「そのカード、昨日クリミナルファイターが使ってたやつじゃん」
たまたま、近くでカードを広げていた子の手元に目が行って、特に悪気など無く言ってしまったその一言。
その一言が、どれほどひどい言葉だったのか、気づいたのは言った後だった。
当時の自分は、本当に悪気はなかったのだ。ただ、見たままのことを口にしただけで。
ただ、周りの人たちがだんだんと過熱していくにつれ、自分がとんでもないことを言ってしまったことに気づいた。
犯罪者と嗤った人たちの中で、自分は何も言えなかった。
彼女は、それ以来そのカードを学校に持ってくることはなかった。自分がデンジャーワールドを使っていたことをほのめかすようなものは徹底的になくした。
ほどなくして、その話は誰もが忘れていった。
けれど、忘れられなかった。
自分のせいで起こったことをどうして忘れられるか。
自分のせいで起こったことなのに、止めようともしなかったのだから。
その贖罪ではないけれど、自己満足のために、やがて自分はデンジャーワールドのデッキを作り始めた。そのうち、デンジャーワールドにかかわらず、ヒーローワールドやカタナワールド、レジェンドワールド、様々なワールドのデッキを作った。
そんなんだからバディがいないんだと言われることもある。一つのワールドに力を注ぐファイターからは馬鹿にされることもある。けれど、それでも自分はやりつづけた。
いつか、彼女と……本気でバディファイトをしたくって。
「あー、負けだ」
アーマナイトグリフィンAがソウルに入ったリクドウ斬魔とアークエンジェルの二回攻撃にすでにソウルガードを一回削られていたデモンゴドルが倒れ、さらにライフも削られて、瀬川義則は負けたと笑った。
目の前の少女は、少しだけ緊張した様子だったが、それでも嬉しそうに笑っていた。
周りは、いつもと違う少女のデッキになんだなんだと見ている。
デュエルドラゴンとアーマナイトのデンジャーワールド対決は、こうして終わった。
けれど、ゲームに終わりはない。
「ちょっと、このデッキいつ作ったの?」
「あれ、デンジャーワールドじゃん」
「アーマナイト?」
ファンデッキじゃないデッキを使っている、これはなんだと友人から質問攻めをされ、目を白黒させている彼女に、言った。
「じゃあ、次は武装騎竜で挑戦しようかな」
「え」
「次は負けないから」
次は、絶対言うから。
君が一緒に戦っている仲間達は、強くてかっこよくて、すてきな仲間なんだ。って。
さぁ、バディファイトをしよう。
とっても楽しくて、おもしろいゲームを。
一年ほど前から構想があって、ある程度書き終えていたものの、お蔵入りしていた小説でした。
今回、バディファイトの終了のお知らせを聞き、気付けばかき上げていました。
私は、バディファイトが好きです。公式は終了してしまうけれど、きっとこれからも好きだし、楽しかった思い出を忘れません。
ここで言うのもなんですが、本当に、バディファイトと出逢えて良かった。
若干、二人のその後の話など構想があるので、いつか続きを描くかもしれません。