無惨様に殺されたくないのでハードモード通り越して鬼モードですが必死に運命を回避します   作:経済人

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運命の日前夜で不安ですが私にはこの子達がいる!

 

 

白亜の運命の日 前日

 

 

 

 

「ああ‥‥不安だ‥‥」

 

明日、私はあのお方に呼ばれる。そして、下手をすればそこで殺される。

 

もし無事に帰れたとしてもそれはスタートラインに過ぎない。私がいない間、もしくはその前後に事は終わっている。

 

何が起きるのか、敵の戦力、鬼の存在すら確認が取れていない現状ではどうしても受け身になるしかない。

 

なので私はあれから6日の間、眠りもしないで準備を整えている。町の監視用の小動物だったり、戦闘の可能性を考えてここの警備や町に送り込む人型の製造です。

 

その間に私はある決断をした。

 

砂夜ちゃん達に私の目的を伝えたのです。私はある人間を救いたい、その為に力を借りたいと‥

 

意外なことに彼女は二つ返事で、

 

「はい!喜んで!」

 

と返したことには正直に驚きを隠しきれない。彼女がなぜ協力を了解してくれたのかはわかませんが、今は詮索はしません。

 

二人の協力もあり、警戒網の作成やいざと言うときの防衛計画も整っています。その為に必要な傀儡や仕掛けの用意もできています。

 

「残す問題は、肝心の町の方ですよね‥‥琥珀ちゃん‥‥大丈夫かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叢雲商会が保有する倉庫郡がある区画、その建物の影から生えるように現れたのは白亜の側近として生み出された土傀儡の琥珀。

 

「ここで最後‥」

 

白亜の命で叢雲商会を探っていた彼女だったがここまで収穫はゼロ。何とかして情報を獲たい所ではある。

 

敵は余程用心深いのだろうか、全く痕跡がないどころか、計画の存在自体知る者がいない。叢雲商会の大旦那とか言う小物なら見かけたし、なんなら直ぐに始末できそうではあったが、それで肝心の敵の方が警戒してしまっては面倒ではあるのでそれはしない。

 

と、思って泳がせては見たがあの男を張っても何も出てこない。一度忍びこんで探ってみても何も出ない始末。

 

唯一の収穫は、この男が数日前に珍しく予定もないのにここに来ていたことのみ。なのでもしやと思い来てみたのですが‥‥

 

 

「‥‥この倉庫、かなり壁が分厚いですね‥窓もありませんし、まるで外に音が漏れるのを防ぐかのようですね。あたりかしら?」

 

当然、扉も頑丈で鍵も壊せそうににない。何より私は非力なのですから。

 

そう判断すると琥珀の体はさらさらと砂へと戻ってしまう。そして、再び体を構築したのは倉庫の中だった。

 

 

白亜が琥珀に与えたのは自我や知性のみではなく、特異な能力も与えていた。

 

彼女に与えられのは、体の分解と再構築する能力。

 

これにより任意によって砂になることで土の中に潜ることが可能であり、かなり高い隠密能力だと言える。

 

 

「‥‥窓がないから当然なかは真っ暗。まぁ‥私は関係ないですけど。」

 

それよりも何ですかこの山積みの木箱は?

 

琥珀は近くの木箱を開けてみる。その中身は大量の商品ではなく、更にその底、抜けるようになっており開けると底には大量の鉄砲、弾薬などなど‥‥

 

「副業で武器商人でも?いや‥‥本命は‥」

 

琥珀が目をつけたのはひときわ大きな木箱。その側面の方におそらく灯りがあっても気付けないような分かりにくい扉が作られてました。

 

琥珀は念のため用心して開けるも扉の先にあったのは地下へと続く階段。

 

 

「まだ何かあるの?」

 

琥珀は階段を下りていく。階段の底には頑丈そうな扉、しかし琥珀は再び砂になってすり抜ける。

 

「‥‥何よこれは!?」

 

再構築を終えた琥珀が目にしたのは大量の箱。それも今度は木箱ではなく檻、それも中に入っているのは‥‥

 

 

「ぐぬああああ!!」

 

「血を‥血を寄越せ‥‥」

 

「アアッ‥‥アアアアア!!」

 

鬼だ!!それも2,3匹どころではない。10、20‥いや50匹くらいはいる!

 

 

「どうしてコイツを捕らえてる?いや、そもそもどうしてこんなにいるのか‥‥うん?」

 

奥の方に机‥‥作業場か?

 

「これは‥記録か?ここの奴ら、捕らえた鬼の場所と日付を記録付けてるのか?」

 

馬鹿なのか?

 

「ふむふむ、どうやらここの奴らは全てこの町で捕らえられたようだ。しかもほとんどここ最近に」

 

だが、どうして殺さずに集めているのだ?そもそもどうしても鬼がこんなにこの町に集まっているの?

 

「ふふ‥鬼狩りを支援してる組織が鬼を集めてるなんて面白いわね。まさか、上の武器はバレた際の目眩ましかしら?」

 

「いいや~?間違ってはないがそれだけじゃあ正解はやれないぞ?」

 

「だ、誰!?」

 

人がいた!?灯りがないから人がいないと決めつけてた?いや、ちゃんと人の気配がないか探っていた。

 

「何を驚いてるんだ?気配なんて経験があれば誰でも消せるだろ?‥ああ、もし灯りとか人の気配とかの話ならば‥‥!」

 

「っ!」

 

速い!?と思った時には私の左手が無くなっていた。

 

 

「おお?なんだこの感触は?お前何者だ?」

 

「答える義理がありますか?」

 

「それもそうだな。」

 

何この人!?いや恐らくはこの者が叢雲商会と手を組んでいる鬼か?

 

ならばここまでです。鬼の存在を確認できた時点でこちらの目的は達成です。早く情報をマスターに‥‥いや伝達の為に思念を伝達する暇がない。

 

ならば取るべき行動は‥‥逃げる!!

 

 

「おら逃げるなよ!」

 

琥珀が逃げようとすると鬼の男は得物、恐らくは刀で私の背中を斬りつけてきた。

 

しかし‥‥

 

「おお?肉をごっそりのはずが感触がやはりおかしいな?それに斬った所が再生してる?お前‥鬼か?」

 

「さあ?そちらも、ただの鬼ではないようですが、何者ですか?」

 

「俺をこんな獣どもと同じにするなッ!!」

 

鬼は激しく斬りつけてきた。琥珀も回避を試みるがほとんで避けきれない。

 

(この余裕のある態度‥それにこの刀捌き‥‥かなりのやり手かしら?)

 

「お前の体‥‥」

 

「戦闘中?に話しかけるなんて余裕‥」

 

「砂でできてるな?そう異形の鬼なのか、もしくは血鬼術か?」

 

「‥‥さあ?」

 

「それにこの刀はな、鬼狩りから奪った日輪刀だ。それでこれだけやっているのにまるで効いてない‥‥さては体が砂なのか?それも今までの傷は直してるのに最初に斬った腕だけがそのままだ。つまり、お前が意識して何かしてないといけない、違うか?」

 

 

よく観察してますね。悔しいですが、この男の言う通りです。私の能力は任意で体を砂にでき、それを元通りに直すこと。つまり、意識して体の一部を砂にしている時ならまだしも、通常時の破損は他の傀儡同様で自力では直せない。

 

「お見事ですわ」

 

「そして、さっきから反撃がない所を見るにお前の能力はそっちに偏っているから手段がない、だろ!」

 

「‥‥はぁそうです。その上逃がしてくれそうにないですしお手上げです」

 

そう言うと琥珀は両手を上げてみせる。

 

鬼の男も勝利を確信すると思ったが、こちらを警戒し刀を向けたままだった。

 

 

「用心深いですね‥‥」

 

「ああ、計画失敗に成りかねない要因は潰す。」

 

「なら早くやってしまいなさいな」

 

「そうしたいがお前に聞きたいことがあってだな。」

 

「私の眼鏡の度でしたから無いですよ?これ伊達なので」

 

「いや、それはどうでもいい。最近俺達を付け回っているのはお前達か?」

 

「その根拠は?」

 

「前に部下が泥人形を捕まえたそうでな。最初は忍法かと思ったが俺は疑ってな。お前の能力を見て確信した。お前ら鬼の仕業だとな。」

 

「あらあなたも鬼ですよね?」

 

「黙れ!俺はな!いや、何でもない。それよりも誰の差し金だ?十二何とかか?それともあの方とやらか?」

 

「‥‥!」

 

「何を驚いた顔してる?」

 

「えっ?いや、何でもないです。」

 

「ならば!」

 

「私から話せることはございませんが、とりあえずお礼を申し上げます」

 

「は?」

 

「いえ。追加に貴重な情報を得られたので‥‥それではこれにて‥‥」

 

「はぁ!?お前逃げられると‥‥」

 

「では、最初のあなたの質問、私が何者かだけは教えます。私もあなたの言うところの泥人形です」

 

琥珀がそういうと全身を砂へと変えていく。

 

「なっ!まて!」

 

 

 

 

 

倉庫郡からかなりの離れた裏路

 

「ふぅ‥‥どうにか逃げられましたね」

 

本来ならあの男との戦闘などせずに逃げてもよかったけど少しでも情報が欲しいと欲を出してしまいました。

 

あの男、力を使わずともあの戦闘力‥‥血鬼術しだいでは私も危なかったかもです。

 

路地入り口から数人がやってくる。追っ手かと思ったがどうやら町人に擬態した伏兵だった。きっと心配性のマスターが寄越してくれたのだろう。

 

 

「はぁ~。早く帰ってマスターに腕を治して貰いましょう‥‥うん?」

 

裏路のさらに奥の方、なにやら異臭と生々しい音がします。

 

「これは‥もう少しだけ欲を出すとしましょうか」

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「琥珀ちゃん!それは本当!?」

 

会議お約束のポーズだった白亜が飛び上がる。

 

「はい、檻に閉じ込められた大量の鬼、そしてかなりの手練れがおりました。」

琥珀が戻ると早速作戦会議が開かれた。場所は白亜の書斎である。

 

 

「そして、血鬼術は見ることはできませんでしたが恐らくは‥‥」

 

「使えてもおかしくないと?」

 

「はい‥‥」

 

厄介です。恐らく私の能力では剣士に接近されて戦われては勝目がないです。更に異能の鬼だった場合その力がわからない以上は更に勝ちは低い。

 

「あの‥」

 

砂夜が恐る恐る手を上げる。

 

「どうしたの?」

 

「いえ、大したことではないかもですが、どうして鬼をたくさん捕らえてるのでしょうか?」

 

「あっ!確かに私も気になってた。そもそも鬼がどうしてこんなにいるの?不自然だよ!」

 

「それについては‥」

 

「琥珀ちゃん、何か掴んでるの?」

 

「はい、当事者に聞くのが速いと思い町で見かけた鬼を捕縛しました。」

 

「おっ!?琥珀ちゃん偉い!天才!」

 

「それで何かわかったのでしょうか?」

 

「はい。どうやら最近ある噂が流れてるみたいで‥‥」

 

「噂?」

 

「その噂によると、白波屋の娘が稀血、それもかなりの上物で食べるとどんな鬼でも異能を獲られると‥」

 

「くっ‥‥!」

 

稀血‥‥確かに志保さんを襲ってた鬼も言っていた。稀血‥‥鬼‥そうか!!

 

 

「わかったわ!!」

 

「白亜様?」

 

「いかがしましたか?」

 

「繋がったの!今まで集めた情報が!」

 

 

娘を拐えと指示された盗賊、白波屋を守る鬼殺隊、噂とそれに集まる鬼に彼らを捕らえてる叢雲商会に謎の鬼‥‥

 

「どうして叢雲商会と鬼が手を組んでいたのか‥‥それは稀血が目当てだったのね!」

 

稀血の質がどうかはわからないけど、食べた私が保証する。あれはとてつもないご馳走に違いない。

 

叢雲商会は鬼狩りを支援している。つまり、鬼の存在を知っている訳で、白波屋の娘が稀血なのを知っていたらそれを利用しようと考えて不思議はない。

 

そして、稀血を求める鬼とそれを奪うべく襲わせるどさくさ紛れ白波屋を潰したいと考える叢雲商会と利害が一致した‥‥

 

そして、その時に邪魔となる鬼狩りはあえて流した稀血の話に釣られた鬼達をぶつけるつもりだ。

 

「鬼に手一杯になれば、人が襲ってくるなど考えてもない鬼狩りなんて出し抜くのも簡単‥‥そういうとですね。」

 

「これは‥‥予想以上ですね」

 

「白亜様‥‥」

 

「‥‥大丈夫、きっと‥」

 

逆に考えるんだ。鬼狩りどもが白波屋を守れなかった事を考えると奴らは雑魚鬼達で一杯一杯のはず。そして柱はまだいない。ならば、私達の敵は叢雲商会の刺客とその強いらしい鬼のみ‥‥

 

「しかし‥下手すると私がいない状態でことが進むことに‥‥」

 

「白亜様ご安心を!この砂夜、及ばずながら白亜様の為に力を尽くします」

 

「砂夜がやるなら仕方ないわ。私も頑張ります」

 

「私、いや私達土傀儡はマスターのご命令に従います。」

 

「皆‥‥!」

 

そうだ!私にはこの子達がいる!そしてこの数日の成果である切り札もある!

 

 

 

やれる‥‥やれる気がする!!

 

 

 

 

 

 

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