(次回からは、投稿主が書きたいことをテキトーに記します。)
一章 黄昏
気付いたときには両親など消えていた。もう私は・・・生きていると言えるのでしょうか。
私は、『神谷 ルキア』。この名もない町に引っ越して来た、イカれた女子高校生です。なぜ自分で『イカれた』なんて言えるのか。それは私は自傷によりなんども自殺を試みたからです。理由はというと私の家は、父がいません。それに母も不慮の事故により植物状態になってしまったので叔父の家に預けられました。しかし、叔父さんは毎日仕事から怒って帰ってきます。なので、居候の私はいつも虐待を受けています。
叔父さんは仲が悪かった父が死んだことを良いことに私に怒りをぶつけてきている。とてもつらい。何故私が殴られなければいけないのか、何故逃れるため自殺を試みる度に怒鳴られてクローゼットに閉じ込められなければならないのか。もう楽になりたい・・・。私はわからないのです。学校にも頼ることができません。なぜなら私には・・・相談できる友達も先生もいないのです。・・・暴力を受け、食事を抜かれたため体が青白く痩せ細り、生まれつき生えているアルビノで白く染まった私の髪。そして、色が灯っていない虚の瞳。
これらが原因で私はいじめに会っていました。同級生や先生にまで不気味に思われ、人が私の周りから遠ざかって行きました。何処に行っても安全ではない。自分は何故こんなにも恵まれていないのか、考えても答えが浮かばなかった。先生は全員性格があまり良くなかった。いつも学校の治安ばかり考えていて、助けを求めている生徒達に見向きもしない。正直言ってしまいますとまさに『無能』と呼ぶにふさわしい人達でした。この呼び方などが原因なのでしょうか・・・。
学校から帰った後、叔父に今日も殴られました。このままでは私はいつか殺されてしまうのでは・・・そう考えると震えが止まりません。ですが・・・私は死にたくない。そう思い、とある夏の休日、私は家出することを決意しました。何の宛てもなく、家を飛びだし、走る。叔父が怒りの声を上げ、私を呼んでいるが振り返ってはいけない。今、戻ってしまえば今度こそ終わりになってしまう気がしたから。
そして今、近くにある公園にまでたどり着き、彷徨っている。飛びだしたはいいものの、荷物は何も持ってきていない。これからどうやって生きていくのか・・・。家に帰るという選択肢はありません。もう二度とあんな目には・・・会いたくない。
私は近くにあるブランコに腰掛け、顔を手のひらと膝に埋めて、泣き始めました。家を出た嬉しさと誰からも愛されない寂しさが混同し、涙が止まらない。この引っ越して来た町は前の町に比べ、人口がとても少ないためみられてしまうようなことはないでしょう。ですがとても寂しいのは事実。慰めてくれるのは青空に輝く太陽と忙しそうに鳴く、夏のセミ達だけでした。
あれからかなりの時が経過しました。3時間くらいでしょうか、もう辺りは暗闇に包まれ始めています。今日は、仕方ないのでベンチで眠りにつくことにしましょう。もう、行く宛ても帰る宛てもないのです。ゆっくり休んでいきます。そして、眠りに着こうとした次の瞬間。
私の目にボールが飛び込んできました。ただのボールならよかったのですが何かが違います。なぜなら、独りでに跳ねていたのです。誰もいないこの黄昏の公園で独りでに跳ね続ける謎のボール。私の心臓が痙攣し始めました。何故か分からないがとても恐ろしく感じているのです。
そのような状態がしばらく続きました。辺りは暗くなり初め、外灯が付き初める。すると目の前に信じがたいナニカが映し出されました。それは『絵』。黒く塗りつぶされていてまるで子供が描いたみたいな形をしてますが、目の部分が真っ赤なのです。再び心臓が痙攣しているのを感じる、今度は速く痙攣している。
逃げなければ、でなきゃ殺されてしまうかもしれない。そう思った私は転げ落ちるようにブランコから離れ、公園を出ました。思い切り走る。足がちぎれるかと思うぐらい走って逃げる。しばらく逃げた後、私は外灯の真下で息切れを起こし、立ち止まった。あの説明しがたいナニカは追ってきていないだろうか。そう思い、来た道を振り替える。しかし、ナニカはまだ追ってきていた。
死んだ者達が実在しているなど考えたこともありませんでした。どうでもいいと思っていました。だって、生きるのに精一杯でしたので・・・。
後ろからはラクガキ状のナニカも迫ってきている。私はこのようなところで死んでしまうのでしょうか。死ねば楽になれるでしょうか。涙が頬を蔦る。何もかも投げ出して逃げたい、そんな自殺しようとしたあの時に思ったあの想いが頭をよぎる。ですが、目の前のナニカを見つめていると死んで楽になれるなど、到底思えませんでした。むしろ、私も向こう側の住民に引き込まれ、永遠に彷徨うことになってしまうのでは・・・そう悟りました。
嫌、私はまだ死にたくない。なんとかこの場をどうにか切り抜ければ。私はこの病んだ頭を冷静に動かし、打開策を考える。辺りを見回すと丁度いい大きさの茂みを発見しました。あそこに隠れられれば、怪物達をやり過ごせないでしょうか。
そうと決まれば早速、私は猛ダッシュで茂みに隠れた。目を瞑り、顔を手で覆い化け物をみないようにする。あのナニカ達が近くまでよってきているのを感じる。さらに恐怖で心臓の鼓動が速くなる 。嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌、早く・・・どこかに行って、死にたくない・・・。
危うく泣き声を上げてしまいそうになった次の瞬間、コロコロと石のような物が投げられた音が耳に飛び込んできました。なんでしょうか・・・石?次の瞬間、ナニカ達の気配がこの場から去っていく。ようやく心臓の高鳴りも収まり始めました。もしかして、誰かが助けてくれたのでしょうか?もしそうだとするならば、人間の誰かがいる。私は喜びのあまり、茂みから外に飛びだした。しかし、そこには誰もいませんでした。
少しがっかりでしたが、何にせよ助かったのも事実です。もし、誰か助けてくれたとしたらその人は命の恩人ですね。いつか、お礼ができるといいのですが・・・。
いや、もしかしたら化け物の気まぐれで、ただ落ちた石の音に引かれてどこかに行っただけかもしれません。・・・しかし、考えても仕方ありません。私は一旦深呼吸をし、落ち着きを取り戻してから、辺りを見回してみる。辺りはすっかり暗くなっていた。黄昏の空は姿を消し、暗くて冷たい闇夜だけが空を覆い尽くしている。
ここにいても拉致が開かないので、私は闇夜の世界を一歩ずつ歩いてすすんでいく。そこには死者たちの世界が広がっていた。さっき襲ってきた、黒焦げのナニカもいる。しかし化け物達は相当近くに寄らない限り、襲ってくることはなかった。なのである程度は避けながら夜道を進むことができました。
ですがそう上手くはいきません。あるところには巨大な節足動物のようなナニカが立ち塞がっていて家に帰る道が通れなくなっているところもありました。赤い無数の触手なのか足なのか、さらには上向きに顔がついていて、常ににこやかな顔つきをしていた。その姿は『不気味』と表現するにふさわしい形相でした。
私はこのナニカに『道ふさぎ』と勝手に名前をつけて呼ぶことにしました。このようなことをしている余裕があるなら早く進みたいところでしたが、こうでもしながら進まないと常に吐き気と恐怖が襲ってきて、心が押し潰されそうになってしまうのです。
あるところには項垂れている黒い影、燃えながら夜道を駆け抜けていく首のない馬。車道の真ん中━━━町をパトロールするように、頭をぐるぐると回すおかしな人影。電信柱の裏━━━━━いくつのも釘に刺され、貫かれている頭部を苦しそうに抱えながら彷徨う人影。至るところに怪物が彷徨いている。皆さん、どんな思いで死んで逝ったのでしょうか・・・。自分が捕まるのは嫌ですが、そのナニカ達の最後の気持ちを考えると胸が裂けそうです。
学校で言われていた噂は本当だったのですね。確かにこの町にきた時から、化け物が徘徊しているという話は聞いていました。当時は人から逃げるのに忙しくて全く気にしていませんでしたが今の状況になるとちゃんと聞いておけばよかったと後悔しています。このような事態、誰も想像できるわけありませんが。
しかし、化け物が徘徊しているこの町で一つ異質な名を聞いたことがあった。それの名は『よまわりさん』。なんでも他の怪物とは少し違い、夜出歩く子供を連れさらう別のナニカ。
正直先ほど、怪物を見た私にとってはどれもあまり変わらないように思えるのだが、今の状況では何がいてもおかしくはありません。その徘徊している『よまわりさん』とやらには十分注意することにした。
夜道を進むこと、約30分。化け物を回避しならがらなんとか進んできましたが、一向に着ける気がしない。狭い町のはずなのに怪物が存在しているだけで、こんなにも広く感じてしまうとは。怪物達は灯りがないと見えないモノが多い。懐中電灯かライターが欲しくなってきました。まぁ、何も準備をせずに家を出ていった私のせいなんですけど。
考え事をしながら、通りかかった十字路の脇に、ふと目をやった。後ろばかり、気をとられていて周りをよく見ていませんでした。
━━━いる。
あの黒い影達とも異なる、別の何かが。何もない車道の真ん中がそれに遮られていました。
ずりずり。ずずず、ごりっ。ずりずりずり。ごりっ。ずりずりずり。
とそれは何かを引きずっていました。見た目は、黒く大きな幼虫のような形に、タコのような触手が大きな袋のようなものな複雑に絡まっているという、これまで見てきた怪物達に比べ異質━━━いや、異形な存在でした。まず人間の形すらしていませんでした。どっちかというと軟体動物のような部類でしょうか。
私はこれまでとは違い、ソレに自然と興味が湧いていました。なんというか・・・ソレは他のとは何か違うものを感じます。影達が放つ、無言の怒り、悲しみ、そして憎しみ。それらとは違い、目の前の何かからは何も感じられなかった。
気が付くと私は、目の前のナニカをまじまじと観察していた。目なのか仮面なのかわからないものでこちらをじっと見詰めている。今まで、人間に怯えて好きなことも満足にできない毎日だった私にとって、影達も『よまわりさん』も全てが新鮮だった。もちろん、目の前にいるそれも例外ではない。無事この場から生きて帰ることができたなら、未知の生物や宗教、そして死後の世界についてにでも勉強してみようかな。
しかし、2分にも満たない間にソレは目の前から消えていた。私の推測ですが、あれがきっと噂の『よまわりさん』なのでしょう。何をしたいのかはよく分かりませんが、おそらく子供を見張っているのでしょう。そして私は、高校生なので見逃された・・・こんなところでしょうか。
よまわりさんを見失ってしまったので、仕方なく私は再び帰路に向かい始めました。しかし、影達が去ったわけではないので、慎重に進んでいく。再び十字路を曲がろうとしたその時、何かにぶつかった。いや、『誰か』に。
「ああ、ごめんなさい。まさか、この町を他に歩いている人がいると思わなくて・・・。お怪我はないですか?」
と言いながら私に手を差しのべてくれる。私は手を取り、起こしてもらった。
「・・・ありがとうございます。それで・・・貴女は?」
「いえ、ちょっと『飼い犬』を探しているだけですよ。」
この出会いにより、後に少女と共にこの夜の町を徘徊することになるとは、彼女はまだ知らない。
黄昏の夜空って美しいと同時に不気味に感じる・・・。そう思ったことはありませんか?
次回からは『コトモ』ちゃんと共に行動します。