ついに羅輯はあの前衛的小説を読み終わろうとしていた。
そう、空がまだ不快な青色ではなかったとき。
人の顔をブーツで踏みつける未来が延々と続いていた時代。
それでも、プロール精神は消えることはなかった。
そして、その精神は三体文明を完全に打ち砕いた。
あの金属のごとき三体精神でさえも、人類の愛の前に屈した。
地球人と三体人はモノリスによって、補完された。
融合した三体惑星と地球は液状の補完文明に包まれる。
三連星のうちの一つは破壊され、三重星系は二重星系となった。
今ここに不完全な神が誕生した。
それから何百億という年月が過ぎ去っていった。
宇宙は収束し、再び新たな宇宙が誕生した。
136億年後、補完文明にある宇宙船が降下していた。
「ソラリス・ステーション、ソラリス・ステーション!何とかしてください!安定を失いそうです。ソラリス・ステーション、到着します、応答願います」
その到着船の通信に、空を浮かぶ巨大な建築物は返答する。
「こちらソラリス・ステーション、ソラリス・ステーション、到着船聞こえますか。すべて順調。到着船はステーションの管制下に入りました。ソラリス・ステーションより、到着船へ。着陸準備せよ。着陸時点ゼロ。繰り返します、着陸準備せよ・・・」
補完文明の中では、かつての地球人と三体人は、各々の実態を保っていた。
「ベイ、来たぜ。また新しいお客さんだ」
「わかってる。歓迎しよう」
到着船に乗っているクリス・ケルヴィンという男が補完文明の一員となるのは、そう遠くない。
まだ残酷な奇跡の時代は終わっていないのだから
完
結局、最後まで現行人類が理解不能な小説だった。
羅輯は知らないが、今は危機紀元10日目。
小説を読みながら、その時を待っていた。
そして、その時は来た。彼は写真でその場面を記録する。
一方、フェイトとヴィータは羅輯の過去の経歴を調べ上げていた。
彼女たちだけではない。無限書庫職員総出の作業だった。
本局の局員も大勢参加していた。
これは未来を守るための戦いだった。公聴会まであと半月。
危機紀元17日目。高町ヴィヴィオは高町なのはに色々と聞き込みをしていた。
「そういえばはやてさんは一日にどれくらいママの胸を揉むの?」
「えっ?」
それと同時に、クロノも吐き気を我慢しながら、羅輯の家を見張っていた。
海の人間は別に陸が嫌いというわけではない。
だが、ペテン師による暗い未来を打ち砕こうとしているだけなのだ。
危機紀21日目、大汚点週間が過ぎた後も、本局の人間は羅輯の余罪を集めていた。
一方で、ヴィヴィオは聖王教会のシスターたちに聞き込みをしていた。
「ところで、はやてさんにどんなことされました?」
「ええ、あれはとっても激しかったですね」
アインハルトはかつてのナンバーズにも同じことを聞いていた。
「最近のはやてさんはどうですか」
「・・・辱められました」
危機紀元29日目、羅輯達はアインハルトの家で会議を開いていた。
ヴィヴィオもちゃっかりと参加していた。
はやてたちも無限書庫で会議を開いていた。
そして、危機紀元34日目。
ついに公聴会の日となった。
今年は平年と違い、聖王教会で開かれることとなった。
ついに羅輯と八神はやての直接対決が始まる。
八神はやては羅輯を破滅させることができると確信していた。
しかし、羅輯は八神はやてと一緒に破滅を迎えることを確信していた。
両者の終焉が、始まろうとしていた。