最終決戦から始まる物語
20XX年6月22日1800時 サンフランシスコ上空
「楽しいなあ、アンタレス!まだまだこれからだ、 全力を見せてみろ」
「スレイマニ、これで最後にしよう。お前のそんな姿、俺はもう見たくない」
「いいだろう。かかってこい、アンタレス!」
異形の戦闘機、Su-47ベルクートとGAF-01ヴィルコラクが高い機動性を活かして後ろを取り合う。コブラ、クルビット、捻りこみなどの機動を連続で行う。遂にアンタレスがスレイマニの後ろを取った。その時、二人の右スレスレを紅い閃光が走った。
「「何だ今のは?」」
『スレイマニ、アンタレス! ブレイク!!』
AWACSに乗っているバーフォードが叫んだ。慌てて左右にバレルロールすると、二機の飛んでいたところをさっきの紅い閃光が通り過ぎた。
『IFFに応答なし。何だあれはオルゴイか?』
「バーフォード、そいつはどこにいる?」
『お前たちから見て二時方向、同高度で距離二十キロ。数は一だ』
見えたのは東京やミッドウェイで墜としたオルゴイにそっくりな巨大な赤と黒の航空機。HUDにはUNKNOWNと表示されている。
「おいスレイマニ。あれはあのハゲの差し金か?」
「いや、初めて見た」
「じゃあ別の敵か。アンタレス1、交戦」
「......ヴィルコラク1、交戦」
紅い閃光が二人を襲う。巧みに避けながらUNKNOWNに接近。隙を見つけてミサイルを放つ。
「アンタレス1、FOX2」
「ヴィルコラク1、FOX2」
ミサイルは白い軌跡を残して敵の上部で爆発する。そこで二人は驚愕した。
ミサイルに当たっても墜落しないだけでなく、エンジンもなく、乗組員もいない。真っ赤な結晶が内部に一つあるだけだった。
「なんなんだ、あの赤い結晶は......」
「自分で修復しているのか?」
じわじわと黒い装甲のようなものが元に戻って行く。
『カノープスよりM42飛行中隊各機。高熱源反応を確認。おそらくその赤い結晶だ。狙い撃て』
「了解。行くぞスレイマニ! アンタレス1、FOX3!」
「ヴィルコラク1、インガンレンジ。ファイア」
二機がUNKNOWNと交錯する。結晶が砕け散るのをスレイマニは確認した。その直後、UNKNOWNは急速に縮みだし、小さな黒いボールのようになった。
『なんだ? ............!! 各機急速にその場を離れろ! 爆はーーー』
「な、うわああっ!」
「くっ!」
バーフォードの叫びが無線に響いた瞬間、それは急に大爆発を引き起こし、アンタレスとスレイマニを呑み込んだ。
『アンタレス! スレイマニ! 応答しろ!』
爆発の後は何もない夕焼けの赤い空が広がり、カノープスの白い機体を橙色に染めていた。
一年後、アンタレスの故郷である日本を訪れたバーフォードは、その後、サンフランシスコにあるアンタレスとスレイマニの墓参りをしていた。MIA認定された二人は戦死とされた。だが、バーフォードは彼らが死んだとは思えなかった。
「なんだろうな、私はお前たちが死んだとは何故だか思えない。............、二人とも、必ず帰還しろ。それが私からの最後の命令だ」
二人の墓にそれぞれが好きだった酒を供え、バーフォードはその場を去った。
短いですが、ここからお話が始まります。基本一話五千字以上を目指します。