カバンに突っ込まれてから、オレは自分のバラバラになったボディを自分で組み上げていた。ガシィン!ギュイン!キュゥウン!ブッピガァン!グポーン……。(合体パンク並感)ジィィィィ(ジッパーが開く音)ズン!(オレ、大地に立つ音)
オレは地面に降り立ち、かつては学校だった場所を見回した。空気の焼けるようなチリチリとした熱の残滓を、ボディに内蔵された高性能センサが伝えて来る。コロニーの中で戦闘が始まるのは分かっていたはずだった。例え原作知識があったとしても、今は丸く小さな球体に閉じ込められた自分に、それを止める力があったとは到底思わない。けれど、これから起こるであろう記憶に残っている惨劇は、未来の現実なのだ。物語なんかじゃない。──本当に、死んでしまうんだ。少年達の住む世界が、友達が、父親が。──オレに、どうしろっていうんだ。
そんな時だった。瓦礫の中から、声がきこえた。それはか細くて、今にも消えてしまいそうな小さな囁きにも似ていた。生存者だ。これでも人命最優先を志した元人間である。例え血の通わぬ合成樹脂と金属の身体となろうとも、心だけは。
きっと、目の前にあるわかりやすい正義の目標に飛び付きたい一心だったに違いない。それを現実逃避というなら、いくらでも逃げてやろうではないか。逃げて逃げて逃げまくって、オレは、一人でも多くの命を救いたいのだ。
「マッテロ!イマタスケル!マッテロ!」
バナージは突然カバンから飛び出していったハロを見て、ようやく現実に引き戻された。頭が目の前の光景を理解しようとして、バナージは無理やりそれを止めた。胃の底から這い上がって来る酸っぱさをなんとか抑え込んで、ハロを追いかけることにした。ここで立ち止まっていてはいけないと、本能が急かしているかのようだった。
「バ、バ、バナージ……。これって」
タクヤの震える声なんて、初めて聞いたと思う。だめだ、自分たちは、ここで足を止めちゃだめだ。周りを見ずに、心を水に沈めるように、バナージはただ緑色の球体だけを見つめて歩き続ける。
「行こう、タクヤ。ハロが呼んでる」
「け、けどさ……」
「行くんだ!」
意図しない大声が、タクヤの肩を震わせた。ごめん、と言おうとして、生温い水滴が頬を伝って地面を濡らしているのに気がついた。なぜ、と考えてから、バナージは見知った顔が何人か動かなくなっている光景を思い出してしまって、涙と胃液が止まるまで、その場に蹲って動けなくなってしまったのであった。
タクヤに背中をさすられながら、バナージが落ち着きを取り戻した頃である。小型エンジン特有の駆動音を響かせながら、無人のプチモビがこちらに歩いて来るのを二人は発見した。よく見れば操縦席にはハロが取り付いて、口から伸ばした配線がコックピットに接続されている。今更ながら、もうこのハロは自分の知っているペットロボットではないのだな……とバナージは胡乱な目をしながら謎の球体Xと化したハロを見つめた。
プチモビが二人の横で停止して、焦った様子の合成音声が急かすように話しかけてきた。
「バナージ!ノレ!バナージ!」
どうしてとかなぜとか、様々な疑問が溢れてくるが、その勢いに負けてハロの言う事に従う事にした。先程頭に直接響いた声が、バナージにそうさせたのかもしれない。
今朝から無駄にお喋りになったハロ曰く、生存者を見つけたが自分の操作では瓦礫ごと押し潰してしまう、だから早く動かせということである。
「ユーハブコントロール!」
自分にできることがある。それだけでなんだか救われたような気持ちになって、バナージはただ操縦する事だけに集中した。プチモビが巧みなアーム捌きで瓦礫を取り除いていくのを、タクヤの腕に抱えられたハロの赤い瞳がじっと見つめていた。
*
結論から言う。
──ミネバでした。
やったー!みねばをほりだした!びょういんにつれていこう!ってうぉぉぉい!?もしもしマリーダさん?姫様回収の任はどうしたぁ!
なんでこんなところ(学園ブロック)をフラフラ歩いてるんです?観光?観光なの?そしてなぜガランシェール隊の面子が姫様の捜索してないの?もしかして:誰も気づいてない。お労わしや、姫様……。お辛いでしょう、お辛い……。だからプチモビを持ってくる必要があったんですね!(例の構文)お前ら満足か?こんな展開で。瓦礫から掘り出される姫様とかオレは、嫌だね……。(狙い撃つ人並感)
「うっ……」
フッ、まさに眠り姫だ……。(公)どうやらミネバ様が目を覚ましたようだ。オレ知ってるよ?これからバナージが酷い目にあうってこと。
「きみ!大丈夫!?」
主人公いったぁーー!
「誰かッ!!?」
そしてビンタされたぁーー!理不尽に負けるな!ヒロインと初遭遇した主人公の明日はどっちだ!君は導くことができるか?
我々の業界ではご褒美です
2020/9/6追記
誤字報告ありあとあす!でもハロ→バナージへの操縦権移譲なのでユーハブコントロールであってるます。(スパイファミリー語)
わかりにくいけどハロのセリフだったの。ややこしくてごめんね。