デート・ア・ライブ イレギュラーブルー(凍結) 作:蒼京 龍騎
前から少し経ってしまいましたが、やっと書けました、、、、
結構凝ったので、よければぜひ読んでみてください、、、、
デート・ア・ライブ イレギュラーブルー 4
第四章 デート・アゲイン
「、、、、っ?あれ?」
俺は、『また』此処で目覚めた。
「ったく、何回気絶やら寝落ちやらで意識を無くす羽目にあってる事やら、、、、」
ベッドから起き上がる。
体がやけに重い。
気絶する前の事を思い出す。
ノ夜とのデート。
俺が一回死んだはずが復活。
ノ夜の暴走。
俺がノ夜を慰め、落ち着かせたところでノ夜の天使が止められず窮地に陥っていたところは思い出せる。
だが、その後があやふやだ。
<青薔薇>(ブルーローズ)なるリボルバーが現れた。
その後、爪のような武器を使って、ノ夜の天使の攻撃を消したはず。
その爪のような武器がどのようなもので、どう使っていたかが、思い出せない。
「記憶喪失は、これで二度目だな、、、、」
前回は、友人一人に関する記憶の欠落。
今回は、自身の武器の詳細。
前回があったから、落ち着いていた。
前回はすぐに思い出せた。
今回だってそうなるだろう、と楽観的に考える。
「とりまここは、、、、<フラクシナス>?の中だっけか」
周りにカーテンがあり、部屋が仕切られていたので、ベッドから降り、カーテンを開ける。
「やっぱりそうか」
この光景は、見たことがある。
前にも一度来たことがある、<フラクシナス>の医務室だ。
ならば、行先は決めた。
「ルート表示」
そう呟く。
『了解。空中艦、<フラクシナス>内にある艦橋へのルートを提示します。』
視界に、前回通ったルートがそのままそっくり映された。
「そんじゃ、現状を聞きに行きますか」
そう言い、着ていた制服の上着を脱ぎ、医務室を離れる。
「どう?十香とノ夜の様子は?」
「十香さんの方は安定しています。問題は、ノ夜さんですね」
「蒼が昏睡状態に入ってからもう一週間も経っているから、そうなっても仕方がないわ」
「いつになったら目覚めるんですかね、、彼」
俺が艦橋に着くと、そのような会話が聞こえた。
「うん?俺がどうしたって?」
「え!?」
クルー全員が驚愕していた。琴里と令音を除いて。
「あらあら、やっと眠り姫の目覚めかしら?」
「誰が眠り姫だよ」
そうツッコミを入れる。
だが、無反応だった。
「蒼ぉぉぉ!!!」
「うおっ!?」
ノ夜が、俺の胸に突っ込んできた。
その衝撃で、後ろに倒れる。
「良かったぁ、、、、一週間も寝込んじゃうんだよ、、、心配したよぉ、、、、」
ノ夜が、涙目でそう告げる。
「え?一週間?どゆこと?」
「ああ、そこは私が教えるよ」
令音がそう言い、手元にあったデバイスを操作し、<フラクシナス>のモニターに何かを映す。
「君は気絶する前、ノ夜の天使を止める為に何かを出して、ノ夜の天使を止めただろう?恐らくその時に霊力の大量消費をして、そのせいで今まで寝込んでいたんだよ」
「霊力?もしかしてエネルギーみたいなもんか?」
「そうよ。全ての精霊のエネルギー、それが霊力。あなたの場合はそれの使い過ぎで今まで寝込んでいたのよ」
、、、要するに、充電切れか。
そう例え、納得した。
で、だ。
「悪いノ夜、、、そろそろ一旦そこ避けてくれ、、、苦しい、、、」
ノ夜が体重をほぼ全て俺の体にかけてくるので、結構苦しかった。
「え!?あ、ごめんね!今避ける!」
そう言い、ノ夜が立ち上がる。
、、、、やっぱり、ノ夜の行動の一つ一つが、可愛いと思えてしまう。
と。
「あ!そうだ学校!今って何曜日だ!?」
唐突に、学校のことを思い出し、慌てる。
「落ち着きなさい。猿じゃないんだから」
少々かちんときたが、落ち着く。
「今日は日曜日よ、休日。だから学校はないわ」
「そうか、、、、あ、そうだ士道は?」
「士道なら、今は十香とデートしてるわよ」
「、、、、えーすまんがもっかい言ってくれ」
「士道は、十香とデートしに行ってるわよ、まだ十香のほうは着いてないけど」
、、、、は!?
「おいおい!?十香って誰だよ!?ってかあいつ遂にめでたく彼女できたのか!!これは祝杯を挙げねば!!」
一人でそう言って騒ぐ。
「あ、ちなみにその十香ってについて、説明してなかったわね。令音、もう一度彼に解説頼める?」
「大丈夫だ。それで、その十香という子は、、、、」
、、、まとめると。
まず、その十香という子は、精霊である。
先日士道によって霊力を封印され、今は普通の人と何ら変わらない暮らしをしている。
、、、、は?封印?
「ちょっと待て、封印?あいつそんな特殊能力的なの持ってたのか?」
「士道をラタトスクに招いた理由はそれよ。ラタトスクの目的に士道は必要不可欠だったから」
「ラタトスクの、、、目的?」
「精霊と対話して精霊を殺さず空間震を解決させることよ。あと保護して幸福な生活を送ってもらうのも目的」
「対話って、士道を精霊の元へ行かせるのか」
「そうよ。そして精霊と話してもらって精霊をデレさせて、キスをする。それが士道の役割よ」
「、、、、へ?封印方法って、もしやキス?」
「さっきの話を聞いてて、それ以外に何があるのよ」
、、、、、たまげたな。
要は、精霊出現したら士道はそこに向かって、話をし、デレさせ、キスをし、封印する。
、、、、封印方法がなぜそれなんだとツッコミたくなるが、わかっていればもう話しているだろうと思い、気にしないことにした。
「そういえば、あなたに一つ聞きたいことがあるんだけど、いいかしら」
場の空気が重くなった。
「、、、、、なんだ?」
「あなたが一週間前に見せたあれ、どう見ても<灼爛殲鬼>(カマエル)の力よね。なぜあなたがそれを持っているのか、説明してもらおうかしら」
「<灼爛殲鬼>?、、、、、あーあれか。俺も分からん。なんか、封印?あれ楔だっけか、がかけられているだかなんちゃらですって言ってたしな」
「楔?」
「なんか撃たれて死にかけている時に変な所にいたんだが、そこで、その<灼爛殲鬼>の楔を外して、即時復活しますか?っていう感じの表示が現れて、それ押して、でけぇ斧出てきたからそれ握ったらいきなり消えて、それで生き返った。って感じ」
「、、、、、その斧って、こんな見た目?」
そう言って、モニターに画像を映す。
そこに、あの斧が映っていた。
「あー、、、こんな感じ」
「、、、、驚いたわね。本当に<灼爛殲鬼>を持っているとはね。だけど、なぜ同じ天使がこの世に二つも存在するの?」
「いや俺に聞かれても、、、ってか二つ?他にも持ってる人いんのか?」
「それは、、、」
琴里が、口ごもった。
言いたくないんだろうと直感した。
「あ、悪い今のは気にしないでくれ。それよりも、デート、なんだが、俺達もやっていいか?」
「へ?」
「は?」
琴里とノ夜が不思議そうに見てくる。
「あ、蒼?それって、、」
「一週間の続きだ。邪魔が入って台無しになったからな。オマケに、止めてから続きをしようと思ってたんだが、あのまま気絶しちまったしな」
そうノ夜に向かい告げると、ノ夜の顔が、真っ赤に紅くなる。
「ちちちちょっと待って!?私心の準備が!」
「阿呆、今から行くわけじゃねぇよ」
「あ痛っ!?」
ノ夜の脳天にチョップを食らわせる。
「うえーん、蒼が虐めるー、、、」
「わざと感丸出しだなオイ」
「、、、、それで、いつ行きたいの?」
「今日の、、、今は午後一時か、じゃあ三時、二時間後に行きたい」
視界に表示されている時刻を確認し、そう伝える。
「別にいいわ。むしろ思いっきり楽しんで行ってきなさい」
「え?いいのかそんな簡単に許可して。なんかこう、特別な許可とか必要なんじゃねぇの?」
「そこの辺りの許可は、一通りこちらの判断でどうにかできるようになったから、心配することはないわ」
、、、、抜かりねぇな、、
「じゃあノ夜、お前もこの時間でいいか?」
「全然いいよ!異議なし!」
「じゃあ、お互い駅前集合でいいか?」
「オーケー!!」
「じゃあそれまで準備するなり休むなりしてから行くか」
「じゃあ私ちょっと準備するね!」
ノ夜が艦橋から出て行き、どこかに向かう。
「さぁて、俺も準備しますかね」
そう言い、艦橋から出ようとしたら。
「できるだけ、彼女にストレスがかからないように頼むわね」
そう忠告された。
「もちろん、そうするさ」
と返し、艦橋から出る。
、、、、俺だって、そこら辺は気にしている。
ノ夜の負担になるような事はしないし、させない。
「、、、まだ、緊張するな、、、」
デートは次で二回目なのに、さっきから心臓が激しく脈打っている。
呼吸が激しくなる。
一回目よりも、少しばかし緊張していた。
「、、、?」
そんな中で、一つだけある感情が気になった。
ノ夜を見ると、何故か心が満たされる。
ノ夜以外どうでもいいと思えてしまう。
「、、、、これが、恋、というか、一目惚れ、ってやつか?」
そう呟き、医務室へ戻り、身支度を整える。
「あ、一旦家帰んねぇと、、、、」
財布の中身がほぼなかったため、一度家に帰ることを考え、艦橋へ戻る。
「わりぃ、一旦家にに帰らさせてくれ。財布の中身が全くねぇ」
家に戻れば金の補充ができるので、そう琴里に頼む。
「必要ないわ、そのデートの経費はこっちで出すから、思う存分使いなさい」
「マジで?いや、出してくれんならありがたいが、、、、」
「ただし、前と同じく監視させてもらうけどね」
「、、、、監視か、まぁいいか」
「悪いわね、監視しないと上から文句を言われてしまうから。で?そろそろ時間よ。まさか女の子を待たせるなんて所業はしないわよね?」
「え?、、、マジだやっべ!!悪いが駅前に降ろしてくれねぇか!!」
気づけばデートまで残り五分を切っていた。
時間が過ぎるのが早い。
「じゃあさっさと降ろすわね」
「へ?」
瞬間、視界が艦橋ではなく、見慣れた街の景色に早変わりした。
、、、、、だが。
「あ?ここって駅前じゃないぞ?、、、、、、あの野郎、、、、」
そこは、駅からダッシュで五分ほどで着くカフェ前だった。
時計を見ると、とっくに残り三分になっていた。
「、、、、終わったな」
そう呟きながらも、ダッシュで駅まで向かう。
「、、、、?」
違和感に気づいた。
車より早く走っている。
周囲の人々が、唖然として俺を見ていた。
「、、、どんどん人から離れていってるな」
不思議と驚きはしなかった。
まぁ、人ならざる力を手に入れれば、それ相応の代償が来ると覚悟したのだが、『これ程度ならばマシだろう』と考えたからだ。
そうこう考えていると、駅前が見えた。
かかった時間は30秒、時刻は二時五八分。
「よし、間に合った。ノ夜は、、、!?」
周りを見てみると、士道がいた。
「おーい!!士道!!お前ここで何やってんだ?」
士道の元まで駆け足で歩む。
「うん?、、、、蒼!?どうしてここに!?お前、体は大丈夫なのか!?」
士道が俺を見つけると、そう叫んだ。
、、、、、、そういえば、目が覚めたことを士道には喋ってなかったな。
「ああ、全然大丈夫だ。むしろバリバリ元気だ」
腕を回して元気っぷりをアピールしてみる。
「良かった、、、一週間も目覚めないから心配したんだぞ、、、、」
「マジですまん、ちょっと女の子一人救ってたらああなった」
「ん?女の子一人?それって、、」
士道が何か言おうとしたら。
「おお!シドー!おまたせなのだ!」
「ごめんね蒼!待たせちゃったかな?」
ノ夜と、少女が士道の名前を呼びながらやってきた。
その少女は、話に聞いていた十香という少女だった。
濃い紫の髪、光に満ちている双眸、傍から見れば美少女と言っても過言ではない程の容姿。
純粋に美しいと思った。
「へ?おい蒼、その女の子って話に聞いたノ夜って子か?」
士道がそう聞いてくる。
「おう、そうだぞ。お前の方も、その子が十香ちゃんって子だろ?」
「ああ、そうなんだが、なんであの子とお前がここに?」
「うん?デートだが、文句あっか?」
「え!?、、、奇遇だな。俺らもデートで来てたんだ」
そう二人で話していると、十香がこちらを凝視してきた。
「シドー、その男は誰なのだ?」
「ああ、紹介し忘れていたな。この人は飛来 蒼、俺の親友だ。仲良くしてやってくれ」
「うむ!シドーの親友か!よろしく頼む!」
「あ、おうよろしく、、」
随分と活気に溢れた女の子だなぁ、と思った。
と。
「そういや、お前もデートらしいが、どこに行く予定だったんだ?」
「動物園」
「、、、、、本当に奇遇だな、、、俺らも動物園に行こうと思ってたんだ」
、、、、おいおい、流石に偶然が重なりすぎじゃないか?
まぁ、行き先が一緒なら。
「じゃあ俺ら士道について行かせてもらってもいいか?行き先が一緒なんだ。ダブルカップルのデートと洒落こもうじゃないか」
少し格好つけて言ってみる。内心恥ずかしかったが。
「、、、いいかもな。十香はどうだ?」
「私はぜんぜん構わないぞ!」
「そうか、ありがとう。十香」
「うむ!」
、、、、、めっちゃ仲良いなぁ、、、と考えていた。
「あ、そうだ。ノ夜、お前はどうだ?」
「私?全然大丈夫!むしろそっちの方が人が多くて楽しそう!」
「喜んでくれて良かったよ」
そう返し、動物園まで歩を進める。
しばらく歩いたところで。
「そういえば蒼、その子とはいつ会ったんだ?」
ノ夜が十香と楽しく話しているのを少し後ろで見ていた俺に、士道が話しかけてくる。
「あー、ファミレスのちょっと前のとこで。お前が学校のシェルター入らないで飛び出した日あっただろ?お前の事心配になって俺も学校から出たんだが、そこで会った」
「な!?蒼も学校から飛び出してたのか!?」
士道が声を荒らげる。
「お前が心配だったからって言ってるだろ?あ、あとぶっちゃけ言って一回ノ夜に殺されそうになったんだよ。まぁ、完全に俺が悪いし、天使?とかいうやつが守ってくれたから気にしてないが」
当たり前の事のように、そう告げる。
「蒼、、、、そこまで俺を心配してくれるのか」
「数少ない親友だしな。心配するのは当たり前だろ」
「、、、、空間震で死ぬかもしれなかったんだぞ」
「そうか。だけど親友を助けに行けたのなら万々歳。そう思って俺は死ねるぞ」
淡々と、そう告げる。
以前は、この性格のせいで気味悪がられていた。
だが、今更ながら気になってしまった。
士道が俺のこの性格について知ったらどういう反応だろうか。
嫌われるだろうか。
そう思って聞いてしまった。
だが。
「、、、すごいな、蒼は。そこまでできる人は見たことがない。尊敬するよ」
、、、、心配は、杞憂だったようだ。
「ありがとう。士道」
感謝と尊敬を込めて、そう返す。
「おーい!!動物園見えてきたよー!」
「お、もうそんなとこまで来たのか」
ノ夜の大きな声が聞こえてきた。
「おー!これがどうぶつえんと言う物か!とても大きいぞ!」
「まぁ動物めっちゃいるしな、この動物園」
「それじゃ、俺は券買ってくるから待っててくれ」
そう言って士道が駆け足気味で券売機まで歩く。
「ちょっと待ってくれ士道、券なら俺が買ってくるから士道が待っててくれ」
士道にそう伝えてから、券売機まで走る。
そこで五百円玉を何枚か入れ、券を買う。
「ほれ、受け取れ」
士道に高校生用チケット二枚を渡す。
「いいのか?」
「全然大丈夫だ。ってかこれはお詫びみたいなもんだ、元々十香ちゃんとデートする予定だったろ?それを邪魔しちまったからな」
実を言うと、今更ながら反省している。
やっちゃいけないことをやってしまった感覚がして、申し訳なくなる。
「悪いな蒼、、ありがたく貰うよ」
「おう、ありがたく貰っとけ」
そう話していたら。
「お客様!困ります!チケットを見せてから入ってください!」
「「あ、、、、」」
二人同時に入口を見る。
チケットを持っていない十香が動物園に入ろうとしており、それをノ夜がどうにか説明しているようだった。
「やっべ!おい士道!悪いが一枚貰うぞ!」
士道の手にあったチケットを一枚力任せに奪い取り、十香の元へと向かう。
一秒とかからず十香の元につき、
「十香ちゃん、悪いがこれを持ってないと入れないんだよ。ってな訳ではいこれ」
「おお?そうであったのか?すまなかったのだ、、、」
俺からチケットを受け取ると、そう謝ってくる。
「いやいや、こっちも悪いから気にしないでくれ。それより、、、」
「おい!大丈夫だったか!?何があった!?」
士道が駆けつけてくる。
「ああ、なんか十香ちゃんがチケット持たないで入ろうとしてたから、チケット渡しに行ってた」
「え?そうだったのか?でもあそこから入口までかなり距離あったぞ?どうしてわかったんだ?」
「あー、、、、それか、、」
「あと蒼、お前さっきありえない速度で走ってたよな。どうしたんだ?」
、、、、少し言いづらいな。
まぁ、士道だ。話しても問題はないだろ。
そう考え、士道に向かって小声で。
「実は精霊みたいなやつになって、変な武器使ったらずっとこうなんだよ。体が重さを感じないほど軽いし、視界がめっちゃ鮮明な上になんか機械的な表示出てるし、、、、人間から離れていってるんだよな」
そう伝える。
「、、、そうだったのか。ごめん、聞いてしまって」
士道が顔を下に向ける。
「お前が謝ることじゃねぇ。なっちまったもんはしょうがねぇからな。ってな訳でもうこの話はやめだやめ!!今はデートを楽しもうじゃねぇか!」
少し強引だが会話を終わらせようとする。
「確かに、、、、よし、切り替えて楽しむか!」
士道も分かってくれたようだ。
と。
背後から視線を感じた。
少し振り返ってみると、クラスメイトの鳶一 折紙がこちらを覗いていた。
少し、困惑した。
なぜこちらを見ているのか。
そう考えていたが、こちらが見ているのに気がついたのか、俺に向かって歩いてくる。
「飛来 蒼、あなたに話がある。来て」
俺の目の前に来たと同時にそう言ってきた。
「なんだ?学校一の天才が、俺に何の用だ?」
そう聞いてみるが、
「いいから来て」
そう言われ、手を引っ張られる。
「おい!どこに連れてく気だ!?」
そう叫ぶと、士道たちも折紙の存在に気がついた。
「おい!?折紙!?蒼になんか用あるのか!?」
いかにも強制連行されているような格好だったので、士道も叫ぶ。
「あのー、折紙さん、でいいんですよね?蒼に何か用ですか?」
「大丈夫、彼の返答次第ですぐ終わる」
ノ夜も俺に何か用があるのか聞いてみたが、内容は話さなかった。
そして?そのまま近くの路地裏まで連れてこられる。
「で?俺に何用だよ」
折紙が手を離したので、そう聞く。
「あなた、なぜ生きているの?」
「、、、、なんの事だ?」
唐突にそう聞いてきたので困惑する。
「単刀直入に聞く。飛来蒼、あなたは精霊?」
「精霊?なんの事やら。俺はただの一般高校生だよ」
「嘘をつかないで。だってあなたは本来ならあの時死んでいるはず。リアライザを使ってもあの傷は治せない。なら、なおさら。なぜ生きてここにいるの?」
この瞬間、拳を握りしめ、折紙を殴ろうと考えていた。
あのデートを台無しにしたのが、目の前にいる鳶一折紙だと知ったからだ。
俺は撃たれたが、生き返れたからどうでもいい。
だが。
あの楽しい時間を邪魔したのがこいつだと思うと、怒りを通り越して殺意すら湧いてくる。
「、、、あのデートを邪魔したのはお前か」
怒りを剥き出しにした声で聞く。
「、、、撃ってしまったのは、謝る。だけど、あなたが精霊と分かったなら、話は別」
そう呟いたと思えば、折紙の体が光に包まれる。
その光が消えた時には、折紙が機械のスーツを纏っていた。
そのスーツは、俺が始めて<要塞>を出した時に士道の近くで戦っていた集団のものだった。
『警告。ワイヤリングスーツとCRーユニットの反応を検知。ASTの武装です。至急、戦闘を推奨。』
またなんかわからん物が出てきたよ、、、
と、思っていたのだが、そのCRーユニットについての知識が頭に流れてくる。
対精霊用兵器。そしてそれを使うためのワイヤリングスーツ。
それだけわかった時点で。
「<要塞>(フェストゥング)!!」
即座にその名を呼ぶ。
あっちは本気で俺を殺す気だ。
AST、対精霊特化の軍隊なら、間違いなく俺を殺す。
だが、こいつはここが動物園の近くという事を忘れているらしい。
背中にミサイルパックのような装備を付けた飛行装備が出現する。
それと同時に、俺も霊装(?)を纏い、<要塞>を右手で握る。
「やめろ!ここで戦闘をしたらどうなるのかわかってんのか!?」
「精霊は、敵。だから、殺す」
「殺す前にせめて避難ぐらいさせろ!一般人を殺す気か!?」
「、、、、」
こちらが何を言っても、気にする様子はない。
ミサイルを、こちらに向けてくる。
「こんの、、、、馬鹿野郎が!!」
遂に怒りが沸点に達し、怒りのままに折紙に向けて突っ込む。
「<突撃>(アサルト)!!【超過時間歯車】(オーバークロックギア)!!」
まず、この能力で身体強化を行う。
案の定、ミサイルを発射してきたのでそれを掴み、この場で爆発させると危険なので、空へと投げ飛ばす。
「周りが見えねぇのかボケェ!!」
<突撃>を握りしめ、折紙に向けて特攻する。
「ちっ」
折紙の目前まで接近した所で、折紙が舌打ちした直後、目の前に銃口が向けられる。
「終わり。死ね」
引き金が引かれる。
「こなくそァ!!」
<突撃>から<要塞>に変え、その銃から弾丸が発射されるコンマ数秒前と言えるギリギリの所で、銃身を<要塞>で弾き飛ばす。
「ちょっと眠って頭を冷やしてこい!!」
そう言い、折紙のこめかみに向けて<要塞>のグリップで殴る。
スーツ越しに衝撃が伝わり、脳震盪で折紙が倒れる。
「はぁっ、、、、はぁっ、、、、」
疲労感がどっと押し寄せてくる。
「悪いが、そこでしばらく寝てろ」
そう言い残し、その場を去る。
「蒼のやつ、どうしたんだ?かれこれ二十分ほど経ってるんだが、、、」
士道が、恋人の折紙に親友の蒼を連れていかれてから、それだけの時間が経っていた。
「ごめん!私見てくる!」
「ぬ?あれではないか?」
「わりぃ、、、遅れた、、、結構話が長引いちまってな、、すまん」
折紙を気絶させ、なんとか戻ってきたが、とてつもない疲労感が襲ってくる。
息切れが激しかった。
「あ、蒼?どうしたんだ?息切れが激しすぎるように見えるんだが、大丈夫か?」
「あー全然大丈夫、モーマンタ、、って、うおっ!?」
体が限界に達していたのか、前に倒れ込む。
「えっ!?あ痛っ!?」
ノ夜が下敷きになってしまい、巻き込んでしまった。
「やべぇ、、、体が動かん、、、、」
全身が動かない。
動かそうとしても体が動く事を拒否する。
「お、おい!?蒼!?どうした!?」
「意識はハッキリしてんのに体が動かん、、、、すまん士道、事情はメールで送るから携帯電話持っといてくれ」
「蒼?どうしたの?体が動かないって?」
「今士道に伝えてもらうから待っててくれ」
そう返し、脳内で文章を作成し、士道の携帯電話へメールを送る。
この力にも昨日気付いた。
、、、いやー便利になったもんだなぁ俺の体。
士道が俺が送ったメールを見ると、驚愕していた。
「、、、、とりあえず近くのベンチに座らせよう。それから話す」
「わかった、、、辛かったら言ってね、蒼」
「悪い、、、、」
「ならば私が運ぶぞ!ふん!」
「うおっ!?」
十香が片腕で俺の体を持ち上げた。
いや、怪力過ぎやしませんかね、、、、
半ば十香に寄りかかる体勢で何とかベンチまで着き、座る。
「ったくなんでこんな時に不調が、、、うん?」
『警告。急激な霊力上昇と使用により、飛来蒼の身体に過剰な負荷が掛かりました。これにより、運動系統のシステムを一時停止します。負荷からの回復までは六十秒後。』
愚痴を一言吐いた後、視界にそのような表記が表示されていた。
、、、おいおい、俺は機械じゃねぇぞ、、、、
いかにも自分が機械だと主張してくるその表示に、文句を言いたくなった。
「悪い、三人とも。動けるの一分後ぐらいになりそうだ、それまで悪いが少し待っててくれるか?」
「俺は全然大丈夫だ。十香は大丈夫か?」
「うむ!全然構わないぞ!」
「すまんなノ夜、士道、十香ちゃん。はぁ、俺の体が便利になったと思ったらこの始末か、、、、」
少し愚痴を発してしまう。
「ま、まぁみんな気にしてないから、気にする事はないよ!」
「すまん、、、」
ホントにこの三人が優しすぎて天使かと思えてきた、、、
『報告。運動系統システムの修復が完了。稼働可能。』
「お、終わった。よっこらせっと」
ベンチから立ち上がってみる。
さっきのが嘘のようにすんなりと動く。
「よし、もう大丈夫だ。そんじゃ、デートだデート!!」
「おう!」
「うむ!」
「わかった!」
そして、動物園へと入った。
三時間後。
「おおー!これが猿か!手が長いぞ!」
「蒼ー!こっちこっち!!」
「猿といえば手が長いことだからな」
「へいへい、今行きまっせ」
俺と士道はほぼノ夜と十香に引っ張られながら動物園を楽しんでいた。
「そういやノ夜、お前って動物何が好きなんだ?」
「うーん、、、ライオン?」
「ライオンだな、了解した」
ノ夜から好きな動物について聞き、駆け足で園内ショップへ向かう。
「確かこの辺りに、、、お、あったあった」
見つけたそれをレジへ持っていき、会計を済ませてからノ夜の方へ駆け足で歩む。
「ほれ、受け取れ」
ノ夜の近くまで寄り、それを渡す。
「これって、、、ライオンのぬいぐるみ?」
「おう、まぁ土産みたいなもんだ。記念に貰っとけ」
そう言い、手のひらサイズのぬいぐるみをノ夜に渡す。
さっき聞いたのはこれを渡すためである。
「おー、、可愛い、、、蒼!ありがとう!」
「どうってことはねぇ、欲しいものがあったら言え。遠慮なくだ。なぁに、ラタトスクから資金は出てんだ。思いっきり楽しまなきゃ損だろ?」
ノ夜には、とにかく楽しんで貰いたかった。
あの顔になって欲しくないから。
そう考えていると、ノ夜が何かを決意したような顔でこちらを見る。
「蒼、ちょっとこっち来て」
ノ夜が手招きで俺を呼んでくる。
「ん?なんだ?」
ノ夜が、歩いてどこかへ向かう。
「あ、おい待てよ!!」
数分歩いて着いて行った先には、小さなベンチがあり、周りが木で囲われている所だった。
「ここに俺を呼んで、なんか用でもあるのか?」
その場所の中央に佇むノ夜に向かって聞く。
ノ夜に夕日が差し掛かり、幻想的な美しさを醸し出す。
「蒼、あなたには感謝してるんだ。私を闇から救ってくれた。楽しくさせてくれた。輝いてる日々を私に見せてくれた。だから、まだ出会って数日だけど、、、」
「どうした?改まって?」
「私、あなたのことが大好き。だから、、、」
ノ夜の顔が赤く染まってゆく。
「私と、付き合ってくれませんか?」
こちらをまっすぐ見て、そう伝えてくる。
少し、困惑した。
いきなり、告白と言えるようなことをされたからだ。
だが、それよりも。
これを聞いて。
俺は、どうしたい、、、
確かに恋と言えるようなものはノ夜に対してしてるかもしれない。
だが、俺で良いのか?
もっと相応しい奴がいるはず。
嫌われ者だった俺なんかよりも、もっとふさわしい人がいるはずだ。
この可愛さだ、いい男はすぐ見つかる。
だが。
聞いてみたい。
俺で良いのか。
「、、、、俺で、良いのか?」
「、、、じゃあ、少し目を瞑ってて」
「え?なぜだ?」
「いいから」
言われた通りに、目を瞑る。
その直後、唇に柔らかい感触が伝わった。
静かに目を開けると、ノ夜が。
俺にキスをしていた。
「私なりの好きって気持ちの表明。信じてくれた?」
唇を離すと、ノ夜がそう告げた。
「、、、、俺は、精霊みたいなやつだぞ」
「うん」
「嫌われ者だったことがあったんだぞ」
「うん」
「俺は、、、、!」
そう感情のまま言葉を放っていると、ノ夜が抱きしめてきた。
「大丈夫。私はそんなことじゃ嫌ったりしないよ。私は、あなたが大好きだから」
「、、、、ありがとう、、、」
情けないが、泣いてしまった。
俺を包むその腕は、優しかった。
母親も、父親も居なくなってしまった俺にとっては、それがとても暖かく感じた。
「すまん、ありがとう、、、、」
「全然大丈夫だよ」
「しばらく、こうさせてもらってもいいか、、、」
「いいよ、落ち着くまでこうしてて」
とても落ち着く。
女性特有の甘い匂いと、俺を優しく包んでくれている細い腕が、心地いい。
「ノ夜、さっきの返事なんだが、、」
「う、うん、、、」
俺は、いや、俺も。
意を決して。
「ノ夜」
改めて、俺が名付けたその名を呼び。
ノ夜の唇に、自分の唇を重ねる。
「んっ、、、、」
さっきの彼女に対する最大の返事だ。
「これが、俺の返事だ。付き合おう、ノ夜。俺も君が大好きだ」
「、、、、えへへ、ありがとう、嬉しい」
ノ夜は、笑顔で涙を流していた。
彼女の過去を少しながら聞いた俺は、その涙が何から来るのか容易に想像出来る。
「私、今最高に幸せ。誰かを好きになって、それをその人が受け入れてくれるって、こんなに幸せなんだね」
「ああ、俺も今すっげぇ嬉しいからな。女の子に告白されるってのは、こうも嬉しくなるもんなんだと分かったからな」
お互い、口元を緩める。
「おーい!蒼!ノ夜さーん!!どこだー!!」
「どこなのだー!!」
「「あっ、、、、」」
そういえば、士道に黙ってここに来てしまったんだっけか、、、
軽く笑ってから。
「戻んねぇとな」
「そうだね」
そうして、お互い手を繋ぎ、歩く。
俗に言う、恋人繋ぎで。
その道を、二人で歩む。
はい、いかがだったでしょうか!
デートや告白の場面を書くのがめっちゃ大変だった、、、、
こう考えると、本当に橘公司さんはすごいと思えますね、、、、
次の話も、出来るだけ早めに出そうと考えとります!
その時は、是非とも読んでみてください!
お願いします!