エターナルメモリを受け継ぐ者 改   作:tatuo

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千冬の覚悟

「どういう事だ?何故交信出来ない?」

 

社長室にいた克己だが、克己は焦った顔をしていた。

 

「死神、何があった?」

 

克己が焦っていた理由は死神と交信出来なくなってしまったからだった。何故克己は死神と交信しようとしたのかには訳があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日前、セシリアに呼び止められた克己はセシリアに呼び止めた理由を聞いていた。

 

「ガイアメモリを組み込ませてくれだと?」

 

「はい。わたくしはもうこんな悲劇を起こしたくはありません!ですからお願いします!わたくしのISにもメモリを!」

 

セシリアはもう悲劇を起こしたくないからこそ、克己に頭を下げて頼んだ。自分の専用機にもガイアメモリを組み込ませてくれと。

 

「銀の福音の時に俺が言った事を忘れたのか?」

 

「忘れてはおりません。それにわたくしは国を捨てる覚悟もあります。」

 

セシリアは克己に言われた事は忘れておらず、むしろ国を捨てる覚悟もあった。

 

「…たった一個のガイアメモリのために今まで守ってきた親の遺産、築き上げてきた地位や名誉を捨てるつもりなのか。」

 

「そんな物に執着してたら守れる命もありません!…それにわたくしは誓ったのです…」

 

そう言うとセシリアは何かの破片、焦げた写真を克己に見せた。

 

「これは、死んだ男の誰かの骨の一部にこの写真は…家族写真か。」

 

破片は死んだ男性を火葬してる時にこぼれ落ちた骨に、写真は夫婦が産まれたばかりの赤ん坊と撮った写真だが、夫の顔だけ燃えてしまっていた。

 

「これ以上人の幸せが奪われるのは嫌なのです…ですから…。」

 

「セシリア・オルコット。お前は顔も名前も知らない奴のために戦うのか?これからISを使う女は悪魔だ。と言われる。何を言われても耐える事は出来るのか?」

 

「何もかも捨てる覚悟、どんな罵声を浴びせられる覚悟はございます。ですからお願いします!」

 

セシリアは再び克己に頭を下げた。

 

「…かつてはプライドの高いお嬢様が元傭兵の俺に頭を下げる。…分かった。ガイアメモリは何とかする。お前は今まで通りにしておけ。」

 

「ありがとうございます!」

 

セシリアは克己にお礼を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつの覚悟は知れたのに。…けど、何故だ?何故死神は?」

 

「彼女たちに関しては私が決めると言ったのよ。」

 

「!?」

 

克己は突然聞こえた声に驚いて後ろを振り向くと、ソファーにシュラウドがいつの間にか座っていた。

 

「お前、いつの間に。それに今の言葉は?」

 

「言った通りよ。あの子たちの覚悟は私が見定める。だからあなたと交信はしないでと私が頼んだのよ。」

 

「…死神を知ってるって事は、貴様も俺と同じ。」

 

「そうよ。私はあなたと同じ世界の人間。そして、あなたを倒したフィリップの母親よ。」

 

「お前が。まあ今はそんな事はどうでもいい。それでお前はガキどもの覚悟を見定めるために何をする気だ?」

 

克己はシュラウドに専用機持ちの覚悟を知るために何をするのかを聞いた。

 

「簡単な事よ。あなたの弟と戦わせればいいのよ。そして、エターナルのマキシマムを発動させなさい。」

 

「…本気で言っているのか?」

 

シュラウドは専用機持ちを夏己と戦わせるだけではなく、エターナルのマキシマムまでも使えと克己に言ってきた。

 

「本気よ。自分が本当に無力になってしまった時、彼女たちはどうするのかを知りたいからね。それに彼女たちはあなたの弟と嫌でも戦う日が来るからね。」

 

シュラウドは言うだけ言うと、社長室から出ようとした。

 

「それともう一つ言っておくわ。…織斑千冬も私が見るわ。」

 

「織斑千冬を?」

 

「同じ世界から来た二人の人間が、姉弟を別々に面倒を見る。あなたはこれまで通り織斑一夏の面倒を見てなさい。」

 

シュラウドは千冬の面倒は自分が見るから、克己は今まで通り織斑一夏の面倒を見ろと言って社長室から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……。」

 

チェイスは学園に送られていた子供が埋められた墓に来ていた。

 

「…本当にすまない。君を救う事が出来なくて。」

 

チェイスは謝った。助けられなくてすまなかったと。

 

「チェイス。」

 

「剛。」

 

墓に剛とハートも来て、二人も墓に手を合わせた。

 

「…この花は?」

 

ハートは墓に置かれた花を見た。

 

「俺が来る前に更織姉妹が来ていた。特に妹は酷く泣いていた。自分より歳下の子供が何故死ななくてはいけないんだって。」

 

花は楯無と簪が手向けた物で簪は泣いていたとチェイスは言っていた。

 

「無理もねえ。…けどマジでこの世界はどうなるのか。」

 

「早く001たちを見つけないとな。」

 

ハートたちは墓を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここでいいはずだが。」

 

千冬はひと気のない森を一人で歩いていた。

 

「手紙で呼び出すのはともかく、どうやって学園に入ったんだ?」

 

千冬は手紙で何者かに呼び出されて森に来ていたのだった。

 

「?」

 

千冬は何かに気づき足を止めた。

 

「…霧?」

 

突如、辺りは霧に包まれ始め、あっという間に真っ白な世界になった。

 

「!?」

 

だが次の瞬間、前方から何かが飛んできて千冬はそれを避け、何かは木に刺さった。

 

「刀…?」

 

刺さったのは刀だったが、その刀は機械で作られた刀だった。

 

「流石に今のは避けてもらわないとね。」

 

「あなたは!?」

 

さらに前方の霧の中からシュラウドが出てきた。

 

「あなたが彼の意思を受け継ぐにふさわしいか試させてもらうわ。」

 

シュラウドはマグナムを構えた。

 

「彼の意思?」

 

「かつて愛する人を守るために友を殺した男。彼がその罪を背負って戦った。あなたにもその罪を背負う覚悟があるかどうか見せてみなさい。」

 

シュラウドは刀を見た。

 

「使いなさい。あなたの覚悟が本物なのかは口では分からないでしょ?」

 

「……。」

 

千冬はシュラウドに言われ、刀を木から抜いて構えた。

 

「…行くわよ。」

 

シュラウドはマグナムにボムメモリを挿した。

 

「ボム・マキシマムドライブ!」

 

シュラウドはマグナムを撃ち、千冬も走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラッ!」

 

エターナルとアクセルはアリーナで訓練をしていた。

 

「弾、腕を上げたな!」

 

エッジとブレードがぶつかりあい、火花が散る中、エターナルはアクセルが腕を上げた事を実感していた。

 

「当たり前だッ!」

 

エターナルとアクセルはさらにぶつかりあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クッ!」

 

シュラウドに試されている千冬だが、地面に転がってしまう。

 

「…これがブリュンヒルデと呼ばれた実力なのかしら?ドーパントの前では赤子も同然ね。」

 

シュラウドは千冬の実力にがっかりしていた。

 

「確かに、私では勝てる存在ではありません…。」

 

「…素直に認めるのね。ブリュンヒルデなんて呼ばれてるからプライドの高い傲慢な人間だと思ってたけど、実際は違うのね。…弟が死んだ事が原因かしらね?」

 

シュラウドは千冬にあれこれ言いながらも容赦なくマキシマムを放った。

 

「!!」

 

だが千冬も負けるまいと、光弾を刀でガードするもガードするたびに倒れてしまう。

 

「そんな単調な攻撃では私に近づけないわよ。今行われてるのはISの試合じゃないの。命のやり取りなのよ。その刀は零落白夜なんか使える訳ない、あなたが今までやってきた事を全部捨てないと使いこなせないわよ。」

 

「…今までやってきた事を捨てる…。」

 

「何かを得るには何かを捨てる。あなたは弟を殺して地位や名誉を手に入れたんでしょ?」

 

「…違う。」

 

「?」

 

「私はただ一夏のために…!」

 

千冬は目つきを変えて再び走り出した。

 

「少しは学習出来ないの?」

 

シュラウドはマグナムを撃つが。

 

「!!」

 

千冬は光弾を一刀両断に斬り裂いた。

 

「さっきとは動きが違うわね。」

 

千冬の動きは先程とは変わっており、避けれる光弾は避け、避けられない光弾は斬っていたが、怯む事はなかった。

 

「私は一夏の苦しみを何一つ分かってやれなかったッ!その結果がこれだ!ならこの罪を背負う…死ぬまでッ!」

 

千冬は己の覚悟をシュラウドに言い、最後の光弾を斬り裂いた。

 

「!!」

 

シュラウドはマグナムの銃口を千冬の顔に向け、千冬は刀を横にしてシュラウドの喉に刀を向けた。

 

「…覚悟は本物ね。」

 

シュラウドは千冬の目を見て、覚悟は本物だと悟り、マグナムを下げた。

 

「あなたの覚悟は分かったわ。受け取りなさい。」

 

シュラウドは横に向かって指を指し、千冬はその方向を見た。

 

「…あれは?」

 

千冬が見た方にはアタッシュケースに刀の鞘らしき物が置かれており、さらに両の先端に刃が着いた薙刀が刺さっていた。

 

「あれはあなたの力。」

 

「私の…。」

 

千冬も刀を下げ、アタッシュケースの元まで行きケースを開けた。

 

「これは!?」

 

千冬はケースの中身を見て驚愕してしまう。ケースの中にはスカルメモリ、ロストドライバーが入っていたから。

 

「何故あなたがこれを!…え?」

 

千冬は何故ガイアメモリとロストドライバーを持っていたのか聞くために振り向いたが、シュラウドは既にいなかった。

 

「…あの人は何者なんだ…?」

 

千冬はシュラウドが何者なのか考えるが。

 

「いや、今の私がやるべき事は…!」

 

だが、千冬はすぐにその考えを振り払い、メモリとロストドライバーを手に取った。


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