Welcome!! to the fog of world... 作:Rat man
先程、スプリングトラップの襲撃から逃れたジェイクは、ヘンリーが修理し損ねた発電機を完遂
させる為に彼から事情を聴いて別れた後、パーティールームへと向かった。そこへ訪れると、未修
理状態の発電機が鎮座しており、その周辺には工具箱や幾つかの道具が転がっていたり一つの大き
なテーブルクロスが乱暴にひっくり返されていた。ヘンリーが襲撃された時の状況が窺える。
ジェイク「・・ひでぇな」
ポツリと言った後、発電機付近までいき、そのまま修理を開始した。
"ガチャン・・ガチャン・・バチっ、ガタン・・"
慣れた手つきで次々と故障した個所を直していく。無言で作業を続ける事数分、修理状況は8割
近くまできていた。このまま直していけば残り一台、脱出までの道のりが近づいてくる。しかし、
修理している途中スプリングトラップに追われていたドワイトが捕まった。肉フックに吊られた時
の絶叫が響き渡ったからだ。修理ペースがいいとはいえ、機械人形に捕まる頻度が上がっているの
で油断はできない。
ジェイク「(取り敢えずこの発電機を直してから今後の事を考えよう。ドワイトが捕まっている今
救助できるのは俺とメグと爺さん。だが、二人は頭に装着された気味悪いガワを外す為
修理部屋に向かっているから、実質俺一人で救助しなきゃダメだな)」
考え事を終えるのと同時に発電機の修理が完了した。これで未修理発電機が残り一台となった。
この部屋を出て救助に向かおうとした時、ピタリとジェイクの足が止まった。修理された発電機の
騒音とは別の音を拾ったからである。
ジェイク「(何だ?・・・今の音は?)」
何か硬いもの同士がぶつかった音だ。そう遠くない位置から鳴り響いたので不審に思った彼は辺
りの廊下を左右見渡す事にした。
"・・・ン、・・・ャン、・・・シャン、・・・シャン!・・・シャン!!"
ジェイク「(・・・妙な音が規則的に聞こえてくるな。それに、徐々にこちらへ近づいてくる。発
信源は・・・右か!)」
不審な物音が右廊下から鳴り響いたのを突き止め、その正体を確かめる為にそちらへ一瞥した。
ジェイク「!!?」
が、次の瞬間彼の思考と体が数秒停止した。およそ10メートル先に佇んでいる"それ"を見た彼は
一瞬息が止まり、尋常ではない悪寒を全身で感じ取り、気が付いたときは反対側の廊下に体を向け
て全力疾走で走り出した。そして同時に"それ"はジェイクが逃走を図ったのを合図に追跡を開始し
た。金属特有の音を鳴らしながら。
"ガシャン!!"
メグ「ねぇ、ヘンリー。この道で合っているの?今私たちが目指している部屋に」
ヘンリー「あぁ、間違いない。この忌まわしい玩具を外す為の工具がそこに設置されている。私の
記憶が正しければ」
メグ「正しければって・・・空回りは御免よ!こんなものをいつまでも被りたくないわ。それに
さっきから耳元で軋む音が聞こえてくるのよ。頭が痛い・・」
ヘンリー「うーむ。ネジが緩んできたか。君がその被り物を装着されてだいぶ時間が経過したから
あまり悠長にしていられないな。急ごう」
ヘンリー達はスプリングロックスーツの頭部を解除するために修理部屋を目指していた。道中に
ドワイトの絶叫が響いたり、物凄い雑音を発しながら壁や天井を這いまわる機械人形"Mangle"に
鉢合わせかけたりと紆余曲折あったが、無事目的地である修理部屋にたどり着くことが出来た。
メグ「はぁ~、やっと着いた・・・」
ヘンリー「(・・・周りに怪しいものはいない。今の所は安全かな?)よし、急いで作業に取り掛か
ろう。此処であの機械人形と鉢合わせるわけにはいかないからな」
ヘンリーは部屋の辺りを散策し、机にポツンと置かれている目当ての工具箱を入手する。一瞬鍵
が掛かっているのではと思ったが、それは杞憂に終わり呆気なく開いた。中にある特殊な道具を取
り出しメグを呼び、指示された指定の場所に座り込んだ。
ヘンリー「さて、解除を始めよう」
まず、被り物の両ほっぺにある小さな窪みに専用のドライバーを差し込む。一定数回すと乾いた
音が鳴り、閉ざしていた大口が開かれた。視界が元に戻って息苦しさから解放された彼女は安堵の
息が出そうになったが、ヘンリーに制止された。吹きかけた息によってネジが一気に緩みかねない
からだ。彼女が慌てて息を止めている間、喉奥の位置にあるボタンを軽く押して首元で絞めつけて
いた鉄製ワイヤーとリングを緩めて取り外していき、緩んであるスプリングネジをきつく締めた後
慎重に被り物を取り外していった。解除した被り物をテーブルに置いた後、今度はヘンリーに取り
付けられているものを解除する為メグに頼み、先程と同様な手順で取り外しにかかった。
・・・・・・・
時間はかなり掛かったものの、二人に取り付けられた被り物は無事に取り外すことに成功した。
一時的な死から逃れたメグは今度こそ安堵の息を吐くことが出来た。
メグ「はぁ~、あんたのおかげで助かったわ・・・」
ヘンリー「それは良かった。だが安堵するのはまだ早いぞ」
メグ「うっ、・・分かってるわよそんなこと!でも、さっき発電機の修理が完了した音が響いたか
ら残りは一台。これを直せば、このくそったれな儀式から出られるのよ!」
ヘンリー「・・・そうだな。ところでなんだが、ドワイトは既に救助されているかな?肉フックに
釣られてからかなりの時間が経過していると思うんだが」
メグ「・・・手が空いているジェイクが救助に行ったんじゃない?私たちは救助どころじゃなかっ
たんだから。でも心配なのは確かね。私が行ってこようか?ヘンリーはそのまま発電機を探
していけばいいから」
ヘンリー「分かった、そうしよう。だが無茶は禁物だ、慎重に行きなさい」
メグ「言われなくたって」
互いの目的を果たす為、別行動にする二人。先にメグが駆け足で部屋を出ていき、次にヘンリー
が辺りを見渡して異常がない事を確認し修理部屋を後にした。
ジェイク「(ハァ・・ハァ・・ッぐぅ!何なんだよあいつは!!)」
息切れを起こしながらも全力で走り抜ける彼の背後に、"それ"は執拗に追跡を続けている。それ
の容姿は身長おおよそ2mを軽々と超えており、動物の熊をモチーフとした機械人形である。しか
し薄汚れた茶色のボディのあちこちが損傷して、ワイヤーや太いコード線がはみ出ている不気味な
姿になり果てていた。名は"Freddy"。かつてのピザ屋食堂で子供たちに演奏を披露していたアニ
マトロニクスであったが、今は逃げ惑う逃走者を追跡し殺戮を尽くす殺人ロボットへと変貌した。
"Welcome Back. catch for you...(帰ってきたよ。君を捕まえる為にね...)"-Freddy