克己と夏己がデュノア社に行ってる間、弾とシャルルは話していた。
「ねえ、弾。二人は大丈夫なのかな?」
「大丈夫だ。俺は克己さんと夏己と一緒に特訓してきたから二人の強さはよく知ってる。特に克己さんの強さはバケモンじみてるからな。I Sと戦う事になっても、克己さんが勝つな。」
「夏己のお兄さんって相当強いんだね。」
「ああ!」
二人が話していると部屋の中に光が現れた。
「あ!」
光がやむと、そこには克己と夏己がいた。
「克己さん。取り引きはどうでしたか?」
弾は克己に質問すると。
「交渉は決裂。デュノア社長は俺の話を最初から聞く気はなかった。だから会社もろとも消した。」
「そうですか…。」
「けどこれでシャルロット・デュノアはもう地獄を見る事はない。」
「でも克己さん、シャルルはフランス代表候補生です。国に帰される可能性が。」
「なら、俺の会社に所属すればいい話だ。」
「え?」
「兄さん、それって?」
「シャルロット・デュノアはフランス代表候補生から外れちまうが、NEVERに所属すれば問題ない話だ。シャルロット・デュノア。どうだ?俺の会社に所属する気はないか?」
克己はシャルルの身の安全を守るために自分の会社に所属しないかと提案してきた。
「いいんですか?」
「何の問題もない。今使ってる専用機もそのまま使えるように手続きする。まあ改良はするが。」
「お願いします。僕を克己さんの会社に所属させてください。」
シャルルは頭を下げて克己にお願いした。
「頭を上げろ。今からお前はNEVERの所属になるが、俺にとっては妹みたいな存在になるんだ。家族に遠慮なんかするな。」
克己はシャルルの頭に優しく手を置いた。
「…ありがとうございます…!」
シャルルは克己の言葉を聞いて、嬉しさのあまり泣いてしまった。
「よかったな。シャルル。」
夏己と弾は笑顔でシャルルを見ていた。
「じゃあフランス政府と話をつけてきますか。」
「え?もう行くの?」
「明日は織斑千冬と会う約束をしてる。今日でカタをつけた方がいいんだ。お前たちはもう休め。」
克己はワープメモリを使って部屋から出た。
「凄い人だね。夏己のお兄さん。」
「ああ、兄さんがいなかったら俺はもう死んでた。兄さんには感謝してもしきれないよ。」
夏己は改めて克己の凄さを実感していた。自分だけではなくシャルルも救ったのだから。
「俺も部屋に戻るな。」
弾も自分の部屋に戻って行った。
「シャルル。正体はいつ頃明かすんだ?」
「まだ早いかな。今明かしちゃうとみんな混乱するからね。」
「そうか。まあタイミングが合えばそこでだな。」
シャルルは今はまだ正体を明かさずにしばらくはこのままで行く考えだった。
次の日、夏己たちのクラスではデュノア社が消えた話題で持ちきりだった。
「ねえねえ知ってる?デュノア社が昨日突然消えたんだって!」
「知ってる!何でも緑色の大きな球体が包み込んだんだよ!」
「宇宙人の仕業なのかな?」
「やっぱり話題になってるな。」
「うん。」
「消した張本人がここにいるんだけどな。」
「夏己!」
「お前、バカか!」
その話題を聞いていた夏己たちだが、夏己が普通に消した事を言ったため弾とシャルルは慌ててしまう。
「既に知っているとは思うが、昨夜、デュノア社が原因不明の消滅をした。その事についてデュノア。フランス政府から通達があった。」
「通達ですか?」
「お前は今後、大道、五反田が所属する会社、NEVERに所属しろとの通達だ。」
「分かりました。」
「流石だよ。兄さん。」
夏己は克己の仕事の早さに納得していた。
「それと来週はタッグトーナメントがある。パートナーは自由に決めて構わんが、決まったらすぐに書類を提出しろ。いいな?」
千冬は来週行われるタッグトーナメントの事を話し、クラスは誰と組むかもう決まっているような顔だった。
放課後、夏己、弾、箒、セシリア、鈴、シャルルはアリーナで訓練していた。
「いつ見てもお二人の強さには目を丸くするしかありませんわ。」
「私たちの教えが必要ないくらいにな。」
「それにあんたたちの護衛も強いけど…堂本のおっさんは何とかならないの!あたしの事を見るたびチビとか猿とか、さっきなんか猪って呼ばれたのよ!」
「芦原さんもお強いのですが、あまり喋らないので何を考えてるかさっぱり分かりませんわ。」
鈴とセシリアは堂本と芦原の事を言ってきた。鈴は堂本と顔を合わせるたびにバカにされ、セシリアは芦原がほとんど喋らないため何を考えてるかさっぱり分からないと。
「おい、貴様。」
「お前、ボーデヴィッヒか。何の用だ?」
アリーナにドイツの第3世代I S「シュヴァルツェア・レーゲン」を展開させたラウラが来た。
「私と戦え。」
「お前と?」
「教官の汚点でもある貴様を潰さなくてはいけないからな。」
「またそれかよ。俺はあの女と何の関係もない。勘違いもほどほどにしろ。まあいい、お前がどれだけの強さか知るいい機会だしな。」
エターナルはエッジをラウラに向けた。
「行くぞ。」
エターナルは走り出してシュヴァルツェア・レーゲンに向かうが、ラウラはレールカノンを撃ち、エターナルはそれを避けていった。
「取ったッ!」
エターナルはラウラに近づけたが。
「無駄だ。」
「!?」
エターナルの動きはラウラの目の前で突然止まった。
「何だこれ!」
「AIC。停止結界とでも言おう。これがある限り貴様は私に触れる事は出来ない!」
ラウラはエターナルを吹き飛ばした。
「あの野郎!…いや待てよ。やってみる価値はあるな!」
エターナルは何かを思いついたのか、ルナとトリガーのメモリを出し、トリガーメモリをエッジ、ルナメモリを腰のマキシマムスロットに挿れた。
「トリガー・マキシマムドライブ!」
「ルナ・マキシマムドライブ!」
エターナルはエッジから光弾を撃った。
「何をしても無駄だ!」
ラウラは再びAICを発動させるが。
「!?」
光弾の軌道が突然変わり、光弾はラウラの後ろに行き、背中に命中した。
「え!何今の!?」
「弾道が突然変わりましたわ!」
「弾。今のって?」
突然、光弾の軌道が変わった事に驚きを隠せない箒たちだが、シャルルは弾に聞いていた。
「夏己はルナメモリを使って光弾の軌道を変えたんだ。」
「メモリって色々な使い方があるんだね。」
シャルルは弾の言葉を聞いて納得していた。
「貴様!何をした!?」
「思った通りだ。そのAICは前からの攻撃には強いけど、その分後ろがガラ空きになるな。」
エターナルはAICの欠点を見抜き、ツインマキシマムでラウラを攻撃したのだった。
「貴様ッ!」
ラウラはエターナルの言葉に怒りを覚えた。
「何をしているお前たち!」
そこに千冬が来た。
「教官…。」
「勝手な私闘は禁じられている。どうしても戦いたいなら来週のトーナメントで決着をつけるんだな。」
「分かりましたよ。みんな、今日はここまでにしようぜ。」
エターナルは変身を解いて、更衣室に向かった。
「なあシャルル。トーナメントだけど俺と組まないか?」
「夏己と?」
部屋に帰る途中、夏己はシャルルにトーナメントのパートナーにならないかどうか聞いてきた。
「ああ、弾と組むと他のペアとバランスが合わないからな。それにシャルルの事を考えると。」
「確かに二人は強すぎるからね、組まれるとほとんどのペアに勝ち目がないからね。いいよ。」
「ありがとうな!」
二人はペアを組む事になり、気がつくと部屋に着いており夏己はドアを開けた。
「あれ、兄さん?」
ドアを開けると、部屋には克己が居た。
「お疲れ。」
「克己さん。どうしたんですか?」
「シャルロット。お前の専用機をこちらで預かりたい。」
「僕の?」
「こっちで改良するって言っただろ。週末には渡せるようにするから。」
「分かりました。」
シャルルは自身の専用機「ラファール・リヴァイブ」を克己に預けた。
「確かにお預かりしました。」
克己はシャルルの専用機を預かって会社に戻った。
「シャルル。メシ食いに行こうか。」
「うん。」
二人は着替えて食堂に向かった。
「死神。頼みがある。」
「何でしょうか?」
「このI Sに適合値が高いガイアメモリを組み込んでくれ。」
会社に戻った克己は死神にシャルルから預かった専用機にガイアメモリを組み込んでくれと頼んだ。
「分かりました。すぐにやります。」
「それともう一ついいか?」
「はい。何なりと。」
「俺に、地球の本棚だっけ?その能力をくれないか?」
さらに克己はダブルの世界でフィリップが持ってた能力「地球の本棚」を自分に与えてくれと言ってきた。
「分かりました。そちらはすぐに与えられます。」
すると、克己の周りに大量のデータが現れ、克己に吸収された。
「これが地球の本棚か。」
克己は大量の本棚がある場所にいつの間にか立っていた。
「克己。この本棚はこの世界だけではなく、ダブルの世界の本棚もあります。」
「そいつはありがたいな。」
克己は目を閉じると、元の社長室に立っていた。
「…そろそろ待ち合わせの時間か。」
克己は腕時計を見ると、千冬との待ち合わせ時間が近づいていた。
「行くか。」
克己は社長室から出て、待ち合わせの場所に向かった。
「この辺りのはずだが。」
千冬も克己との待ち合わせ場所に向かっており、克己に指定された場所まで向かっていた。
「あれか?」
千冬はガード下を見ると、そこには屋台のおでん屋があり、中には既に男性が居た。
「あの、大道社長ですか?」
千冬は暖簾をくぐり、男性に聞いた。
「そうですよ。初めましてですね、織斑千冬さん。」
男性は克己だった。克己は千冬に挨拶をした。
「どうぞ座ってください。」
「はい。」
千冬は席に座った。
「すいませんね。こんな小さな屋台で。自分はどうも高級レストランは好きになれなくて。」
「構いません。私もこういう店の方が好きなので。」
克己の招待した店は千冬も好きな店だから、千冬に不満はなかった。
「それで何か聞きたい事があって私を呼んだんですよね?」
「はい。大道夏己、五反田弾が使ってるI Sの事について聞きたいのですが。」
「それだけですか?」
「え?」
「あなたが一番知りたいのは織斑ー夏について、じゃないんですか?」
克己は千冬が一番聞きたい事は織斑ー夏についてではないかと聞いた。すると、千冬の前に日本酒が入ったコップにおでんのネタがいくつか入った皿が置かれた。
「どうぞ。自分が出すので遠慮しなくていいですよ。」
「…ありがとうございます。」
千冬は日本酒を飲み始めた。
「まあ、これから長い付き合いになりますから、一つは無償で教えてあげましょう。」
「一つ?」
「私は三つの秘密を持ってます。一つは2人が使ってるメモリの秘密。もう一つは織斑ー夏の真実。そして最後は、デュノア社消滅の真実です。」
「!?」
千冬は克己からデュノア社が消滅した真実を知ってると知り、顔色を変えた。
「どれにします?一つは今言った通り無償で教えます。けど残りの二つはそれに見合う対価を支払ってもらいます。」
「お金ですか…?」
「そんな物じゃ無理ですよ。例えば、…人の命とか。」
「なあ!?」
千冬は克己が求めてる対価が人の命と聞き、顔を真っ青にする。
「あなたなら簡単ですよね?ましてやブリュンヒルデなんですから、女どもは簡単に心をあなたに許します。」
「私に…人殺しになれと仰ってるのですか…?」
「それぐらいの価値があると言う事です。それで、どれにするんですか?」
「…止めておきます。急に飲みたい気分になってしまったので。」
「そうですか。自分の方にツケておくので好きなだけ食べてください。」
克己は屋台から離れて帰って行った。
「あの人は…何者なんだ…?」
千冬は克己から何か得体の知れないものを感じ、それを忘れるためか日本酒を一気飲みした。
週末。夏己、弾、シャルルは克己の会社のNEVERに居た。
「ここが二人の所属してる会社なんだね。」
社長室で克己を待っていた夏己たちだが、シャルルは社長室の中を見渡していた。
「待たせたな。シャルロットのI Sの手入れが終わった。地下に来てくれ。」
社長室に克己が来て、シャルルのI Sが出来たから地下に来てくれと言われ、三人は克己についていき、地下室に向かった。
「ねえ夏己。さっきから僕を睨んでる男の人って?」
地下室に着いた夏己たちだが、地下室には羽原や京水も居るが、京水はシャルルを睨んでいた。
「気にしなくていいよ。京水さんいつもああだし。それにもうすぐ鉄拳制裁が入るから。」
「え?」
「おっさんよ!女の子をびびらしてんじゃねえよ!」
京水の隣に居た羽原が京水に裏拳をかました。
「痛いー!乙女の顔を殴るなんて何考えてるのよッ!」
「どこが乙女の顔だ?おっさんの顔そのものじゃねえか!」
羽原は京水に踵落としを決めて、京水の顔は床にめり込んだ。
「何だか、キャラの濃い人たちだね…。」
シャルルは羽原と京水のやりとりに唖然としていた。
「シャルロット。今日はそいつらのコントじゃなくて、これを取りにきたんだろ?」
克己はゲートを開けると、中にはI Sが置かれていた。
「これが僕の新しい専用機ですか?」
「そうだ。ベースはお前から預かったやつだが、ガイアメモリを組み込んだ事でこういう姿になった。」
シャルルの新しい専用機はかなり軽量化されており、ロングマフラーが着けられていて、所々にナスカの地上絵が刻まれていた。
「ガイアメモリって、夏己と弾が使ってるやつですよね。」
「そうだ。お前のにはT2のナスカメモリが組み込まれてる。」
「ナスカ?」
「説明するより使った方が早い。夏己、相手をしろ。」
「分かった。」
夏己はエターナルに変身し、シャルルも新しいI Sを纏った。
「これが新しい装備ですね。」
シャルルは近距離装備を展開すると、マキシマムスロットが付いたナスカブレードが展開された。
「その装備ならマキシマムを使える。後瞬時加速を使ってみろ。」
「はい。」
シャルルは瞬時加速を使うと、姿を消した。
「ナスカは超高速…!!」
エターナルはナスカの特性を知っているためすぐに後ろに振り向いた。
「やっぱり夏己じゃ後ろも取れないか。」
後ろにはナスカブレードをエターナルに向けたシャルルが居た。
「どうだ?瞬時加速より断然速い超高速は。」
「全然違います。これがガイアメモリの力なんですね。」
「せっかくだ。新しく生まれ変わったI Sに名前をつけてみないか?名前はなんでもいいぞ。」
「そうですね。ならメモリの名前を使います。今日からよろしくね。ナスカ。」
シャルルは新しいI S「ナスカ」に挨拶をした。