気付いた頃には空は何もなかったかのように晴れ渡っていた
毒の雨も太陽の光で蒸発
そのおかげで、外に出ても何の影響も受けなかった
家族が待っているであろう場所へと向かう
結果はもう、幼いながらにわかっていた
わかっていたからこそ、認めたくは無かったのだ
現実は無情だった
地面に横たわっている家族の苦しげな表情
全身が凍るかのような錯覚を覚えた
膝から崩れ落ちるように体が動く
それは、自分の意思と反していたがそんな事はどうでもよかった
視界が涙で歪み、目と鼻が熱くツンと嫌な痛み
「父さん、母さん、兄さん・・・・!!アァァァァァァ!!」
誰が、こんな事を・・・!
幼いながらに湧いた感情は悲しみなんて生優しい物では無い
明確な殺意だ
こんな事をした犯人を殺す
腹の奥底から煮えたぎってくるような感覚
それがいつしか、体に順応し始めた時
「生き残りぃ?残念だったなぁ、パパとママそれと自分の兄貴と一緒に死ななくて」
後ろから聞こえてくる声と足音
その時に風が吹き、血生臭い匂いも空気と一緒に吸い込んだ
「おえっ!」
嗅いだことの無いくらいの血生臭い匂いに思わず吐いた
恐る恐る振り向くと口の周りにべったりと血をつけた男が立っている
本能が警報を鳴らす
「運が悪かったなぁ、俺がお前を半殺しにしてからその後はじっくりと買ってやるよぉ!!!」
舌舐めずりをした男の手元には突如として黒い丸が現れた
なんだ、あの変な丸
そんな事を思ったが、逃げなければ殺される
後ろへと逃げていくが、決して背中を見せることは無い
「逃げらんねぇよ」
まるが一瞬にして消えた
その代わりに尋常で無い痛みが右肩に走る
骨身に染み入るような痛みに地面に倒れ転げ回り、時間が経ちそんな余裕も無くなったのか、転げ回るのすら痛い
「これはなぁ、超能力っていうイメージで出来る物体でなぁ」
痛みによる涙が地面に落ちていく
涙が地面に染みていくのを見届けた時に死を確信した
丸を手のひらで面白そうにコロコロころがす男
ジリジリとこちらに迫ってくるが逃げる気力すら無い
「
つまらない?
なにが、つまらないんだ
『デイブ、命は1つしか無いからそれを一生懸命大事にして生きないといけないんだ』
父の口癖
この言葉を思い出すと自然と先程の痛みの涙とは違い、悲しみの涙が流れる
歩いて寄ってくる男を睨みつけた
こんな奴に父さん達は殺されたのか
「ふざけんな、なんで父さん達が・・・」
走って近寄ってくる男は、顔を怒りに染めている
怒りたいのはこっちだ
なんで、お前が怒るんだよ
「なんてぇ?聞こえねぇよそんな小さい声じゃ!!」「ガハッ!」
腹を蹴られ、遠くまで転がる
どういう訳か鼻血が出ており、鼻の中が生温くる感じた
腹部がジンジンして痛い
男はと気になってしまい、男の方を見る
母の肉を食っていた
思わず目を背けることが出来ない
それ程、衝撃的だったのだ
母だった物は男の口の中にどんどん運ばれている
湧いてくるのは憎悪、嫌悪、憎しみ・・・
そんな負の感情ばかりだった
「・・・死ねよ、クソ野郎」
気付いたら両手には、2丁の拳銃が握られておりその弾丸を撃ち放った
「ゴフッ!」
弾丸は男に当たり、男の白い服に赤が染み込んで行く
口から血を吐いた男はこちらを見ると、血相を変えている
それからも何発も何発も撃ったけど男は死なない
しぶといなぁ
「頼む!命だけは・・・!なんでも欲しい物をやるから!!」
必死の命乞いも何回目だろう
だが、欲しい物という単語にすごく興味を惹かれた
「欲しい、物・・・?」
「そうだ!!」
尋常で無い喰いつき方をする男はまるで希望を前にしたようだ
そんな男を光の無い、5歳らしく無い冷たい目で見据えた
「じゃあ・・・元の、日常生活、を返し、てよ」
今、思えば呪いだったのだろう
人を殺すことだけが出来ない能力
それ以外の事は大抵は出来るのに、何故か人だけは殺せない
あの後、警察に保護された俺は親戚の家に渡った