ある所にフェンセと言われる国があった
その国は日本名と外国名の両方が必要な国で様々な国の言語が飛び交っているのが日常
世界的にはあまり有名では無いが裕福な国
町のすぐ隣には大きな森があって森の中には澄んだ湖が
夏になるとキャンプ客で人気だ
アウトドアが好きな人もそうでない人も一度来てみたいと口を揃えて言う程の絶景の街
その国の大きな病院の中では今日も幼い足音が聞こえている
「父さん、母さん、兄さん!!」
家族みんなが集まるのは院長室
この病院の院長は父で、兄さんはその跡取り息子といわれる立場だ
兄さんは花瓶の花を変えている
母さんと父さんは今日の患者さんのカルテを見ていた
「ん?どうしたんだデイブ」
デイビッド・ガラハット・ランドルフ
円卓の騎士の1人
ランスロット卿の息子・ガラハット
それが、この俺の先祖だと言われている
実際に俺はガラハットを見たわけじゃ無いし対して誇らしくも無い
「どうせ『今日は、手術見て良い?』だろ?お前の場合は“今日も”だけどな」
笑いながら言う兄に自分も釣られて笑う
兄の後ろの父と母を見てみる
母も父も困ったように顔を見合わせている事に気付いた
「デイブ、あまり5歳が見るような内容だと父さんは思えないんだ」
困ったような顔をしながら目線を合わせる為、しゃがむ父
母も同様に困ったような顔をしている
「そうよ。人の手術は命が掛かってるの。それを娯楽のように感じてるんじゃないの?」
父と母はやんわり断ろうとしているが、5歳の子供にそれはわからない
母にしがみつくように近づくと両手を広げて受け止める母
そして、上を見上げて母と父を交互に見る
「違うよ。僕は父さん達みたいなお医者さんになるんだ」
もはや口癖になりつつある言葉
家族は次に何を言うのかわかるようで苦笑いしている
「だから、速いうちに人の中を見慣れておきたいんだよ」
結局、母と父は根負けして特等席と言ってモニター室へ連れて行ってくれる
兄は僕の隣でずっと僕の面倒を見ている
次の日の朝
ジンベエと言われる子供用の浴衣
それに着替えるように言われ、何なのかわからないが着替えてみた
普段の服より、涼しく感じてこれ好きだなぁ
「今日は夏祭りだから、ルーカスと一緒にお祭りに行っておいで」
僕と同じくジンベエに着替えた兄さんに手を引かれながら病院から出た
はっきり言ってこの日々はずっと続くと思っていた
夏祭り終盤
すっかり日も暮れ夜風が気持ちよくなってきた
人も昼に比べれば随分、多くなっている
屋台も色鮮やかに照らし出されて、この雰囲気が楽しい
だが、何故か唐突にトイレに行きたくなってくる
「兄さん僕、トイレに行ってくるからここに居て」
かき氷を食べている兄さんに言うと持っていたかき氷も渡す
兄さんは心配そうにこちらをみて
「1人で大丈夫か?」
ついて来てくれそうだ
確かに1人で行くのは怖い
だが、5歳ながらに格好つけたくて
「うん!」
年甲斐もなく変な意地を張って走り出した
「あっ、父さんと母さん!!」
遠くに父さんと母さんを見つけたので走って近寄る
途中で2人も僕に気づいて和やかに迎えてくれた
「デイブ、ルーカスは?」
「兄さん、あっちの方で僕がトイレから戻るのを待ってる!」
「1人で行ける?」
「うん!兄さんとまってて!!」
そう言ってまた走った
アナウンスで後、5分で花火が上がると言っている
早く、トイレに行かないと
トイレの前は人で混んでいて、アナウンスが聞こえるとみんな居なくなる
その人混みにもみくちゃにされながらもトイレに入った
『それでは、皆さん数えてください!5」
トイレに入った瞬間に聞こえた声
アナウンスがカウントダウンを始めたのだ
『4・3・2』
カウントダウンが始まって後、1秒
それに内心焦るが、1発しか打たないと言うことは無い
家族と一緒じゃなくても、花火を見れればいいか
そんな事を考えていた
『1・・・!それでは皆さん、逝ってらっしゃいませ』
一瞬、何を言われているのか理解できなかった
いってらっしゃいませ?
どこに行けと言うのだろうか
花火が上がっているのが見える
高く、高く登っていく花火はそこはかとなく綺麗だった
虹色に変わるような炎色反応は儚げなどを感じさせず会場が湧き上がる
子供ながらに息を呑み、花火が咲くのを待っていた
咲いた瞬間に雨が降って来た
それは、ただの雨じゃ無く毒の雨だ
「あぁぁぁぁぁぁ!!」「だ、誰か!」「ギャァァァァァァァ!!」「助けてー!!」「痛いよ、お母さん!!」
断末魔と言うものが聞こえて来た
悲鳴に助けを求める声
何が起きたのか、理解できずただ呆然とその場に立っていた
触れただけで痛みを催す即効性の高い毒
他の人達がバタバタ倒れていくのを見ていながら思った
家族はどうなったのかと
5歳の子供は確認をする勇気も無く、ただ呆然と人々が死んで行くのを見ているだけだった