大西洋
シャーリーとルッキーニがネウロイに接近する。サーニャとエイラは後方から二人を支援する。シャーリーが肉眼でネウロイを確認した。
〈なんてデカさだ。こんなのがレーダーに映らないなんて本当なのか?〉
〈うん......。全然映らない......〉
B-2スピリット。1929年から運用され、34年には退役したカーチスのB-2コンドル重爆撃機ではなく、1989年から運用されているアメリカ空軍やオーシア国防空軍のステルス戦略爆撃機だ。
「ヤツはステルスなんだ。木製の機体並みにレーダーからロストしやすい」
〈Steals? ま、すでに肉眼で捉えてる私には関係ないな。レーダーもこいつにはついてないし〉
「やつは戦略爆撃機だ。実際はそこまでの機動戦はできないはずだがネウロイということを鑑みるとできる可能性もないとは言えない。気をつけろ」
〈〈了解〉〉
ネウロイの背面が赤く輝く。
〈敵機から攻撃だよ!〉
〈シールド!〉
ルッキーニとシャーリーがシールドを展開。そして回避。
〈敵が射程圏内に入った!〉
「攻撃を許可します!」
赤いビームとオレンジ色の弾丸が交錯する。
〈くうっ、なんて弾幕だ!〉
〈うじゅ〜、これじゃ近づけないよ〉
装甲が硬く、彼女らの12.7ミリ砲の弾丸では破ることができない。高火力の20ミリ機関砲を装備したアルタイル隊らも到着までにはもう少しかかるだろう。
〈あとどのくらいかかるんダ?〉
《こちらから銃火を確認した。あと1分ほど耐えてくれ。最大速度で向かっているからもう少しで追いつくはずだ》
〈了解......っ!〉
空戦でのの1分というのはなかなか長い。通常の空戦はどのような規模であろうが早いとたった数秒で終わってしまう。戦闘機対戦闘機なら、ではあるが。しかし対ネウロイ戦でもこれはあまり変わらない。結局は居合抜きと同じで一瞬の攻防の末にどちらかが空に残っているだけなのだ。
〈くそッ、基地が見えてきた! この野郎止まりやがれ!〉
〈......援護します!〉
〈サーニャ、2秒後に垂直上昇するんダ〉
〈うん〉
エイラの魔法に支援され、サーニャの担いでいるフリーガーハマーが発射された。数発の弾丸がシャーリーとルッキーニのすぐ横をすり抜けて直撃する。動きはまだ止まってないが速度は一時的にゆっくりになる。装甲に穴がいくつか開いたがコアは見つからなかった。
〈今だ!〉
シャーリーとルッキーニの魔法が重なる。ルッキーニがシャーリーの援護を受けて燃える矢のようにネウロイにぶつかり、大穴を開けた。
〈こちら坂本。コアを確認した。コアはネウロイの前頭部!〉
《コックピット部分か。シャーリー、こちらアルタイル1。危ないから少し離れておけよ》
〈〈〈〈?〉〉〉〉
気がつけば坂本やアルタイル隊率いる先遣隊がもうすぐそこまで戻ってきていた。アルタイル隊が緊密隊形を取る。アルタイル1の五式戦闘機の主翼をアルタイル2、3のMiG-3とP-51が主翼で支えている。アルタイル1が風防を開けて立ち上がり、構えたものはパンツァーファウスト。カールスラントで開発された携帯式対ネウロイ用擲弾発射器だ。狙いを定めて一発。そしてさらに弾頭を装着してもう一発。近距離から放たれる簡易ミサイルだ。まっすぐに飛んだ二つの弾頭はまだ回復しきっていないネウロイに直撃。少しずれてしまったが、装甲の大部分を破壊した。残りはコアのみだ。
《残りは頼むぜ。燃料がもうない。さっさと増槽を捨てちまったのは間違いだったな》
《わたしも燃料切れかなー。離脱しないとヤバイかも?》
《あら、わたしもそんな感じよ。ウィッチさんにあとはお任せね》
ウィッチたちの総攻撃により、B-2型ネウロイによる基地爆撃はすんでで免れることができた。