デート・ア・ライブ イレギュラーブルー(凍結) 作:蒼京 龍騎
最近になって再びSSを書きたいという思いが燃え上がってきたので、いつもより(多分)早めの投稿になります!!
今回は、士道が絡む場面も作ってあるので、見ていただければ幸いです!!
それでは、本編どうぞ!!(⊃ ´ ꒳ ` )⊃ドゾー
デート・ア・ライブ イレギュラーブルー
第七章 I am....... Gunslinger!!!
「、、、、は?」
<ラタトスク>司令、五河琴里は困惑した。
目の前で、精霊である飛来 蒼がいきなり「俺専用のCRーユニットを作って欲しい」と頼んできたのだ。
「、、、却下よ。大体、なんでCRーユニットを使えるのかしら?あれは適正があってなおかつ手術を受けないと扱えない代物よ。そもそもそれが使えてるって時点で異常なのが分からないのかしら」
「、、、じゃあ、こっちから一つ、重大な情報を言おう」
「、、、、なに?」
琴里は、固唾を呑んだ。
蒼は、一体何を言うのだろうか、と。
「既に、俺の頭の中に顕現装置があった、ってことだ。オマケに喋る」
「、、、、は?」
琴里は、二度目の驚愕の声を上げた。
「だって、不思議に思わないか?こんなバカな俺が<フラクシナス>をハッキングして装置を無理矢理起動させたりとか。それをやったのは、全部そいつのおかげだ。俺の力じゃない」
琴里は、蒼が言っている事を理解出来ずにいた。
まず、喋る、という点が理解出来ずにいた。
基本、顕現装置というのは単なる装置だ。
本人が望んだ事象を、起こすためだけの装置。
それが使い手に対して指示を出すことや、話しかけるなどは絶対にありえない。
ましてや、複雑な<フラクシナス>のセキュリティを簡単に突破する程の性能があるAIなど、この世には存在しない。
そもそも、手術を受けていない状態で頭に顕現装置が埋まっているというのが、最大のイレギュラー。
いや、蒼には、、、、、
「、、、、、」
琴里は、パニックに陥っていた自身の頭を落ち着かせ、一言。
「令音」
「分かっているよ」
令音がそう首肯し、蒼に向き直る。
「それでは、ソウ、着いて来てくれるかい?」
「おう、、、、?あのーソウってもしかして俺か?」
「ん?気に食わなかったかい?」
「いやそういう訳ではないんだが、、、、ネーミングセンス独特だなって、、、」
「、、、、家族譲りのものだよ」
「、、、独特なネーミングセンスだな随分と、、、、」
蒼はそう困惑した後、令音に着いてゆきながらしばらく歩いていると、謎の広い空間へと出る。
そこには、CRーユニットが大量に並んでいる格納庫だった。
「まずは、この中でどれが一番性能が良い物か当ててみてくれ。話はそれからだ」
「えぇ、、、、」
いきなり、どのCRーユニットが性能が良いか問われた蒼は困惑したが、すぐに、自身の頭の中にある顕現装置にその質問の回答を求める。
『回答。一番右の最奥から二番目のCRーユニット』
「一番右の、奥から二番目のやつ」
「、、、、正解だ」
蒼がこの質問に答えたことに対して、深刻そうな顔をしながら令音が言葉を返す。
「、、、、ソウ、やはり君は異常だ。実を言わせてもらうと、、、、、」
令音は、この現状がどれだけ異常事態かを蒼に伝えるように、間を置いてから口を開く。
「ソウの頭の中に、『顕現装置の存在が確認できなかったんだよ』。」
「、、、、、、は?」
「今まで、ソウに対して何度もメディカルチェックをしていたのは覚えているね?その際、頭の中も覗かせてもらったのだが、脳以外には、『まったく何も映らなかった』。本来なら小型の顕現装置が映るはずなのだが、一欠片も視認できなかったよ」
「、、、、つまりどういうことだ?」
「ソウがCRーユニットを使っていること自体、ありえないんだよ。CRーユニットは顕現装置あってこそ。その重要な役割抜きで、ソウはCRーユニットを使っていることになる」
、、、、いやいや、だって俺はさっき、確かに顕現装置に聞いたぞ?
蒼は、令音が言っている事を信じれずにいた。
自身は、確かにCRーユニットを使い、ASTを追い払った。
それだけは紛れもない事実。
だが、それを使うための顕現装置は、頭の中にあると思っていたら、実際は無かった。
「、、、じゃあ、なんで」
そう呟いてから、自身の手に力を入れ、天使を呼び出し、霊装を纏う。
そして、先程のCRーユニットを背に付ける。
その際、蒼は前と同じく虫が全身を這い回るような不快感を憶えた。
『CRーユニット、接続確認。使用可能』
その声が聞こえた後、CRーユニットに付いている大砲のようなものを動かす。
「至って普通に、使えるんだ?」
「、、、、」
令音はしばらく間を置き、自身の頭の中に思い浮かんだ仮説をまとめてから蒼に話す。
「、、、仮説ではあるが、元々CRーユニットや顕現装置は、精霊の力を元に作られたものだ。だから、精霊であるソウは動かせるのではないか?証拠が無いから確信はできないが、、、」
「じゃあもう一つ聞くが、それなら俺だけで使えるよな?じゃあなんでこいつが居るんだ?」
蒼は自身の頭をつつきながら令音に問う。
「、、、そこは私にも分からない。もしかしたらソウが多重人格で、その人格が話しかけているのかもしれないし、、、、まぁ分からないという事だ。メンタルチェックでも異常は無かったからさっきの可能性は非常に低いが、、、、」
「、、、、そうか。で?そういや俺専用のCRーユニットは?駄目なのか?」
「、、、なぜ、ソウはそこまで『戦うための力』が欲しいんだ?」
いきなり話題を変えた蒼に、令音は冷静になりながら問で返した。
「そんなの、決まってるだろ」
蒼は、何かを決意したかのように、口を開く。
「士道を手伝うためだ。親友が一人で危険な事に首突っ込んでるのを、俺は黙って見てるのは御免だな。だから俺は士道を守る。そして、ノ夜もだ。俺は、守りたいものを守るために力が欲しい」
まっすぐと令音を見る蒼の視線に、やれやれといった様子で令音が蒼に近づく。
「、、、どうなっても責任は取れないよ」
「俺はどうなろうと関係ねぇ。士道とノ夜を守れれば万々歳」
「、、、ここまで来るともはや狂った愛だね」
「どうとでも言ってくれ」
そう蒼が令音に相槌を打っていると。
「、、、分かった。君専用のCRーユニットを頼んでおこう。そこまで言ってもらってから断るのも正直心が痛むからね」
「助かる。設計図は出来てるから送るわ」
「、、、、、なに?」
令音は、蒼の口から流れるように出た言葉に疑問を持つ。
「あ、実を言うと頭の中でこんなのが良いなー、って考えてたら顕現装置が設計図作ってくれたからな、、、、、」
そう聞いた直後、令音の端末からピコンという電子音が鳴る。
その音は、メール着信の音だと令音は分かっているので端末を開く。
そこで、メール受信欄から送られてきた設計図を見て、令音はもう慣れたと言った様子で。
「分かった。これを明日までには作ってもらえるよう頼んでみよう。それでは、体をゆっくり休ませてくれ」
と、蒼に返事を返した。
「おう、頼む」
蒼はそう返した後、格納庫をあとにして艦橋に戻り、転送装置で自宅付近まで送ってもらっていた。
「あ、そういやノ夜はどうしてんだろ?」
自宅付近の道端で、不意にノ夜がどうしているのか気になった蒼はズボンのポケットから携帯電話を取り出し、ノ夜の携帯に電話をかける。
「──────ありゃ?」
いつもならニコール程で出るはずなのだが、留守電に変わるまで電話は繋がらなかった。
「、、、、まさか」
蒼は意識して出さないようにしていた全力を出して地を蹴った。
全力を出した蒼の速さは凄まじく、一瞬で自宅があるアパートへと到着する。
「おーい、ノ夜ー?」
ノ夜の家前の呼び鈴を鳴らし、ノ夜を呼んだ際に「はーい」と聞こえたので、ひとまず無事であったことに安堵する。
だが、その安堵は一瞬にして消え去った。
扉が空くと思い後ろへと下がったのだが、ノ夜が出てきたのは。
蒼の家から出てきていた。
「あ、蒼!!おかえり!!」
ノ夜は着ていた来禅高校の制服の上に、さらにエプロンのようなものを重ねて着ていた。
「、、、、一つ聞いていいか?」
「なーにー?」
「なんで俺の家から出てきたんだよ!?俺きっちりと鍵掛けたぞ!?」
「あー、、、秘密、ってのはだめ?」
「、、、、さては天使使っただろ」
「ぎくっ」
いかにもその通り、というような様子でノ夜は体を少し揺らした。
「、、、、ナンノコトカナ?」
「、、、、で?なんで俺の部屋に入った?」
呆れ気味に蒼が聞くと、ノ夜は蒼から少し顔を逸らした。
「、、、、私だけ」
「ん?」
「私だけ何もしないっていうのは嫌だったから、何ができるかなーって思ったら蒼の部屋が色々と散らかってる事を思い出したから、掃除してあげようかなーと思って、、、、」
「、、、、、、」
え、何この子結婚してぇ、、、、、
心の底からそう思った蒼は、その考えに恥ずかしさを覚え顔を赤らめる。
「、、、、サンキュー、ノ夜、、、、、って!?お前ベッドの下は覗いてないだろうな!?」
我に返った蒼は、ベッドの下に自身の『大切な物』を隠している事を思い出した。
「、、、、っ!?ベ、ベッドの下って、、、、、エロ本?///」
「違ぇよ!?」
たまったもんじゃないと言わんばかりに蒼は否定する。
「、、、、何か確認させてもらうね」
「やめろォ!!!それだけはマジで勘弁!!!」
そう叫ぶも虚しく、ノ夜は蒼の寝室まで歩を進めてベッドの下を漁る。
「、、、、これかな?」
そう言いながらノ夜が引き出した物は、自身の身の丈を優に超える鉄の箱だった。
「、、、、なにこれ?」
ノ夜はその箱に付いている留め具を外し、箱の上部を開けた。
そこにあったのは。
「、、、、剣?」
錆で覆われている一本の大剣だった。
錆で覆われてはいるが、形状は非常に<鏖殺公>(サンダルフォン)に酷似していた。
「、、、、なにこれ?」
ノ夜は改めて蒼に聞いた。
「分からん」
「、、、、、え?」
「俺の親が死んで、親戚に引き取られる時には既に俺はこれを持ってたらしいが、これが何なのかは俺にもさっぱり。だが俺にとって重要な何かということはわかる。ちなみにお前に見せたくなかったのは、ちょっと色々と見せたらまずいかなーと思ってだな、、、、」
予想外の返答に、ノ夜は口を開く。
「、、、、ごめんね、勝手に見ちゃって」
「気にすんな。俺も悪いから」
自身がしてはいけないことをしてしまったという自責の念にノ夜は駆られるが、蒼も自身の注意がたりなかったと反省する。
「、、、、それじゃ、片付け終わったから私戻るね」
「おう、サンキュ」
そう返した後、ノ夜は蒼宅の玄関から外へ出る。
「、、、、、っ」
直後、蒼は倒れるように自身のベッドに突っ伏した。
「、、、、今日は眠気来るのはえーな、、、」
猛烈な眠気が、蒼を襲う。
その眠気の奔流の身を任せるように、蒼は目を閉じ、意識を途切らせる。
「悪いな。今日は貴様に用があるので早めに呼ばせて貰った」
「、、、、何の用だ?」
蒼は、辺り一面が白く染まっている空間に、自身を蒼の力そのものと名乗る自身そっくりの人物、、、ロンギヌスに呼び出された。
「、、、そこまで気を構えるな。なに、貴様の、、、いや、本来なら我の力なのだが、今は貴様の力としておこう。そのお前の力だが、そろそろ一皮剥けるぞ。その際のデメリットを説明しておこうと思ってな」
「、、、デメリット?」
蒼は首を傾げながらロンギヌスに聞く。
「いや、デメリットと言っても身体機能に障害を起こす訳では無い。ただ、貴様の左目の色が変わるだけだ」
「、、、、それだけか?」
「それだけだ」
思っていたよりもデメリットが優しい物だったことが分かり、蒼は唖然とした。
「ああ、今のうちに言っておくが、目の色が変わるのは目覚めてからだ」
「、、、、ご指摘どーも」
そう返すと、ロンギヌスは不満そうに顔を歪めた。
「なんだ。我が折角直々に貴様に教えてやったのに、その態度は」
「、、、正直言ってお前怪しいんだよ。信じれるわけないだろ?」
「、、、はぁ、これだから人間というものは嫌いだな。もう良い、失せろ」
そうロンギヌスが呟くと、蒼は、自身がものすごい力で引き上げられる感覚を覚えた。
そう、前にも味わった、自身が目覚める際の感覚。
蒼の視界は、光に包まれた。
ピルルルル、、、、ピルルルル、、、、
「、、、ん?」
蒼は、目覚めた時に既に電話が鳴っていることに気がついた。
「誰だよ、、、って令音さん!?もしや、、、、」
恐る恐る、携帯電話を手に取り耳に近づけた。
『もしもし、令音だが「CRーユニット完成したのか!?」、、、ああ、なのでソウには性能テストに付き合ってもらうよ。完全な新型になるからね、あれは』
「どこに行けばいい!?ダッシュで向かう!!」
『、、、君に本気を出されるとこちらが困るのだが、、、』
「いやいや、ガチな意味じゃねぇから!!大急ぎでって意味で!!」
『、、、なるほど。では一番最寄りのアズガルド・エレクトロニクスの会社に来てくれ。その際に君の名前を出せば通してくれる』
「了解した!!」
蒼は家の鍵と携帯電話、財布をズボンのポケットにしまい、玄関から家の外へ出ようとした際に。
「────そういや目がうんぬんかんぬん、、、」
そう呟き、玄関に置いてある鏡を覗いた。
「────な、、、、っ!?、、、、、なんじゃこりゃァァァァァァァァァッ!?」
左目の、青だった瞳が赤へと変色していた。
その赤は、ロンギヌスの瞳の色と瓜二つだった。
、、、無論、カラーコンタクトを入れた覚えは無い。
「、、、これがあいつの言ってたデメリット、、、か」
そう呟きながら、蒼はリビングのタンスに向かい、その中を漁った。
そこから、何故か持っていた青のカラーコンタクトを左目に付けた。
「、、、なんで持ってたんだっけ、これ」
そう疑問を抱きつつ、玄関から外へ出る。
「、、、あれ?蒼?どこかに行くの?」
その際に、ノ夜と玄関前で鉢合わせた。
「俺専用のCRーユニットが完成したらしいから、性能テストに行ってくる!!」
「、、、、蒼、嬉しそうだね」
どこか悲しげな表情で、ノ夜は蒼に言った。
「ついに、ノ夜を守るための力が手に入るんだぞ!!俺にとっては最高だァ!!イヤッホーイ!!!ってな訳で行ってくる!!」
「、、、行ってらっしゃい!!気をつけてね!!」
ノ夜は、少し自身に嘘をつきながら蒼を見送った。
電車に乗り、揺さぶられること三時間後。
蒼は、世界に名を馳せている大企業の一つである、アズガルド・エレクトロニクス社の前に立っていた。
「、、、、デケェ、、、、」
大企業と言うだけあって、支社でも普通の企業の本社並の大きさがあった。
蒼は早速その中に入り、受付の女性スタッフに自身の名前を言う。
「飛来 蒼」
「話は伺っております。こちらへ」
そう女性スタッフが言うと、どこかへ歩いて行こうとした。
その女性に着いて行くようにして、蒼は歩いた。
どれほ歩いたかわからなくなる頃に、状況に変化が訪れた。
女性が何も無い所で止まり、「こちらになります」と蒼に告げた。
「あのーこちらって、なんにもないように見えるんだが、、、、」
そう蒼が呟いた瞬間。右の通路の一部が開き、別の通路が出現した。
「、、、なるほど、隠し通路か。ロマンあるなー」
開かれた通路を進んでいると、広い空間に出た。
そこで。
「、、、、待っていたよ」
「おー、君が噂の蒼君か、、、、見た目は確かに普通の人間だね」
令音と、一人の男性が待っていた。
「、、、あんたは?」
「ああ、自己紹介がまだだったね。僕はアズガルド・エレクトロニクス、顕現装置研究開発部、部長の
「俺じゃないぞ、顕現装置がやったんだ。褒めるならそっちにしてくれ」
蒼は即座に錬斗の言葉に訂正を入れた。
「あれ?でも君の頭には、、、、なるほど。苦労してるんだね、君も」
錬斗が何かを言おうとしたが、令音が横から何かを吹き込んだのか、質問を撤回した。
「、、、それで、完成したものを君に見てもらいたいのだが、、、、こんな感じだ」
そう言った直後、令音は懐に手を入れ、謎のボタンが付いたスイッチのようなものを取り出し、そのボタンを押す。
床の一部が割れ、そこから何かが三つ、せり上がってきた。
「さぁ、お披露目だ。一番右から<ストライカー>、<バスタード>、<デストロイヤー>。君の望みを叶えるための三種の武装だ」
一番右にある<ストライカー>は、主に黒色で、所々に赤が入ったカラーリングが施されており、飛行機のようなシルエットの物体に、戦闘機に付いているような推進器が下に付いており、右にライフル、左に剣の柄のようなものが付いていた。
真ん中にある<バスタード>は、主に赤のカラーリングが施されており、機械のバックパックのような物の横に刃が付いているはずの部分が片方ぽっかり抜けた大剣が二本付いており、上には持ち手が付いた小さい翼のような物が付いていた。
一番左の<デストロイヤー>は、主に緑のカラーリングが施されており、戦車のようなシルエットの物体に、折り畳まれた対物ライフルのような物が横に二丁付いており、上にはガトリングガンのような六つの銃身が連なった巨大な銃が付いていた。
「、、、、こんな感じだ。見てわかるかもしれないが<ストライカー>は機動力特化、<バスタード>は近接攻撃特化、<デストロイヤー>は遠距離攻撃特化のCRーユニットだ。あとは君に合うか試してみて欲しい。実際に付けて、不調や君に合わせた調整をしないと全力が出せないからね。っと、そうだ。これを渡すように琴里司令から言われてたんだった」
そう言いながら錬斗が蒼に渡してきたのは、小さなイヤホンのような物だった。
「、、、なんだこれ?」
そう思いながら、蒼は耳にそのイヤホンを軽く入れた。
『どうだ?聞こえるか?』
「うわっ!?、、、令音さん、、、驚かさないでくれ、、、、」
そのイヤホンから令音の声が出てきた事に驚愕しながら、それをしっかりと入れ直した。
『それは<フラクシナス>とも繋がるインカムだ。無くさないように注意して欲しい』
「了解。、、、で?渡し物はこれだけか?」
『ああ。それだけだ』
「よし!!そんじゃさっさと、、、、」
蒼はガッツポーズを取り、手に力を込め天使を呼び出そうとする。
だが、その動作は。
ウゥゥゥッゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!
そのサイレンが耳に入った時点で中断された。
『報告、北に100キロの地点に精霊反応あり。推奨、現場への急行』
「なっ!?今来るのかよ!?、、、、しゃあねぇ、ぶっつけ本番だが、やるしかねぇ!!」
そう叫びながら、蒼は再び手に力を込めて、自身の天使、<要塞>を呼び出し霊装を纏った。
そして、移動時間を短縮するために機動力特化の<ストライカー>を持ち上げてから自身の背に付けて、接続する。
『報告、CRーユニット、連結確認。適応化開始』
瞬時に蒼の視界に棒グラフが現れ、数値の上下を繰り返し行っていた。
そして、数秒と経たずに『報告、適応化完了』という声が聞こえた後、すぐに飛び立とうとしたが。
「待ってくれ!!それはその状態だと動かせない!!下に付いている推進器を足にはめてくれ!!」
その声を聞き、即座に下に付いている推進器を取り外し、足へとはめる。
『CRーユニット、起動を確認。<ストライカー>、発進』
そのような声が聞こえた後、飛行機が飛ぶ時になるようなキィィィィィィという音と共に、徐々に体が宙へ浮いていることに気付く。
「悪ぃが説明は後で聞く!!とりま俺は四糸乃救ってくる!!」
そう令音と錬斗に告げた蒼は、大きな駆動音と共に開き、空が見える天井に体を向け、自身の背中に力を込めることをイメージし、推進器の推進力を上げる。
だが、加減不足により、いきなり最大速度で蒼は飛んだ。
「オワァァァァァァァァァァッ!?!?」
目まぐるしく変化する周囲の状況に追いつけず、蒼は慌てるが、すぐに落ち着きを取り戻し、冷静に周囲を見渡した。
もう既に四糸乃が居る位置とは目と鼻の先まで迫っており、一度止まって周囲を確認するために、進行方向とは逆向きに足を向け、力を込めた。
それでブレーキがかかると思っていた蒼だったが、現実は非情であった。
「うおぉぉぉぉっぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?!?」
蒼の胴体を中心にして蒼の体は縦に回転した。
そしてそのまま、蒼は近くのビルに突っ込んだ。
幸いなことに空間震警報がなっていたので、ビルは無人であった。
その際に脱力し、推進器が止まった。
「、、、、痛てぇ、、、」
蒼は、崩落したビルの瓦礫に埋もれながら呟いた。
「、、、、扱いづらいな、、、これ、、、、、」
<ストライカー>は、加速するためには力を込める必要があるが、加減を間違えると簡単に暴走してしまうという代物ということを、蒼は理解した。
さらに、足にも推進器を付けているので、足と言うには歪すぎる形をした推進器の足を使って立ち上がるのに、蒼は苦労した。
「、、、、ダメだこれ、 一旦解除!!」
『了解。<ストライカー>、
蒼が叫ぶと、それに顕現装置が応え、背と足についていたCRーユニットが解除され、背についていた物はそのまま地面へ。足に付いていたものは、蒼が腕を使って外した。
「────しまった、他のやつも試したいんだが、、、」
『呼んだか!!蒼君!!』
「うわっ!?うっせぇ!!」
ボソリと呟いた言葉を、待っていましたと言わんばかりにハキハキとした声で錬斗はインカム越しに返した。
「、、、、持ってこれるか?」
『何を言う!!持っていく必要は無い!!その子達には一つ一つに極小の転移装置を取り付けてある!!いつでも君の呼びかけに答えてくれるよ!!その子達は!!』
何故そこで倒置法を使ったのか疑問に思った蒼だが、今それは関係ない事だと割り切った。
「じゃ、試しに、、、<デストロイヤー>!!」
そう叫ぶと、蒼の目の前に<デストロイヤー>が出現した。
「、、、、化学の力って、スゲー、、、、、」
目の前で実演された転送技術に、蒼は唖然としながら声を出した。
「、、、そいじゃ、ほいっとな」
それを持ち上げ、再び自身の背に付けた。
『<デストロイヤー>、接続確認。適応化開始』
再び視界に棒グラフが出現し、その数値が目まぐるしく変化する。
『適応化完了。<デストロイヤー>、使用可能』
そう顕現装置が告げた直後、<デストロイヤー>の横に付いている折り畳まれた対物ライフルが蒼の腕へと運ばれる。
蒼はそれを両腕でしっかりと掴んだ。
『
「、、、、とりま四糸乃ちゃんがどうなってるか、、、、っ!?」
反応の方へライフルを向け、四糸乃がどうしているかを確認しようとしたが、その際に、蒼の耳に何かが爆発したかのような破裂音が響いた。
「、、、、まさかっ!?」
蒼はすぐさま周囲を見渡し、一番高いビルの屋上に向かうことを決めた。
<ストライカー>ほどの速さは出なかったが、五秒足らずで屋上へと空をかけ、ビルの屋上の床に足を付けた。
そこから再度反応の方にライフルを構え、スコープを覗く。
そこで、ASTに追い回されている四糸乃の姿が、蒼の目に映った。
「、、、、一方的な虐めってのは、見ているだけでもイラつくな、、、、クソが」
蒼は拳を握り締めながら静かに怒り、スコープの中心にAST隊員が身につけているCRーユニットが映るように銃身を動かし、容赦なく引き金を引いた。
大きな破裂音と共に、大口径の弾丸が銃から発射される。
不思議と、反動は一切感じられなかった。
それは、一秒もかからずそのCRーユニットの元まで直進し、大きな穴を穿った。
CRーユニットが停止し、AST隊員が地に落ちる様を見ながら、蒼はまだ大勢いるAST隊員達に向けて、迅速に戦闘不能にするために、両手で持っていた<C・C・C・Ⅱ>を右手だけで持ち、余った左手にもう一丁の<C・C・C・Ⅱ>を運び、普通の人間ならば不可能に近いであろうスナイパーライフルの二丁持ちという荒行をした。
『<C・C・C・Ⅱ>、
蒼はそのままビルから助走をつけて飛び降り、背中に付いている小型の推進器を起動させて加速しつつも滑空するように四糸乃の元へと向かう。
「I am ....... Gunslinger!!!!」
何故か蒼の口から『無意識』にその言葉が出た。
『了解。システム、ガンスリンガーモードにチェンジ。視野アシスト強化。腕部、思考マニュアル操作に完全変更。脚部ジャンプユニット、リミッター解除』
そう聞こえた直後、蒼の視界がより鮮明なものへと変わる。
蒼は鮮明な視界に表示されているガイド通りに、スナイパーライフルを、『スコープを覗かず』撃った。
普通スナイパーライフルとは、遠距離から対象を狙い撃つのが目的の銃である。
それをアシストするためのスコープは、望遠鏡のように対象がまるで間近にいるかのように映し出し、表示されている十字の中心に捉えればそこに弾丸が進むという、サイトの役割も兼ねている一品。
スナイパーライフルを使うにあたって欠かせない物。
だが、今の蒼の視界には。
今銃口が何処を向いているのか。
弾丸がどこに着弾するか。
それらを表す表示が存在していたため、この荒行が成せた。
両手に持つライフルの引き金を交互に引き、大口径の弾丸を連射する。
それらは一発も外れることはなく、無慈悲にもAST隊員達のCRーユニットを鉄クズへと変えていった。
慈悲はなく、一方的に。
四糸乃の元までたどり着く頃には、AST隊員は全員戦闘不能の状態に陥っていた。
「四糸乃ちゃん、大丈夫か!?」
四糸乃の元までたどり着いた蒼が四糸乃に聞く。
「────ひっ!?、、、あ、蒼、さん、、、、よしのんが、、、、いなくて、、、、」
蒼を見た途端四糸乃は体を震わせ怯えていたが、目の前にいる存在が蒼だと分かっていなかったようで、蒼と分かると体の震えが収まった。
「、、、、なるほど、あれからまだ見つかってないのか?」
「、、、、はい、、、、、」
「、、、そうか。なら」
再び歩を進め、蒼は四糸乃の頭を撫でた。
「、、、俺が守ってやる。だからお前は、、、、、」
蒼が四糸乃に何かを伝えようとしている最中に。
蒼の頭に衝撃が走り、数十メートルほど横に吹き飛ばされる。
「、、、、っ?な、、、なんだ、、、、?」
衝撃によりふらつく頭を無理矢理働かせ、立ち上がろうとしたが、体が動かなかった。
おそらく、先程の衝撃で脳震盪を起こしたのだろうと蒼は予測した。
だが、今懸念するべきは。
「そこから逃げろ!!四糸乃ちゃん!!」
四糸乃に向かって精一杯叫んだ。
「、、、、え?」
四糸乃は、今やっと状況が理解できたといった様子で、唖然としていた。
そこに、先程蒼を撃った弾丸が撃ち込まれる。
「────ッ!!!クソがぁぁぁぁぁぁっ!!!」
四糸乃を助けるために、無理に体を動かそうとしても、精々上半身を起こすのが精一杯だった。
『警告。脳震盪により身体の操作が不可能。至急、救援要請を出すことを推奨』
「今から呼んでも遅せぇよ!!、、、おい!!動けってんだよクソが!!」
そう叫んでいると、四糸乃が手を空に向けているのを、蒼は視認した。
「、、、、、<氷結傀儡>、、、、ッ!!」
四糸乃から放たれたその名前は、この世を滅ぼす天使の名。
蒼は、更に焦りを覚えた。
「駄目だ!!四糸乃ちゃん!!」
そう叫ぶも虚しく、蒼の体が吹き飛んだ。
蒼の体が地に叩きつけられ、蒼の意識はそこで途切れた。
「、、、、、不甲斐ないな。貴様」
蒼はその声で目を覚ます。
「、、、、、その貧弱さでよく精霊を救おうだなどと思い上がれるな。弱者が強者を救おうなどと思い上がるな。だが、その様が滑稽で愉快である故、我は力を貸そう。もっと貴様が足掻き、絶望し、力を欲する様を見たいからな」
蒼の眼前には、ロンギヌスが立っており、こちらを見下していた。
「、、、、趣味悪いな、お前」
「黙れ。まずここから現実に戻ったらすぐに自殺しろ。そうすれば体の傷を全て消すことができる。信じるも信じないも貴様の自由だがな」
「、、、、矛盾してないか?体の傷を治すために死ね、って、、、、、」
「、、、、あまり我を煩わせるな。とにかく、信じるも信じないも貴様次第と言ったであろう。今から現実へと戻すから、そこからの未来は貴様次第だ」
ロンギヌスがそう呟くと、蒼の意識が何かに引き上げられるようにして浮上する。
「────お!蒼!!」
「、、、、、っ!?四糸乃ちゃんは!?」
蒼は目覚めてすぐに起き上がろうとするが、目の前居たノ夜の手に止められた。
周囲を見渡すと、ここが空中艦<フラクシナス>の医務室であることが理解できた。
「まだ起きちゃダメ!!!令音さんに動かないで、って言われるんだよ!!」
蒼は自身を止めるノ夜の手に触れ、彼女の顔を真っ直ぐにに見た。
「、、、、救わなきゃいけないんだ、俺は。四糸乃は、お前と似ていたんだ。この世界から敵として見られて、頼れるやつもたった一人で。俺もそんな状況になったことがあるから、その辛さはよく分かる。だからこそ、俺は」
そう告げた直後、蒼はノ夜に触れていた自身の右手を離し、手に<突撃>を顕現させた。
「あ、蒼!?何するの!?」
そう叫ぶノ夜を無視して。
それの銃口を、蒼は自身のこめかみに付けて。
「『死んででも』、救わなきゃいけない」
<突撃>の引き金を、引いた。
ドン、と乾いた銃声が病室に響く。
銃弾が発射され、血飛沫が銃口とは反対方向に飛び散る。
蒼の体は、ゆっくりとベッドに横たわり、瞼を閉じる。
『飛来蒼が致命傷を負ったことを確認。システム<亜人>、起動。<灼爛殲鬼>、制限一部解除。頭部止血、並びに損傷箇所修復。身体機能回復』
横たわった蒼の体から、蒼炎が吹き上がった。
その炎は、蒼の体を舐めまわすように這い回り、傷跡を治してゆく。
撃って十秒と経たないうちに、蒼は瞼を見開き、起き上がる。
血痕は、そのまま残っていた。
「──────え?」
蒼は、現状を理解出来ず唖然とするノ夜が目に入った。
「、、、、これに関しては後でゆっくり説明する。待っててくれ、ノ夜」
蒼は<突撃>を手に持ったまま艦内を駆け、艦橋へと辿り着く。
「────随分と無茶をしたわね。自殺して体を治すなんて」
「そんな事はどうでもいい。それより四糸乃ちゃんは?」
艦橋についた直後に聞こえた琴里の言葉を無視し、蒼はそう聞いた。
「今ちょうど士道が向かったところよ。──でも、現状は芳しくないわね。四糸乃は天使を出してASTと戦ってるわ」
「、、、、だったら、もっかい助けに行く」
「駄目よ。今出たところで、ASTに蜂の巣にされるか、四糸乃の天使に氷漬けにされるのが目に見えてるわ。だから「それがどうした?」、、、、は?」
蒼は琴里の言葉を遮り、言葉を発した。
「悪いが、目の前で困ってる女の子が居る状況で、黙って見てろなんざ御免だね。琴里ちゃんが駄目だって言うなら、俺は無理矢理にでも行くぞ?」
「────はぁぁぁっ、、、、、もう勝手にしなさい。こっちでできる限りサポートするから、思う存分暴れてきなさい」
蒼の言葉に、説得は無駄だと確信した琴里は、そうため息混じりに言い放った。
「助かる。んじゃ早速「待ちなさい」、、、、ん?」
お返しと言わんばかりに蒼の言葉を遮り、琴里が声を発する。
「、、、、無茶はしないように、蒼」
琴里は、真剣な眼差しで蒼を見る。
「わーってるよ。そんじゃ、行ってくる」
蒼はそう返した後、霊装をその身に纏い、<バスタード>を呼び出してから背にそれを装着した。
そして転送装置の上に乗り、四糸乃がいる場所の付近まで転送してもらう。
「、、、さて、じゃあ小さい女の子いじめてるヤツらをぶちのめしに行きますか」
背の<バスタード>から大剣を引き抜き、持ち手に力を込めた。
「うん、そうしよう、蒼」
、、、、、うん?気のせいか?なんか隣からノ夜の声が、、、、
「、、、、、、」
蒼は恐る恐る右を見た。
「、、、、ごめんね、私も来ちゃった」
、、、案の定、と言うべきか、そこには純白の霊装を纏ったノ夜がいた。
「、、、、ワッツ!?なんでいるんだよ!?お前さっきまで医務室に、、、」
蒼は、ノ夜を指差しながら声を荒らげる。
「、、実は、天使で蒼の影に潜ってたんだよね。また自分だけ無茶なことしそうだったし。あと、あれ。戻ったらたっぷりと聞かせてもらうからね」
「、、、、、それはそうなんだが、、、、、戻れ、って言っても聞かないよな」
蒼は呆れ気味にノ夜に聞く。
「もちろん。蒼一人だけ危険な思いをするなんて、私が耐えられないもん」
「、、、、今言ってもいいかわからんけど、ほんとノ夜って女神みたいだよな。優しいし可愛いし可愛いし、あと飯が旨いし」
蒼は口から流れるように出てくる本音を、一切の恥を感じずノ夜に向かって告げた。
「────ちょっと、蒼、、、今そういう事言わないで、、、、///」
もちろん、褒められたノ夜は顔を手で覆いながら顔を赤くした。
「、、、よし、行くぞ!!ノ夜!!」
「うん!!」
蒼とノ夜は地面を強く蹴り、空へと駆けた。
その際、蒼の心の中では「、、、やっべぇ、ほんとに女神だよ、、、、そして、今はほんっとこの霊装のフェイスガードっぽいやつに感謝するよ、ノ夜にこんなニヤケ顔見られたくないしな、、、、」と、傍から見れば気持ち悪すぎるニヤケ顔を作りながら呟いていた。
一方その頃。
士道は冷たい雨の中、街を駆け回っていた。
その訳は、<ハーミット>と呼ばれる少女、、、四糸乃に現在彼がポケットにしまっているパペットを届けるためだ。
そのパペットを届け、好感度を上げ、好感度を上げ、キスをし、封印するために。
そして、凍りついた地面に足を取られ、何度も転びそうになりながらも四糸乃の近くまで辿り着く。
『────来るわよ』
耳につけたインカムから琴里の声が聞こえてから程なくして、遠くに巨大な兎のようなシルエットをしたものが見えてくる。
それは、間違いなく四糸乃が顕現した天使、<氷結傀儡>だった。
士道は、その兎に向かって喉を潰さんとばかりに声をあげる。
「四糸乃ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」
「、、、、、!」
兎の背に乗っていた四糸乃が、士道の叫びにぴくりと反応を示した。
どうやら、士道に気がついたらしい。
凍った地面の上をスケートのように滑って移動していた<氷結傀儡>が、士道の目の前で停止した。
そのままその兎が身を屈めたかと思うと、その背にいた四糸乃が、涙でグシャグシャになった顔を上げた。
「お、おう、四糸乃。久しぶりだな」
「、、、、士道さ、ん、、、、!」
四糸乃が身を起こし、首を縦に振る。
その際、四糸乃が<氷結傀儡>に差し込んでいた腕を抜いた。
四糸乃の指先にはそれぞれ指輪のような物が着いており、そこから紐のような物が<氷結傀儡>の穴にに向かって伸びていた。
四糸乃は、<氷結傀儡>を操り人形のように動かしているのではないかと士道は考えた。
「四糸乃、お前に渡したいものがあるんだ」
「、、、、?」
四糸乃が霊装の端で涙を拭き取ってから首を傾げた。
「ああ、これを────」
と、士道がポケットからパペットを取り出そうとした瞬間。
『士道!!』
琴里の叫び声がインカムから聞こえた直後、士道の後方から放たれたと思われる光線が、四糸乃の頬と肩スレスレを通り、近くのビルに着弾した。
「な、、、、、っ」
士道は息を詰まらせながら、後ろへバッと振り返った。
そこには、仰々しい装備をつけた折紙が浮遊していた。
「お──折紙、、、、ッ」
しかも、いつ集まったのかはわからなかったが、士道と四糸乃の周囲には、ASTの魔術師たちが集結していた。
『──そこの少年。危険です。その少女から離れなさい』
機械のような音声で、隊長と思われる女性から言葉が発せられる。
だが、
「ぅ────ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、、、、ッ」
前からそのような声が聞こえたので、士道は顔を前に向けた。
四糸乃が、AST隊員たちを見て体をガタガタと震わせている。
「、、、、、、っ」
士道は、眉をひそめて息を詰まらせた。
瞬間。
「─────ちっさい女の子を集団リンチとは、、、もっかい痛い目を見ないと分からんかこのクソッタレ共めぇぇぇぇぇぇッ!!!!」
そのような叫び声と共に、先程機械のような音声で忠告をしていた隊長らしき人が、突如として現れた機械の足に蹴り飛ばされ、数十メートル先まで吹き飛び、ビルに叩きつけられる。
「ブーチャキックだコノヤローッ!!!俺が
機械が右腕を挙げ、ガッツポーズをとる。
その機械は、人型で、赤く錆びた鉄のような素材でできていた。
「「、、、、、ッ!?」」
士道と四糸乃は、それを見て驚愕する。
「────蒼、、、、っ!?」
「────蒼、さん、、、?」
その鎧、、霊装を纏った人物の名を呼んだ。
「私も居るよッ!!」
更に、蒼の影から純白のドレスを纏った少女が現れ、その少女が手に持つナイフのような物を振りかぶると、ASTの魔術師たちは全員動きを止めた。
まるで、見えない何かに縛られているかのように。
「────っ!?<ヴェンジェンス>に、、、<ナハト>ッ!?なぜ精霊が三体も!?」
縛られたかのように動かないAST隊員の一人からそのような声が上がった。
「士道!四糸乃ちゃん!大丈夫か!!」
その叫び声を無視し、蒼は士道と四糸乃に問いかけた。
「、、、、っ!!ああ、大丈夫だ!」
士道は、宙に浮かぶ蒼にそう返した。
「ここは俺らに任せろ!!お前はとっとと四糸乃ちゃんを封印してやれ!!」
「、、、、、助かる!!蒼!!」
「後で俺とノ夜に飯奢ってくれよ!!お前の作る飯も旨いからな!!」
「────ああ、たんまりと奢ってやるッ!!」
そう話した直後に、士道は四糸乃の耳に口を近づけて、小声で何かを伝えた。
すぐさま動きを止めていた<氷結傀儡>が活動を再開し、ムクリと起き上がった後に地面を滑るようにしてAST隊員たちから離れていった。
「、、、、、さぁて、どう料理してやろうかね、、、、」
蒼は顔と体をゆっくりとASTの魔術師たちに向けた。
その際数名から「ひっ、、、、」と恐怖の声が聞こえたのは、言うまでもない。
「、、、私は今すぐ殺したいけど、、、やめた。蒼に任せるよ」
ノ夜が、剥き出しにしていた殺意を抑え、蒼にそう告げた。
「、、、、じゃあ、ちょっとこのまま抑えてもらっててもいいか?」
ノ夜はその言葉に首肯し、抑える以外何もしないことを蒼に伝えた。
「──さて。んじゃ、ちょっとお説教タイムだ。怖い思いをしたくなかったら、今すぐCRーユニットを外すこったな」
蒼が脅すように言うと、折紙以外の全員が背に付いているCRーユニットを外し、地に落とした。
「、、、鳶一折紙、お前も外せ。悪いが面倒な事とセクハラまがいな事はしたくないんでね」
「、、、、断る」
相変わらずの無表情な顔で折紙は蒼にそう返した。
否、無表情、と言うには少しだけだが違った。
ほんの少し、憎しみを込めた表情であるように蒼は感じた。
「、、、、お前は、なんで精霊が嫌いなんだ?」
どうせ折紙以外はロクに戦えないだろうと感じた蒼は、彼女にそう聞いた。
「精霊は世界を滅ぼす厄災。放っておけば、世界が滅ぶ」
「じゃあなんで、俺らはお前が言う『厄災』なのに世界を滅ぼしてない?」
「、、、、、ッ」
そこで、折紙の息が詰まる。
「俺に、四糸乃ちゃんも、ノ夜も、十香ちゃんも、そうだ。皆お前らが言う厄災だ。でも、ノ夜を見てみろ。数ヶ月前までは悲しそうな顔して、この世界に絶望してたんだぞ。でも、そんな女の子が、今は笑顔を浮かべて普通の女の子として過ごしている。、、、おかしいのは、お前らじゃないか?」
「、、、、ッ!!、、、黙れ、、、精霊は人を殺す、、、、化け物だ」
折紙は、怒りを露わにして蒼を威嚇する。
「、、、お前は、、、、」
折紙のその言葉を聞いた瞬間、蒼の怒りのタガが少し外れた。
「、、、、っ?」
蒼は、折紙のワイヤリングスーツの首の襟を強く掴んだ。
「そういうお前はッ!!ノ夜たちのことを知ってるのかッ!?お前は何も知らないから!!ノ夜たちを自分の知っている情報だけで判断して!!この世の悪だと決めつけて!!殺そうとする!!それが原因になってるって分からねぇのかッ!!!ノ夜は優しい女の子だ!!いつも俺を気にしてくれる!!普通の優しい女の子だ!!それを化け物扱いしてるテメェらの方が、よっぽど化け物だッ!!!」
「、、、、ッ!!」
怒りのままに吐き出した蒼の言葉に、折紙は更に息を飲んだ。
「こういうのがあるから、、、、、クソッ、、、、、」
急に、蒼はワイヤリングスーツを掴む手をだらんと離した。
「、、、俺は、、、、」
蒼は、その場に立ち尽くし、黙り込んだ。
「蒼、、、、」
後ろから、ノ夜が蒼に対して優しい声で名を呼んだ。
その際に、天使による拘束が外れたのを折紙は察知し、手に持つレーザーブレード、<ノーペイン>を起動させて、ノ夜に切りかかろうとした。
だが。
大きな破裂音と共に、<ノーペイン>の柄が吹き飛んだ。
レーザーが消失し、斬撃が空を切る。
「、、、、やっぱりお前ら化け物だよ。これだけ精霊が普通に生きていける証拠があるのに、それを無視して殺そうとする。、、、、クソッタレだよ、お前ら」
右手に持つ対物ライフルを、折紙に向けて構えた蒼がそう呟いた。
「、、、、少しでも考えを改めてもらえればと思ったんだが、無駄だったな、、、クソッ。────四糸乃ちゃんたちの所へ行くぞ、ノ夜」
悪態をつきながら蒼がその場を去ろうとする。
「、、、ッ!?待て────」
折紙が叫ぼうとした瞬間、背に衝撃が走った。
自身が付けているCRーユニットが、蒼の持つ対物ライフルに撃たれたと理解するのには、時間はかからなかった。
CRーユニットが機能を停止し、折紙は地へ落ちる。
その様を見ながら、蒼は四糸乃と士道がいる方向へ体を向ける。
その動作をした直後。
インカムから大きなファンファーレの音が聞こえ、視界のレーダーから精霊の反応が消えた。
「、、、、もしかして、成功か?」
「、、、みたいだね」
蒼とノ夜が呟く。
『、、、、蒼、聞こえる?チャンネルの設定をし忘れてて繋げるのに苦労したけど、とりあえず四糸乃の封印は完了したわ。よくやってくれたわね、二人とも』
耳に付いたインカムから、琴里の声で待ち望んでいた朗報が耳に入った。
「、、、、、いよっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
「、、、、、やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
二人は、歓喜の大声を青空に向かって上げた。
蒼はガッツポーズを、ノ夜は手をグッと握るようにして。
一方その頃。士道は、、、、
「、、、、、うがぁぁぁぁぁぁぁっ!!!もうシドーなぞ知らん!!!またその女といちゃつきおって!!!心配して損をした!!!」
「違うんだ十香!!待ってくれ!!誤解だぁ!!!」
『士道くん、、、責任、とってよね、、、、』
「頼むから火に油を注がないで!?」
士道の危険を感じ、士道の元まで来た十香は今の光景(士道の膝の上に霊力封印の影響で全裸になってしまった四糸乃が乗っている状態)に驚愕し、怒り、その場を走り回っていた。
更に、そこによしのんがさっきの言葉という名の油を注いだため、走るスピードを上げた十香を、士道は金魚のフンのように追っていた。
傍から見てもアウトな状況ではあるが、もしこの場に一般人が居たら更にアウトな事になっていただろう。
はい、いかがだったでしょうか!!
、、、、、個人的にこの話めっちゃ大変だった、、、、 パタッ_(:3」∠)_
誰か、、、、俺の推しの六喰ちゃんの画像かSSを紹介してくれ、、、、、
あ、そうだ。
次回から、狂三キラー編となります!!
ついに狂三登場!!
狂三キラー編は自分的にめっちゃ書きたい所だったので、気合い!入れて!!行きます!!(どっかの戦艦娘風に)
それでは、次回を楽しみにしていただければと思います!!
それでは、サラダバー