明久side
妹紅から外出禁止を宣言された翌日、華扇が僕の所へとやってきた
どうやら気絶した僕を魔理沙が寺子屋まで運んで、そこからは華扇が妹紅の家まで運んでくれたらしい
妹紅は会わせる気はなかったみたいだけど、昨日のこともあるのか華扇は渋々会わせることにしたらしい(という表情を妹紅がしていたって華扇が言っていた)
そして、時間もお昼ご飯も近い時間だからと妹紅は料理をしていて、この部屋には僕と華扇の二人きりになっている
「それで、体の方はどう?」
「うん、体は大丈夫」
「そう、それはよかったわ」
たっぷり寝たおかげで体もかなり回復した
「それじゃ、私は帰ることにするわ。長居しすぎるのも申し訳ないから」
華扇はそう言って、立ち上がろうとした
「待って、華扇」
「…なに?」
僕はとっさに華扇を引き留める
「…少しだけ、悩みを聞いてもらえないかな?」
「いいわよ、思う存分言いなさい」
華扇の言葉にホッとし、僕は華扇に悩みを打ち明ける
「…僕は気づいたんだ。修行もしてるし、少しずつ強くなってはいるって。だけど、それはそう思い込んでいるだけだって…」
「…」
「レミリアと…そしてフランドールと対峙したときに、僕は足が動かなかった…魔理沙と霊夢の足を引っ張っているだけだって…」
「…そう。それで、明久はどうしたいの?」
「…僕は、もっと強くなりたい…どうすれば強くなれるかな…」
それが僕が今回の異変で気づいたこと。僕は霊夢と魔理沙の足を引っ張っていただけだ…
「そう、随分弱気に考えてるのね。霊夢と魔理沙?だっけ。その二人にあって明久にないもの。それは確かに経験よ。でも、それだけじゃないわ。明久には戦う理由がない。なぜ明久は異変解決に行ったのか。それが答えよ」
戦う…理由…?
「だって、あれは魔理沙に連れていかれて!」
「そうやって、言い訳するの?確かに明久は強引に異変解決に連れていかれたのかもしれない。でも、断ることだってできたはずよ。違うかしら?」
「そ、それは…」
言い返せない…
「明久、自分の意志で行ったのでしょう?それでいざ敵と対峙すると恐怖してマイナス思考になっている…それだったら明久の意志が弱いだけよ。そうやって、現実からも目を背け続けるの?」
華扇の言うとおりだ。僕は現実から目を背け続けて、言い訳ばかりしているんだ。幻想郷に来た理由もそれだということを忘れて…同じことを繰り返していたんだ…
「…そうだね。僕は目を背け続けていたんだね…僕は…僕はどうしたらいいかな…」
「…まずは現実と向き合いなさい。何事にも動じない、強い心を持つの。そして、自分が戦う理由を見つけなさい。私からアドバイスできることはこれだけしかないわ」
現実と…向き合う…
だったら…僕が逃げた過去と…
「…華扇、ありがとう。僕、決めたよ。これからすべきこと」
「そう?」
「うん。僕は…僕は外の世界に帰る。一度背けた現実に、もう一度向き合ってみる」
それが僕の答えだ
「…そう。それが明久の答えね。でも…言う相手が違うんじゃない?
ねぇ、妹紅?」
華扇は僕の言葉に頷きながら、扉の向こうに向かって声をかける
え?妹紅?
「…なんだ、気づいてたのか」
「バレバレよ。扉越しに私達の声なんか聞いて…」
「もしかして妹紅…今の、全部聞いて…」
全然気づけなかった…
「ああ、全部聞いていたさ。だが、私は明久から直接聞きたい。私に話せないような事じゃ、許可をするなんて出来ないからな」
「…妹紅、僕は外の世界に戻るよ。いつまでも現実から目を背けているようじゃ、僕は強く離れない…そう思った。だから、外の世界で自分を見つめ直して、精神的にも強くなりたい!」
僕の考えを、思い切って妹紅に伝える
「…そうか、わかった。でも約束だ、必ず帰ってこい。ここは明久の家でもあるんだ」
「妹紅…」
僕の家でもある…か…
「さて、八雲紫。どうせどこかで聞いているんだろう?こういうわけだ、明久を外の世界に返してやってくれ」
妹紅は誰もいない場所に向かって紫さんの名前を叫ぶ
すると、先程まで何もなかった場所に切れ目ができて、そこから紫さんが出てきた
「あら、気づいてたの」
「…気づいたも何も、明久をここに連れてきたのはあんたで、前もこんなやり取りをしただろうが」
「まぁいいわ。それで、明久を外の世界に返したいとのことでしたね、わかりました。それともう一つ…明久、貴方はもう一度幻想郷に帰ってくるつもりはありますか?」
紫さんがそう聞いてくる
…もう一度幻想郷に帰ってくる気はあるか…か。答えは決まっている
「うん。妹紅にも言われたけど、ここは僕の帰ってくる場所だ。僕はもう一度…ここに帰ってくる」
「そう、それならこれを渡しておくわ」
紫さんが渡してきたのは、お守りのようなもの
「これは?」
「幻想郷と外の世界の扉を開く鍵のようなものよ。これを使えば、自由に外の世界と幻想郷を行き来できるわ。ちゃんと手順は踏んでもらうけどね」
外の世界と幻想郷を自由に…
「ありがとうございます!」
こうして、僕が外の世界に帰ることが決まった
一度現実から目を背けた僕がもう一度、現実と向き合うために…
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超展開&相変わらずな雑な終わり方ですが、これで紅霧異変編は終了です
来週からはバカテス側の物語の更新になります