3と1
501JFW
ジリリリリリリリリリ! と、けたたましいサイレンが鳴り響く。レーダーに反応が3。中型ネウロイの群れらしい。そこまで広くない廊下を駆け抜ける少女たちをスルスルと巧みに追い越した3人はストライカーユニットの前を駆け抜け、3機のレシプロ戦闘機に飛び乗る。この基地のもう一つの部隊であり、ウィッチではないが異世界から来たという3人の凄腕戦闘機乗り。マーティネズ・セキュリティー社のアルタイル隊だ。
続いてウィッチたちがストライカーを履く。
魔法陣の輝きとエンジンの爆音を響かせて大空へと飛び立つ。
「アルタイル隊、聞こえるか」
《感度良好。誘導頼むぜバーフォード》
「任せてくれ。敵は中型ネウロイの群れだ。数は5。そこから4時の方向だ」
《了解だ。全機聞こえたな?》
《《了解!》》
「こちらミーナ。美緒、聞こえる?」
〈ああ、こちらも聞こえてるぞ!〉
「たった今レーダーにもう一つ反応を捉えたわ。数は1。方向は同じよ」
〈ああ、こちらでも確認した。機数1、大型だな。やけに低速だし不思議な形をしている......。だがまずは手前の群れからだ!〉
坂本の魔眼はもう一機のネウロイを捉えていた。不思議な形をした見たことのないネウロイだ。彼女はそのネウロイから目を離した。それがのちに大変なことになるのをまだ誰も知らない。
「アルタイル隊が交戦区域に到達します」
「続けてウィッチ達が交戦区域に突入」
《こちらアルタイル隊、敵機を確認した。交戦を開始する》
〈同じく交戦開始!〉
「よし、全機攻撃開始! アルタイル隊は右翼の1機、残りの2機をウィッチ達が攻撃せよ」
《《《ラジャー》》》
〈〈〈了解!!〉〉〉
ウィッチはその機動性を活かして近接戦闘に、アルタイル隊は一撃離脱戦闘でネウロイに挑む。
〈ついてこい、宮藤!〉
〈はい!〉
宮藤の援護を受けながら坂本が斬り裂いたネウロイはコアをうまく外すことに成功したらしく、回復を開始した。しかし、
〈撃てっ! リーネ!〉
〈はっ、はいぃ!〉
コアが隠れる寸前でリーネに狙撃させることで撃破に成功。バルクホルンももう一機のネウロイに極限まで近づき、構えていた小銃を持ち替えてハンマーのように振り下ろし、ネウロイの装甲に穴が空くほどの一撃を叩き込む。しかしコアは見つからなかった。
〈ちっ、次だ!〉
2発、3発、4発と叩き続け、ついに5発目でコアを見つけたものの、ネウロイの突起部を回避したために大きく離れてしまう。
〈くっ!〉
〈私がやるよ!〉
〈ハルトマン!〉
放たれた弾丸は見事にコアを撃ち抜いた。2機のネウロイは白く輝く欠片となって海へ落ちてゆく。
《私たちも負けてられないね!》
《そうねえ。どうする?》
《出来る限り編隊を崩すなよ。確実に仕留める。まずは手前からだ》
《《ラジャー》》
標的となったネウロイは危険を察知したのかビームを放つ。
《2、先頭に出ろ!》
《ほっほーい! ちゃんとついてきてよね!》
アルタイル2は濃密なレーザーの弾幕をするりするりと華麗に避けていく。レシプロ戦闘機はジェット戦闘機と比べたらかなり小型だがそれでも大体10メートルはある代物だ。人1人分の大きさであるウィッチならともかく、戦闘機でここまで綺麗に掻いくぐることができるのだろうか。それにぴったりと寄り添う1と3も実力者なのが見て取れる。
《よし、ここまでこれば大丈夫だよ!》
《さすがだ。やれ、3》
《フフッ、ラジャ♡》
ネウロイの巨体に機関砲弾が撃ち込まれる。弾幕をかいくぐり様々な角度から少しずつ装甲をえぐっていく。ネウロイも負けじと応戦するがなかなか当てることができない。機体の性能をフル活用し、回避しながら攻撃していく。
《スリルが足りないわ! もっと私を興奮させなさい?》
ヒラリヒラリと舞う蝶のように、しかし攻撃は雀蜂のように苛烈に。そこからつけられたあだ名がフェアリというらしいが、そのあだ名に恥じぬ実力を備えていた。
《コアを発見!》
《了解。もう少し足止めを頼むぞ!》
《はいはーい。もう少し楽しませてもらうわ♡》
《2、援護頼む》
《りょーかいだよっ!》
1と2がいるのはネウロイの真上。そこから最初は大きく、そして小さく鋭い旋回に入る。ネウロイとは丁度斜めから向かい合う形だ。
《もういいぞ! 離れるんだ!》
《ラジャー》
3が急に冷めたかのようにネウロイから遠ざかる。だが襲いかかるのは1と2。
《2、援護射撃開始します!》
《1、UGB投下。......弾着確認》
弾丸とともに無誘導爆弾がネウロイに向けて落とされる。着弾。煙が上がっているがこのくらいではネウロイは撃墜できない。ならば。
《惜しいな。2、3。こいつは俺にくれ。すぐに行く》
《《ラジャー》》
指揮所のバーフォードとミーナは動揺していた。
「無誘導爆弾を飛んでる相手に当てるなんて、なんて無茶な......」
「いや、それもそうだがシャドウのやつは一体何をするつもりだ?」
そして彼の性格を考えたバーフォードはいやいや、それはないだろうと首を振る。
「アルタイル1、シャドウ。お前は何を考えているんだ?」
《何ってバーフォード、お前、そんな当たり前のこと言わせんなよ》
「「は?」」
《こちらアルタイル1。ネウロイを内部から破壊する!》
「馬鹿なことはよせ! 何を言っているんだ!」
《なに言ってんだ。なんかちょうどいい感じの穴があったら入ってみるのが男だろうが! 行くぜ!》
アルタイル1が急降下。大穴の開いたネウロイに向けて突撃する。コアが射程に入る。撃鉄を落とす。飛び出た数発の弾丸がコアを打ち砕いた。
《撃墜!》
《ナイスキル!》
「こちらバーフォード。敵編隊の全機撃墜を確認。残った単騎ネウロイを撃破せ......」
バーフォードからの通信が途絶えた。
〈バーフォード、どうした?〉
「美緒、ネウロイは今も捕捉してる?」
〈ああ、してるぞ。それがどうした?〉
「ネウロイが、レーダーから消失したのよ......」
〈なんだと!?〉
《ステルスか。距離と形状、速度を教えてくれ》
〈6時方向、30マイルの距離、時速700kmで飛行中だ。形状は大きいが平たい不思議な形をしている〉
《......B-2スピリットね。私たちでは追いつけないわ》
「チッ、敵の目的はおそらくこの基地の爆撃だ」
《俺たちも最高速で追いつくぞ》
基地では対空砲がネウロイの向かってくる方向に向き、シャーリー、ルッキーニとエイラ、サーニャが出撃する。
「基地に到達する前に撃破するんだ。この美しい基地が瓦礫の山になるぞ」
〈〈了解〉〉
ネウロイの飛行中の高度は3000mから徐々に降下している。低空に入ればおそらく捕捉できなくなるだろう。
《こちらアルタイル1。イェーガー大尉。敵の足止めを頼みたい。できるか?》
〈こちらシャーリー。シャーリーで大丈夫だぞ。任せてくれよ!〉
《了解だシャーリー。頼んだぜ》
〈足止めじゃなくてやっちまってもいいんだろ?〉
《ああ、構わない。やっちまえ!》
〈......敵を補足した。高度は2500、距離2000〉
〈〈〈了解!〉〉〉
つ、次は来月に更新できるようにしますので......!