デート・ア・ライブ イレギュラーブルー(凍結)   作:蒼京 龍騎

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はい、蒼京龍騎です。
出す出す詐欺を少ししてしまって懺悔してます、、、、
はい、それでは本編どうぞ、、、、、

























四糸乃パペット編
スリー・スピリット


デート・ア・ライブ イレギュラーブルー

第5章 スリー・スピリット

 

 

「シドー!クッキーとやらを作ったぞ!」

「士道、私の作ったクッキーも食べて」

「蒼!クッキー焼いてみたんだけど、どう?」

二人と一人の少女が、それぞれ一人の少年に対して、授業で焼いたクッキーを差し出していた。

「ぬ!?鳶一折紙!!私が先だぞ!!」

「士道、あんなクッキーより私のを食べて」

、、、、どうやら、十香と折紙がどちらが先に士道にクッキーをあげるかどうかで喧嘩しているようだ。

「落ち着けって二人とも!」

士道が喧嘩を止めに入る。

「おーい!蒼ー!聞いてるー?」

「おお、悪い悪い。頂くよ」

そう言い、ノ夜から差し出されたクッキーを一つ俺の口の中に放り込み、頬張る。

、、、美味い、、、、

「ど、どうかな?」

「最高!百点満点!!」

親指を立ててグッドを送る。

「やった!」

ノ夜がガッツポーズをとる。

 

あの告白から一ヶ月が経っていた。

ラタトスクでノ夜と十香の住所や個人情報などを揃えてもらって、人らしい生活を送れている。

ASTの襲撃は、あれ以来不思議と来なかった。

ノ夜はあれ以来、俺にデレデレになっていた。

いや、本当にそれが可愛いのなんのと言ったら、、、、

おっと話が逸れた。

そして、二人の要望により雷禅高校への入学が決まった。

まぁラタトスクのコネで入れたんだが、、、俺の努力は一体、、、、

入学当初は、色々大変だった、、

「夜叉真 ノ夜です!よろしくお願いします!」

入学当初のここまではいい。

だが。

「蒼!今日もデート行こう!」

ってことを堂々と学校で言ってしまった。

まぁそこからあらゆる噂が立ちまくる訳だ。

因みに士道はもっと酷かったが、、、、南無三。

飛来 蒼は超絶美人と知り合いでさらに付き合っていた!

って時点で、学校からの憎しみ(ヘイト)を買う羽目になった。

登校したら毎度の如く俺に対する怨念の声が、

「ファァァァック、飛来蒼ファァァァック、、、」

って感じで聞こえてくる訳だ。

士道は彼女二人持ちということで、余計にヘイトが高い。

女たらしやケダモノなんてあだ名が付きまくっている。

、、正直これには腹が立ったが。

「士道の事情を知らん奴らが口出しすんなボケェ!!」

って叫んでやりたかったが、余計迷惑がかかりそうだったので何も出来なかった。

まぁあれから一ヶ月あったのはこんな所だ。

 

「おーい、、、蒼ォ、、、」

「うん?って殿町ィ!?どうしたァ!?」

そこには生気を取られ尽くしたような親友、殿町が居た。

「なんで、、、なんで俺の親友が二人もカップルになるんだよォ、、、、恨めしやァ、、、」

「あ、、、、ドンマイ、、、お前にもチャンスはあるさ、、」

それしか返せなかった。

「そのチャンスが今欲しいんだよォォォォ!!!蒼!教えてくれ!お前は一体どうしてそこまでモテたんだ!?」

殿町が俺の肩を掴み揺さぶってくる。

「あ、あのー」

「すまん今取り込みちゅ!?」

殿町が何か言葉を言いかけた途中、急にパタリと倒れた。

「、、、、おい、ノ夜、、、」

「あっ、、、、ごめん、、、」

今のは完全にノ夜の仕業だと分かった。

『影が動いていた。』

ノ夜の天使、<神夜守護>(レリエル)の能力だからだ。

十香と違って彼女は霊力の封印が行われていない。

主な原因は俺のせいなのだが、、、、

「すいません、殿町ぶっ倒れたんで保健室連れていきます」

そう先生に伝え、殿町を担ぎ保健室まで運ぶ。

保健室の先生に事情を伝えてから、殿町をベッドへ寝かせ、調理室へと戻る。

「どうだシドー!美味いか?」

「私のはどう?」

「う、うん!美味いぞ!二人とも!」

まさかのまだ喧嘩続いてたのか、、、、

っとそうだ。

「ノ夜、本当に気をつけてくれよ?」

「ごめんなさい、、、」

次はやらないようにと、注意する。

申し訳なさのせいか、しょんぼりしていた。

「お!そうだ、まだクッキー余ってるか?美味かったから食いたい」

気まずかったので話題を変えた。

「え?なら全然あるよ!どんどん食べて!」

そう言ってプレートごと差し出してくる。

「いやこの量全部は、、、、」

「じゃあ私も食べる!」

ノ夜がクッキーを一枚取り、口に入れる。

「あ、そうだ!」

と、何を思いついたのか。

「んー」

「ぶっ!?」

ノ夜がクッキーを唇で挟んで、こちらに向けてくる。

、、、え?要するにこっから手で取れと?

そう考え手を伸ばしたのだが、激しく首を横に振ってくる。

、、、と、なると、、、

俺も口を開け、ノ夜とは反対方向のクッキーの端を歯で齧りとる。

その際周囲から、

「このバカップルが、、、」

「ああ、殺意が湧いてくるよパトラッシュ、、、、、」

「これも全部乾巧ってやつのせいなんだ!!!」

などの怨嗟の声が聞こえたが、気にしない事にした。

「んー!!」

「ん?」

ノ夜の方を見ると、まだクッキーを唇で挟んでいた。

、、、、あっこれ最後まで食わないと終わらんやつや、、、、

そう考え、ノ夜の唇にあるクッキーを一欠片ずつゆっくりと口に入れていく。

 

放課後、帰路。

「士道、、、、お前の方は平和で良かったな、、、、」

「蒼!?一体何があった!?」

「いや、ちょっとしたご褒美兼地獄へのカウントダウンが始まったというか、、、、ハハッ、、」

結局、最後のノ夜が唇で挟んでいたところは食べてもらったんだが、これで俺に対する学校からのヘイトが高まったことだろう、、、

だけど。

あれ可愛すぎやしませんかね!?

目を閉じて「んー」って!萌え殺す気かァ!?

って心の中で叫びまくっていた。

「お前もなかなか苦労しているっぽいな、、、」

「士道ほどじゃねぇぞきっと、、、って、なんか雨降ってきてねぇか?」

「お、本当だ、、ってなんか勢い強くなってないかこれ、、」

そして一瞬とも言える時間に、ゲリラ豪雨って言っていいほどの雨が降り注いだ。

「やっべ!?近くの建物、、!?」

逃げようとしたのだが。

『報告。半径四百メートル範囲内に、精霊反応あり。至急、』

「はいはい殲滅行動に移れだろ?やるわけないだろボケェ!!」

「っ!?どうした?」

「あ、すまん士道、精霊が出た。俺らから四百メートルの中にいるらしい」

「は?いやいや嘘だろ?だって精霊は出現する際に空間震を、、、、そもそも精霊は十香だけじゃないのか?」

「いや、俺に聞かれてもわから、、、、え?」

視界に情報が記載されてゆく。

「えー、精霊はまだ多数確認されており、空間震は通常の臨界と静粛臨界がありま、、、なんだこれ?まぁとりま空間震を起こさないで来る場合があるらしい」

「え?そうなのか、、、、それで蒼、精霊はどこにいるんだ?」

「いや、分からんから今から探す」

「え?」

「お前は雨宿りでもしとけ、風邪ひかれたら困るからな」

「おい!探すってどうやって!」

「忘れたのか?俺は精霊、、、みたいなもんだから安心しろ」

「あ、そういえば、、、、」

「ってなわけでやるぞ!<要塞>(フェストゥング)!!」

手の平を前にかざし、その名を呼ぶ。

手にエンフィールドというリボルバーが現れ、それを握り、霊装を纏う。

「ってなわけで、ちょっと衝撃に備えてろ」

「え?」

その場から、思い切り跳んだ。

そして、街の上空で止まり、周りを見渡す。

と。

『警告。五河士道の付近に精霊反応。推奨。奇襲。』

「はいはい、やりませんよ、、、って!?」

下を見下ろすと、士道の近くに謎の少女が軽快にスキップをしていた。

身長的には、まだ小学校か、中学校に通っていそうな身長だった。

だが、フードを被っているので顔が分からない。

だが。

ずるぺったぁぁぁぁん!!

と、いかにも効果音が出そうな勢いで転んだ。

「おいおい、大丈夫か?」

さすがに心配になったので、降りて近づいてみる。

「あ、蒼、どうだった?見つかったか?」

視界の表示にチラリと目をやると、目の前の少女から反応が出ていた。

「あー士道、この目の前にいる女の子が、精霊だ」

「、、、、本当か?」

「いやマジマジ、俺だって信じたくはないが、この女の子が精霊らしい」

そう伝えた直後、後ろに何か人形のような物が落ちているのが確認できた。

「なんだこれ?あの女の子の持ち物か?」

拾い上げて見てみる。

それは、兎の形をしたパペットだったが、こちらから見て左目に、よく漫画やアニメで見る刀の鍔のような眼帯が施されていた。

「多分そうだ。転ぶ前につけてあった腕のパペットがない」

「おお、了解。じゃあ士道、お前が渡せ。こうすりゃちょいとでも好感度は上げられるだろ?」

「あ、おう分かった」

そう言ってからパペットを受け取り、女の子の元まで歩く。

「お、おい大丈夫か?」

そう士道が声をかけると、その女の子は肩をビクッと震わせ、士道から離れた。

「こ、、、来ないでください、、、」

こちらの方に顔を向けてくる。

年齢は士道の妹の琴里に近いと思える容姿。

ふわふわの髪は海のような青色。

桜色の唇。

その容姿は、まるでフランス人形だと思えるような綺麗な少女だった。

「あ、あの、、、」

士道が必死に言葉をかけようとするが、さっきの一言でテンポを狂わされたらしい。なかなか声を出せずにいた。

「すまん、そこの嬢ちゃん、この人は君が落としたパペットを届けに来ただけだ。ビビることは無い」

と俺が声を発すると、余計肩を震わせた。

それこそ、今にも泣き出しそうなぐらい、顔が恐怖に染まっていた。

「ほれ士道!渡しに行け!」

これ、俺が喋ったらマズイやつだ、、、、

そう直感し、小声でそう伝えた。

「ほら、どうぞ」

少女は警戒しながら士道に近づき、パペットを奪い取るようにして受け取けとり、それを手にはめた。

『いやー助かったよー、悪いねーオニーサン達』

「「うおっ!?喋った!?」」

俺と士道が驚愕する。

少女が付けていたパペットが、急に喋りだしたからだ。

『なにー?そんな私が喋るのが珍しいのー?ってそこのオニーサン、そのヘンテコなコスプレしてる方』

「コスプレじゃねぇよ!れっきとした装備だよ!!」

そうツッコミを入れる。

その際少女が震えていたので、少し大声で言ったことを反省する。

『おお、ノリいいねーオニーサン、んで、精霊でしょ?』

「まぁ一応、、、」

『んじゃあおひとつ聞くけどさ、オニーサン、どうしてアイツらと同じ感じがするのかなー?』

「ん?アイツらってどいつだよ?」

『おっとその前に、改めてオニーサン達、助けてくれてさんきゅー、助けてくれなかったら今ぐらいにはこの街氷漬けになる所だったよー』

「「さらっと怖い事言うな!?」」

『おーっと冗談冗談、よしのんジョークよ、どう?』

「いや純粋に怖いんだが、、、」

「同じく、、、」

『おっとまずい、そろそろいかないと、ってな訳でじゃあねーオニーサン達』

「「あ、おう、、、」」

そう言うと、その場から離れ、近くの十字路を曲がって、姿が見えなくなる。

「何だったんだ、、、ありゃあ、、、」

「嵐みたいな子だったな、、、、、」

<要塞>を手放し、霊装を解除しながらそう言う。

「そういや、アイツらってなんなのか、聞きそびれたな、、、、」

「そういえば蒼、お前あの姿は、、、」

「ん?ああ、あれか。なんか俺の天使、と読んでいいのかは分からないが、それを握るとああなるんだよな、、、まぁ好きな機体になれて最高だが、、、、」

「ん?最後なんて言ったんだ?」

「気にすんな」

そう返した所で。

「あ、おい士道!ずぶ濡れじゃねぇか!今すぐ家帰れ!!」

「あ、、、、本当だ!?まずい!蒼、じゃあな!」

「おう!」

別れの挨拶を軽く済ませ、俺も帰りの帰路を歩む。

 

 

「ただいまー、、、、」

霊装を纏っていたおかげか、そこまで濡れずに家まで帰ってくる事が出来た。

そこで、違和感に気付く。

家の中に誰かが居る、、、、ような感覚がする。

警戒して、部屋を歩く。

すると、風呂場方面からがチャリと音がしたかと思えば、そこには一糸まとわぬ姿のノ夜がいた。

「、、、、、、あっどうも失礼しました」

玄関まで戻ろうとしたが、体が動かない。

「あーおー?」

ノ夜が天使を出し、その能力で体の自由を奪う。

ナイフ(天使)を持ちながら近づく様は、まるでヤンデレだった。

「ヒエッ!!お許しください!!ってかなんで俺の部屋にいるんだよ!?」

「あれ?ここ私の部屋って言われてたはずなんだけど、、、」

「隣じゃねそれ!?」

「、、、、、、あっ」

ノ夜が何かに気づいた途端、ノ夜の天使による拘束が解除される。

「いてててて、、、、」

かなり変な体制で拘束されていたため、体が痛む。

「えーとこの部屋が、、四番で、、、、私の部屋が、、、五番、、、、、」

机の上にある紙を見ながらノ夜が呟いていた。

「のーやー?」

「、、、、、てへっ☆」

やけにあざといポーズを決めてくる。

「いやてへっじゃねぇだろ!?」

「あれ?でも琴里さんにはここって言われてたんだけどなー、、、」

、、、おい、まさかわざとやったんじゃねぇか琴里ちゃん、、、、、

そう考えてしまったせいで寒気が俺の体を襲い、身震いする。

「ごめんなさい、、、あっそうだ、お詫びとしてだけど、、、その、、、」

「ん?お詫びが何だって?」

途中からゴニョゴニョ言っていて何を言っているのかさっぱり分からなかった。

だが、途中で赤面しながら。

「そ、その、、、お風呂一緒に入る?」

「入れるわけないだろォォォ!!!」

そう言ってきた。

「い、いやだって私たち付き合ってるんだし、、、」

「いやいや待て待て、まだ早い、悪いことは言わねぇ、やめとけ」

「え?どうして?、、、、あっそうだ!!ほら、これなら大丈夫でしょ!!」

「なっ!?」

ノ夜が裸体のままこちらにくっ付いてきた。

や、、やばい、、、、

何がヤバいかは言わんが、ヤバい、、、、、

「ノ、ノ夜さん?どうしたんですか?」

思わず敬語になる。

「、、、蒼、あなたは、私が好き?」

いきなりそう聞いてきたが、返事は決まっている。

「もちろん。ってかそうじゃないと付き合ってなんかないだろ?あと一か月前のあれ、忘れたとは言わせんぞ」

「あっ、、、、」

ノ夜が顔を赤らめる。

と。

「あら?蒼?どうしたの?」

「ん?」

なんか、、、聞いたことのある声と嫌な予感が、、、、

「あっ、、、、失礼したわね。それじゃ、ゆっくり楽しんで」

嫌な予感大的中。来ていたのは<フラクシナス>司令の琴里だった。

「まてェェェい!!!誤解だァ!!これは誤解だァ!!」

 

その後、琴里の誤解を晴らすのに、一時間かかった。

「ふぅん?つまりはあなたが変態だった訳では無いと?」

「もちろんだ!!大体今からそんなことできるかァ!!」

自分にとって最大の無罪アピールをする。

「そう、てっきり風呂上がりの女の子を襲う変態猿へと成り下がったのかと思ったわ」

「俺そこまでクソ野郎じゃないからな!?どんだけの偏見をすればそうなるんだよ!?」

士道の妹とは思えないほど言葉に棘、、、いや、毒付きの刃があった。

「それよりも、よく訓練もしないで精霊をデレさせれたわね。もしかしてだけど、何人もの女性と交際経験でもあるのかしら?」

「人を何股もしてる野郎みたく言わないで頂けますかね!?泣くぞ!?いい加減泣くぞ!?」

さすがにこんな辛辣な言葉のラッシュには俺のメンタルが耐えられん、、、、

「はいはい、悪かったわね」

手をヒラヒラと振りながら謝罪してくる。

反省している感じは全く無かったが、、、、、

「そういえば、なんで俺の家来たんだ?」

「一応あなたにも報告しようと思って来たのよ」

「何を?」

こう返したが、多分『あれ』だろうと確信していた。

「<ナハト>こと夜叉真 ノ夜は、今日からあなたの部屋の隣に移り住む事になったから、その報告よ」

「やっぱりかァァァァァァ!!」

椅子から勢いよく飛び上がる。

予感大的中。

「え、、、、、?」

ふとノ夜の顔を見ると、今にも泣きそうだった。

「蒼、そんなに私が隣に来るのが嫌だった?、、、、、、」

「いやいや全然!!すまん勘違いしてるようだから訂正する!!お前が隣に来るのは嫌じゃない!!むしろ大歓迎!!」

さっきの叫びは、嬉しさによるものだ。

大好きなノ夜が近くに来る。

それだけで少し口が緩みそうになった。

「そ、そうなの?ごめんね、、、」

「気にすんな。まぁ誤解するような言い方をした俺も悪かった、すまん」

「蒼、、、、」

「ノ夜、、、」

お互い、目を見つめる。

「、、、、お熱いところ申し訳ないのだけど、報告する事は報告したから戻らせて貰うわね」

「あ、おうおつかれ」

そう言い残し、琴里が玄関へと歩いてゆき、ガチャリという音と共に俺の部屋から出ていった。

出ていった所で。

「あー、それでノ夜?お前はいつになったら服を着るんだ?」

ノ夜の方へ向き直り、体の方は見ないように顔だけを見る。

「、、、、、あ」

そう言ったかと思えば、急に顔を赤らめて。

「み、見ないで!!」

「グベァ!?」

天使で首を無理矢理右へ向けられた。

その際首からミシャッと嫌な音がした。

首に激痛が走る。

「いでででででで!?ちょっ!?やめろォ!!」

その五秒後、やっと開放されたのでノ夜の方を見ると、服、、、いや、霊装を服にしたようなものを着ていた。

「おーう、、、おーう、、、、、」

それを確認した直後、俺は痛さのあまり床に突っ伏して悶絶していた。

「ご、ごめんね!!やりすぎちゃった!!」

「き、、、、きにすん、、な、、、、、」

まぁこっちが悪い点も幾つかあるしな、、、、それに対する罰だろう。

「本当にごめんね、、、湿布とかいるとき教えて、貼るから、、、、」

どうやら彼女自身、あまり天使の力の行使に慣れていないらしい。

顔が下を向いており、かなり落ち込んでいた。

「気にする事はねぇ、、、、俺も悪いんだ、、、っていでで、、、スマンが湿布貼ってくれ、、、、」

床に突っ伏しながらそう返す。

ノ夜が近くにあった医療箱の中から湿布を取り出し、俺の首に貼る。

「あぁぁぁぁ、、、、だいぶ楽だ、、、、」

幾分か痛みが緩和される。

「そうだ、ノ夜、お前その状態だとマズいと思うから一旦自分の部屋戻って服着てこい。俺は大丈夫だからな」

「わかった、、、」

ノ夜が俺の部屋から出ていき、自分の部屋である五番の部屋へ向かう。

「ああ、なんか知らんが疲れた、、、、寝よ、、、、」

今日は色々と驚かされっぱなしであったせいか、眠気が襲ってくる。

目を閉じると、すぐに意識は闇へと落ちた。

 

 

「あ?んだよ、もしかして死んだのか?」

意識が戻ると、前に一度来た真っ白な空間に来ていた。

その時は、死んだ時に来たのでそう思った。

そして、前と同じように目の前にウィンドウが開かれるのかと思っていたが、違った。

目の前に、俺に似た少年がいた。

だが、髪と目の色が、俺とは逆だった。

俺の髪は黒に黄色のメッシュが生まれつきかかっており、目は青色だったのだが、そいつは違った。

真っ白な髪に青紫色のメッシュがかかっており、目は濃い紅だった。

「貴様、なぜ我を取り込んでいる?」

そいつがいきなり聞いてきた。

「取り込む?何の話だよ。ってかお前は誰だ?」

「我は、、、、覚えていない。記憶にうっすらと残っている我が主は、『ロンギヌス』と呼んでいたが、貴様らで言うところの名は覚えていない。それ以外に言えることがあるとすれば、貴様が使っている天使と霊装。そのものが我だ。だが貴様の質問に答えていた『あれ』は我ではない。あれは我に後天的に埋められたリアライザだ。あちらは『救世主ノ端末(メサイア・デバイス)』という名前が付いているようだがな。今は何故か貴様の体に定着しているようだが。さて、貴様の質問に答えたぞ。今度はこちらの質問に答えてもらおう。なぜ、我を取り込んでいる?我は単一の存在。単一にして絶対無二の存在。だがなぜ貴様は我を取り込めている?」

矢継ぎ早に話してから、こちらに聞いてくる。

「いや取り込んだも何も、、、俺生まれて今までそんな感じの特別現象に会ったことないぞ?」

「では質問を変える。貴様、どこかで純白の石を拾った事はあるか?」

「、、、、数年前に、、、、、拾ったことがある」

 

そこで、記憶の栓が抜け、思い出す。

吐き気に苛まれる。

俺の親父、お袋、『妹』を奪った、あの事故を。

思い出してしまう。

あの列車事故を。

 

 

ー回想ー

その日は、よくは思い出せないが、何か理由があって出かけている時だった。

列車で帰路を辿っていた。

俺の可愛くて大好きで愛していた妹、飛来 夜見月(ひらい やみづき)・通称ヤミが隣にいて。

大好きな親父とおふくろが目の前にいて。

俺がそこにいて。

楽しく話していた。

いきなり、列車が激しく揺れた。

頭を打って、気絶した。

目覚めると、親父とおふくろが、無惨に、鉄の塊に押し潰されていた。

助けを呼ぼうとしたが、声が出ない。

腹に、太い鉄の棒が深々と刺さって貫通していた。

目の前で、ヤミが泣いていた。

大丈夫。俺は大丈夫だから泣くな。

そう言いたかったが、体がそうはさせてくれない。

手を伸ばすが、届かない。

嗚呼、なんて俺は無力なんだろう。

この状況で、妹の涙ひとつ拭えない。

ダメ兄貴だ。俺は。

そう考えていると。

目の前に、不思議な存在感を放つ純白の石が出現した。

『掴め。掴まなければ、君は未来を掴めない。』

その石からかは分からないが、声がした。

その石に、精一杯手を伸ばす。

だが、あと少しの所で、届かなかった。

そこで、ヤミの近くに、ノイズがかかったようなシルエットの人物が現れていたことに気付く。

その人物は、紺色の石を妹へと差し出していた。

『あれ』を妹に掴ませてはいけない。

そう直感し、腹を引きちぎる勢いで体と手を伸ばす。

「がぁ、、、っぁ、、、、」

激痛が走り、吐血するが、そんなことはどうでもよかった。

届け。

その一心で手を伸ばす。

そして、その石に触れる所まで腕が進むが、強烈な眠気が襲ってくる。

全身に、生暖かい液体が触れている。

自分の血で血溜まりが出来ていた。

だが、気にせず、手を伸ばし、それに触れ、掴むことが出来た。

掴んだ瞬間、その石の感触が消えた。

それと同時に、ヤミがその差し出された石へと触れる。

辺りに眩い光を放ち、目が眩む。

それと同時に、俺の意識は、途切れた。

目覚めると、俺は病院にいて、そこに親戚の人が集まっていて、深刻そうな顔で話し合っていた。

何故か腹の傷は、『綺麗さっぱり消えていた』。

「ヤミは!?」

目覚めてから放った一言がそれだったが、そこで奇妙な現象が起こっていた。

俺が放った言葉を、不思議そうに見ていた。

まるで、『そんな人いたっけ?』という視線が。

すぐに腕に刺さっていた注射針を抜き取り、病院から抜け出した。

家に戻ると、親父とお袋の写真が乗っている仏壇があった。

そこにヤミの写真は確認できなかったので、死んでいないことを確信する。

そこで、家を探すことにした。

探すことにしたのだが。

あらゆる場所を探しても、妹に関する物がなかった。

妹の部屋に行くと、そこは、作業部屋になっていた。

まるで、世界からヤミに関する情報が、全て消えているかのように。

、、、絶対、アイツのせいだ。

そう直感する。

あのノイズがかかった人物。

あいつが、ヤミを。

親父を、お袋を。

 

復讐してやる。

 

だが、非力な俺ではどうすることもできない。

ああ、無力だ。

この無力さが憎たらしい。

頬の肉を噛む。

血の味がした。

「ああ、、、もう、もう全部どうでもいい。死のう。こんな世界用済みだ」

死ねば、親父やお袋の元へ逝ける。

そう思い、すぐに近くのビルの屋上に行った。

そこから。

「さらば。クソッタレなクソ世界」

その言葉と共に飛び降りた。

飛び降りようとした。

だが、何者かに引き止められる。

「、、、、命を断つのは、まだ早いよ。、、、君」

振り返ると、謎の少女がいた。

一瞬で視線が釘付けになった。

その身には、魔王や悪魔という禍々しい存在が着るような、布か金属かも分からないような繊維で編まれたような漆黒のドレスを纏っていた。

髪は腰まで伸びており、紺色だった。

目は固まった血に光を通したように鈍く光っており、凛々しさと可愛らしさを兼ね備えている顔が、そこにはあった。

だが、俺が釘付けになった理由は、それではない。

「ヤミ、、、、?」

その少女が、俺の妹にそっくりだったからだ。

「っ、、、、」

その少女が、息を飲む。

「やっぱり、、、、やっぱりヤミなんだな、、、?」

そう聞くが、少女は。

「、、、、人違い、じゃないかな?」

そう言ってくる。

「なあ、、、、ヤミだろ、、、、?怒っているのか、、、?俺があの時、助けられなかった事に、、、、、」

「っ、、、、!」

少女が再び息を飲む。

「とにかく、君に死なれちゃ私が困るの。だから、、、、、」

何かを決意したかのように、目をこちらに向けると。

「<◻️◻️◻️◻️>、、、、、限定解放。【◻️◻️】」

途中途中ノイズがかかって聞こえなかったが、そうつぶやくと、少女の手にクロスボウのようなものが現れたかと思えば、それを俺に向けて、引き金を引いてくる。

放たれた矢が俺に直撃する。

そのあとは、よく覚えていなかった。

気づけば、家に戻されており、その直後の事や、妹に関する記憶が消えていた。

テーブルの上に、一枚の置き手紙があることに気付く。

それを見ると。

「ごめんね」

とだけ書かれた紙があった。

 

 

「っ!?い、今のは、、、、」

思い出した記憶に、驚く。

俺には、妹が居た。

だけど、記憶を消された。

「ふむ、なるほど。貴様、<ファントム>に遭遇していたとは。それに貴様の妹、霊晶石を渡されていたな。つまりは精霊になったわけだ。」

そいつが、訳の分からない事を話す。

「教えろ、、、この記憶は、俺の妹が封印したものなのか?」

「悪いが答えている暇はない。我の質問に答えろ。何か光のようなものを放っていたか?」

こいつはどんどん質問してくる。

「、、、、ああ、拾ったと思ったらいきなり消えた。それ以降については知らん」

答えなければ、話してくれないと思ったので、その事故で、奇妙なものを見て、拾った事を話す。

「確定だ。貴様、我の依代(よりしろ)だな?ならば我が力、ほぼ貸しても問題はないだろう」

「よりしろ?おいそれってなんだ、、、」

俺がそれに聞こうとした所で。

俺の体が光った。

「ふむ、限界か。悪いがもう少し話したい所だが、限界らしい。リミッターは外しておいたぞ。さっきの記憶に腹が立ったのなら、暴れろ。消えない内にな。それではさらばだ」

「おい待て!!」

そう叫ぶも虚しく、現実へと引き戻される。

 

 

「はっ!!」

目覚めると、床で寝ていた。

首に湿布が貼られていたが、痛みが無くなっていた。

「あれは一体なんだったんだ、、、、、」

そう呟きながら湿布を剥がし、現在の時刻を確認しようとする。

「、、、ヤミ、、、、あいつは、、、、もしや精霊に、、、、」

蓋が外れたことにより流れてきた記憶から、『妹、ヤミは精霊になってしまったのでは?』

という疑問が浮かぶ。

「、、、、あいつ、もしや記憶操作の類をしたのか、、、だけどなんで、、、、クッソ、、、」

悪態をついた。

その直後。

猛烈な頭痛に苛まれる。

頭痛と共に、妹に関する記憶が欠落してゆく。

「や、、、、めろ、、、、」

苦悶に悶える中、言うが、欠落は止まらない。

止まって欲しかったが、止まらない。

「ごめんね」

そんな声が聞こえた直後、頭痛が収まる。

 

 

さっきまで何かに悩んでいた気がするが、覚えていない。

そこで、時計を見てみることにした。

 

朝の六時だった。

見間違いかと思い、目を擦ってもう一度見るが、同じ。

「おいおい、、、、まさか半日以上寝てたのかよ、、、、」

最近睡眠に関して、寝ている時間が非常に多くなった。

普段なら二十四時に眠気が来るのだが、最近は二十一時時に来る。

そして起きるのは四時だったが、最近は六時だ。

今までの倍以上、睡眠時間が増えていた。

「まぁ、寝るのは悪ぃ事じゃねぇから、いいか。ってか腹減ったな」

腹から音が鳴り、空腹を訴えていた。

いつも通り冷蔵庫に手を伸ばそうとするが、張り紙が貼られていた。

「テーブルの上を見て」

その指示通りにテーブルを見ると、弁当箱のようなものが二つ置かれており、その近くにさらに置き手紙のようなものがあった。

「昨日のお詫び、良かったら食べて。本当にごめんなさい。ノ夜より」

「あいつ、そこまで気にしてたのか、、、、俺もきっちり謝らないとな」

二つの内の一つを開ける。

美味しそうな匂いが立ち篭める。

卵焼きとおにぎりとハンバーグというシンプルなものが入っていた。

「いただきまーす、、、、、おうふ、、、、」

卵焼きを一つ食べてみたのだが、上手い具合にあまじょっぱく、旨い。

次におにぎりを食べてみたのだが、こちらは中に鮭が入っていて、良い塩加減で旨い。

ハンバーグも、肉汁たっぷりで旨く、すぐに平らげてしまった。

「料理めっちゃ上手いんだなあいつ、、、、、下手すりゃ士道に匹敵するぞこりゃ、、、」

そう呟く。

何回か士道の家にお邪魔して、料理を食べさせてもらったことがあるのだが、士道の料理はそこら辺のレストランは比べ物にならないほど美味かった。

それこそ、店でも出せば売れると言いきれるほど。

ノ夜の料理は、それに匹敵していた。

「さすが女の子と言ったところか、、、、」

そして、現在の時刻を確認する。

時計の針はまだ七時を指していた。

「とっとと着替えて、歯ぁ磨くか、、、」

早めに制服を着て、歯も早く磨く。

時間に余裕が出来たので、スマホを取り出し、ツイッターを見る。

そこで、親友の殿町が俺にダイレクトメッセージ、通称DMを送っているのが見えた。

なぜツイッターで送ってきたんだ、と疑問に思ったのだが、気にしない事にした。

DM受け取り欄を開き、内容を確認する。

「おい蒼、お前はナースと巫女とメイド、どれがいいと思う?」

という内容だった。

「、、、俺的には巫女かね、、、、」

そう呟き、殿町へ向けてDMを送る。

「俺は巫女がいいかね、、、、」

という文を。

気付けば時刻は八時だった。

「よし、出発するか」

鞄を持ち、玄関から外へ出る。

と、隣からも同じように玄関の扉が開く音がした。

「あっ、、、蒼、、、、」

ノ夜が気まずそうにこちらを見る。

見ただけでもわかるような程に、かなり落ち込んでいた。

だから。

「ノ夜、ちょっとこっちこい」

「わかった、、、」

そう言い、ノ夜こちらに来るように言った後、思いきり抱きしめてやった。

「え?」

予想外の反応だったのか、疑問の声を上げる。

「昨日の事を気にしてんなら、気にすんな。俺も気にしてないから。俺も悪かったしな。すまん。それより俺はそんな落ち込んでるお前を見たくない。だからいつも通りのお前でいろ。その方が俺は嬉しい」

そう告げる。

彼女が大好きだから、落ち込んでる顔は見たくない。

無邪気で可愛い彼女でいて欲しい。

「、、、、うん、、、ありがとう、、、、」

「ほら、感謝の前に笑え」

ノ夜の口の端を持ち上げ、笑顔を作らせる。

「うん、、、、、うん!!」

どうやら調子が戻ってきたらしい。

「ありがとう!もう大丈夫!」

「そうだ!!それでいい!!そんじゃ、時間的にヤバいからダッシュで行くぞ!!」

「うん!!」

そして、学校までの道のりを走って行った。

 

「おーう五河。、、、、て、どうしたんだ、おまえ」

「やっべ、ノ夜より早く着いちまっ、、、おいおい、、、士道マジでどうした、、、、」

ノ夜より早く学校へ着いてしまった。

俺と殿町が登校して教室へ来た士道の有様を見て心配する。

士道が体のあちこちに湿布を貼っており、足取りは今にも倒れそうな程にフラフラだった。

「、、、ああ、ちょっとな」

士道は曖昧に乾いた笑みを浮かべて返し、小さく息を吐いていた。

と、そこで殿町が。

「そうそう聴いたぜあのネットラジオ、なんだあれ、めっちゃ面白ぇじゃねぇか」

そう言うと、士道が頬を引きつらせた。

「ん?なんだ?何の話だよ?」

俺は全く、そのラジオについて知らないので聞いてみる。

「ああ、蒼は聴いてないのか、ほら、これだ」

殿町が携帯電話を操作すると、こちらに向けてきた。

すると。

『この世界は欺瞞に満ちている。大人たちは、腐敗しきっている。俺たちは、そうなっちゃいけない。示せパワー。漲るワンダー。未来に向かう足を止めちゃいけない、、、、』

という音声が、聞いたことのあるような声で流れていた。

「、、、、おーう、、、とんだ中二病チックなやつだな、、、、」

正直、これを考えて言った奴は度胸あるなー、って思った。

「だろ?正直これ本気で言ってるならちょっと引くわー」

「あ、、、、ははは、、、そ、そうだな、、、、」

士道が乾いた笑いを浮かべると、こちらから視線を逸らした。

「あ、そうだ、五河と蒼にも聞いておきたいんだが、、、、」

「「な、なんだ?」」

俺と士道が問い返すと、殿町はいつになく真剣な様子で言葉を続けた。

「ナースと巫女とメイド、、、、どれがいいと思う?」

「「、、、、、は?」」

おいおい、ツイッター見てないのかよ、、、、

そう思ったが口には出さず。

「俺は巫女だな!」

そう返す。

「、、、、、士道はどうだ!」

俺は返事をしたが、無反応だった。

「え、ええと、、、じゃあ、、、、メイド、、、、、?」

異様な気迫に気圧されていた士道が言った瞬間、殿町がぴくりと眉を動かした。

「「ど、どうした?」」

俺と士道、二人同時に問う。

「、、、、まさか蒼が巫女好きで五河がメイド好きだったとはな!悪いが俺たちの友情はここまでだ!」

、、、、なるほど、つまり殿町はナース好きと。

「、、、、、、」

士道はぽりぽり頬をかくと、正面へ向き直った。

「あっ、おいどうした五河!」

「、、、、友情はここまでなんだろ?」

「なんだよノリ悪すぎだろおーい。メイド好きとナース好きと巫女好きが手を取り合う。そんな世界があってもいいと思いませんかー」

士道は殿町の話を無視し、自分の机へ向かう。

と、士道が隣の席の折紙に。

「お、おう、、、、鳶一、おはよう」

「おはよう」

挨拶をし、即座に返されていた。

俺は正直言って折紙は嫌いだ。

俺を殺そうとするだけならまだいい。

それに一般人を巻き込もうとしていたから、気に食わない。

だから、失礼だが挨拶はしないと決めた。

「おはよー」

と、次いで殿町が挨拶するが、反応は無かった。

殿町は士道の脇腹をぐりぐりと押していた。

「毎度のことだけど、なーんでお前だけ挨拶返してもらえんだよー。くぬっ、くぬっ」

「し、知るかよ。やめろって」

そこで、教室の扉が勢いよくガラッと開き、十香とノ夜が入ってくる。

「蒼ー!!酷いよー!!なんで置いてくのー!!」

教室に着き次第、ノ夜が俺のところに歩いてきた。

「いやいや、悪かったって、、、最近、力の加減が難しくてな、、、、」

そう、本来ならノ夜と共に登校するはずだったのだが、気づいたら既に校門にいた状態だった。

それこそ、瞬間移動したかのように。

無意識だと、本当に人ならざる力が出た。

「うーん、、、わざとじゃないならいいけど、、、今度から気をつけてね?」

「もちろん気をつけるとも、、、、、はぁ、こういう時この体って不便って思えるな、、」

大好きな人との時間を、過ごしたいのに過ごせない。

それだけは非常に嫌だった。

「ち、違うぞ皆、私とシドーは、一緒に住んでなどいないぞ!?」

「ぶふっ!?」

なんかいま突然トンデモナイワードを聞いてしまった。

「もしや、士道お前、、、、、、」

「あ、ああ!朝って、登校中に偶然ぶつかったあれか!だ、大丈夫だったか十香!?」

あ、話逸らそうとしたから確定だこりゃ、、、、、

って、ゑゑ(え゙え゙)!?

「おい士道、、、、」

「む、、、?う、うむ、問題ないぞ!」

あ、これ話合わせたな、、、

そう考えたのだが、クラスの皆は『クラスの男女が同棲』なんてこと自体が現実味のない話だったせいか、特に気にした様子もなく立ち去って行った。

「、、、、こりゃすぐにボロ出るぞ、士道、、、、、」

そう言い、正面に向き直る。

 

 

四限目の授業の終了のチャイムが学校に鳴り響き、昼休みの開始が示される。

「蒼ー!昼食一緒に食べよー!」

昼休みが始まった直後、ノ夜が自分の机をこちらの机にくっ付けてくる。

「ああ、お前が作ってくれた料理楽しみにしていたからな!」

「うんうん!!けっこう上手く出来たから、食べて!」

そして弁当箱を開こうとした際に、士道の方で十香と折紙が士道を挟んで昼食を取っているのが見えた。

その二人は言い争っている様だったが、一ヶ月も見てると微笑ましく思える。

「蒼?どうしたの?」

「おっとすまん、頂くよ」

ノ夜が、心配そうにこちらを見てくる。

すぐに弁当箱を開ける。

そこには、朝とは全く違う中身になっていた弁当があった。

キャベツの炒め物に、鮭の塩焼き、黒豆、etc。

とにかく豪華な中身だった。

肝心な味も、朝に食べたものと同じぐらい旨い。

「、、、、旨い。朝のと同じぐらい旨い、、、。サンキュー、ノ夜」

そう告げると、ノ夜は胸を撫で下ろし。

「良かった!!美味しいと思ってくれたのなら嬉しい!!」

と、俺に向かって告げる。

ホント、ノ夜ならいい嫁になれるよ。

そう純粋に思った。

そのとき。

 

ウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーー

 

町中に、けたたましい警報が鳴り響いた。

瞬間、ザワついていた教室がしんと静まり返る。

空間震警報。

すると、折紙が凄まじい速さで教室から出て行く。

、、、また、精霊を殺しに行くのか。

俺の時の様に。

そう考えていると、教室の入口からぼうっとした様子の声が響いてきた。

「、、、皆、警報だ。すぐ地下シェルターに避難してくれ」

その声の主は、白衣を纏ったメガネの物理教師兼ラタトスク解析官の村雨令音だった。

廊下を指さし、避難を促していた。

生徒たち全員が一瞬止まったあと、次々と廊下へと出ていった。

「さて、俺らも避難しますか」

「そうだね、、、」

ノ夜は、少し不安そうだった。

そして、クラスメートのあとについて廊下に出ようとした所で。

「、、、、シン、蒼。君達はこっちだ」

俺と士道だけが首根っこを令音に引っ掴まれた。

「ぐえっ!?ちょっ、令音さん?こっちとは、、、」

「っ、れ、令音さん?こっちって、、、、」

二人同時に質問する。

「、、、、決まっているだろう、<フラクシナス>だ」

令音が、他の生徒に聞こえないように声をひそめながら、言ってきた。

「、、、、シン、蒼。今後のことについて、まだ結論は出ていないかもしれない。だが、、、、いや、だからこそ、君達には見ておいてほしい。精霊と、それを取り巻く現状を」

俺は息を飲むと、小さく拳を握った。

「、、、、わかりました。行きます」

「、、、、俺も行く」

二人とも肯定の意志を示し、令音は眠たげな半球のまま小さく首肯すると、生徒たちが全員列に並ぶのを見てから、昇降口の方に顔を向けた。

「さぁ、急ごう。空間震まで、もう間もない」

「は、はい。と、、、あ、令音さん、十香は、、、、一緒に連れて行かなくていいんですか?」

士道がそう聞く。

そういえばノ夜も連れて行かなくていいのだろうか、、、、ノ夜の方を見ると、クラスの皆と同じように列に並んでいた。

と考えていると。

「、、、ああ、その事か、、、うむ、十香と、ノ夜も皆と一緒にシェルターに避難させてしまおう」

「え?それで、いいんですか?」

「それで大丈夫なのか?」

「、、、ああ。力を封印された状態の十香は人間とそう変わらない。封印されていないノ夜の方は、力を極限まで出さないようにしているから、大丈夫だろう。それに、精霊とASTの戦いを見て、自分のことを思い出されると困ってしまう。シンには言ったが、<ラタトスク>としては、できるだけ精霊のストレスを蓄積させたくないんだ」

確かに、、、、ノ夜にストレスはかけたくない。

だから俺はノ夜にシェルターに行ってもらうことにした。

離れるのは寂しいが。

「いや、でも、、、、、」

と、士道が何かを言いかけたところで、廊下の奥の方から、甲高い声が響いてきた。

「ほ、ほらっ、五河くんに飛来くんに夜刀神さん、それに村雨先生までっ!そっ、そこで立ち止まらないでくださいっ!早く避難しないと危険が危ないですよ!」

俺がいるクラスの担任の岡峰珠恵教諭・通称タマちゃんが、小さな肩をいからせながら、焦ったような調子で言ってくる。

言葉の使い方に違和感があったが。

「、、、、ん、捕まっても面倒だ。行こうか」

令音がちらと目配せし、昇降口の方に足を向ける。

「っ、あ、ちょっと、、、、」

かなりノ夜が心配だったが、仕方がない。

頭をくしゃくしゃとかき、ノ夜の方まで歩く。

「ノ夜。お前は先にシェルターで待っててくれ。俺は少し用事を済ませてから行く」

「え?蒼?用事って?」

「スマンが戻ってから話す。お前は先生の指示に従って待っていてくれ。先生!ノ夜を頼みます!」

そう告げ、ノ夜の手をタマちゃん先生へ預ける。

士道も同じく十香の手を先生へ預けていた。

「ふぇ?え?あ、は、はい、それはもちろん」

いきなりノ夜と十香を預けられたからか、呆気にとられたように目を丸くしながら、「わ、私先生ですもの!」とうなずいた。

「え?あ、蒼!!」

「五河くんに飛来くんに、村雨先生まで!?一体どこへ!?」

心配そうな二人の声を後にし、俺と士道と令音は、校舎の外へと走る。

 

 

「、、、、ああ、来たわね三人とも。もうすぐ精霊が出現するわ。令音は用意をお願い」

俺たちが<フラクシナス>艦橋に着くなり、物々しい雰囲気と、艦長席に座っていた琴里から、そんな言葉が飛んできた。

「、、、、、ああ」

令音が小さく頷き、艦橋下段にあるコンソールの前に座り込む。

「、、、、さて」

士道と俺が無言でいると、琴里が首を傾げて問うてきた。

「あまり時間をあげられなくて悪いのだけど。腹は決まったのかしら、士道」

「、、、、っ」

士道が息を詰まらせる。

が、そこで突然艦橋内にけたたましいサイレンの音が鳴り響いた。

「「な、、、、なんだ?」」

「非常に強い霊波反応を確認!来ます!」

士道と俺が狼狽に目を丸めていると、艦橋下段から男性クルーの叫び声が聞こえた。

琴里がそれを聞くと、パチンと指を鳴らした。

「オーケイ。メインモニタを、出現予測地点の映像に切り替えてちょうだい」

琴里がそう指示を出すと、メインモニタに、街の映像が俯瞰で映し出された。

いくつもの店が立ち並ぶ大通りである。しかし空間震警報が鳴っているので、当然のごとく人の姿はなく、まるでゴーストタウンのようになっていた。

そんな映像の中心が、ぐわんっ、と撓む。

「え、、、、?」

「は、、、、?」

一瞬、映像を映し出している画面に異常が発生したのかと思っていたら、違った。

空間に。

何も無いはずの空間に、水面に石を投じた時のような波紋ができていた。

「「な、なんだこりゃ、、、、、」」

「あら?士道と蒼は見るの初めてだっけ?」

琴里がそう言うのとほぼ同時に、空間の歪みがさらに大きくなり、、、、

画面に小さな光が生まれたかと思った瞬間、爆音とともに、画面が真っ白になった。

「ーーーっ!!」

「うおっ!?」

俺と士道は、顔を手で覆う。

画面の中の出来事であるとわかっているはずなのに、覆ってしまう。

そして数秒のあと、バクバクと鳴っている心臓が気になりつつも、目を開けると、画面には、さっきとはまったく違う風景が映っていた。

街のいたるところに、穴があいていた。

そうとしか表現できなかった。

街の幾つもの建物が並んでいた通りの一部が、浅いすり鉢状に削り取られていた。

確かにあったはずの店や街灯や電柱、さらには道路の舗装に至るまで、全てが、無くなっていた。

そして、その周囲も、爆発の余波のせいか、まるで大型ハリケーンにでも襲われたかのような有様になっている。

その様は、およそひと月前、ノ夜に初めて会った場所に酷似していた。

つまり、今のが。

「空間震、、、っ」

「空間震、、、か」

士道と俺が震える声で言うと、琴里が「ええ」と首肯した。

「、、、精霊がこちらの世界に現界する際の空間の歪み。それが引き起こす突発性災害よ」

「、、、、、」

廃墟を見た事は何度もあったが、爆発が起こる瞬間を目撃するのは初めてだった。

手のひらが、じっとりと湿る。

頭ではよく理解していたつもりであった事象が、ようやく、実感として理解出来た気がした。

街が、人々が生活している空間が、一瞬で壊れてしまう。、、、、その恐ろしさが。

「ま、でも今回の爆発は小規模ね」

「そのようですね」

と、琴里と、その後ろに控えていた長身の男、副司令・神無月恭平が声を発する。

「僥倖、、、、と言いたいところですが、<ハーミット>ならこんなものでしょう」

「まぁ、そうね。精霊の中でも気性の大人しいタイプだし」

、、、、は?今ので小規模なのか?

一瞬、琴里たちが何を言っているのか理解できなかったが、すぐに思い直す。

ノ夜の時は、恐らくもっと規模が大きかっただろう。だから、彼女らにとっては比較的軽微なものだろうと考えた。

だが、頭では理解出来ても、うるさいほど鳴っている心臓の音は止まらなかったが。

「、、、、なぁ、琴里」

と、士道が声を発する。

「<ハーミット>ってのは、一体何のことなんだ?」

「ああ、今現れた精霊のコードネームよ。ちょっと待ってて。、、、、画面拡大できる?」

琴里が、艦橋下段のクルーに指示を出す。

するとすぐに、映像がズームして、街の真ん中にできたクレーターに寄っていった。

と、それに合わせて、画面に変化が訪れた。

「、、、、雨、、、か?」

俺は小さく呟く。

そう、ふっと画面が暗くなったかと思うと、ぽつ、ぽつと雨が降り始めた。

だが、、、、その変化はすぐに気にならなくなった。

クレーターのように抉り取られた地面の中心に、小さな女の子の姿が確認できたからだ。

「、、、、っ!?」

「、、、、は?」

思わず驚愕の声を上げる。

拡大した画面に居たのは、昨日見た一人の少女、、、精霊だった。

「あ、れは、、、、」

「おいおい、、、、マジかよ、、、、」

ウサギの耳のような飾りのついたフードを被っており、大きめのコートに不思議な材質のインナー。

そして、左手に装着されているコミカルな意匠の施された、ウサギのパペット。

俺の目か脳みそがイカれてなければ、間違いない。

「、、、、?どうしたのよ、士道、蒼」

俺たちの様子を不審がってか、琴里が怪訝そうな声を響かせてくる。

「、、、、俺ら、、、、、あの子に会ったことがある、、、」

士道が画面をじっくり見て何かを確認するような仕草を見せた後、口を開く。

「なんですって?一体いつの話よ」

「つい昨日だ、、、、っ、学校から帰る途中、急に雨が降ってきて、、、、、」

士道が、昨日の出来事を簡潔に話し始める。

ひとしきり士道の話を聞いた琴里は、艦橋下段のクルーに指示を飛ばした。

「昨日の一六○○時から一七○○時までの霊波数値を私の端末に送って。大至急!」

そうしてから手元の画面に視線を落とし、苛立たしげに頭をがりがりとかいていた。

「、、、、主だった数値の乱れは認められないわね。十香の時のケースと同じか。、、、、士道、蒼、なんで昨日のうちに言わなかったの?」

「あーすまん、俺のせいだ。俺が精霊ってわかってたんだが、琴里ちゃんたちに言うのを忘れていた、、、、士道の場合はいきなり言われても信じられなかったんだろうと思うから、俺のせいだ。申し訳ない」

その話を聞いて、昨日話さなかった事を謝る。

「、、、、、、まぁ、過ぎた事だし気にしないわ」

琴里がそう返すと、直後、<フラクシナス>艦橋に設えられていたスピーカーから、けたたましい音が轟いてきた。

「、、、、!?なんだ、一体、、、、」

「うわっ!?なんだいきなり!?」

「、、、、精霊が現れたんだもの。仕事を始めるのは私たちだけじゃあないでしょうね」

琴里の言葉に、俺は眉をぴくりと動かした。

「「AST、、、、か」」

「ええ」

画面に目をやると、あの少女、、、<ハーミット>と呼ばれる精霊がいた場所に煙が渦巻いていた。恐らく、ミサイルか何かを撃ち込まれたのだろう。

そしてその周囲に、物々しい機械の鎧を着込んだ人間たちが数名、浮遊していた。

陸上自衛隊・対精霊部隊(アンチ・スピリット・チーム)。通称AST。

琴里たちの組織<ラタトスク>とは違い、武力を以て精霊を精霊を殲滅することを目的とした特殊部隊である。

と、煙の中から、小さなシルエットがぴょん、と飛び出した。

、、、、、<ハーミット>だった。無事かどうかは分からないが、ダメージは少なそうだった。

彼女は左手のパペットを掲げるような格好のまま宙を舞うと、周囲を固めるAST隊員たちの間を抜けるように身を捻り、空を舞っていた。

だが、AST隊員たちはすぐにそれに反応すると、一斉に<ハーミット>を追跡した。

そしてそのまま、身体中に装着していた武器から、夥しい量の弾薬を発射する。

「、、、、っ!危ない!」

「やめろ!!」

反射的に叫ぶが、、画面越しの警告には何の力もなく、AST隊員の放った無数のミサイルや弾丸は、無慈悲に<ハーミット>の身体に吸い込まれていった。

「あいつら、、、、あんな女の子に、、、、っ」

士道がそう言った瞬間。

俺の中の何かが切れた。

その場から駆け出す。

「どこに行く気?蒼」

琴里がそう聞いてくる。

「決まってるだろ!あの女の子の所にだよ!!」

「行ってどうする気?」

「助ける以外にないだろ!!」

「駄目よ。あなたが行ったところで何も変わらな「残念ながら!!」」

琴里の言葉を遮り、叫ぶ。

「救いたいと心の中で思った時は!その時にはもう既に行動しているんだよ!!」

あの少女を救うため、再び。

「ハッキング!!」

そう咆える。

『了解。転送装置のハッキングを開始。座標、<ハーミット>近辺』

前と同じく視界に数字の羅列が現れ、その中の幾つかが<フラクシナス>の床へと吸い込まれてゆく。

『警告、<フラクシナス>がハッキングを受けました。対策、、、不可能』

艦橋のスピーカーから音声がなる。

『報告。ハッキング完了。転送開始』

そう何かが俺に告げると、視界に映っていた景色が艦橋から街へと変わる。

上を見上げると、<ハーミット>とAST隊員が戦闘をしていた。

「<要塞>!!」

手を前にかざし、その名を呼ぶ。

俺の天使であるリボルバーが手のひらに現れる。

それを握る。

体に光が集まり、鎧を形作る。

「さぁ、俺だけの戦争(デート)を始めよう」

口からそう言葉を零し。

蒼空(そら)へと翔ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、いかがでしたでしょうか。
次回以降は、ちょっと書き方を変えてみようと思ってます。
一人称視点で書くことに限界を感じてしまった、、、、
それでは、6話をお楽しみにして頂けるとありがたいです、、、、
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