エターナルメモリを受け継ぐ者 改   作:tatuo

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銀の福音

次の日、夏己と弾は専用機持ちと一緒にテスト稼働のために集まっていたが、その中には克己と箒も居た。

 

「専用機持ちの諸君。集まったな。」

 

「先生。どうして箒さんと夏己さんのお兄様まで?」

 

「大道社長は大道、五反田、デュノアのI Sのデータ収集のため。篠ノ之に関しては…」

 

「ちーーちゃんーーー!」

 

突然、誰かの大声が聞こえると崖から物凄い勢いで誰かが降りてきて、千冬に抱きつこうとした。

 

「ちーちゃん会いたかったよ!さあハグハグしよう!」

 

「お前は相変わらずだな。束。」

 

千冬に抱きつこうとしたのは束だった。だが千冬は束の頭を掴んでそれを阻止した。

 

「ちーちゃんも相変わらずだね!」

 

 

「兄さん。あの人が篠ノ之束。I Sの開発者だよ。」

 

「この世界を地獄に変えた張本人。あんなガキに振り回されるとか堕ちたもんだな。」

 

夏己は克己に束の事を話し、克己は少し虫唾が走るような顔で束を見ていた。

 

「箒ちゃん!言われてた物を持ってきたよ!」

 

束がそう言うと上から何かが降ってきた。

 

「あのガキ、てめえの妹に。」

 

降ってきたのはクリスタルの形をした物で、克己はそれが何なのか理解出来た。そして、クリスタルは開き中にはI Sが入っていた。

 

「これが箒ちゃんの専用機、第4世代型I S「紅椿」!」

 

「これが、私の専用機。」

 

箒は紅椿をジッと見ていた。

 

「あのガキはまた世界に地獄を見せる気か?」

 

克己は頭を悩ませるような表情で呟いていた。

 

「どういう意味?」

 

「世界はやっと第3世代の試験機に入れたんだ。その苦労をあのガキが全部水の泡にしたんだ。これじゃあドーパント以外の敵まで現れるだろうが。」

 

「まあ、それは言えてるかもね。」

 

夏己は克己の言葉に苦笑いを見せていた。

 

「じゃあ箒ちゃん!早速ファーストシフトを始めようか!」

 

「篠ノ之。」

 

千冬に言われて、箒は紅椿の元に行き、紅椿に乗った。

 

「じゃあ飛んでみよう!」

 

「はい。」

 

箒は紅椿を飛行させると、紅椿はとてつもない速さで飛行していた。

 

「流石は第4世代。今あるI Sのスペックを遥かに上回ってるな。けどエターナルの前じゃあただのガラクタなんだよ。」

 

専用機持ちたちは紅椿のスペックの高さに圧倒されるも、克己から見ればそれも所詮はガラクタだった。

 

「おいお前、この天才の篠ノ之束さんが作った紅椿に文句があるの?」

 

克己の声が聞こえた束は克己を睨んだ。

 

「別に。ただお前が作った物のせいでお前の妹の死ぬ確率が上がった事を知ってて作ったんだよな?バカ兎。」

 

「バカとは何だバカとは!お前!」

 

「相手になるならいいぜ。さっきから腹が立つ行動ばかりしててイラついてたところだから…!」

 

克己は拳を鳴らして、克己と束は一触即発状態になってしまった。

 

「あの二人、ヤバくない…?」

 

「兄上の恐ろしさが肌で感じる…。」

 

「夏己さん、弾さん。克己さんを!」

 

「いや、織斑先生が止めるみたいだな。」

 

夏己は克己たちを見ていると、克己と束の間に千冬が割って出た。

 

「束、やめろ。大道社長も…!?」

 

克己と束を止めに入った千冬は束を落ち着かせ、すぐに克己を見るが、克己の顔を見て固まってしまった。

 

「出たか。克己さんの悪魔の顔が。」

 

夏己と弾には今、克己がどんな顔をしているのか分かっていた。

 

「分かりました。ここはあなたの顔を立ててあげます。」

 

克己は引き下がるが、千冬は未だに固まっていた。

 

「織斑先生!」

 

「!!」

 

真耶の声が聞こえてきて千冬はその声でハッとし、真耶の方を見た。

 

「織斑先生!これを!」

 

真耶は千冬に端末機を渡し、千冬は端末機の内容を見た。

 

「特命任務レベルA。現時刻より対策を始めたりし。…テスト稼働は中止だ。これより専用機持ちたちには任務に入ってもらう!」

 

千冬は内容を読んだ後、夏己たちには任務に入ってもらうと告げた。

 

「…ただの任務で済めばいいが。」

 

克己は吹いてくる風を浴びながら、嫌な予感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だよこの設備?」

 

旅館の一室に居た夏己たちだが、その部屋の設備に呆気を取られていた。

 

「2時間前、ハワイ沖で試験稼働を行なっていたアメリカとイスラエルの共同開発された第3世代I Sシルバリオ・ゴスペル。通称銀の福音が謎の暴走を起こし、監視区域から抜けた。情報によれば無人のI Sだそうだ。」

 

「無人のI S。」

 

「衛星の追跡ではここから2キロ先の海域を通る。時間にして50分後。それでI S学園上層部から撃墜命令が下り、我々がそれを行う。I S学園の教員たちが近くの海域を封鎖し、専用機持ちたちが福音を撃墜させる。何か質問はあるか?」

 

「はい。そのI Sの詳しいスペックデータを要求します。」

 

セシリアが銀の福音のスペックを質問した。

 

「銀の福音は特殊射撃による高域殲滅を目的とした軍用I Sだ。」

 

「高域殲滅か。エターナルの力なら無力化出来ますよ。」

 

夏己は立ち上がり、エターナルなら銀の福音を無力化出来ると伝えた。

 

「確かに夏己さんのエターナルなら。無人機の時に見せた技を使えば。」

 

「無人機なら手加減は必要ない。織斑先生。俺が行きます。」

 

「最初からそのつもりだ。大道、五反田。お前たちが銀の福音を…」

 

「ちょっと待った!」

 

屋根裏から束が現れ、ストップをかけた。

 

「束か。何の用だ?」

 

「ここは断然紅椿の出番だよ!紅椿のスペックならあんなI S、ちょちょいのちょいだよ!」

 

「お前な…仕方ない。大道、五反田、篠ノ之も同行させるが構わないか?」

 

「構いませんよ。ただ箒は後ろで見学させてくれるなら。」

 

「私の腕では不満なのか?」

 

箒は夏己の言葉を聞いて不満を漏らすが。

 

「そうじゃない。お前は実戦経験がない。そんなお前がいきなりあんなのと戦えば即お陀仏だ。分かるか?」

 

「……。」

 

「だからまずは見るのがお前の実戦だ。分かったか?」

 

「…分かった。」

 

箒は納得がいかないも夏己の言葉に了承した。

 

「よろしい。弾、行くぞ。」

 

「おう!」

 

夏己と弾はエターナル、アクセルのメモリを出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「気をつけろよ夏己。普通に破壊出来ればいいが。」

 

「昨日、兄さんが言ってたドーパントの事?大丈夫だよ。すぐに終わらせるから!」

 

廊下に居た克己は外に向かう途中の夏己に油断するなという思いで話し、夏己は外に出た。

 

「何も起きなきゃいいが…。」

 

それでも克己は不安を取り除けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エターナルはバードメモリ、アクセルはブースターで海域を飛んでおり、銀の福音が通過するポイントの海域に着いた。

 

「あれか!」

 

エターナルたちはとてつもない速さで来る銀の福音に気づいた。

 

「さっさと終わらせるぜ!」

 

エターナルとアクセルはエッジとブレードを構え、福音を迎え撃とうとしたが。

 

「雨?」

 

突然雨が降り出したが、その雨は妙だった。

 

「夏己。この雨雲、俺たちだけの上にあるぜ!?」

 

アクセルの言う通り、周りは晴れていて雨雲はエターナルたちの上空だけにあった。だが、それも束の間、次は雷に竜巻、しまいには吹雪まで起き始めた。

 

「何だよこれ!?」

 

「夏己!お前ウェザーのメモリ使ってんのかよ!」

 

「使ってねえよ!よく見ろ!エッジには入れてねえし、腰の方もバードで埋まってるよ!」

 

「じゃあ誰がやってんだよ!?」

 

「まさか、あのI Sが!?」

 

箒はこの気象の変わりは銀の福音がやってるものだと勘違いしてしまうが、それを考えさせる暇も与えないのか、今度は銀の福音の上空に暗雲が立ち込めてきて、その暗雲から何かが出てきた。

 

「何だよ…あれ…?」

 

「竜…?」

 

エターナルたちは暗雲から出てきたものを見て言葉を失ってしまった。それもそのはずだった。暗雲から出てきたのは巨大な青い竜のような生き物だったから。そして、竜は銀の福音に襲いかかった。

 

「効いてないのか…?」

 

銀の福音の攻撃は竜には全く効いておらず、竜は口を大きく開けて銀の福音に噛みついた。

 

「あの竜、銀の福音を破壊するのか!?」

 

銀の福音は抵抗を見せるも、それさえ無意味だった。そして、竜は噛む力を強めた。

 

「マジかよ…。」

 

銀の福音は竜の口の中で粉々に砕け、残骸が無残に海の藻屑になった。

 

「……!!」

 

竜は再び口を大きく開けてエターナルたちを見た。

 

「弾、箒!気をつけろ!」

 

「分かってる!」

 

エターナルたちは武器を構えるが、竜は青い煙のようなものを吐いた。

 

「!?」

 

「痛っで!痛てて…何だ今の攻撃?」

 

「さあ、目眩しか?」

 

煙をもろに浴びたエターナルたちだが、エターナルとアクセルは体に少し電流が流れた程度で済んだ。

 

「あ…ああ…」

 

「箒?」

 

だが、箒だけは様子がおかしかった。

 

「い…いやあぁぁぁーーーーー!!」

 

突然箒は悲鳴を上げた。その表情は恐怖に怯えたような表情だった。

 

「どうしたんだよ!箒!」

 

エターナルは箒に必死になって呼びかけていると、紅椿に通信が入った。

 

「夏己!弾!篠ノ之を連れて早くそこから離脱しろッ!」

 

「兄さん!」

 

通信は克己からだった。克己はエターナルたちに箒を連れて早く逃げろと言った。

 

「でもあの竜みたいのを!」

 

「説明はする!いいから早くしろッ!」

 

「でも…」

 

すると、竜は暗雲に戻って行き暗雲も消えた。

 

「消えた!夏己!離脱するぞ!」

 

「…ああ!」

 

エターナルとアクセルは箒を連れて離脱した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少し改良しただけであそこまで出来る。いいデータが取れました。」

 

どこかで銀の福音の戦いを見ていた人物がおり、その人物は三つのガイアメモリを持っていた。

 

「ですが、一人一人で使った方が効率がよい。あなたがたも一緒に挨拶に行きますか?今使ったこれを再び試すために。」

 

だが、人物が持っていたガイアメモリは夏己や弾が使ってるメモリとは違い禍々しい形をしており、メモリにはU、T、Wの文字が刻まれていた。

 

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