Welcome!! to the fog of world... 作:Rat man
ジェイクとヘンリーが情報を共有しながら残りの二人と合流しようと散策している間、ドワイト
とメグは安全地帯とは言えないが全方向を見渡せていち早く敵の姿を察知し、いつでも逃げること
が出来る警備員室に避難していた。そこでメグをデスクの下に潜り込ませ、室内の真ん中に設置さ
れている発電機をドワイト一人で修理を始めた。作業している途中でも辺りを警戒し、負傷で苦し
むメグにも労いを掛けて元気づけるようにした。そして修理状況が4割になる頃には、出血も収ま
りだいぶ痛みが和らいだメグが修理に加わるようになった。
ドワイト「メグ!?大丈夫なの?」
メグ「えぇ。これ以上あんたに迷惑はかけられないわ。動けないくらい酷い状況じゃないから」
ドワイト「だけど、怪我は・・」
メグ「問題ない。いつまでも縮こまっているわけにはいかないし、あんたが心配かけてくれたか
ら気持ちも落ち着いてきたわ。ほら、さっさと指示ちょうだい。どうすれば効率的に修理
できるの?」
ドワイト「・・・分かった。くれぐれも無茶はしないでね。万が一の時は僕が囮になるから」
メグ「そう。頼りにしているわよ、リーダー!」
こうして修理が再開された。加わった彼女は視界が狭められて修理する危険性は高まったが、ド
ワイトの適切なアドバイスのおかげで大きな弊害になることなく、それ程時間を掛けずに発電機の
修理が完了した。丁度ヘンリーがスプリングトラップとチェイスする直前の事である。
さてこれからどうしようと二人が相談している最中、突然ドワイトが半ば無理やりメグの腕を引
っ張り、一緒にデスクの下へ潜り込んだ。疑問を投げかけようとした彼女に制止して、息を抑えて
じっとするよう指示する。ただ事ではないと直感的に感じたメグは、彼の指示に素直に従う。する
と警備員室に繋がっている廊下から、やや大きめの足音が響き渡ってきた。心音が鳴っていないの
でスプリングトラップではないのは確かだが、明らかに人間が出す足音でもない。何か硬い金属が
地面に叩きつけているように聞き取れたので、他の機械人形が接近しているのだと予想する。こち
らへ徐々に距離を詰めてきている。二人の心拍は上がり、震えが止まらない。しかし音一つでも出
せば、すかさず襲撃されると恐れて強引に歯を食いしばり身を縮こませる。部屋を散策されて少し
時間が経過した後、音の主はこの場から離れるように足音が遠ざかった。危機は去ったと感じて彼
はこの場からの脱出を図る。
ドワイト「(・・・もう大丈夫だろう。よし、今d)」
メグ「(駄目!もう少し待って!)」
しかし、ここで彼女が止めに入る。
ドワイト「(・・・どうして?)」
メグ「(思い出したわ。私、以前もこんな経験をしたのよ。あいつに追われていると思って身を隠
して脱出する機会を伺ったのよ。離れたと思ってデスクから出たら変な奴に襲われて、変
な被り物を取り付けられたのよ。・・・今回もそのような気がするわ)」
彼女が経験したのと似たような状況に今陥っている、という出来事に対して彼も何か嫌なものを
感じ取ったのか、もう少し様子見という決断をした。・・・すると突然、頭上から激しいノイズ音
が響き渡った。彼らの耳に不規則で不快な音が流れ続け、頭痛に苦しめられる。思わず呻き声が漏
れそうになったが、二人とも両手で強引に口を押えて事なきを得る。暫くこの状態が続いたが、誰
もいないと感じたのか、漸く音が鳴りやんで気配が消えた。今度こそ大丈夫だろうとドワイトは思
い、ゆっくりと這い出て周囲を確認する。不気味なくらい静寂であり、他の気配も感じない。メグ
に大丈夫だと合図し彼女もデスクから這い出た。
ドワイト「危なかった。メグのおかげで助かったよ」
メグ「どういたしまして。・・・痛っ!」
ドワイト「大丈夫!?頭を抑えているけど、頭痛がするのかい?」
メグ「・・それに近い痛みが走ったの。何か、無理やり絞め付けられるような。多分この被り物
のせいだと思う」
ドワイト「と、取り敢えず変に動かさないでおこう。その被り物に何か変な仕掛けを施されてい
るかもしれないから」
メグ「そうね。・・あら?何か聞こえない?」
会話している途中、正面の廊下から一定の間隔で音が響き渡っている。注意深く耳を澄ますと、
話し声が聞こえてきたのでもしやと思い、二人は音のする方向に移動すると薄暗い廊下からジェイ
クとヘンリーがそこにいた。
メグ「ジェイク!ヘンリー!」
ジェイク「うぉ!メグか。あんま大きい声出すなよ。・・怪我の具合は?」
ドワイト「出血が止まって痛みも若干和らいだから一通り大丈夫。取り敢えず皆と合流できて良
かったよ」
ヘンリー「そうだな。だが、ここへ長居するのは危険だ。人が密集する分、奴らに見つかりやす
くなる。手っ取り早く傷の手当てをしながらこれからの事を話そう」
この儀式で調達してきた救急箱を使用し、彼とメグが負っている傷を素早く治療を施していく。
それが済んだら今度は頭に取り付けられている被り物の対処法について簡潔に伝える。
ヘンリー「この被り物はある一定の条件を揃うと、内部に仕込まれているスプリングネジやあら
ゆる機械部品が内側へと押し込んでいって、最終的に頭部を潰すような仕組みになっ
ている。なので、こいつを外す専用の工具箱を探す必要がある」
ドワイト「そうですか。・・・所で、その工具箱の在処はご存じで?それに被り物が暴発するあ
る一定の条件とは?」
ヘンリー「そうだな。場所は・・・恐らく機械部品の部屋だろ。あそこは古くなった機械人形の
パーツを交換するためにあらゆる道具が揃っているから探索する価値はある。それと
被り物のスプリングネジが緩む条件は、液体・気体が直接かつ継続的に接触し続ける
事だ。具体的には体内から生成される汗や涙、激しい吐息だな。だから無理な運動や
身体が緊張し続けるのはネジのゆるみを早めてしまうから危険だ。迅速かつ冷静に対
処せねばならん。・・・一通り伝えたから今度は、先程までの皆の状況について話し
てくれないか?」
メグ「分かったわ。発電機は3台修理完了しているわ。それとパレットの枚数はさっきのチェイ
スで相当使ったからあまり多くは残っていないかも。多くても10枚前後、追跡を撒くには
やや厳しい状態ね。後は、この被り物を被せた得体のしれない奴に出会ったくらいかな」
ジェイク「得体のしれない?」
メグ「急に襲ってきたから容姿は完全に覚えていないけど、・・・全体が白とピンクで統一され
ていて体のパーツがぐちゃぐちゃ、顔は狐型のような気がしたわ」
ヘンリー「・・・Mangle」
メグ「え?」
ヘンリー「君に襲い掛かった機械人形の名前さ。直訳は"バラバラ"、海賊の入り江にある託児所
の担当者なんだ。かつては容姿が整った狐型の機械人形だが、悪ガキたちのいたずら
で何度も壊されてね。仕方なく組み立て式として採用する形となったんだ」
ドワイト「うわぁ・・酷い」
ヘンリー「・・・奴も動き出したか」
ジェイク「奴も?その言い方だと他の機械人形も動き出したって事なのか?」
ヘンリー「あぁ。先程、少年型の機械人形に出くわしてね。そいつに居場所をばらされた結果、
あの悪魔とチェイスをする羽目になったがな」
ジェイク「てことは今の所、兎型・狐型・少年型の機械人形の3体が徘徊しているってことか。
しかもそのうちの一体は探知型と化しているのかよ。無暗に隠れるのが出来なくな
っちまったなぁ」
ヘンリー「Mangleも厄介だぞ。奴は天井や壁を這いまわって酷いノイズ音をまき散らすから
な。騒音がデカければ他の者の追跡音を掻き消せるし、見つかりでもすれば即襲撃
出来るポテンシャルも兼ね備えてある」
メグ「嘘でしょ!そいつらの襲撃を躱しながらこの装置を外して尚且つ発電機を修理しろって、
こんなの悪夢よ!」
ドワイト「はは・・命がいくつあっても足りないね」
ヘンリー「兎も角、これからの行動についてだ。私とメグは、この被り物を解除する為に機械部
品の部屋に行く。ドワイトとジェイクは、残りの発電機を修理するように・・・」
そうヘンリーが話をしているとき、全員の耳に聞き慣れた音が響いてきた。心臓の鼓動音が徐々
に此方へ近づいてきた。いち早く気付いたヘンリーが他の者へ危機を促し、一目散にこの警備員室
から飛び出していったがそのうちの一人、ドワイトの姿がスプリングトラップの視界に映り込んだ
ので、そのまま追跡がはじまった。
ドワイト「ひぃ!!」
迫りくる不気味な機械人形の追跡を撒くため、震える身体を無理やり動かしてチェイスを開始し
た。そして彼が引き付けているその隙に、残りの三人は各々の目的を遂行するため行動をする。
"They Find You"