Welcome!! to the fog of world... 作:Rat man
-ウィゴの手記 1896年11月
キャンプ地から狩りを行う儀式場へ連れてこられた四人のサバイバー、ドワイト・メグ・ジェイ
ク・ヘンリーは周りにいる烏の鳴き声によって目を覚ます。移動する間は忽然と意識を失うように
なっているので初めて儀式に参加するヘンリーは、不思議な感覚を覚えるが他の3人は今まで何度
も体験しているので、起き上がると直ぐに辺りを見渡して状況確認を行う。
ドワイト「えっと、此処は・・・!?」
メグ「ちょっと何よこの場所!今まで見たことないわ」
ジェイク「・・・建物内か?にしても(ゴホ、ゴホ)・・・ひでぇ埃。何年も掃除の手入れがされ
ていないみたいだな」
しかし、ドワイト達が目にしたものは今まで飛ばされた儀式場ではなかった。廃坑になった炭
鉱場でも、錆びついた車が置かれていた修理屋でも、動物の死体が無数転がっていたトウモロコシ
畑でもない。四人が今いる場所は、塗装が剥がれた四面の壁に小物や机が床一面に散乱している小
さな部屋である。空気が澱んでおりこの場所に留まっていると、体に何かしらの悪影響が来るので
はないかと思えるほど不潔で満たされていた。
ヘンリー「取り敢えず、此処にいてもしょうがないから一旦この部屋から出よう」
ヘンリーの発言により、他の三人は有無をいわずに早足で退散する。部屋から出ると一本道の廊
下が現れた。廊下の壁には人か動物か分からない絵が無数に張り付けられており、辺りをよく見る
と先程同様の部屋が多数見受けられる。
メグ「うっわ。何この絵、気持ち悪!それにさっき出てきた部屋と同じような部屋があるわ。薄気
味悪いわ~」
ジェイク「それもそうだが、俺たちは新しい儀式場に連れてこられたのか?」
ドワイト「う~ん、そうかもね。困ったなぁ。これじゃあ発電機を探すのに時間が掛かるよ」
狩りの儀式に見慣れない場所へ来たサバイバー達は、発電機やパレット等のオブジェクトをいち
早く把握する必要がある。確認もしないままで殺人鬼と鉢合わせした場合、成すすべもなく処刑さ
れる危険性があるのだ。なので一刻も早く発電機等を探さなければならないが、知らない場所で無
暗に歩き回るのも危険。見知らぬ場所なので土地勘も分かるはずなく困惑するサバイバー達。
・・・一人を除いて。
ヘンリー「待て。此処は・・・この廊下にさっきの部屋・・・それにこの懐かしい感覚。見覚えが
ある。皆な、廊下の奥に続いてる所まで行こう。」
ジェイク「爺さん、心当たりあるのか?」
ヘンリー「あぁ、私の記憶が間違ってなかったら・・・あれを見れるはずだ」
そう言い切り真っ先にヘンリーが廊下の奥へ進む。その後を追うように他の三人もついていく。
勿論、この場所でうろついてる殺人鬼に見つからないように、ゆっくりと歩く。小さな部屋で隠れ
ながら進み、少しでも不審な物音を聞いたら直ぐ姿勢を低くして物陰に隠れる。カチカチと不規則
に照らす電灯を頼りに、散乱している小物を避けていく。少しずつ暗闇に慣れた四人はよく目を凝
らして周りの状況を確認する。
ジェイク「壁の至る所に蜘蛛の巣と小さなひびが入っているな。塗装もだいぶ剥がされているし」
ドワイト「足元気を付けてね。ガラス片も散らばっているみたいだし。」
メグ「んなもん分かってるわよ。にしても色んなものが散らばってるわね。玩具や紙皿・紙コッ
プ、パーティクラッカーもあるわね。・・・あ!板見っけ」
廊下の中間地点まで差し掛かるその時、メグが何かを見つけたようだ。サバイバー達の目線から
見て左側の壁際に、大きさ一メートル半ほどの分厚いパレットが立てかけられていた。
ヘンリー「これがパレットと呼ばれるものか。・・・これで殺人鬼を足止め出来るものなのか?」
ドワイト「あ、大丈夫ですよ。見た目に反してかなり頑丈に作られておりますので。これを破壊す
るのにも時間が掛かりますし」
ヘンリー「そうなのか?」
取り敢えず見つけて損はないので頭の中に記憶する。続けて探索すると他にもちらほらパレット
を見つける事が出来た。各小部屋に一枚。部屋の中央に設置されている大きなテーブルと向かい側
の壁の間に立てかけられていた。また、隣接されている部屋に人一人通れる穴を見つけたので窓枠
ポジションとして、サバイバー達は利用するよう決めた。そして探索しながら廊下を進むうち、遂
に開けた場所にたどり着く。
メグ「うわ!眩し・・・!!」
ドワイト「急に明るくなったね。ここの照明はきちんと設備されて・・・え!?」
ジェイク「・・・爺さん。あのステージに立っているのって・・・」
ヘンリー「・・・やっぱりな。この懐かしい感覚は私の気のせいではなかった」
先程の薄暗い廊下に比べて、眩しい光が視界を覆う。思わずメグは一度両手で光を遮ったが目の
前にあるものを見た途端、直ぐに両手を下して呆然と立ち尽くした。後から来たドワイトもメグと
同様の反応をし、体が固まる。ジェイクも他二人と比べて落ちついた態度をとっているが、少し動
揺していた。そんな三人が見たものの正体は、サバイバー達の伸長を遥かに超えており、動物をモ
チーフとして制作された機械動物人形"アニマトロニクス"である。
ヘンリー「・・・この開けた場所は"メイン舞台"と言ってな、美味しいピザを食べながらアニマト
ロニクス達のショーを見るために設置された広場なんだ。そう、此処はかつて私と旧友
で一緒に立ち上げた"Freddy Fazbear's Pizza"の店舗なんだ。まさか、儀式場でこ
の場所へ戻って来るとはな」
ドワイト「あれがヘンリーさんが言っていたアニマトロニクス・・・」
メグ「でっか。よくもまぁ、あんなもんを作れるわね。熊と兎とヒヨコかな?モチーフは」
ジェイク「改めてみるとすげぇな。爺さんはこの機械動物人形に思い入れがあるんだろ?」
ヘンリー「・・・まぁね。それより、私の制作したものを見ている暇はないんじゃないのか?早
く目的のものを探し出さないと殺人鬼に見つかるぞ」
ドワイト「あ!そうでしたね。って目の前にありましたよ、発電機」
アニマトロニクスを初めて見た三人は、各々一言口にしていたがヘンリーに当初の目的について
聞かれた時に、思い出したかのように慌てて目的の発電機を探し始めた。するとアニマトロニクス
が鎮座しているステージの目の前にあるのを見つけたドワイトが他の三人に呼び掛けた。
ジェイク「やっと見つけたか。それじゃあ早速修理に取り掛かるか」
ヘンリー「そうだな。殺人鬼が此処へ来る前に何とか終わらせるぞ」
ドワイト「それなら僕に任せてください。修理に関しては僕の得意分野ですので。・・・正確に
は皆の修理にサポートして修理速度を速める事なんですけどね」
メグ「はいはい、分かっているから口じゃなくて手を動かしなさい」
ドワイト「あ・・ごめん」
故障した発電機を修理するには、元々千切れたコードと同じ配色のコード同士でつなぎ合わせた
り、電流のメーターを観測して電力を調整しながら復旧させる、歪な形をした部品を元通りに直し
て機材の中に上手く組み合わせるなど様々な方法を駆使して直していく必要がある。無論適当に直
そうとむやみに手を突っ込むと、発電機が暴発して修理速度が低下するので慎重にやらなければな
らない。それに、直している最中は発電機の修理音が響き渡るので殺人鬼の耳に入りやすくなり、
襲撃の危険性が高まるのである。なので、なるべく人数を多くかき集めて複数人で直す方が良いと
されている。だが、人が密集する分、殺人鬼に見つかる可能性も飛躍的に上がるのである。その場
合は必ず一人が囮となって引き付けている間に、残りのサバイバー達が急いで直す必要がある。
メグ「・・・ん?何か変な音しない?」
ドワイト「変な音?」
メグ「何か・・こう、ロボットが地面を歩いているような音」
ジェイク「ロボット?何だそりゃ。まぁでも、一応身構える必要があるな」
ヘンリー「・・・もう一つ。何か聞こえる」
ジェイク「ん?何が聞こえるんだ」
ヘンリー「まだ断定はできないが、鼓動・・・心臓の鼓動音が聞こえる」
ドワイト「ヘンリーさん、それ本当ですか!?」
ヘンリー「あぁ、そうだが。何だ?君たちは聞こえないのか?」
メグ「えぇ、そうね。でも不味いわね。状況的に」
ジェイク「そうだな。・・・!聞こえた。心臓の鼓動音」
ドワイト「皆!一旦修理を止めて辺りを見渡して!」
ヘンリー「(ドワイトの慌てぶり、・・・殺人鬼が近づいてきたのか。先程から音が止まないし
な)」
"・・・(ドクン)、・・・ン(ドクン)、・・ャン(ドクン)、ガシャン(ドクン!)"
ヘンリー「(まず間違いなくこちらへ向かっている。足音も鼓動音も大きく鳴っている。どうする
?一旦物陰に隠れるか?いや、そんな時間はない。だが逃げようにも全員が逃げ出して
しまったら誰が発電機の修理を引き継ぐ?それにまだ碌に探索も進めていないから仮に
殺人鬼に見つかって逃げている最中に行き止まりの場所に来たら目も当てられない。
どうするべきだ?私は)」
ヘンリーが一人で考えている間に他の三人は辺りを見渡して殺人鬼の姿を確認しようとする。罠
師か?チェンソー使いか?はたまた透明になって奇襲を仕掛けてくるのか?サバイバー全員が警戒
していると、遂に殺人鬼が姿を現した。だが、その姿を見たサバイバー達は絶句した。かつて対峙
した殺人鬼とはあまりにも違う異様な容姿をしていたからだ。兎の容姿をしたボロボロの着ぐるみ
を身に纏い、全身から剥きだしている配線や鉄製の部品の隙間に人間の骨と肉が覗いている。不規
則に体を小刻みに揺らしながら、その殺人鬼の目は四人のサバイバーの姿を捉えていた。大きく見
開いた充血している銀色の目で。
"俺は必ず此処へ戻ってくる"-ウィリアム・アフトンの遺言