今回は、アニメ『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』のオリジナル回である第1話をベースにしています。
その日、軍事国家アメストリス『セントラルシティ』は、不穏な空気に包まれていた。
「まさか……そんな面倒な奴が入ってくるとはね……」
中央司令部の一室でボヤく少年。
「で、あの2人を向かわせたって?」
「ああ。2つ返事で了承してくれたよ」
「ふーん……息巻いてただろうな……アイツ」
ため息を吐いた少年は、座っていたソファーに思いっきり体重をかける。
「で、俺のことまで呼んだ理由はなんでしょうか? マスタング大佐……いや、『焰の錬金術師』さん」
「簡単なことさ。『鋼の』が失敗した時の追加要員さ。レイトン・サザーランド———『嵐の錬金術師』」
軍服の男ことロイ・マスタングの言葉に再び溜息を吐く少年———レイトン。
「まあ、そんなところだろうなとは思っていましたよ」
そう返した直後、部屋の扉が開かれ2人の人物が入ってくる。
「クッソー……あの野郎……」
「噂をすればなんとやら……おかえり」
レイトンは皮肉混じりに入ってきた2人に声をかける。
「お前、それ嫌味だろ!」
「こうして帰ってくる時はだいたいそういうことでしょ?」
「クッ……」
「兄さん、落ち着きなよ」
入って来たのは、『鋼の錬金術師』ことエドワード・エルリックとその弟で大柄な鎧姿のアルフォンス・エルリック。
「たく……散々な日だ……」
そうボヤいたエドワードは、アルフォンスと共にレイトンの向かい側に座る。
「相手を甘く見ていた様だな。鋼の」
2人が座ったのを見計らい口を開くロイ。
その言葉に、エドワードは不満そうな顔をする。
「……あいつ、何者なんだよ」
「だから……説明を聞きたまえと言ったはずだ」
「え、聞かないで行ったの」
ロイの言葉に驚くレイトン。
「ああ、そうだ。だが彼は、そんな奴さっさと———」
「あー、ああ、わかりました。悪うございましたよ」
わかった、とジェスチャーを交えながら返答するエドワード。
対するロイは、やや嘲た顔でエドワードに対して告げる。
「年長者の言葉は素直に聞いておくものだ」
「へーいへい……」
エドワードの返を聞いたロイは、説明を始める。
「さて……名前はアイザック・マクドゥーガル。
「元?」
ロイの言葉に首を傾げるエドワード。
「そうだ。イシュバール殲滅戦の時、我が軍の一員として活躍した」
席を立ち上がり、窓際へと向かうロイ。
「戦後彼は、国家錬金術師の資格を返上し、さらには反体制運動に身を投じた。奴の身柄拘束は最優先事項だ。場合によっては殺さねばならないだろう」
「俺は殺すのだけは御免だ」
「同じく。軍の狗になったとは言え、人を殺める気はないですから」
「好きにしたまえ。我々が求めているのは君達の実績だけだ」
そう言われたレイトンとエドワードは、ロイの方を見つめる。
それに気付いたロイは、向き直ると軽く微笑む。
「ところで、身体を元に戻す手がかりは見つかったのかね?」
「んっ……!」
ロイの言葉に驚いた後、怒りを露わにしたエドワードは声を荒げる。
「そんな暇くれねぇくせにー!」
そう叫んだ直後、部屋の扉が開かれる。
「よぉー、ロイ! 氷結の錬金術師の身柄拘束とは、とんだ命令で災難だったなー! それとも、セントラル護衛点のチャンスか?」
突然現れた眼鏡の男は、ロイにそう言葉をかける。
対するロイは、心の内で『うるさいのがきたなぁ』と思うのだった。
すると男は、席に座る3人に気がつく。
「おおー、君達もしかしてエルリック兄弟か?」
「「はぁ……」」
そう言った男は、アルフォンスのそばにより、手をつかむと激しく上下に振りながら握手を交わす。
「いやー、最年少の国家錬金術師に会えるとは光栄だなー。俺はマース・ヒューズ、中佐だ」
「あ、あの……僕は弟のアルフォンス・エルリックです……」
「なにー、そっちが鋼の錬金術師だったのかー」
驚いたようにそう言う男ことマース。
しかし、マースの視線はエドワードではなく、レイトンの方に向いていた。
「あー、自分じゃなくてこっちですよ?」
「なにー?!」
レイトンの訂正に再度驚くマース。
対するエドワードは、『ちっこいって言うなよ……ちっこい……』と、呪詛の如く呟くのであった。
「こっちがエドワード・エルリックということは……君は?」
「自分はレイトン・サザーランドです。よろしくお願いします、ヒューズ中佐」
「おう……っと、レイトン・サザーランドということは、鋼の錬金術師に続いて最年少で国家錬金術師の資格を取った、嵐の錬金術師か?」
マースの言葉に頷くレイトン。
その直後、ロイがマースに声をかける。
「ヒューズ」
「おう」
「用がないなら直ちに帰りたまえ」
「帰るさ。用が済んだらな」
「……?」
マースの返しに首を傾げるロイ。
「君達、どうせ宿決まってないんだろ? だったら、ウチに来いよ」
「「「……ん?」」」
マースの提案に首を傾げる3人。
直後、眼鏡を光らせたマースは軍服の上着の内ポケットに手を入れ何かを素早く取り出す。
「「「……ッ?!」」」
その動作に驚く3人。
するとマースは、取り出したものを3人に掲げる。
「写真……」
冷静になったレイトンが呟く。
そこには、女性と幼い女の子が写っていた。
「妻のグレイシアと娘のエリシアだ……」
先ほどとは打って変わって、緩くなった顔で自慢するマース。
それを見たレイトンは『あ、この人悪い人じゃないや』と確信するのだった。
「え、えっと……」
「あー、お2人がお家にいらっしゃるんですね」
「そうだ……妻は美人で料理も上手い……それに、娘も素直で可愛いぞ」
「だってさ、エド」
流し目でエドワードを見たレイトンはそう告げる。
「なんだ、君は来ないのか?」
「その、お心遣いすごく嬉しいのですが、今日は
「そうか。なら、また別の機会の時に来いよ。歓迎するぜ」
「ありがとうございます」
そう言ったレイトンは席を立つ。
「それでは大佐、資料室お借りしますね」
そう言い残すと、レイトンは部屋を後にするのだった———
翌日、エドワードとアルフォンスと別れアイザックを探すレイトン。
「どこにいるかねぇ……」
街中を歩きながら、呟く彼は徐に路地へと足を踏み込む。
すると、地面に何かを書き込む軍服姿の男を見つける。
「オッサン、何やってんの……って、こいつはビンゴか」
苦笑したレイトンは、素早く手袋を装着する。
「貴様……何者だ」
「さあね。今のところは名乗る予定はないかな。
「軍の者……か。邪魔立てするのなら、容赦せん!」
そう言った男、氷結の錬金術師ことアイザックは錬成陣を掘った左手をレイトンへと突きつける。
対するレイトンも、両手を合わせた後右手で迎え撃つ。
そして両者がぶつかり合った瞬間、激しい火花が散る。
「……ッ! 何をした」
「アンタのやる事はお見通しってことさ。それに———アンタと俺は錬金術が似ている」
「まさか貴様も……」
「水に関する錬金術、その構造とかは知り尽くしてるつもりさ。因みに今のアンタのは沸騰だったね」
ニッ、と口角を吊り上げて言葉を返すレイトン。
「相殺方法ぐらい知ってるさ」
「その減らず口、いつまで叩いていられるかな?」
そう言ったアイザックは、近場のパイプを掴む。
直後、無数の氷柱が現れレイトンへと襲いかかる。
「チィッ……!」
舌打ちしたレイトンは、再度両手を合わせると氷柱に両手を叩きつける。
すると突然、氷柱は軌道を変え、レイトンの手首に巻きつく。
「何ッ?!」
「これで動けまい」
アイザックは、身動きの取れなくなったレイトンに近付くと彼の手から手袋を奪い破り捨てる。
「……ッ!」
「これで対抗することもできなくなった……さらばだ!」
そしてアイザックの伸ばした左手が、レイトンの顔面を掴んだ瞬間、レイトンは口角を吊り上げる。
「なーんてねッ」
その言葉と共に、右足で左靴を叩いた彼はその右足を地面へと力強く踏み込む。
直後、そこを起点として激しい電流が流れ2人を襲う。
「ッ……何をした!」
慌てて飛び退いたアイザックは、驚きの表情と共に声を上げる。
対するレイトンは、素敵な笑みを浮かべながら立ち上がり返答する。
「何も、腕しか使わないとは言ってないぜ?」
そう答えた彼の足元を見るアイザック。
すると、彼の靴に錬成陣が描かれていることに気が付く。
そして、目の前の少年が何者なのかを悟る。
「4つの錬成陣……そこから繰り出される複数の錬金術……特にあの電撃……そうか、貴様が嵐の錬金術師……!」
「御名答……で、どうすんの? もう周りは騒ぎを聞きつけた憲兵に囲まれてるけど?」
不敵な笑みを崩さず、そう投げかけるレイトン。
するとアイザックは目の前の水溜りに手を浸ける。
「……まさかッ!」
気付いた時には既に遅く、水溜りは激しく沸騰した後多量の水蒸気が辺りを包む。
「クソッ……!」
すぐ様追いかけようとするレイトンだったが、先ほどの痺れが残っており、動かなかった。
そして、辺りが晴れた時にはアイザックの姿は無く、逆上せた様に赤くなったまま倒れ伏した憲兵の姿があるだけだった。
「
「レイトン・サザーランド! 無事か?」
レイトンが呟いた直後、背後から現れる軍服姿の大男。
「アームストロング少佐……自分はなんとか……それよりも、あの人が……」
「……あれは、他の兵に任せるとしよう。それよりも———」
「ああ。今の今までいましたよ、氷結の錬金術師が……」
レイトンは目の前の男、アレックス・ルイ・アームストロングにそう告げる。
「やはり……か。それでどこへ……」
「予測ですが……恐らくは、また路地裏ですね。複数の路地裏で何かをやっている……それがなんなのかわからないけど。少佐、ここと真逆の路地裏で網を張ってもらえませんか?」
「承知した」
頷いたアレックスは、その場を後にする。
残されたレイトンも立ち上がると、路地を出る。
「……対策組んでたのにアレか。やっぱり侮れないか」
そう呟いた彼は、再び街の中を探索し始めるのだった———
アレックスとアイザックの戦闘の後、日が暮れた街の中レイトンは走っていた。
「何企んでやがる……氷結の野郎。軍上層部に不服があるってんなら、とんでもないことをするのは間違い無いんだが……」
昨晩読んだ資料のことを思い出しながらボヤくレイトン。
直後、傍らの建物の屋上が爆発する。
「……あれは、激しい炎と水が混じり合った……大佐か!」
その直後、レイトンは隣の建物に飛ぶ人影を捉える。
「逃げられた……てことは」
不安になったレイトンは、先程同様足を叩き地面を思いっきり踏む。
すると、錬成反応の後に地面が迫り上がる。
「大佐!」
そのまま建物の屋上の高さまで上がったレイトンは、建物に飛び移りロイの元へと駆け寄る。
「あ、やっぱり……」
そこには、びしょ濡れになったロイの姿があった。
「嵐の……」
「はい?」
「先に奴を追いかけろ……後から行く」
「わかりました」
頷いたレイトンはすぐにその建物の下に降りる。
「さて、どう追いかけるかな」
呟いた直後、街中に無数の赤い光の柱がそびえ立つ。
「錬成反応……それも複数且つ同時に!」
嫌な予感がしたレイトンは、光の元に向かって走る。
その瞬間、彼の右側から建物を突き抜けて氷塊が爆走してくる。
「……は?!」
急いでバックステップすることにより、巻き込まれる事を回避したレイトン。
「なんなんだ……一体」
額から垂れる汗を拭った彼は、辺りを見渡す。
すると、同様に氷塊が街の至る所を駆け巡っているのが目に入る。
「そう言うことか……街を氷漬けにする気かよ!」
アイザックの狙いに気付いたレイトンは、叫ぶなり新たな手袋をはめると手を合わせ地面に両手を叩きつける。
そして、『雷』を錬成し目の前の壁と化した氷塊に打ち付ける。
「例え電気を通さずとも……衝撃は入るだろ」
鋭い視線で穴の開いた氷塊を見つめるレイトン。
その目の前で、氷塊は修復する。
「……おまけ付きか。面白い、内部構造からいじり直してやるよ!」
再度手を合わせたレイトンは、氷塊にその両手を叩きつける。
が、何も起こらず直ぐに手を離す。
「……ッ、なんだこの複雑な構築。普通の錬成じゃねぇ……! あれやるしかない!」
叫んだレイトンは、手と足を叩き地面へと打ち付ける。
すると、錬成反応は徐々に徐々に大きな渦を描き竜巻へと変異する。
そして竜巻は、目の前の氷塊を蹴散らし粉砕する。
それにより開けた道を、彼は走る。
「野朗……どこだ……!」
奥歯を強く噛みしめながら、一心不乱に走るレイトン。
すると彼の前方で、氷塊に銃撃を行う部隊の後ろから歩いて行く男が目に入る。
「アレは……大佐?」
そう思った途端、目の前の氷塊が爆発する。
「あ、大佐だわ」
レイトンはマスタングの元に駆け寄る。
「私の炎を———舐めるなぁ!」
「派手にやってますね大佐」
叫ぶロイに茶々を入れるレイトン。
「嵐の……奴は?」
「多分2人が交戦中」
「そうか。ならば貴様は、被害の拡大を抑えろ。これ以上この氷を進めるわけにはいかない」
「了解」
即座に切り替えたロイの指示を聞いたレイトンは再び氷塊に向かって走り出す。
そして、足による錬成で地面を迫り上げたレイトンは、氷塊の上に飛び乗る。
「落ちろ———雷光ッ!」
再度両手両足による錬成を行うレイトン。
それにより、自身の手前を中心として特大の電撃が発生しその衝撃で氷塊がひび割れて行く。
「そのまま逝っちまえ……!」
叫びと共に、氷は粉砕される。
だが、直ぐに修復し新たな氷塊となってレイトンに迫ってくる。
「ここまで……か」
電撃のダメージによりボロボロの体故に動けないことをわかっていたレイトンは、自身の終わりを悟る。
だが氷塊は、レイトンの目の前で溶けて水に変わった。
「止まっ……た?」
安堵した彼は、そのまま意識を失ってしまうのだった。
その後彼は、アレックスに倒れているところを発見され、エドワードと共に入院するのだった。
そして、エドワードの病室を訪れていたところ入ってきたアレックスの筋肉をひたすら見せつけられるのだが、それはまた別のお話。
閲覧ありがとうございました。
下の方に主人公の設定を載せておきます。
また、アンケートの方も設置させていただきますので、よろしければ投票のお願い致します。
それではこれで。
↓以下、主人公の設定。
レイトン・サザーランド
嵐の錬金術師
愛称は『レイ』
銀髪シャギーの少年(青年)
エドと同い年。
灰のジャケットに灰の長ズボン、翡翠のコートを見に纏う時もある。
国家錬金術師。
2つ名は複数種類を扱えると言うことから。
雷を得意とする。
これは、氷(水)に関する錬金術の応用によるもの。
大気中の水分を小さな氷の粒にした後、岩石系の錬金術の応用で生じる磁力により氷を加速、多大なエネルギーの静電気を生み出すという荒技の錬金術。
彼は、この錬金術に行き着くまでにさまざまなことを学んでいるため、基本的にはどの属性の錬金術も使えるというやや、イカれた部分も見受けられる。
連載に変えた方が良いか
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はい
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いいえ