赤蠍と人狼と空飛ぶ少女   作:雪見雪乃

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部活などが忙しくて投稿できませんでした。申し訳ないです


アイガイオンとオルゴイとコア泥棒

 地中海の綿あめのような白い雲が点々と散らばる空に白い鯨が現れる。ベルカ公国が開発した巨大ガンシップXB-0フレスベルクの改良版ともいえるであろうエストバキアの重巡航管制機、アイガイオンだ。エメリア・エストバキア戦争でエメリア共和国空軍第8航空団第28飛行隊ガルーダ隊率いるエメリア空軍に敗れ、エース部隊シュトリゴン隊の奮戦も空しく、電子支援機コットス、近接防空機キュゲスとともに海中へと没した空中空母だ。なぜその失われたはずのものがこの世界の空を飛んでいるのか。それは誰も知らない。だが、この機体が向っている場所はわかる。アフリカのネウロイの巣だ。

 

『さて、腕前を見せてもらうぜ、新入り』

「…………」

『さあ、行こうぜ隊長。新生ヴィルコラク遊撃隊の出撃だ』

『君たちの獲物は僕がもらう。邪魔しないでもらうよ』

『今回のエースの座は俺がもらう!』

 

 先に飛び立ったのはCFA-44に乗る元シュトリゴン隊隊長、イリヤ・パステルナーク中佐。ガルーダ隊に敗れたのち、この世界に流れ着いたそうだ。そのあとに、オルマ・ガビリア・キリアコフが続く。スレイマニは最後に飛び立った。

 

 今回の相手は東京を襲撃したスピリダスではなく、もう一機のほう。オルゴイの形をしたネウロイだ。

 

『今度はあのへんな動きをするヴァラヒアの機体が相手か』

『そういや隊長は前にスピリダスと戦ったんだってなあ』

『リボン付きの死神に黄色の13、凍空の猟犬、そして神鳥ガルーダか。なかなか面白いやつらが近くにいるんだな』

 

 パステルナークはニヤリと笑う。ガルーダ隊に因縁があるらしく、そこだけやたらと強調されていた。オルマは彼にサンフランシスコでアンタレス隊と交戦する前のスレイマニのような狂気を感じ、背中を冷たいものが滑り落ちた。

 

「ヴィルコラク1、交戦」

『ヴィルコラク2~4、交戦』

『シュトリゴン1、交戦』

 

 オルゴイが初見であるパステルナークとは違い、ヴィルコラク遊撃隊は一度東京で戦闘している。あの機体の弱点は機体後部のエンジンと機体下部に複数設置されたFCU。それらのどれかのはずだ。今回の勝利条件はパステルナークよりも早く相手を撃墜すること。ネウロイなどというわけのわからない謎の生物のようなものになっている。機関砲の代わりに出てくるのは赤い閃光。戦いがいがありそうだ。

 

「ヴィルコラク1、FOX3!」

『シュトリゴン1、FOX2!』

 

 二発のミサイルがウェポンベイから一発づつ飛び立つ。胴体に直撃。魔力を使ってミサイルをリロード。弾数制限は魔法とやらによってほぼなくなっているので、魔力がなくなるまでは飛び続けることができるわけだ。スレイマニにとってこれほどありがたいことはない。その分金を稼ぐことができるのだから。

 

「遅いぞ」

『隊長には負けられねえ!』

『俺たちも行くぜ!』

『…………』

「狼の牙!」

『『『了解!』』』

 

 サンフランシスコでアンタレスを苦しめた技の一つをネウロイに披露する。二機編隊に分かれて挟むようにハイGヨーヨーで旋回、ミサイルを一気に射出する。幾本もの白煙が黒い巨体に直撃し、装甲が剥がれていく。だが、コアはまだ見えない。

 

『シュトリゴン1、EMLスラッシュ』

 

 まばゆい閃光がネウロイを襲う。超電磁砲だ。極超音速の弾丸はネウロイの右側装甲を砕き、真っ赤なコアを露わにさせる。

 

『ちっ、掠っただけか!』

『みつけた! FOX2!』

 

パステルナークが舌打ちし、キリアコフが増速して攻撃を仕掛ける。だが、ネウロイは回避。その後も不思議な機動を繰り返し、ミサイルを避ける。

 

『おいおいおいおい、あの不思議機動はネウロイになっても健在かよ!』

『面白え。今度は俺がやってやる!』

 

ネウロイが装甲を急速に回復させていく。ガビリアが装甲を再び破るが、コアまでは破壊ができない。

 

『ちっ、回復が早え!』

『隊長! 連携しねえとアレは墜とせねえ!』

「そうだな。狼の爪!」

『『『了解!』』』

『もう一発くれてやる! シュトリゴン1、EMLスラッシュ!』

 

レールガンが後部装甲を打ち砕き、八発のミサイルがコアを砕いたーーーかのように思われたが、ミサイルはコアのあった場所を通り抜け、上部装甲を突き破って消えた。

 

「『『『『!?』』』』」

 

光り輝く粉のようになって消えるネウロイの影からミサイルが三発飛来する。ミサイルアラートがコックピット内でがなりたてる。

 

「『ブレイク!』」

 

ミサイルを回避した直後にすれ違ったのは三機のジェット戦闘機。すれ違った瞬間に見えた垂直尾翼のエンブレムには翼に数字の0を描いた鷲の絵。

 

「今のは......」

『自衛隊機か? 日の丸をつけてやがったぞ』

『ガビリア、君はあの機体の主翼をちゃんと見てたのかい? あそこについていたのは日の丸だけじゃない』

 

キリアコフはそこで押し黙った。自分でも本当なのか疑わしかったからだ。だが、遠くの分厚い雲の中に見えるIFF(敵味方識別装置)に反応するあの機体は間違いない。マーティネズ・セキュリティー社M42飛行中隊所属の、カノープスだ。そして、すれ違う瞬間に見えた日の丸をつけた三機の戦闘機も、マーティネズ・セキュリティー社のエンブレムがついていた。

 

「不明機はF-22、Su-50、Su-47だな」

『機動性がおかしいやつばっかじゃねえか!』

『許さない......』

『おい、待てよトーリャ! 先走るな!』

 

増速して追いかけようとしたキリアコフの目の前にオルマが飛び込んで止める。その間に、パステルナークはスレイマニに相談を持ちかけた。

 

『ヴィルコラク1、あんたはどうするんだ? 俺たちのコア泥棒を泳がせるか、ここでとっ捕まえるか』

「シュトリゴン1、あんたはどうしたいんだ。俺はあの不明機編隊と戦いたい」

『了解だ。いっちょやってやるか』

 

五機の戦闘機はアフターバーナーを点火してAWACSを引き連れた三機の戦闘機を追う。




エースコンバットの特徴、ミサイルのリロードを魔法で再現してみました。どうでしょうか?
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