無惨様に殺されたくないのでハードモード通り越して鬼モードですが必死に運命を回避します   作:経済人

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サブヒロイン登場?けれど悩みは尽きません。

 

 

 

 

 

襖の隙間から月光が差し込んでいた。

 

少女は静かに目を開いた。

 

彼女は布団に寝かされていました。その布団自体は館に放置されていた安物であったが極度の疲労と布団がかなり久しぶりの彼女には極上の心地好さでした。

 

なのでもう少しだけこの心地を楽しみたいと思い目を閉じかけましたが、流石に二度寝はと踏みとどまる。

 

 

とりあえず、状況が掴めないのでゆっくりと興起き上がろうとするが布団が重くて動けません。

 

 

何事かと思い首を持ち上げて視線を布団の端に向ける。すると、布団に寄りかかって眠っている女性がいました。

 

 

綺麗な黒髪に白い髪飾りの女性、確か意識を失う前に最後に会った人のような‥‥

 

 

「うう~」

 

私が動いたのに気が付いたのか女性が起きた。

 

 

 

「ふぇ~?あっ起きてたの?」

 

眠たそうに目を擦る女性。ゆっくりと起き上がると近くに用意していた茶碗を渡してきました。

 

 

「とりあえずそれ飲んでくれるかしら?」

 

なんだろう‥‥この液体‥薄暗いのでよく分からない。水ではないようだし少し嫌な匂いがします。けれどよく分かりませんが私は無性にこれが飲みたいと思いました。

 

 

私はその液体を一気に飲み干しました。すると、体の疲労や飢餓感が和らぎ、心なしか心地好いと思いました。

 

それと同時にこれが何なのかがわかりました。

 

 

「ひぃ!?」

 

私は思わず茶碗を投げてしまった。

 

 

「あら?お気に召さなかった?」

 

「だ、だって!それは!」

 

「人の血‥‥それがどうかしましたか?」

 

「それがって!!だって血ですよ!どうしてそんなものを!」

 

「あら?もしかしてあなたは鬼に成り立てかしら?」

 

「鬼‥?あ、あなた‥‥も、もしかして‥」

 

「ご想像通り‥私は鬼って呼ばれる存在、そして、あなたもそうよ」

 

 

あの男達が私達を鬼と呼んでいた。体の違和感や血を飲んだ感覚‥どうやら私は本当に人間ではなくなったようだ。

 

「わ、私は一体‥‥」

 

「分からないことだらけって感じかしら?その気持ちは痛いほど分かるけど、私はあなたに2つ確認しなきゃいけないことがあるの」

 

「なんでしょう?」

 

「まず一つは、あなた、これまでに人を食べたことがあるの‥」

 

「いいえ!!食べてません!私は人を一人も襲ってません!!」

 

「わ、わかったから落ち着いて!」

 

「あっ!す、すいません‥」

 

「う、うん。その様子だと2つ目は聞く必要なさそうだね。あなたはこれから人を襲うつもりはなさそうだし」

 

「あの‥‥聞きたいことが‥‥」

 

「まぁまぁ‥知りたいことなら分かる限り教えるから。でも今夜はここまで。」

 

そう言うと彼女は部屋から出ていこうとしました。

 

 

「一つだけ‥今教えて下さい‥‥どうして私を助けたのですか?」

 

彼女は立ち止まり、ふと考えて困った様に笑いながら答えてくれました。

 

 

「さぁ?それは私も分からないかも」

 

 

 

 

 

 

 

私は書斎に入ると自分の布団へとダイブした。

 

「はぁ~~。ま~たやってしまったかも?」

 

鬼殺隊の小隊を全滅されたこともそうだけど、どうして知りもしない鬼を助けてしまったのだろうか?

 

 

「まぁ?あの子自体は察するに鬼に成り立てで?あんまり脅威ではないから最終選別の会場の山にでも連れてってあくまで利用するつもりなのだろうけど」

 

あんな少女をそんな扱いをするような奴らなら殺しても文句はないよね?

 

 

まぁ?全滅の件なら差ほど問題にはならないと思う。してもしなくても柱はこの町にやってくる。

 

それに来るのならばダミーへの誘導に利用すればいいだけのことだからこれでプラマイゼロ!

 

更に!人間と鬼が手を組んでいて鬼殺隊が調査をしていると言う貴重な情報も得た。むしろ、事はプラスに運んでいると言っても過言ではない。

 

 

そんな事よりもむしろ‥‥問題はこれからです。

 

 

 

私は、あの子をどうすればよいのだろうか?ううん、実はもう考えはまとまっているの。それを、彼女が受け入れてくれるかどうか‥‥

 

 

 

 

 

 

次の日、私は彼女の所に行った。容態を見るのもそうだけど私から提案があったからです。

 

 

 

「提案‥‥?」

 

「そう、もし貴女がよければだけど‥私の所で働かない?」

 

 

私は彼女を保護することに決めていた。この子と志保さんが重なって見えたからかもしれません。

 

けれど、これから志保さんを助けると決めた私が目の前のこの子を助けられないようでは彼女を助けるのは無理だと自分で言っている気がしました。

 

 

だから助けたい。それに、今は味方が欲しいです。

 

 

 

 

「私がここで働く‥‥?」

 

「と言っても今の私が保証できるのはまともな寝床と当面の食事くらいかな。」

 

彼女が食事の単語にびくっとなった。おそらく昨日の事を思い出したのだろう。

 

 

彼女はじっくりと考えてくれている。

 

 

「私なんかでいいの‥‥?」

 

「貴女が良いのです」

 

 

だって、ヒトを無闇に襲わない事を確約できる子でないと今後志保さんを保護する時に困りますしね。

 

 

「分かりました‥アナタにお仕えします」

 

「本当に!?」

 

「え、はい‥」

 

「それじゃあよろしくね♪」

 

「はい、よろしくお願い‥えっ?あのなにを?」

 

「いいからちょっとおいで!」

 

「え、いや!どこにいくのですか!!」

 

 

えっ?ここは‥お風呂?綺麗にしたいから?はい、分かりました‥なら遠慮なく‥ちょ!なんで脱がせるの!?じ、自分でやりますから!ええ!私に任せなさいって?そ、そんな!駄目ですぅぅぅ!

 

 

そんなこんなにで1時間後‥‥

 

 

 

「あらやだ‥‥」

 

思わず口に出た感想です。

 

ぼろ服と汚れから解放された彼女は顔立ちが綺麗と可愛いの丁度中間、瑞々しい美少女でした。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

髪も綺麗に洗いましたが先ほどまで黒ぽかったのになんとそれは全て汚れで下からは色の薄い‥少し蒼い髪が出てました。

 

 

「あ、あの‥‥何か変ですか?」

 

「えっ?いやいや!あまりにも綺麗だったからついに!」

 

 

志保さんの時もそうだったけど、どうして私の回りの美少女達は皆汚れた状況なの!?

 

 

「綺麗な!?私がですか?」

 

「うん、とっても!」

 

「で、でも私は普通の百姓の娘ですよ?」

 

「貴女が普通ならその村の人が皆美形なのか、それとも変な性癖な人が多いんですよきっと!」

 

まぁ、美人の定義って時代ごとに違うから一概には否定はできませんがね。

 

 

「あ、あの‥‥服は?」

 

「あっ!そう言えばぼろぼろだったから捨てたんだった!なら‥‥ちょっと誰か!」

 

「‥‥」

 

私が呼ぶと土傀儡の一体がやって来た。てか、この子は常に哀愁を漂わせる謎の個体です。そう言えば、私が呼ぶといつもこの個体が真っ先に来るような気が?

 

 

「私の作品部屋から一番端にある奴を持ってきて」

 

「‥‥」

 

土傀儡は頷くと早速出ていく。

 

「あの‥作品って?」

 

「むふふふふ♪」

 

 

 

 

 

「あの‥‥この服はなんですか?」

 

「えっ?メイド服‥正確には大正ロマン風のメイド服だよ?」

 

「な、なんだか私には勿体無いような‥‥」

 

「大丈夫、おんなじの何着も作ってるから、作業着にしていいよ!」

 

「あの‥‥貴女様は服屋さんですか?」

 

「ううん、どちらかと言えば陶芸家かな?」

 

「え、じゃあこの服は‥‥」

 

「聞かないでくれるかしら?」

 

「えっ?でも‥はい‥‥」

 

 

言えない‥‥暇過ぎて、あまりにも暇で志保さんに会えた時の事を妄想してそして、彼女にこんなの着せたら可愛いだろうなとか思ってたらいつの間にか数十種類ものコスプレ服を作ってたなんて‥‥‥

 

 

 

「こほんっ‥‥さてと、それでは貴女に最初のお願いがあります‥」

 

「それは一体‥‥」ごくり

 

「まずは‥‥自己紹介からお願いします!」

 

「あ‥‥あっ!あ~そう言えばまだアナタのお名前すら聞いてませんでしたね、恩人なのに‥」

 

「じゃあ言い出しっぺなので私から、私は白亜と言います。一応この館の主で十二鬼月の下弦やってます」

 

「わ、私は砂夜と言います、今後ともよろしくお願いいたします白亜様。」

 

「砂夜ちゃんって言うのね。良い名前ですね。」

 

「白亜様こそ‥名前を体現した様なお姿ですよ?」

 

「も、もう砂夜ちゃんたら!ほ、誉めても何もでないわよ!」

 

と言いつつも私は血鬼術でお猪口サイズの器と小さな刃物を作り出す。

 

私は刃物で自分の指の先を小さく切りました。

 

 

「白亜様!?」

 

「まぁ待ってて」

 

指先から少し血が流れてきました。それを器に少し入れると私はその器を砂夜ちゃんに渡しました。

 

「悪いんだけど、それを飲み干してくれない?」

 

「こ、これは白亜様の血ですよね?」

 

「うん、まぁ~なんと言うか‥従属の儀式みたいなやつかな?」

 

別に違わなくはないとは思う。だって、同じ下弦の鬼の累君も同じことしてたし。

 

多分だけど鬼の配下を持ったり、力を与えたりするのは累君がセーフだったから私がやっても無惨様の逆鱗には触れないとは思いますけどね。大丈夫だよね?

 

 

でも、彼女にはできれば死んで欲しくないし、これからもしかすると危険に彼女を巻き込むかもだから少しでも自衛をできるようにしなきゃね。

 

 

 

「分かりました‥‥では」

 

彼女は私の言葉を信じて血を飲んでくれました。すると、彼女は震え出し器は落として割れてしまった。

 

 

「砂夜ちゃん!!」

 

「だ、大丈夫です‥‥でも何だか体に違和感が‥」

 

「ご、ごめんなさい!実は私の血を飲むと鬼である貴女は少し強くなるの!」

 

「は、白亜様に、その‥ような力が‥‥?」

 

「まぁ‥‥一応、あのお方に従う最強の鬼の一人だから?」

 

他の下弦は(壱以外)死んだから多分最弱だけどね。

 

 

「あのお方‥?それに十二鬼月って?」

 

「まぁ‥‥力の事とか、鬼についてとかは私が知る限りの事は教えるよ。昨日約束したしね。」

 

 

私は変化が落ち着いた頃を見計らって彼女に私が知る限りの事を伝えました。

 

鬼のこと、無惨様のこと、血鬼術のこと、十二鬼月のこと、そして、鬼殺隊の事を。

 

変わりに、私は彼女の事を聞いた。山奥の小さな農村の生まれのこと、ある日村人達が鬼になったこと、そして、鬼殺隊が村に来たことを。

 

 

「生き残りは私と数人だけでした。それで‥‥」

 

「もういいわ、ありがとう。」

 

彼女の話で大体の構図が分かった。

 

人を鬼にできるのは無惨様だけ。そして、アニメでも無惨様は隠し事や逃げる時にはわざと騒ぎを起こすって言ってたはずです。

 

つまり、その近くにたまたま無惨様関係の何かがあって、それを探りに鬼殺隊が来てたから目眩ましに村に、おそらくは飲み水とかに血を入れたんだ。例えば、井戸に血を数滴とかね。

 

彼女からは成り立ての鬼で人を食べてないから力や鬼らしさを感じられないと思ってたけど、おそらくは少量しか取り込んでないからだろうと思う。

 

 

それなら悪いのは無惨様です。けれども、鬼だからと言って被害者でもある彼女ら生き残りの扱いに関してはとても赦せない。

 

「やっぱりアイツらは殺しても良かったんだ‥」

 

「白亜様‥‥泣いてます?」

 

「うん多分ね、貴女の話を聞いて悲しくなって来たんだ‥‥」

 

またこのパターンだとね。

 

確かにこの子に酷い扱いをした鬼殺隊は憎いし彼女も彼らを憎んでいる。しかし、元々も原因は無惨様であって私はその方に従わざるを得ない立場です。

 

 

志保さんをこれから苦しめるのもおそらくは鬼です。そして、砂夜ちゃんを苦しめた人のサイドに私はいる。

 

何と言いますか‥‥

 

 

歯痒いですね。

 

 

 

 

「そうです!白亜様、私が強くなったということは、私も血鬼術を使えるのですか?」

 

「‥‥えっ?うん、多分?」

 

話題を変えようと砂夜ちゃんが手をぱんとさせる。確かに、血を飲ませて力を与えるシーンがアニメにあったからやったけど。

 

たしか‥‥累君の家族たちは蜘蛛とか糸にちなんでいたから多分この子も私に似た能力になるのかな?

 

 

と言うことで実験をしてみようと思い一応傀儡用に用意していた土を持って来させた。

 

「では‥‥早速やってみます‥‥」

 

 

 

彼女が集中する。おおっ!?土が盛り上がっていく!どうやらこの子も土に関するもののようです。

 

さーて、どうなるのかな‥‥

 

 

「えっ?こ、これは‥‥!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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