優秀な兄と姉が居ると大変です   作:渚咲

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ようやくですね、雫登場です。
ちなみにcpは、両受け派です。お酒だったり、どちらかが勇気を出したりして、ようやく攻めと受けが成立する感じのもどかしいアレが好きです。




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摩利と真由美の姿が校舎に消えたのを見届けて、最初に手を出した、つまり達也に庇われた形になったA組の男子生徒が、棘のある視線を向け、同じく棘のある口調で、達也に向けてこう言った。

 

 

「……借りだなんて思わないからな」

 

「(いや、借りでしょ。入学早々トラブル起こしたのを、ほぼ無かったことにして貰ってんのに。この期に及んでまだウィードの癖に!とか考えてるんじゃ無いだろうな)」

 

 

男子生徒の行き過ぎたプライドに彩羽が内心呆れていると、達也は、やれやれとした表情を浮かべて、その男子生徒の方を見た。

 

 

「貸してるなんて思ってないから安心しろ。決め手になったのは俺の舌先じゃ無くて深雪の誠意だからな」

 

「お兄様ときたら、言い負かすのは得意でも、説得するのは苦手なんですから」

 

「そうそう。さっきの兄さんは、正直怪しさむんむんだったよ」

 

「むんむんって…… いつの言葉だよ?まあ、深雪の言う通りだな」

 

 

わざとらしい二人からの非難に、達也は苦笑で返す。兄妹の、見ようによってはほのぼのとしたやり取りに気を殺がれたのか、やや敵意の薄れた顔で、少年は名乗りを上げた。

 

 

「……僕の名前は森崎駿。そこのふざけた奴が見抜いた通り、森崎の本家に連なる者だ」

 

「ふざけた奴だって、兄さん。随分嫌われたもんだね?」

 

「恐らくだがお前のことだぞ」

 

「え?」

 

 

彩羽が恐る恐る森崎の顔を見ると、その視線は真っ直ぐ彩羽の方を向いていた。

 

 

「……酷いなぁ。まあ何?見抜いたとか、そんな大袈裟な話じゃ無いよ。子供の頃、君と同じ技を使う人の、映像資料を見たことがあっただけで」

 

「あっ、そういえばあたしもそれ、見たことあるかも」

 

「で、テメェは今の今まで思い出しもしなかった、と。やっぱ、達也たちとは出来が違うな」

 

「何を偉そうに。起動中のホウキを素手で掴もうなんてするバカに言われたくないわよ。そもそも、彩羽くんは絶対、コッチ側の人間だから」

 

「千葉さんの言う「コッチ」って、間違いなく悪い意味だよね!?」

 

「あら?エリカって呼んでくれないのぉ?」

 

「この……!卑怯だぞ!それ!」

 

 

達也の背後では、友人と弟たちの会話が盛り上がっていたが、森崎は彩羽を睨みつけた後、達也にも目線を合わせ、そこから動かない。

 

 

「僕はお前を認めないぞ、司波達也。司波さんは、僕たちと居るべきなんだ」

 

「どうやら彩羽よりも、俺の方が気に食わないらしいな。それにしても…… いきなりフルネームで呼び捨てか」

 

 

独り言のように、ただしっかりと聞こえる音量で呟いた達也の言葉に、森崎はピクっと背中を震わせた。そこで立ち止まらず、そのまま立ち去ったのはある種の意地が作用したのだろう。

 

聞こえよがしの呟きを放った達也の隣では、深雪と彩羽が困惑していた。

 

 

「(兄さんってああいうとこあるよね?)」

 

「(全くです……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

「お兄様、私たちも帰りませんか?」

 

「そうだな。彩羽、レオたちも、そろそろ帰ろう」

 

「はーい」

 

 

とにかく精神的に疲れた、という実感を共有していた二人は、どちらからともなく頷きあって、その場を離れることにした。行く手を遮るように、事態を悪化させかけたあのA組の女子生徒が立っていたが、今日はもうこれ以上関わりたくないと言うのが本音だった。

 

深雪に目配せして、そのまま通り過ぎようとする。兄の意を汲んで、また明日、と挨拶をしようとした深雪だったが、それより先に、相手が口を開いた。

 

 

「光井ほのかです。さっきは失礼なことを言ってすみませんでした」

 

 

いきなり頭を下げられて、正直なところ、達也は面食らっていた。先程までは控えめに言ってもエリート意識を隠しきれていなかったこの少女の態度は、豹変と言えた。

 

 

「庇ってくれて、ありがとうございました。森崎君はああ言いましたけど、大事にならなかったのはお兄さんのおかげです!」

 

「……どういたしまして。でも、お兄さんはやめてくれ。これでも同じ一年生だ」

 

「分かりました。では、何とお呼びすれば……」

 

「(この目はアレだ、僕には分かる。姉さんに向けられる視線は、全部こんな感じだし……)」

 

「……達也、でいいから」

 

「分かりました!……それで、その」

 

「まだ何かあるの?」

 

 

色々察した彩羽をよそに、着々とフラグを立てていく達也。彩羽と深雪の素早いアイコンタクトの結果、深雪がほのかの前に出る。

 

 

「……駅までご一緒してもいいですか?」

 

 

恐る恐る、だが何かある種の決意を秘めた顔で、同行を請うほのか。ほのかのセリフそのものよりその表情に意外感を覚えて、エリカは美月と、お互いの顔を見合わせていた。

 

とは言っても、二人にもレオにも、もちろん達也や深雪、彩羽にも、拒む理由は無かったし、拒める道理もなかった。

 

 

「構わないよ」

 

「やった!ありがとうございます!それで、もう一人紹介したい子が居て…… ほら、雫!」

 

「?」

 

 

もう一人紹介したい子がいるというほのか。またどんな子が来るんだと彩羽が身構えていると、雫と呼ばれた少女が、こちらに頭を下げた。

 

 

「北山雫です。ほのかと同じA組、よろしく」

 

「司波達也だ。よろしく」

 

「か」

 

「か……?」

 

 

彩羽に電流が走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□

 

 

光井さんが結構濃いめなキャラっぽいしな〜。その友達って、一体どんな子が来るんだろ?なんて考えながら、姉さん直伝のアルカイックスマイルを維持していた僕に、雷が落ちた。

 

 

「北山雫です。ほのかと同じA組、よろしく」

 

 

え、何この子。

雫ちゃんって言うんだ、ほーん?

 

 

 

──いやね?僕だって男だから、そりゃ好みの顔やらタイプやら色々ある訳で。

大人びた顔立ちに、明るいというよりはクールっぽい雰囲気。

小柄な体型に、肩まで伸びた髪。

 

 

 

……まあ、その。

 

 

端的に申し上げるとすると、あの。

 

 

めちゃくちゃタイプです。

 

 

「か」

 

「か……?」

 

 

可愛いなぁ!?え!?何があったらそんな可愛く生まれて来れんの?見てるだけで視力がぐんぐん上がっていく気がする、てかもう0.5くらいは多分上がった。僕めちゃくちゃ気持ち悪いな。

 

 

「うわ、どしたの彩羽くん。顔真っ赤」

 

「ほんとだ。彩羽さん?」

 

「……彩羽?」

 

「これは……ふふっ。そういうことね」

 

「彩羽、どうしたんだ?」

 

「あの、弟さん?で合ってるのかな、大丈夫ですか?」

 

「……大丈夫?」

 

 

まずいまずい。皆に凄い不審がられてる。そりゃそうか、雫さ……ごほん。北山さんが挨拶した途端、「か」とかいう奇声発してフリーズしてんだから。ここは早く、皆に大丈夫って伝えないと。

 

 

「だ、大丈──」

 

ぺたっ。

 

「……凄い熱。風邪でもひいた?四月だけど、まだちょっと寒いもんね」

 

「し、雫!?」

 

「あっ、ごめん。雰囲気がどことなく弟に似てて……嫌だった?」

 

「……」

 

 

うーん、これあれだ。ちょっと無理なやつだ。そうと決まればやる事は一つ、よし。

 

 

「ごめん用事思い出したから先帰るね!レオたちもまた明日!光井さんに北山さんも、またいつか!」

 

「ん?おい彩羽、用事って一体──」

 

「じゃあね!!!」

 

 

彩羽は逃げ出した!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

「……帰っちゃったね」

 

「ええ……かなり急ぎの用事なのでしょうか?」

 

「達也、彩羽のやつ、どうしちまったんだ?」

 

「……俺にも分からん」

 

 

達也やレオたちが彩羽の逃走に困惑している中、深雪は、あの時の彩羽の顔を思い出していた。

 

 

「(彩羽ったら、お兄様やエリカたちはともかく、私まで誤魔化せた気でいるのかしら?貴方がクローゼットの奥にしまい込んでいる本のことを、私が知らないわけが無いでしょう?彩羽がどんな子を好きなのかは、ある程度アレで理解していたけれど、北山さんの容姿は……彩羽基準なら、間違いなく百点ね。さて、これからどうなる事やら……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私、嫌われちゃったかな」

 

「う、うん?そんな事ないと思うよ?(雫、いくら何でも鈍感すぎるよ〜!?)」

 

 

 




中身が薄すぎて笑う
雫はこんなことするか?っていう自分と、いいや!雫ならこれくらいしてくれるね!っていう自分が頭の中で喧嘩してる。

どっち見たい?

  • 両片思い&細かいエピソード全部やれ
  • 両片思い&重要なとこ以外は匙加減で飛ばせ
  • 片思い&細かい
  • 片思い&重要なとこ以下略
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