明久side
妹紅に人間の里への行き来の許可をもらい、一か月ほど経った
妹紅との修行や、魔理沙の魔法の稽古を繰り返していくうちに、僕はどんどん強くなっていった(妹紅談)
今日は修行も何もなく、たまには人間の里でもウロウロしようかなと、人間の里に来ていた
ある程度眺め終わり、何も考えずに歩いていると、目の前に見知った顔がいることに気づいた
「阿求!」
「あら、明久じゃない。久しぶりね」
彼女は稗田阿求、僕が幻想郷に来た頃に出会った友達だ
「久しぶり~。今日は何もないから、人間の里のお店をいろいろ見てみようと思ったんだけど、阿求はどうしたの?」
「私は資料の作成のために借りてた本を返しに行くところよ」
本を返しに?貸本屋なんてあるんだ
「ここには貸本屋もあるの?」
「ええ。流石に稗田家だけにすべての本が集まってるわけじゃないから、ないものはその貸本屋で借りてるのよ。ちょうどそこよ」
「鈴奈庵…」
阿求が指さした場所には鈴奈庵と書かれたお店があった
たまに通りかけたときに、いろんな意味で少し変わった雰囲気を感じるお店だと思ったけど貸本屋だったなんて
「明久はこういうお店は初めて?」
「うん。今までは食料の買い出しとかでしか人間の里に来なかったから、それ以外の場所はあまり知らないかな…」
「なるほどね…とりあえず入りましょう」
僕と阿求は、のれんをくぐった
「いらっしゃいませ…って阿求と…誰?」
「ハァ、いくら片方の客が知り合いだからと言ってその態度はないでしょう、小鈴」
「いやぁ、阿求の顔が見えたからつい…で、そっちは本当に誰?」
「彼は私の友達の吉井明久。最近この近くに住み始めてて、たまたま会ったからここに案内してきたのよ」
「吉井明久です。よろしくお願いします!」
阿求の言葉に続けて、僕は自己紹介をした
「阿求の友達!?珍しい…私は本居小鈴。ここ鈴奈庵の店番をやってるよ、よろしく」
「失礼ね。とりあえずこれ、借りてた本よ」
「これで全部ね。中を確認するからちょっと待ってて」
そんな二人のやり取りを横目で見ながら、僕はお店の中を眺めた
「へぇ~。いろんな雑誌や経典…いろんな本がある」
「お、中を見ないである程度内容を知ってるなんて…もしかして、結構外来本を読んだことがある?」
「外来本?外の世界から来た本ってこと?」
「外来本が何なのかを知らないなんて、意外だねぇ。まぁ、大体そんな感じだね」
外来人みたいな感じで外から来た本を外来本って呼んでるのか。でも、確かにそうやる特別がつけやすいのかな?
「うわぁ、『ノストラダムスの大予言』なんてある。久しぶりに見るな…」
「おっ、明久はその本が何なのか知ってるんだ!外の世界から流れてきた預言書!実際は外れてるけど…」
知ってるも何も、ノストラダムスの大予言はそこそこ話題になっていた本だ。…と言っても、僕が生まれたころにはもう少しで予言した日だったから、話題性は薄いけど
「そういえば言ってなかったわね。明久は外の世界から来たそうよ」
阿求がそうやって口をはさんだ。そういえば言ってなかったや
「そうなの!?これはまた珍しい!ってことは、外の世界のものとか持ってない?」
僕が外の世界出身だと聞いて、小鈴のテンションが上がる
「うーん…残念だけど、持ってない…かな。外の世界の実家にはあるんだけど、家には帰りたくないし、持ってこれるかわからないし…」
「そっか~、それは残念」
それにしても、さっきから感じる不思議な感じ、この本かな?
「なんだかこの本、ちょっと変わった感じがするんだけど…」
「妖魔本にまで目をつけるなんて、明久はただものじゃないね!」
妖魔本…なんだろう
「なにそれ?」
「主に昔の妖怪が書いた本の事よ。その中には、ただの落書きだったり古典、魔導書だったりするみたいだけどね」
「だいたいは小鈴の言うとおりね。それにしても、普通の人間である明久が妖魔本の妖気を感じ取るなんて、敏感すぎないかしら?」
「うーん…日頃の特訓のしすぎとか?」
妹紅は妖術を使うし、そういうのがあるのかもしれない
「そういうものかしら…まぁ、そういうことにしておくわ」
「そういうこともあるんだね~…阿求、確認終わったよ!」
「そう。それならそろそろ帰るわ。時間もいい感じに過ぎたことだし」
そう言って阿求は時計を見る
もうすぐ五時だ…って五時
「うわっ、僕もそろそろ帰らなきゃ
二人とも、またね!」
「そう、じゃぁ、二人ともまた来てね~」
そう言って、僕は外へ出る
「今からならまだ六時までには間に合うかな…」
鈴奈庵で話し込んでいる間にかなりの時間が経っていた
妹紅は竹林と人間の里の行き来を認めてくれたが、門限は六時だ
それまでに帰れなかったら怒られる…!
「ちょっと、そこの君!」
そんなことを考えながら人間の里を出ようとすると、近くにいた右腕に包帯を巻いた女性に呼び止められた
どうしたんだろう
「こんな時間に一人で里の外へ向かおうだなんて何考えてるの!」
「いや、僕は家に帰ろうと…」
「人間が人間の里の外に住んでるわけないでしょう!ちょっとこっちに来なさい」
そう言って、女性は僕をつかんで里の中心へと引っ張る
この人、力が強い…!
「君、どこの人?」
「いやだから、僕の家は迷いの竹林の…!」
「だから人間が人間の里の外に住んでるわけないって言ってるでしょう!」
この人、僕の話を全然聞いてくれない…
「だったら、寺子屋の慧音先生が僕のことを知ってるんで、とりあえずそこに行ってください!」
「寺子屋?まぁいいわ。寺子屋に行けばいいのね」
とりあえず慧音さんに事情を説明してもらおう
「外が騒がしいと思ったら、明久か…また珍しい人と一緒に居るね」
そう言いながら、寺子屋の中から慧音さんが出てきた
「助けて慧音さん!この人が家に帰してくれない!」
「失礼ね、私はこんな時間に里の外に出ようとした人間を保護しただけよ」
「あー…山の仙人よ、その子の言ってることは本当だ。迷いの竹林に私の知り合いがいてな、そこに住んでいるんだ」
「…えっ」
どうやら、ようやく理解してくれたようだ
「実はな…」
先生説明中…
「本っ当にごめんなさい!」
慧音さんの説得のおかげで解放された僕は、目の前の女性に謝られていた
「いえいえ、わかってもらえたなら大丈夫です!」
「自己紹介がまだだったわね。私は茨木華扇、山に住んでいる仙人よ。茨華仙共呼ばれているわ」
「僕は吉井明久です。よろしくお願いします、華扇さん」
「私のことは華扇でいいわ。気軽に呼んでちょうだい」
「ところで明久、時間は大丈夫かい?もうすぐ六時だが…」
えっ、それはまずい
「大丈夫じゃない…」
「本当にごめんなさい!私もいっしょに行って謝るわ。今回は完全に私が悪いんだし」
「私もいっしょに行こう。一応、第三者が居るのもいいだろう」
大丈夫かな…妹紅、怒ってないかな…
そんな不安を抱きながら僕たち三人は人間の里を出た
少年達移動中…
「ただいまー…」
「…明久、今何時だと思っているんだ?私は六時までには帰るようにといつも言っているよな?」
うっ…すごく怒ってる
「ごめんなさいっ!彼を怒らないで上げてください。私のせいです!」
僕の後ろにいた華扇が妹紅に対して頭を下げる
「…あんた誰だ?」
「まぁまて、妹紅。今から事情を説明するから、怒るのはその後でも遅くはないだろう」
「はぁ、慧音まで居るってことは、ほんとに何かあったんだな…」
「実は…」
妹紅は少し落ち着いたようで、僕は説明を始めた
少年説明中…
「明久が悪くないのはわかった。仙人も、明久の事をよくわかってなかったんなら仕方がない。今回は仕方ないということにしておくけど、次はないからな!私がどれだけ心配したと思ったんだ!」
「…ごめん」
どうやらかなり心配をかけていたようだ
「…妹紅も保護者代わりと言っていたが、これは完全に保護者だな(ボソッ)」
慧音さんから何か聞こえたような気がしたけど、気のせいだろう
「とりあえず、時間も遅いし、慧音たちもご飯を食べてく?」
「そうだな。私はお邪魔しよう」
「私は遠慮しておくわ。私のせいで心配させておいて一緒にご飯は…ちょっと気まずいから」
そういうと、華扇は家の外に出ていこうとする…って、一人で大丈夫だろうか
「華扇、一人で大丈夫?」
「私を誰だと思ってるの?仙人よ?」
そういうと、華扇は家を出て去って行った
「…大丈夫かな?」
「まぁ、迷ったら泣きついてくるだろう、放っておいてもいいんじゃないか?」
「山の仙人、茨華仙は動物と話せるという噂があるから、もし迷っても動物に聞いたりするだろうし、問題ないさ」
うーん、そんなものかな?
そんなことを思いながら、僕たちは夕食にした
途中、お酒に酔った妹紅が心配したぞと泣きついてきて大変だったけどそれだけ心配してくれたのだろう。心配させないためにも、しっかりしないと
そして、およそ一か月後…幻想郷全体を、紅い霧が覆う僕にとっての初めての異変が発生するのだが、その時の僕は、そんなことが起きて心配をかけるなんて思ってもいないのだが…
誤字脱字ありましたら、報告お願いします
終わり方が相変わらず雑ですが、これで序章終了です
まだ霊夢が出てないじゃん!と思うかもしれませんが、霊夢が出るタイミングは紅霧異変が発生して、その時にあんた誰!みたいな感じにしても面白いなと思い、まだ登場させてません
現時点での明久の強さは、最低限の強さ、伸びしろに期待といった感じです
次回からは紅霧異変!と行きたいところですが、序章とはいえ一章が終了したため、明日からは一旦バカテス側の物語、清涼祭編に入ります
なので、清涼祭がどれくらいで終わるかわかりませんが、紅霧異変は一か月ほどお待ちください(話数次第なので、半月ほどかもしれませんが…)