どうも、タコゾネスになっていた人こと、オクトです。
私が今背負っているのは、私のチームのリーダーのローラーです。
何があったのかは前回を見てもらうとして、今はローラーが住んでいるヒラメが丘団地に向かってる所です。
1号と2号の追撃が来ないか心配していたが、どうやらそのまま撤退してくれたようだ。
にしても…ハイカラシティ内ではブキの使用を禁止してるくせに良くもまぁ……
1人でぶつぶつ呟いていると、背中にローラーがモゾモゾ動き出した。
「……あれ…俺は…ってオクト!?」
「アッ…気ガ…付イタ…」
すると、慌てた様子で背中から降りた。
「……誰かに俺の姿、見られてないよな…!?」
「今ノ…時間…起キテ…ルノ…私ト…ローラー…」
「まぁそうだけどさ…もし見られたら恥ずかしいだろ!?」
「アァ…ナル…ホド…」
そんなこんな話をしている内に、ヒラメが丘団地に到着した。
ローラーが言うには、ここには多くのイカが住んでいて、ハイカラシティに憧れてやって来たイカ達もここで部屋を借りてるらしい。
しかもガス、水道、電気もしっかり設備されて、1ヶ月の家賃が5000ゲソでときたものだ。
しかも風呂付き。
イカ達はお風呂や水に浸かると溶けるけど…それでも集まる訳だ…
そして、ローラーに案内されると、ローラーの住んでいる部屋に着いた。
「少しごちゃっとしてるが、我慢してくれ」
「問題…ナイ、ボーイラシイ…部屋ダナ…」
テレビの前に小さなテーブルに、ソファー、シングルベッドの側の壁にポスターやフィギュアに靴等が置かれていた。
イカ達は適当だけど物持ちはいいらしく、記念物や靴等をディスプレイとして保管するらしい。
キッチンは冷蔵庫や炊飯器、電子レンジやトースターが置かれていて、二口コンロの側に電気ケトルや調味料と、一人暮らしにしてはかなり充実していた。
「一人暮ラシ…ニシテハ……色々…充実シテイル…ナ」
「あぁ、実は数ヶ月前に両親に頼み込んで上京して来たんだ。そしたら両親から仕送りが毎月届いてな…」
「…ナルホド…イイ…両親…ダナ…」
そんな話をしていると、何か思い出したようにポケットから何かを取り出した。
「そういえばオクトと連絡先交換するの忘れてたからな、オクトはイカフォン持ってるか?」
ナワバリバトルをするにも、ガチマッチをするにも、友達とワイワイ楽しむにも、4人居ないと始まらない。
そんな問題を解決するのがこのイカフォンである。
イカフォンは簡単に言うとSplatoonの世界のスマホの事です。
私のポケットの中にも入っていて、何か情報が入ってないか調べた所……残念ながら新品でした……
嬉しいような…悲しいような…
「アァ…持ッテル……イカリング…デ…登録…スルノ…カ?」
イカリングは、Splatoonの世界で配信されている無料のアプリで、友達とのメールや電話が無料で出来るので、世界中のイキモノが使ってる程の人気のアプリである。
イカリング自体は現実でも使われていたサイトだったが、Splatoon2が出てからは新たに出たイカリング2と交代するようにサービス終了した。
まさかこんな形でまた使う事になるとは思わなかった…
「…よしっ、これで大丈夫だな」
「アリガ…トウ…」
「……フアァァ……ッ!……ココハ…」
ローラーの家に案内されてから数時間後、ローラーに敷いてもらった布団から目を覚ますと、カーテンから朝日が差し込んでいた。
(……やっぱり夢じゃなかったか〜…)
寝るまでは本当は全部夢オチなんじゃないかと思っていたが、どうやら夢じゃないらしいです。
目を擦りながらイカフォンを確認すると、時刻は午前6:30になっていた。
記憶が正しければ人間だった頃は普通に8時半までぐっすり寝てたと思う……
タコ達は勤勉で真面目って言われているから朝もキッチンと起きたのかも…
逆にイカ達は享楽的だからか、早起きはしないらしい……やっぱり私…タコじゃなくてイカになるべきだったんじゃ…
とりあえず……ローラーにお礼を兼ねて、朝食でも作ってあげますか…
「…んっ…ふぁぁぁぁ……おはようオクト…あれ…オクト?」
ローラーが目を覚ますと、オクトが眠っていた敷布団に姿が無かった。
すると、何やらザクザク、コツコツとキッチンから音が聞こえてきた。次いでに何やら美味しそうな匂いまでしてきた。
キッチンを覗いて見ると、プロテクターの上にエプロンを着けながら何か作っていたオクトの姿があった。
「アッ……ローラー…オハヨウ…朝食…出来タカラ…」
ローラーをテーブル前に座らせると、オクトがご飯、味噌汁、卵焼きに焼き鮭、えんぺらレモンの皮の浅漬けを載せたお盆をテーブルに置いた。
「え……これ…いいのか…?」
「泊メテ…クレタ…オ礼…」
「あ…ありがとう……」
「ふぅ……誰かの手料理を食べるのは…久しぶりだったな…」
あまりに美味しかったのか、物の10分で平らげてしまった。
「ご馳走様…ありがとなオクト、美味しかったぜ」
「ソレハヨカ…ッタ…」
食べ終わった皿を回収しながら皿を洗い始めると、ローラーの携帯に電話が掛かってきた。
「おっ、ネクロ、今日もナワバリバトルか?…了解、それじゃあロビー集合な」
「今日モ…ヤルノカ?」
「あぁ、今日は練習も兼ねてな。チームとの連携を取るためには大切だろ?」
「ソウ…ネ……ンッ?」
すると、ローラーの頬を見ると、米粒が1粒付いていた。
ローラーは気付いてる様子は無く、キョトンと私の事を見ていた。
ここは普通に教えるのではなく、ちょっとからかってみる事にした。
「ん?オクト、どうした?」
「ジット…シテ…」
「え?」
するとスコープを外し、ローラーにゆっくりと近付くと、ローラーの頬にゆっくりと顔を近づける。
「オ、オクト!?」
慌てながら顔を赤らめながら同様すると、オクトの鼻息が頬に当たる程近くに顔を近付けていた。
「ホラ……オ弁当…付イテタ…」
「……」
「……ローラー…?」
急に静かになったローラーの顔を見てみると、顔から蒸気を発しながらその場に倒れてしまった。
「アララ……」
待ち合わせ場所のロビーに着くと、先にわかばとネクロが着いていた。
「あっ、ローラーさんとオクトさん、おはようございます!」
「オハ…ヨウ…」
「あれ……ローラーさん、なんで顔が赤いのですか?」
「アァ……色々…アッタ…」
「満身創痍…」
「う…うるさい…!」
「とりあえず、今日も練習頑張りましょう!」
「御意…」
そして4人がロビーの中へと入っていくと、スタジオで休憩している2人のガール、シオカラーズがその姿を観ていた。
「あのオクタリアン!なんで他のイカと活動してるの!?」
「洗脳してんじゃね?もしくはイカとして紛れてるつもりだったり…」
「何にしても!絶対何か企んでる!」
「まぁアオリちゃん、暫くは様子を見よ」
「ぐぬぬぬ……あれ、スタッフさんどうしました?え!?もうハイカラニュース始まるって!?」
「やば……時間見てなかった…」
こうして2人は、地上に現れたオクタリアン事オクトを監視しながらも、今日もアイドルとして活動していくのであった。
続く……?
いやはや……小説を書く為にSplatoonの世界について色々調べようとした結果、イカすアートブック2冊とHaikaraWalker買っちゃいました…!
今回ちゃっかり出てきたえんぺらレモンもアートブックに載っていた果実です(浅漬けはオリジナルですが)
もしよろしければ、感想や評価の方もよろしくお願いします…!