赤蠍と人狼と空飛ぶ少女   作:雪見雪乃

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ジャミングと対艦攻撃と衝撃波

ブリタニア

 

「うっ、これは......何?」

 

洋上で夜間警戒飛行を行っていたサーニャが異変に気付いた。魔導針がチリチリッと明滅する。

「一体、何? 気持ち悪い......」

 

501基地に駐機しているAWACSのレーダー要員も異変を感じた。

 

「なんだ? レーダーが......」

「どうした?」

「ああ、中佐、レーダーがおかしいんです」

「レーダーが? 故障じゃないのか?」

「その可能性もありますが、ジャミングのような感じです」

 

ふむ、とバーフォードは考え込む。

 

「ジャミングだった場合の発生源は観測できるか?」

「おそらくバルト海方面からかと。ジャミングにしても随分と弱いので」

「ではアルタイル隊にアラート待機を命じてくれ」

「了解」

 

ウィッチ達の代わりにアルタイル隊が静かに出撃準備を始めた。

 

バルト海

 

空母オリョールはジャミングの影響下の真っ只中にいた。

 

「くっ、頭がいたい!」

「ジャミングか!?」

「くうっ、視界がチラつく......」

 

ウィッチ隊はジャミングの効果で動けない。スカイアイもレーダーをかき消されてほとんど何もできなかった。

 

「俺が行く! 電子戦機を潰せばいいんすよね!」

「俺っちも行くぜ!」

 

PJとチョッパーがガルム隊の代わりに代わってカタパルトに機体を乗せる。発艦ランプが点灯し、PJのF-16とチョッパーのF-14が飛び出す。

 

「こんな真夜中に真っ黒なネウロイ探すなんてなかなか難易度が高いぜ」

「しかも、この大群の中からっすか」

 

2機の目の前には16機ほどの大型ネウロイが。

 

「こちらクロウ! 敵機発見! 数は16、機種はF-15S/MTD!」

「こちらウォードッグ! 同じく敵機発見だ。機数4、F-18か?」

『ーー、ーった! おそーーそーーー18ーー子戦ーーーしてくーー』

 

スカイアイの通信はほとんどなにも聞こえなくなり、2人の通信も聞こえなくなった。

 

「クロウ、ウォードッグ共に電子妨害空域に入りました。通信が完全に途絶」

「たのむから出てきてくれよ......」

 

CICではスカイアイとブレイズがモニターを見ていた。映っているのは予想されている電子妨害空域とPJとチョッパーのガンカメラの様子。暗闇の中に映っている輝きはネウロイだろうか。F-18、いや、EA-18Gも混ざっている。F-18を電子戦機として改造した航空機。F-15CとF-15Eくらいの違いはあるが、外見はとても似ている。前はF-18、後ろはF-15。いくら腕っこきのエースでも数が足りない。スカイアイは火力支援を指示する。

 

「 2機を援護しろ! 近づいてきたネウロイはコールチクで撃破するんだ!」

 

接近してきたネウロイだけでなく、2機に襲いかかるネウロイをロシア版複合CIWSのコールチク(CADS-N-1)が機関砲と艦隊空ミサイルの猛攻で撃破していく。撃墜できたネウロイは3機。

 

「ちっ、捉えにくいぜ」

「ウォードッグ! 後ろだ! FOX3!」

 

チョッパーの後ろにネウロイが1機。PJは聞こえないのはわかっていたが機銃掃射を開始。

 

「うおっ!あっぶねー。助かったぜ」

「いいっすよ、通信が回復したってことは今のが電子戦機だったんすかね?離れてると思ったのに」

 

少しだけ電子妨害が軽くなった。後はおそらく1機。だが、16機の中から1機を見つけるのは至難の技だろう。それもたったの2機で。囲まれてしまい、万事休すかと思った瞬間、背後から二つの爆発。

 

「お待たせしました。エッジ、救援に入ります」

 

ナガセがどこからともなく爆炎を伴って三番機の位置についた。2機ほど撃墜してきたらしい。F-16、F-14、ATDF-X。年代がバラバラな3機編隊は一瞬の会合の後散開して電子戦機を探す。

「こちらPJ! 2機のF-15と交戦中! そっちの調子は?」

「ハイヨー、こちらウォードッグ! F-18を見つけた! 現在追っているがなかなかキツイぜ」

「こちらエッジ。既に3機ほど撃墜してますが効果なしです」

 

機体性能に彼女自身の腕もあるのだろうが、ナガセの撃墜数が飛躍的に伸びている。確かに国連軍にヘッドハンティングされるのも無理はないだろう。だが、ベルカ戦争を通じて円卓で成長してきたPJ、新入りの時からオーシアとユークの戦争が始まり、実戦で鍛え上げられてきたチョッパーも負けてはいない。援軍が来るまでミサイルはできる限り節約し、機関砲だけで耐えしのいでいく。

 

 

「!」

「メビウス?」

「空母上空が、燃えています......」

「なんだって!? ありゃ空戦じゃないか!急ごう!」

 

先ほど空戦を終えて大陸沿岸から戻ってきたアンタレスとメビウスが戦火を確認。残っている弾薬はそこまでないが、多少の援護くらいはできるはずだ。

 

「こちらメビウス! スカイアイ、聞こえますか!?」

「メビーー! ーーて来たか!本艦はーーロイにーーー子妨害ーーーていーーー彼らの援護ーー」

「ジャミング? 取り敢えず回せる限りの火力を持って彼らを援護しましょう!」

「了解だ!」

 

ジャミングの影響で頭痛がひどい。ここまでダイレクトに痛みが来ると飛行にも支障をきたしてしまう。現に二人とも水平に飛んでいるつもりだが高度は安定していない。

 

「まずは電子戦機を!」

「空母上空を見てくれ、あれか?」

 

空母上空を旋回しながら飛んでいたのはEF-111Aと思われる航空機型ネウロイ。オーシア空軍やアメリカ空軍では1998年に前期退役した電子戦専門の機体だ。

 

「おそらく誰も気づいてないぜ。行こう」

「ええ」

 

フラフラとおぼつかない飛行で2人は空母上空の高高度を目指す。

 

 

「あの2人はどこへ行くつもりだ? 敵編隊は下にいるんだぞ......」

 

CICでスカイアイが頭を悩ませていると、甲板にいたブレイズが駆け込んできた。

 

「空母上空に敵影! おそらくEA-111です!」

「2人はそれを撃墜しに行ったのか! もしかしたら他にも隠れている敵がいるかもしれん! 全力で探せ!」

「了解!」

 

 

ネウロイが2人に気づいた時にはもう2人は最接近していた。

 

「「FOX3!」」

 

ガガガガッと機関砲がネウロイに穴を開けていく。右主翼がもげ、コックピットを貫く。やはりコックピットにコアはあるようだ。白い破片となってネウロイが四散。視界がクリアになり、頭痛も収まった。

 

「電子戦機撃墜! 援護に入ります!」

「こちらガルム隊、直ちに発艦する」

「こちら13。同じく発艦する」

「フェニックス、発艦する」

「レナ、発艦します」

 

ガルム隊と黄色の13、スカーフェイス、レナが発艦し、続いてブレイズ、グリフィス、ファルコ、タリズマンが直掩に飛び立つ。総力戦だ。

 

「う、右舷超低空にネウロイ! 低速で接近中です! さらにもう4機!急降下爆撃機です!」

 

タリズマンの指差す方向にはF-2と九七式艦攻の5機編隊がいた。腹には魚雷を積んでいる。そしてさらにドーントレス急降下爆撃機が4機迫っていた。

 

「TLS発射!」

 

ピクシーがTLSを発射する。こちらはZ.O.Eのような青い光線ではなく、ネウロイのビームのような禍々しい赤い光線だ。九七式艦攻の編隊に向けて一閃。次々に海面に叩き落とされていく。だが1機が直前に魚雷の発射に成功。酸素魚雷のため航跡が見えない。

 

「こちらスカーフェイス、魚雷を撃破する。任せてくれ」

 

低空にいたフェニックスが魚雷にピタリと追随し、機銃掃射、魚雷を破壊する。そして空母ギリギリで急上昇。衝突を回避する。そしてそのままドーントレスに向けてミサイルを発射。全機撃墜に成功。

 

「こちらガルム1。F-2は全機対艦ミサイルを4発づつ積んでいる。気をつけろ」

 

サイファーが高速でF-2の編隊とすれ違いざまにミサイルを発射し、2機撃墜する。だが残りの3機にはこれから旋回しても間に合わない。

 

「が、ガルーダ、FOX2!」

「グリフィス、FOX2」

「ラーズグリーズ、FOX3!」

 

対艦ミサイル発射直前になんとか直掩隊が撃破に成功した。

 

「こちら13、ここから先は我々の出番だ。助かった」

「おいおい、俺っちはまだまだ戦えるぜ?ミサイルだって残ってんだ」

「しかし機体がかなり限界のようですが......」

「被弾ゼロってわけじゃなかったっすからねー。擦り傷だと思ってたけど俺のF-16はもう無理っすね」

「私の機体も少し限界ですね」

「ちっ、わぁーったよ! 俺も戻るぜ」

「エスコートしよう」

 

急旋回で斬り込むように現れた13がメビウス、アンタレスとともに3機を守るように周囲を飛ぶ。彼らの機体はすでにボロボロで、塗装もはげ落ちている。メビウスとアンタレスも空母に戻って弾薬補充だ。もっとも、その前には空戦が終わっているかもしれないが。13に連れられて空母の着艦コースのアプローチに入る。

 

『着艦を許可する。位置と機体状況を確認せよ』

 

HUDに示された着艦コースにそってギアダウン。エアブレーキを展開してエンジンの出力をギリギリまで調整し、誘導ランプが一直線になるように角度や高度を合わせる。アレスティングフックを下ろして少し機首を上げ目にしてタッチダウン。アンタレスとメビウスは元々陸上機だったからか少しもたついてしまったが、完璧な着艦をみせる。そしてチョッパーとナガセが慣れた動きでスムーズに着艦。最後のPJはまだ着艦が苦手らしく一度ローパスしてしまった。

 

「もう一回!」

「早くしてくれ」

「り、了解!」

 

13に急かされながらもなんとか着艦を成功させる。その間にアンタレスとメビウスは補給を終えて発艦位置に立つ。空母は離着艦のさい直線的な行動をとらざるを得なくなり、大きな隙ができてしまう。その間は直掩隊が守ってくれるとはいえ、不安である。できる限り迅速に発艦を開始し、3人は編隊を組む。

 

「状況は!」

「こちら邀撃中のガルム2。こっちはあと8機だ。救援はまあ必要ないだろう」

「こちら直掩隊のラーズグリーズです! 敵の援軍が来ました、援護を!」

 

ブレイズ達の周囲には直掩のSu-27型ネウロイを10機引き連れたSu-34型のネウロイが5機。一直線に空母を目指している。

 

「了解。すぐに向かいます!」

 

ネウロイと高度を合わせて真正面から編隊に飛び込む。コックピットを狙い、攻撃。後ろからもブレイズ達が1機づつ撃墜していく。だが、数が多い。

 

「こちらファルコ1。敵を一掃します。全機高度6000フィート以上へ退避してください!」

「え、なっ、待って待って待って!」

 

ファルコが単騎でネウロイに向けて飛び込んできた。開いたウェポンベイから覗いたそのミサイルは衝撃波弾頭ミサイル。巨大な特殊攻撃機であるXFA-33フェンリアでなければ機体の中に格納できなさそうな図体のミサイルだ。その衝撃波は広範囲に広がり、戦艦だろうと要塞であろうと破壊してしまうという。それを三式弾のように使うようだ。

 

「全機退避を確認! LSWM発射!」

 

放たれた空対衛星ミサイルのような巨大なミサイルは放たれた直後にゆっくりと白煙を噴出しながら敵編隊へと向かう。そして、ファルコが高度2000フィート以下に退避したと同時に衝撃波が周囲を襲った。ネウロイはすべて消し飛び、少し退避が遅れた邀撃隊も衝撃波の余波を食らってネウロイ、ウィッチ問わず弾き飛ばされた。

 

「近くで核爆弾を食らった気分だぜまったく......」

 

ピクシーがそうぼやいたのも無理はないだろう。サイファーも頭をふるふると振っている。

 

『いてて、こちらスカイアイ。敵編隊の全滅を確認した。全機戻っていいぞ』

 

スカイアイからの通信ののち、全機が空域を離れ帰途に着いた。




今回はちゃんと出せました!そろそろ原作乖離が激しくなってきたので原作準拠のお話も出したいですね......。あとは他の502とかの絡みも実現させてみたい......。

何か感想、ご要望とあればよろしくお願いします!もしかしたらお話の内容になるかも......?
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