有り得ざる世界の有り得ざる恋   作:ゆくゆく

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マジでサンラクさん書くのムズいっすわ……サンラクメインの二次創作書いてる人凄いですね。


有り得ざる出会い

 「早く着きすぎたか……?」

 

 時刻は午前11時。()()との待ち合わせ時間にはまだ30分近い猶予がある。

 

 「……にしてもあんなにも話が合う奴がいるとはな。クソゲーも結構やりこんでるらしいし」

 

 シャンフロで出会った俺と全く同じプレイヤーネームをした女性プレイヤー……『サンラク』。初めて会った時は結構ビビったな。いくらサンラクがそう珍しくない名前とはいえ()()シャンフロで俺以外にサンラクがいるとは思わなかった。偶然の出会いを果たしたあの日以降、やたらと気があった俺たちは今日ついにリアルでの邂逅を果たすこととなったのだ……!

 

 「そういやサンラク氏の見た目聞いてねえな……一応こっちの格好は伝えたが」

 

 「……あのー、すいません。ひょっとしてサンラクさんですか?」

 

 うぉっ!?振り返った瞬間に後ろから声をかけてきた、だと……!?いや、それより今サンラクって、

 

 「あー、ひょっとしてサンラク氏?」

 

 「おー、やっと会えた!私は陽務楽羽、よろしく!」

 

 …………っ!?今なんか一瞬意識トンでたような……気のせいか?いや、それよりも

 

 「マジでか。……あー、俺は陽務楽郎。よろしくな」

 

 まさかの苗字被りまで起こるとは。え、ひょっとして親戚とかだったりするのか?

 

 「え!?まさかの苗字被り?くく、すごい偶然じゃん」

 

 「全くだな。趣味も同じで苗字も同じ。実は親戚だったりしてな」

 

 「そうだとしたら面白いけどなー。まぁいいか、今日のメインは別にあるしねぇ!」

 

 そう、リアルで会うという危険を伴う行為をしてまで俺がサンラク氏……いや、楽羽氏と会うことを決めた理由。それは……

 

 「じゃーん!超レトロクソゲー!『アロワナ』!!」

 

 「うおお、すげぇ!ホントに実在していたとは……!!」

 

 俺どころか父さんがまだ子供だった頃くらいのレトロゲー『アロワナ』。シンプルな横スクリーンアクションゲームなのだが操作するのは後ろに戻れないアロワナ。さらにステージは初見殺しのオンパレード、セーブは回数制限付きととんでもないクソゲーなのだ。武田氏もほとんど見たことは無いらしいこのゲーム。なんで楽羽氏が持ってるんだ?

 

 「ふふふ、当然やるだろ?楽郎くん!」

 

 「もちろんだ、楽羽氏ィ!」

 

 ネカフェ目指していざ鎌倉ァ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はあああああ!?今の完全に避けたろぉ!?」

 

 「あははははっ!!おいおい、楽郎くん、全然出来てないじゃん!!」

 

 「うるせーっ!!もう一回だァ!!」

 

 ぐおおお、これはなかなかのクソゲーだな。やることがシンプルな分フェアカスなんかとは違ったベクトルで心が抉られていく……ってああああ゛あ゛!!!

 

 「全く、見てらんないね楽郎くぅん!おねーさんに代わってみたまえ!!」

 

 何回目かの失敗の後、俺からコントローラーを奪いプレイを始める楽羽氏。……ちょっと近くない?いくら俺がクソゲーに魂を売り渡してるとはいえ俺も高校男児の端くれ

。女子にこうも密着されるとどうも居心地が悪いんだが……

 

 「ほらほら、見なよ楽郎くん!私の華麗なアロワナさばきを!」

 

 「あー?……マジか」

 

 うお、すげぇ。俺の時は目の輝きを失っていたアロワナが正しく水を得た魚の如くはね回っている。

 

 「っしゃあ!一面クリアぁ!!見たか、クソワニィ!私のアロワナの前じゃぁワニと言えどもご飯になるしかないんだよ!!」

 

 うーむ、これはすごい腕前だ。ことレトロゲーに限っていえば楽羽氏って俺やカッツォより上手いんじゃねーの?

 

 「ほら、楽郎くん!ハイタッチ!いぇー!!」

 

 「お、おう。いぇー!」

 

 ……なんだ、この気持ち。楽羽氏の笑顔見てると変な気分になってくるな。なんか胸の当たりがザワザワするというか……外道共に煽られた時ともまた違う何かが……うーん、分からん!

 

 「ねーねー、らくろーくーん。私お腹すいたんだけど、なんか頼まない?」

 

 「お、おう。楽羽氏はなんか食いたいのあるのか?」

 

 「んー……あ、これなんかいいかも」

 

 んー、どれどれ?……ああ、ラーメンか。いいんじゃないだろうか。どうもここの店冷房がキツいから少し寒いんだよな。

 

 「いいんじゃないか?俺は……魚介ラーメンかな。楽羽氏はどうする?」

 

 「私も魚介ラーメン!美味しんだよねぇ、あれ」

 

 ホントにさっきから色々被りまくるな。こういうのが運命って言うのか?…………ああ、くそ!さっきからなんか変なんだよ!

 

 「……?どしたの、楽郎くん。ラーメン頼んじゃうよ?」

 

 「あ、ああ。頼むわ」

 

 しばらく待ちラーメンが2つ運ばれてくる。

 

 「いただきまーす……んー、美味しい!」

 

 「いや、これほんとに美味いな。割と店の味に近いんじゃねーの?」

 

 「ですなぁ…………ねぇ、ところでさぁ、楽郎くんって誰かと付き合ってたりするの?」

 

 はぁ?自慢じゃないが俺の青春は既にクソゲーの悪魔に売り渡されている。そんなピザる可能性を存分に秘めたイベントフラグを立てた記憶はないな。

 

 「ないない、有り得ねぇよ」

 

 「ふぅん……そうなんだ」

 

 ……?何だったんだ?それはそれとしてなにか物足りないような……エナドリ置いてないかな、ここ。自販機くらいならあるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「しゃオラァ!見たかコラァ!!」

 

 長かった!ラーメンと自販機産のエナドリで充分に活力を回復した俺は午後もまたアロワナに挑んだんだが、キツかった!いきなり説明もなくボス戦で画面全体攻撃を仕掛けてきた時はコントローラー投げかけたわ。

 

 「おおお、すごい!!楽郎くんさすがだねぇ!」

 

 「ははは、見たか楽羽氏ィ!!よし、次は3面だな!」

 「あ、でも私そろそろ帰らないと……」

 

 ん、そうなのか。門限に限らず家族との約束は大事だからな。守らないと精神的に殺される。

 

 「そうか、じゃあ名残惜しいけど今日はここまでだな」

 

 「……ねぇ、楽郎くん!…………また、会ってくれる?」

 

 「もちろんだ。まだアロワナクリアしてないし楽羽氏とは会話もあって楽しいからな」

 

 ああ、そうか、言ってて分かった。楽しいんだよ、楽羽氏といると。外道共と一緒にいる時ともまた違った楽しさがある。打てば響くといった感じの反応をしてくれるし、趣味も合う。まるで女になった俺みたいなんだ。

 

 「ホント!?……あ、んん゛ん!じゃあまた遊ぼうね、楽郎くん!」

 

 「おう、またな。楽羽氏」

 

 ネカフェを出て楽羽氏と別れる。…………何だろう、この感じ。なんか引っ掛かりがあるというか……きっとクリアしないままクソゲーから離れたからだな。次はいつ楽羽氏と会えるかな……

 

 楽羽氏と次会う日のことを考え自然と鼻歌を奏でながら俺は帰路に着いた。

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