この島はどうやったのかまではわからないが随分と改造が施されているらしい。(ブレイズがやったのだとか)基地でありレーダーサイトとしても機能しているようだ。そのレーダーがネウロイではなく、国籍不明艦艇を一隻、捕捉した。もしかしたらブリタニアがこの場所を発見したのかもしれない。
「スクランブルをかけろ!」
『ガルム1、出撃』
『こ、こちらガルーダ1、出撃します!』
サイファーに援護されたタリズマンが出撃する。今日はウィッチの姿ではなく両方ともF-15CとEだ。
「けどさ、普通軍艦が単独で来るなんて普通あるか? 俺がどっかの軍の偉いさんなら空母機動艦隊くらいは連れて行くけどなー」
「アンタレスの言う通りだ。俺が海軍の提督でもそうする。それに、ここは普通ならどの国の艦船も通らないような場所のはずだ。新手のネウロイか?」
アンタレスが最もなことを言えば、今日は非番らしいピクシーも意見する。スカイアイも同意見のようだ。
「レーダーサイトがあるとは言え、ここは基本的にネウロイ以外は巣が近いから来ないが、何故だろうな」
『こちらガルム1。発見』
『こちらガルーダ1。あ、相手は空母ですっ』
「空母だと......!? 形式はわかるか!」
『おそらく、け、ケストレル、だと思います』
空母ケストレル。オーシアの空母で勝負に勝つことは無かったが、艦長アンダーセンのもと、ブレイズたちラーズグリーズの母艦であった空母だ。だが、スキージャンプ台とカタパルトを備えている。明らかに別物だ。
『艦載機だ。F-16一機』
『お、オーシアのF-14もです! あ、あれは......ウォードック?』
飛んできたのはウスティオのF-16CとオーシアのF-14D。
「誰だ」
『そのF-15のペイント......。サイファーっすか!?』
「PJか?」
『そうっす! PJです! なんで女性?』
垂直尾翼に鴉が描かれている。確かにPJだが、声は男だ。なぜ女性になっていないのだろうか?
「......ロックオン」
『ちょ、待っ! 何するんすかサイファー! せっかく会えたのに!』
『へいへいへい! 俺のことも忘れないでもらうぜ!』
もう一人の男が叫ぶ。サイファーとしてはうるさすぎて敵わない。
「......どうする?」
『こちらブレイズです。チョッパーがいるんですか?』
『つ、つなげましょうか?』
『お願いします!』
タリズマンがチョッパーと交信を開始する。
『チョッパー、聞こえる?』
『へいへい、こちらラーズグリーズ3、チョッパー様だ! お嬢ちゃんは誰だい?』
『こちらラーズグリーズ1。ブレイズです。久し振りですね』
『ブレイズだって? おいおいお嬢ちゃん。嘘も大概にしてくれよ。口調はそっくりだがあいつは男だぜ?』
『こちらサンダーヘッド。私語は慎め。ウォードッグ3』
ブレイズは管制官だったサンダーヘッドの声真似を完璧に決める。
『へいへい、ラーズグリーズ3、了解......って、本当にブービーか!?』
『そうです!』
『なんで女!?』
『さ、さあ?』
「まだ続くか?」
『あ、すみませんサイファーさん』
さすがにサイファーが苛立った声を上げる。やはり見た目と違い、沸点は低いらしい。
「そこの空母の目的は何だ」
『俺たちはエイセスてとこに向けて動いてるんです!』
『この空母に重要な荷物が積まれてるんだとよ』
「重要な荷物?」
『おうよ。なんかMとYを合わせたようなマークの付いたコンテナだ。こいつを運んでんだとよ』
「MとY」
サイファーの心当たりといえば、アンタレスのストライカーの主翼端についているマーティネズ・セキュリティー社という聞いたこともない異世界の民間軍事会社のエンブレム。
『ば、爆発物では、ありません、よね?』
『多分違うっす』
「…………ついてこい」
エイセスのある小島沖に巨大な空母が停泊する。
「これ、ケストレルじゃありません」
「…………Тяжёлые авианесу́щие крейсера́ прое́кта 1143.7 «Орёл»(1143.7 「オリョール」設計重航空巡洋艦)。またの名をウリヤノフスク級原子力重航空巡洋艦だ」
「アンタレスさんは知ってるみたいですね。ユークトバニアの空母ですか?」
「間違っちゃいないさ。けど、違う。あれは俺たちのいた世界の、旧ソ連。えー、ユークトバニア? ここでいうオラーシャの空母だ。ソ連崩壊後に完成せずに解体されたと聞いてるんだけどなあ」
「ず、随分詳しいですね......」
「あ、やめて、ひかないで。そんな残念なものを見る目で見ないで」
アンタレスのやたら詳しい説明にちょっとブレイズがひく。
「まあとにかく、中の確認だ」
ビショップ、アンタレス、13が拳銃を構えてスカイアイを警護しながら近づく。スカイアイはこの世界に来た時に発現したという探査魔法を使って索敵を行う。特に反応はなく、艦内の乗員は三人しかいないようだ。少なすぎるが、本当に三人だけのようだ。
「よし、乗り込もう」
「「「了解」」」
艦内は明るく、罠の気配などはない。格納庫には何もなく、真新しい。カタパルト近くの格納庫にはF-16CとF-14A、そしてビショップとアンタレスも噂でしか聞いたことのなかった日の丸をつけたASF-Xが駐機されていた。
「これは......」
「知っているのか?」
「ああ。ASF-X震電Ⅱ。日本が独自に開発した艦上戦闘機だ」
「ほう。ノースポイントもそうだがニホンも面白いものを作るな。いい機体だ」
「わかるのか?」
「ああ。昔ゼロを作ったのもニホンとノースポイント、フソウだ。極東地域はよくすごいものを作り上げる」
零戦。三つの世界で共通している戦闘機の一つ。この世界ではどうなのかわからないが軽快な機動性と装甲を突き破る重武装で一時期は世界最強の名をほしいままにした歴史に残る名機。
「やっぱ似たようなもの作るんだな。ラプター見た瞬間に思ったけど」
その時だった。
「動くな」
すこし低い女性の声。拳銃が一番後ろにいたアンタレスの後頭部に押しつけられる。
「私の機体の前で何を?」
振り向いた先にいたのは髪を後ろに結いあげた女性。
チョッパー参戦です!書くのを忘れていましたが、途中で拾ったと言うことにしてください。