの時に黒兎が何か言ったかな? それで意識してしまうようになったと.....
「琥珀、黒兎を着せ替え人形にするのはおしまい。もうこんな時間だ。ご飯、作ってくれないかな?」
「あっ、ほんとだ! もうこんな時間....すぐご飯作るね!」
「ふう、助かったよ。ありがとう、兄さん」
「どういたしまして」
お腹空いたのは事実だしね。それにしても、今日のご飯はなんだろうね。楽しみだ。
そんなことを考えながら、黒兎と一緒に家に帰った。
「おかえり! ご飯、もう出来てるよ!」
「じゃあ、いただこうか。琥珀、ボクも運ぶの手伝うよ」
「僕も手伝う」
「ありがとう。兄様、黒兎。今日は兄様がいっぱい食材を用意してくれたからちょっと豪勢だよ!」
「はは、それは楽しみだ」
ゆっくり歩いて帰って来たボク達が家に入ると、美味しそうな匂いが広がってきた。昨日の晩ご飯も美味しそうな匂いはしていたけど、琥珀の言う通り今晩は本当に豪勢なんだろう。
料理も運び終わり三人とも食卓に着くと、黒兎がボクに話しかけて来た。
「兄さん。ちょっといいかな?」
「何かな?」
「あの......言いたいことがあって」
「ああ、ボクはいいと思うよ」
「まだなにも言ってないよ!?」
「分かるよ。これでも二人のお兄ちゃんなんだから。二人の婚姻のことでしょ?」
一日しか経っていないが、黒兎の癖はもう覚えた。こういう大事な話をする時、黒兎は少しだけ頭を掻く。これを見ればどんな話か何かと検討はつく。
「そ、そうだけども.....何か腑に落ちないっていうか」
「そ、そうだね」
二人はボクから認めて貰った嬉しさと、自分の口から言いたかったのか腑に落ちないご様子。
「まあ、二人が目が合う度に顔を赤らめたらそりゃあ、ね?」
「うう....確かに....」
「まあ、認めて貰って良かったね、黒兎」
「そうだね、琥珀」
すると、二人は周りにピンク色のオーラを発し始めたので、ボクは先にご飯を食べることにした。
「あーん」
「あ、あーん。美味しいよ、琥珀」
「ふふ、そう?」
「ああ。琥珀から食べさせて貰ったからね」
「もうっ、黒兎ってば。そういうところ〜」
こんな会話を聞いたのは何回目だろうか。黒兎と琥珀の婚約を認めた次の朝からかの調子だった気がする。流石に気まずい。ということで、ボクは早めに食べ終わり修行に集中していた。
「やっと
これというのは、数日前にボクが創った刀だ。
その日、ボクはある事を考えていた。ボクの創造する能力はボクの神力さえあれば使えるが、何かを媒体として使ったらどうなのかということだった。
そして、創ったのがこの刀だ。ボクの神力をふんだんに使って創ったのでボクの能力との相性も良い。なので創造する時はこの刀を使うようにしている。
「それにしても....明日か...」
そう、『大きな空間を創っちゃおう作戦』(蒼輝命名)の実行日が明日なのだ。
大丈夫、神力の容量の底上げもしたし、創造する訓練もした。あの二人も頑張っていたし、大丈夫だ。
しかし、ボクは嫌な予感がしてたまらなかった。
────そして、それが的中するとは思わなかった。
ここで裏話
蒼輝は普段は黒髪黒目だが、創造する時だけ金髪青眼になる。
創造する時のイメージは無限の剣製みたいなのを想像してくれたら幸いです
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内容は短めだが、投稿頻度は早め
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