無惨様に殺されたくないのでハードモード通り越して鬼モードですが必死に運命を回避します 作:経済人
「いい考えだと思ったんだけどな‥‥」
私は夜の町をとぼとぼ歩いています。手には重たい焼き物を抱えています。来たときより重く感じるのは気のせいでしょうか?
なぜこうなったと言うのも町に用があって来たからです。実はこの焼き物、私の血鬼術で作った作品です。実際に私が作った皿を血鬼術で加工して芸術みたくしてみました。
土をいじったり術を使うのは私の練度向上になるので焼き物作りは意外にも最適だったのです。それでどうせ練習でたくさん作るなら売れないかと思って町まで来たものの、私が外出できる時間にはすでに店は閉まっていて商談すらできず今にいたる。
今後色々やるにあたり収入源があれば便利かなぁと思ったので一石二鳥の名案だと思ったのだけれども‥‥
幸い、あの盗賊達の残したお金があったので服は買えました。いや~遅くまでやってくれてる服屋があって助かります♪
「もう帰ろうかな?」
あたりを見渡すと夕食目当ての人とそれを狙った屋台で少々賑わっている。お肉を焼いた香ばしい匂いや何なら麺を啜るいい音が聞こえる。
まだお金はたくさんあるから何か食べて帰るのも悪くないと思います。そう言えば鬼は主食が人間だけど他の食べ物でもお腹は満たせるのかな?
まぁ、味が楽しめるだけでもいいや。どうせこの間3人も食べたおかげか飢餓感はないですしね。
「よしっ!じゃあ何か食べていこう♪くんくん!何か美味しそうな匂いは‥‥」
‥‥‥ん?
あれ?なんだろう‥‥店の料理よりも気になる匂いがするような気が?
「あそこ?」
匂いがするのは路地裏の方からです。暗く人気がなさそうですが‥‥
って気がついた時には路地裏に入ってました!しばらく歩き表の賑わいが聞こえなくなるくらい奥へと進むと一人の少女が倒れていました。
やつれてる‥‥せっかく綺麗な髪と顔が台無しです。ホームレスさんかと思いましたけど着物はぼろぼろだけどさっきまで服屋にいたから知ってますけど相当値段のする着物を着てますし、どこかの裕福なお嬢さんでしょうか?
それに足の所‥‥怪我をしてます。そこから出血してますね。多分この匂いに釣られてきたのでしょうか?
でも、何ででしょうか?確かにこの匂いは‥とても甘美な匂いがする!?そう、まるでこの前食べてしまったあの少女のような‥‥ってあれ?この顔‥‥もしかすると‥‥
「ん‥‥んん‥」
「あっ、目が覚めました。あの‥大丈夫?」
「に、逃げて‥!」
「へぇ?」
「か、い、ぶつが‥‥」
怪物‥‥?この世界の怪物って言えば決まってますよね。
「ぎっぎぎ!やっと諦めたか稀血の小娘が!早くこの俺に喰わせるんだ!」
はい、来ましたね。角も生えてるし発言もアウト、鬼の登場ですね。それにしても、稀血って?なんだか聞いたことがあるような‥‥
「ひ、ヒィ!」
少女は鬼を見え逃げようとするが足が動かせない。なるほどです。あの足の怪我はこの鬼から逃げる時についたものですね。
「お前を喰えば俺も異能の力に目覚めるかもしれん!そうなれば俺も十二鬼月になるれかもしれのう!」
「お姉さん!逃げて!」
え、私?かわいい上に他人の心配ができるなんてなんて好印象な娘なの!まぁ、そうでなくてもこの娘はほっとけないですけどね。
「あの~ちょっといいかしら?」
「なんだテメェ!!テメェも鬼か?ならこれは俺の獲物!俺の稀血だ!他を当たれ!」
はぁ‥‥やる気まんまんって感じですね。さて、どうしましょうか?鬼同士の戦闘って成立するのかな?そもそも私、戦えるのかな‥‥
「引かねぇならとっちめて‥‥って!そ、その目は!」
「目?私の目がどうかしたの?」
「その目の数字は!!?テメェ、いやあ、アナタは!十二鬼月でしょうか!?」
「えっ?うん、まぁ、一応?」
下弦だけどね。
「も、申し訳ありません!そうとは知らず失礼な態度を!」
あ~れ?急におとなしくなった?やっぱり下弦でも十二鬼月って鬼の中では偉いんだね。
「あ、あの‥‥も、もしかするとアナタも稀血が目当てですか?で、でも先に追い詰めたのは俺‥私なので‥‥」
平服しながらも自分の獲物を取らないでと懇願してくる鬼。確かに横取りは良くないと私も思う。それによくわからないけどこの娘の血‥‥今は理性があるから大丈夫ですが空腹の時だったら有無を言わずに襲ってたかもしれない。それくらいに美味しそうです!
そりゃこの鬼も欲しいわけです。しかし‥‥大変申し訳ありませんが
「申し訳ありませんが、失せて下さいな。さもないと‥‥」
「ヒィィィ!!」
ええええ!待って下さい!まだ言い終えてないのに~!そんなに怯えて逃げなくても‥‥まぁ、いいや。
少女を見てみると気を失っていました。元々疲れてたのにあんなのに絡まれてはそりゃこうなるでしょう。でも良かった。気絶していると言うことは先程の会話は聞かれてませんね。
私は少女を優しく抱きかかえ彼女を連れて帰りました。
「う、う~ん‥‥あれ?ここは‥‥」
「あ!気がついたかしら?ここは私の家ですよ」
あの盗賊の隠れ家だった館、もう本当に私の家にしちゃいました。ただいま絶賛改造中です!
「え‥‥あの、その‥‥」
少女は困惑しているのか質問をしたいようですが弱っていてうまく言葉がまとまっていないです。
「まだ無理をしないでね。そうだ!お腹空いてない?ご飯買ってあるの‥」
屋台で買ってきた焼き鳥に焼き魚‥‥うーん、病人?食べさせるようなものではないですよね?ああもう!もっと気をきかせてお粥とか作ってあげればよかった!
「ありがとうございます‥‥」
あ、食べてくれました。ほっ‥あらあら、スゴイ食べっぷりですね。よほどお腹が空いてるのでしょう。
彼女が食べ終わるまでそっとして置いてあげました。そして、彼女が食べ終わり顔色が良くなった所で彼女から話を聞くことにしました。
「私は、ある商家の娘です。しかし先日、家が賊に襲われてしまいました。」
賊‥‥賊、まさか。
「金品は奪われ私の姉が拐われてしまいました。さらにその襲撃の時の怪我が原因で父が亡くなってしまい‥‥う、うう‥」
「それ以上は話さなくてもいいです!さぞ辛かったですよね‥」
私は彼女をそっとなでてあげた。すると、彼女は私に抱きつき私の胸元で泣き出してしまった。
私はそのままにしてあげた。私も頭の中で情報を整理するのに忙しかった。
あれ~?もしかするともしかしなくてもその賊ってこの館で殺ったあの人達ですよね?そして、拐われた姉って言うのはこの子のお姉さん‥‥
それに稀血って‥‥確かにアニメでも出てきた用語だったはず。確か鬼にとっては一人食べたたげでも相当力を得られるご馳走だったはず。
なるほど、あのとき感じた違和感の正体がわかりました。この子の姉ならきっとその子も稀血だった可能性が高い。ならば一番美味しく感じたのも、私の血鬼術が思ってたより強かったのも頷ける。
となると問題は‥‥‥
この子をどうしましょうか?別に食べるつもりであの鬼から助けたわけではないです。なんとなくあの食べてしまった子に似てたから罪意識で助けたわけで、回復したら逃がすつもりでしたけれど。
そんな貴重な存在で、なおかつあの子の妹となれば話が変わります。
彼女があの子の妹なら、私は姉を食べてしまった責任として彼女を助けてあげたいです。しかし、その場合は私は彼女に真実を伝えなければなりません。
あまりに辛い真実なので伝えるのも心苦しいですが、何より私が鬼であること、それを伏せたとしても盗賊と姉を殺した殺人鬼‥‥どのみち鬼か‥ってことになります。するとどうでしょう?私はこの子にとって姉の仇になりませんか?
なら、真実を伝えずに予定通り帰してあげる?論外です。今の彼女は天涯孤独、家も家族も失っている。それに稀血なんてレアな存在なのですから鬼達に狙われる危険も‥‥
ならいっそのこと私が‥‥って馬鹿か私は!!
「すいません、見ず知らずの方に助けて貰ったばかりかとんだご無礼を‥‥」
「気になされないで下さいな」
どうしよう‥‥
私は、結局何も伝えられませんでした。一方でそのままにする気にもなれなかった私は彼女が身の振り方が決まるまでここに居て良いと伝えるだけにとどまりました。
この結果が、あのような末路だと分かっていれば私はこんなことはしなかったでしょう‥‥
彼女は「志保」と名乗りました。お風呂に入れて綺麗にするとやっぱり美少女でした。
「あら綺麗!」
口に出ちゃいました。
「そ、そうですか?綺麗ならお姉さんの方が‥‥あっ!!」
「ど、どうしたの!?」
「ごめんなさい、私‥恩人の名前すら聞いていませんでした‥‥」
「あっ名前ね。私は‥‥」
あれ?この鬼の名前ってなに?この鬼、アニメには存在しなかった鬼ですし、そもそも下弦の鬼達の名前すら知りませんし‥‥そうですね白い着物を着てた鬼なので
「白亜‥」
そう名乗ることにしました。
普段は改築した日の光が届かない奥の部屋か焼き物作りのために一から作り上げた工房に籠り、外出は夜だけにしています。
なので、私は彼女に、生まれつきの病で日光に当たれず世間離することにした女と説明しました。
昼間はひたすら作品を作りに専念しました。人型の傀儡をたくさん作っているからです。この人型達は館の改築に専念させるつもりです。もちろん、彼女にばれると怪しまれるので普通の焼き物も作っています。
「お茶をどうぞ」
「ありがとう志保さん~♪」
「いえ、お仕事頑張って下さい」にこっ
いや~!!可愛~♪
何この子!頼んでもないのにお茶を持って来てくれるなんて!それにこの笑顔!こんなのに何時間でも頑張れちゃう!
お茶だけでなくこの子はご飯を作ってくれて掃除までしてくれるのです。しかも上手!これは将来いいお嫁さんになれますね。
「あの‥‥お姉さん」
「は、はい!」
ま、不味い‥可愛さあまりについ返事が固く‥‥
「もの凄く沢山作ってますね‥‥」
彼女が指しているのは集中し過ぎて気がつきませんでしたがかなりの量になってきた鉢や皿、置物でした。
「これなんてまるで名将が作った芸術品並みに綺麗です。こちらは逆に質素ですがまったく同じものがこんなにも‥‥」
ああ‥‥練習で1つに能力を集約したものと複数に能力をかけて作ったものですね。
「うん‥‥綺麗に焼けたものはこの間売りに行ったのですが‥‥」
私は事情を説明しました。
「なるほど‥‥分かりました!私に任せて下さい!」
「うん?」