ハロに転生したからバナージ導くわUC   作:呼び水の主

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#10 もしかして:覚悟完了

「姫様が行方不明……?」

 

 なぜ、今になって?姫様が行方不明になってから、既に数日が経っているという。

 

 ジンネマンはガランシェールの艦橋に設置された大型のモニターに映る仮面の男─フル・フロンタル─を見上げた。その瞳は猜疑と疑念、不審と畏怖を僅かずつ滲ませていた。

 

『そう睨まないでくれ、キャプテン。私としても甚だ認め難い状況であることに変わりはない』

 

 今や世間ではテロリスト呼ばわり、さらには制服に袖すら通さない、偽装貨物船の船長の皮を被っているジンネマンだが、この瞬間だって自分は1人の軍人のつもりだ。表立って態度に出さない努力はしていたつもりだが、この男の前では無意味らしい。

 

「我々の船に忍び込んだというのは、確かなので?」

 

『君たちが出港前の記録映像が残っている。見るかね?』

 

 結構です、とかぶりを振ってジンネマンは無精髭を指でなぞった。船の中はくまなく探した後だ。その際ジンネマンとフラストの怒号が乗組員たちを震え上がらせたのは言うまでもない。

 

「となれば、今はコロニーの中ってわけか……」

 

 最悪だ。コロニーは外から見てもわかるくらいにボロボロだ。もう一度人が住めるまでにどのくらいかかるか。普通に考えれば、生存の希望などあるはずがない。

 

「マリーダ、なにか感じるか?」

 

 背後に控えるパイロットスーツに問いかける。マリーダは“勘がいい”。彼女はニュータイプほどでないにしろ、自分たち只人よりも遥かに気配に敏感だ。

 

「……申し訳ありません」

 

『いくら強化人間とはいえ、コロニー外から特定の人間を探し出すことはできまい』

 

 強化人間、という言葉に思わず眉を顰める。それすらやってのけそうな男が何を言うか。

 

 謝るマリーダに気にするな、と手を振ってみせた。いずれにせよ、この船がやることはもう決まっているのだから。

 

「我々はミネバ様救出の為にコロニーに戻ります。構いませんね?」

 

『勿論だ。──ああ、それともう一つ。《箱》についてなのだが』

 

「それについては申し訳ありません。事前に動きを読まれていたようで」

 

 思えばパラオを出て、そう時間をおかずに連邦に見つかった件といい、姫様の失踪をやすやすと許した件といい、あまりにも不可解な事が多すぎる。どこぞの“誰”かがかいたシナリオの上で、まんまと動かされているかのような。

 

『──私も出よう』

 

「……本気ですか?』

 

『連邦の動きを見たまえキャプテン。ロンド・ベルに筋金入りの特殊部隊まで出してきている。中身はどうあれ、アレはおそらく“本物”だ。ならばこちらも相応の動きはしてみせねばならん』

 

 暗転したモニターを前に数秒敬礼の姿勢をとったままだったジンネマンは、ようやく腕を下げた。振り返り、キャプテンシートに座る。マリーダは既に艦橋にはいなかった。自分の次の命令を察しての事だろう。

 

「マリーダ、出撃だ。近くまでいけば感じ取れるな?」

 

『了解、マスター』

 

 ノーマルスーツのヘルメットを被りながら、ジンネマンはマリーダにもう何度目かもわからない台詞を返した。

 

「マスターはよせ」

 

 

 

 

 ばーーーーっかじゃねーの!?

 ユニコーンのコックピットに俺(ハロ)専用のシートが設けられているのを知った一番の感想である。デュナメスのコックピットじゃないんだからさぁ……!

 

 しかもコックピットの収納スペースから出てきたパイロットスーツはバナージにピッタリときた。さてはカーディアスおめー、最初から息子乗せる気まんまんだったな?

 

「俺は認めないからな!わかってるのか、戦争なんだぞ!ミネバやタクヤを助けてハイサヨウナラなんて都合のいい話じゃない!それにこの機体は──」

 

「自分から飛び込んでいって、守ってくれなんて勝手なのはわかってる。けどこれ以上、見てるだけは嫌なんだ。オレはオレの意思で、タクヤやオードリーを救いたい。その力が、このモビルスーツにあるのなら」

 

 だーーーっ!これだから嫌だね!ガンダムの主人公ってやつはさぁ!運命に導かれたようにみんなホイホイモビルスーツに乗っちまう。ユニコーンガンダムは確かにお前に無類の強さをくれるさ。けどその力はお前や、周りのやつらを不幸にする。望まないのに殺して、殺されかけて。ハイスクールの学生が背負うには重すぎるんだよ!

 

『この子を、頼む』

 

 別れ際のカーディアスの言葉だ。あいつ、まだ為すべき事があるとか言って燃え盛るコロニーに戻りやがった。たぶん《メガラニカ》に戻ったんだろう。

 

 チッ、詳しい説明全部はしょって全部俺に背負わせていきやがった。《箱》の正体、その場所だって知ってる俺はこのまま暴いてやろうかとも思ったが、やめた。状況があまりにも原作とかけ離れているからだ。この分だと、《箱》がマジで《メガラニカ》にあるかも疑わしい。

 

 それにガエルが追ってくれているとはいえ、ミネバとタクヤをこのまま放って置くわけにもいかないのも確かなのだ。

 

 バナージが俺を見ている。なんだその目は。覚悟完了ってか?

 

「契約内容は全員無事に生き残ること、だったっけ?オレの望みを一つ、叶えてくれるんだろ?」

 

 〜〜〜〜〜ッ!その言葉はずりぃだろうがぁ!チクショウめ……。俺が何者なのかはこの際どうでもいい。というか気にするだけ無駄っていうかもう意味わからんので、俺は、考えるのを、やめた。

 

 それでもひとつだけ確かな事は、俺はバナージのペットロボットで、親父に仕組まれたシステムで、異世界からの転生者で、けどそのいずれも向いてる方向が同じだってこと。バナージを守護る。その一点においてのみ、俺に迷いはないってことだ。

 

「ああ、分かったよ!連れてってやるよ!どうせ後戻りはできねぇんだ、連れてきゃいいんだろ!途中にどんな地獄が待っていようとお前を・・・お前らを俺が連れてってやるよ!」

 

 みんなが笑って迎えられるハッピーエンドまでなぁ!!

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