ついに出航する地球艦隊!
三体文明の友好の印である水滴を受け取る時が来た!
次回、地球艦隊全滅!
来週もお楽しみに!
「楽しみだなあ」
「・・・」
フェイトはヴィヴィオと一緒にあの前衛極まりない本のアニメを見ていた。
もちろんわけがわからなかった。
まず今回の話では鹿目まどかがモノリスと接触して円環の理になった。
これだけでもわけがわからないのに、次回予告もまったくわけがわからない。
普通だったら「タイトルがネタバレ」というツッコミが来るだろう。
しかし、このアニメ自体、次回予告を信用できないのだ。
「・・・頭が痛いよ」
さて、ヴィヴィオが前衛的なアニメを見て頭を痛めている頃、
羅輯もまた頭の痛い事態に直面していた。
「避けないくださいよ、羅輯先生」
「先生じゃない。中将だ。今日はちょっと急いでるんだ」
アイザワに地上本部に来いと言われたのに、アインハルトに襲われているのだ。
「この前はすみませんでした」
「だったら蹴りとかやめてくれるかな?」
「それとこれとは話が別です。私は羅輯中将の強さが知りたいんです」
次々とアインハルトの拳が飛んでくる。
それを羅輯は軽々と躱す。
「避けるのが遅いですね。まだ教鞭を取っていたときのほうが・・・」
「隙あり」
羅輯はアインハルトの隙をついて、その場から逃走した。
それから地上本部に着くと、アイザワは数年前のように一枚の紙を自然に渡した。
あまりにも自然だったので、羅輯もまた数年前のように自然にサインした。
「・・・ちょっと待て、その紙はなんだ?」
だが、アイザワは何も言わずに転移魔法で消え去った。
仕方がないので、羅輯はあの墓地に向かうことにした。
墓地にある墓石はそこまで増えていなかった。
クライド・ハラオウン
かつての同期。羅輯は今では彼を地位的に上回っていた。
「やあ、クライド。報告が数年も遅れてしまったな。まあ、あの世では時間なんて関係ないだろうけど」
雨がぽつりぽつりと降り始める。
最初は涙だったそれは、すぐに機関銃の弾幕に変わった。
「まったく。傘持ってないってのに」
羅輯はいつも持ち歩いているウイスキーの瓶を墓に供える。
「俺は地上本部総司令官になった。詳しいことはレジアスにでも聞けよ」
彼はもう一つ、ルーフェンの良酒を持っていた。
彼はしばらくクライドの墓に近況を報告して、ある者が眠っている墓に向かう。
レジアス・ゲイツ
イレギュラーを嫌う彼であったが、羅輯にはそこまで厳しくなかった。
むしろ、珍しく彼を真っ当に評価する局員であった。
知らないものが聞くと、信じられないだろうが。
「レジアス元帥。お久しぶりですね。ぼくですよ。ルオです」
あのJS事件によって、レジアスの評価は地に堕ちた。
それでもなお、羅輯はレジアスを尊敬していた。
「ぼくは貴方の後を引き継いで地上を導くことになりました」
羅輯は溜息をつく。
「はっきりいって、大変ですよ。説得力はないと思いますが」
毎日、家には書類の束がどっさりと届くのだ。
すぐに片付くのだが。
「八神はやては確かに正しかったかもしれない。でも彼女はまだ幼すぎる」
彼もまた八神はやてと直接話したことはなかった。
「おそらく、ぼくがやめたら、彼女が後を引き継ぐでしょうね」
彼はいつものペテン・スマイルを顔に浮かべる。
「すぐに弱音を吐きますよ。ええ、約束しましょう。彼女はすぐにぼくと貴方を見直すはずです」
羅輯はレジアスの墓の前にルーフェンの良酒を供える。
弾幕のごとき雨は羅輯に待ち受けている何かを暗示していた。
「死ね。羅輯」
どこからか幻聴が聞こえてくる。
「痛い。どうして、こんな目に合わなくちゃならないんだ」
「すべて失った。お前に騙されたばかりに」
「空尉!話が違うじゃないですか!いやだ、死にたくない!」
「部下は助けてくれるんじゃなかったのかよ・・・」
「苦しい・・・、早く助けて・・・」
別に大したことではなかった。羅輯にとっては数か月に一回のイベントだった。
その度に、まだ自分はまともな人間だと自覚した。
まともな人間なら、罪悪感を持ち合わせているからだ。
「・・・はっくしょん」
羅輯はくしゃみをした。
「天気予報は見なかったんですか?」
今度は幻聴ではなかった。アインハルトだった。
むしろ、幻聴であって欲しかったが。
「おっと、ここでは・・・」
「さすがに場所を選びますよ。ほら、傘に入ってください」
「おっと、すまないね」
羅輯は思った。自分の目も、アインハルトと同じなのだろうと。
彼女と同じように、今の自分の目も何かに囚われている。
「・・・羅輯先生は、今までどのくらいの死を経験したんですか?」
「さあ、数えきれんな。敵も味方も、多くの血を流したからな」
ペテンのルオはその欺瞞によって、多くの死体を積み上げてきた。
弾幕のごとき雨は相変わらず、羅輯に待ち受けている何かを暗示していた。
その日はアインハルトの家に雨宿りした。
もちろん、彼女は防御が固いので、何もなかった。
それでも、彼女から色々な話を聞くことはできたが。
その晩のテレビ番組の速報テロップで羅輯はあの紙の正体を知った。
羅輯地上本部総司令官は四年ぶりに公聴会の開催を決定
危うくコーヒーを吹き出すところだった。