夜廻 振り返ってはならない夜の道   作:はるばーど

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【告知】私、遂にTwitterという便利なサイトを始めました(完全に時代遅れな男)

小説の報告はそちらでもさせて頂くと同時に色々なことを呟いていきたいと思っておりますので、是非ともご確認をお願いいたします。

「はるばーど/Halberd」で始めましたので宜しくお願いします。

告知はこれぐらいにして本編いきましょう。



伍章 まやかし

 

 

「……………ルキア、久しぶり。こんなに大きくなって。私嬉しいわ。元気だった?」

 

 

優しい母の語りかけが私に向けられているが何も反応を見せられませんでした。何故ならば今、病院のベッドで石のように固まって動けないはずの母が私の目の前にいる。

訳が分からなくなりそうです。だって父に続き、母までもが私の前に現れた。どう考えても偶然にしては出来すぎです。怪しいとしか言い様がないのですよ。

私は再び、母の顔をまじまじと眺めた。美しく白い髪に私と同じロングヘアー。狼のようにするどくも優しい眼差しをした目。凛々しく整った鼻。そして、重い持病による疲れから出来た目の下にある隈。

 

 

何処をどうとっても、母としか認識出来なかった。しかし、どうしても私には信じることができないのです。

私が無言のまままだ疑っている様子を察したのか、母が私に向かって優しい声で話掛けてきました。私はドキッとして思わず顔を赤らめ、目線を反らす。

 

 

「あぁ、そうね。貴方も驚いたわよね。大丈夫、私もそうだったから。いきなり目覚めたのですもの。これも神様の思し召しかもね。」

 

 

私も(・・)……?母も私と同じくアイツに何かをされたのでしょうか。

こうなると恥ずかしがるなど細かいことは気にしていられなくなり、私は興味本位で母に尋ねた。相当、勇気を振り絞ったのか額から一筋の汗が伝う。何故、母にここまで緊張する必要があるのか、

 

 

「母さん、どうしてここにいるのですか?まさか、母さんもアイツに…………?」

 

 

すると、母は何を言っているのか分からないという拍子抜けた表情をし、首を傾げた。

その後、クスリと微笑み、再び会話を開始しました。

 

 

「アイツ…………?ふふ、ルキアダメよ。アイツ(・・・)なんて呼んじゃ。あの方が私を甦らせて下さったの。アイツなんて呼ぶのは失礼よ。」

 

 

「………………?母さん、どういうことでしょうか………?アイツ…………いえ、あの方と何があったのかきちんと説明してください。でないと私、混乱しっぱなしで状況が飲み込めません………!。」

 

 

「ん…………あぁ、ごめんね。いきなりあの方とか言っても敵対していた貴方には少し混乱させちゃったかな。一から説明してあげるから一旦落ち着いて。ほら、深呼吸して。すぅーっ……………はーっ。」

 

 

「……………母さん、私はもう小さな子供じゃないんです。それくらい出来ますよ。」

 

 

「あら、ごめんなさい。フフフ。…………さて、まずは病院で起こった出来事からね。」

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

暗闇のなかで数十分、私は母から事情の説明をしてもらいました。話を聞く限り、どうやら母は夢の中に閉じ込められているような感覚に陥っていたらしい。そこでは毎日、火の海の光景が目に浮かび、全身から火で焼き尽くされるのだといいます。

なんと恐ろしい夢か私には想像も尽きませんでしたが、壮絶な思いで毎晩過ごしたといいます。

ですが、そんな中にあの男が手をさしのべてくれたと母は仰っています。

 

 

『この悪夢から逃れさせてやる代わりに私のために一肌脱いでほしい』と。

 

 

普段の母ならば、このような怪しい誘いを甘んじて受けるほど間抜けなことはしない人です。

ですが、今回ばかりは我慢出来なかったのでしょう。何せ体内から焼き尽くされるのです。私ならば悲鳴を上げてしまうに違いありません。

 

 

それに母は夫である父を心から愛していました。父が己の身を助けてくれた代償に力を貸してほしいと頼まれれば、すぐにでも手を貸したくなる気持ちも分かります。

だけど、私はどうしても納得が出来ない部分がありました。

 

どうにも母の行動と合点がいかない部分があるのです。それは母はいつも病気で気弱そうな顔立ちはしていても、誰の言うことにも屈したりはしていなかったのです。

少なくとも一度や二度、命を救われた程度ではたとえそれが父であろうとも、恩義を感じたりする人ではないことを私は知っています。

子供のころも道端に転んだとき、母は優しい言葉は掛けてくれましたが、決して手を貸したことは一度もありません。

優しいけれども厳しく人に頼りながら生きて行くような仕付けは今までなかったほどなのです。

 

 

 

その母が幾ら地獄の業火の中から救われたとはいえ、そう簡単に屈服するようにも思えないのです。

しかし、幾ら疑問点が浮かんできても、母を疑うことは私にはできない。もう疲れたのだ、家出なんてするものじゃなかった。でなければ、今こんな風に怪我をしたり罵られたりして、気持ちも限界を迎えることもなかったでしょう。

最初から私には、一人で生きる力なんてものは端っから存在しないのです。

その事に早く気付くべきでした。今までどうして自由になろうと足掻いていたのか。

 

 

少なくとも、今の母は私の気持ちを読み取ってくれるでしょう。もう貴方一人で戦わなくていいと言ってくれる筈です。そう期待しては私は母の柔らかい身体に身を寄せ、目を瞑る。

すると、母は私の思惑通りにそっと抱きしめる。そしてそっと手を添え、頭を優しく撫でられる。

 

 

胸の奥から暖かい何かが全身を包み込む。それは私には説明するのは難しいですが、兎に角、安心感を抱いた感情であることは間違いありませんでした。

 

 

不思議と私は目元から涙を流していた。一日で多くの出来事を体験し、苦しんだ影響か、はたまた蘇った母に出会えたことに対する歓喜の気持ちなのか。

もしくはそのどちらでもないのか。ただ私は安らぎを求めていただけなのかもしれません。

気が付くと私は母の胸元で泣き崩れていたようで彼女の服をぐっしょりと濡らしていた。私は慌てて母から一歩離れ、腕で涙を拭うが止まらずに溢れ出てくる。

 

 

 

 

(今日、どれだけ涙を流したのでしょうね、私は。)

 

 

 

 

そんな独り言を心中で呟いていると、私を再び胸元に埋めるように抱きしめてくれた。

情けない気持ちにもなりつつ、けれど今はこのぬくもりに充分に浸ることにしました。

後のことは母と一緒に考えていきましょう。

 

 

そうだ、母には話したいことが沢山あるのです。今まで虐待されて虐げられてきたこと。人生初の家出をしてみたこと。お化けに出会ったこと。

友達が出来たこと。

どれから話そうかと思うと胸が弾む。暫く考えたすえ、まずは初めての友達のことから話していきましょうか。

 

 

初めて出会った時は………そうでしたね。彼女のお姉さんから保護の依頼を頼まれた所からでしたね。

それからお姉さんと再開したとき、彼女が身を挺して私達をあの化け物(よまわりさん)から逃がしてくれたのでしたね。

 

 

それから、それから…………………。

 

 

あれ?友達といえば、こともさんは今頃どうしているのでしょうか……………。

あの後、ちゃんと帰ることが出来たのですか…?目を潰されたと聞きましたが、無事でいるのですか……?

段々、不安が募り始め、落ち着かなくなってきました。もしかして、流血が酷くて間に合わなかったなどいうことになっていないでしょうか………?あのお姉さんは無事だと言っていましたが本当かどうかは定かではありません。

 

 

こんなところでウジウジしている場合ではない。

 

 

友の、いや家族の安否を確認するまではまだ母のところへは帰れない。

これは私が始めた戦いなのです。ケリをつけるまで止まるわけにはいかない。

そう思いを見詰め直し、私は母の胸元から静かに離れ立ち上がった。

 

 

 

「…………?どうしたの、ルキア?突然立ち上がったりして。」

 

 

 

「ごめんなさい、母さん。私、友達を助けに行かねばならないことを思いだしたのです。」

 

 

 

「友達?貴方、友達が出来たの?」

 

 

 

「えぇ、母さん。奇しくも彼女は私のために命を張ってくれた命の恩人でもあるのです。頼まれた面倒は自分で片付けなければ。」

 

 

ここで母はきっとそんな私を許して貰えると確信していた。

 

 

しかし、返答された答えは私の求めていたものとは違っていた。

 

 

「ルキア?お友達が出来たのは母として誇らしいことだわ。

だけどね、まずはあの方に対して忠誠を尽くしてから行うべき行動じゃない?

貴方達は現在、敵対関係にあるでしょう。それは私としては望ましくないことだわ。だって恩義を尽くさなければ失礼でしょう?

友達の安否はその後の確認すればいいじゃない。ね?ルキア?今はそっちの事を優先しましょ?」

 

 

何を言っているのでしょうか。母は私の初めての友達の安否よりもあの方(・・・)を優先するよう仕向けてきた。確かにその通りかもしれないが、今すぐ手を貸さなければいいという訳でもないでしょう。

 

 

いよいよ怪しい。母親ならば娘の初めて出会った友達のことは高く評価してくれてもいいはずです。

それをあんなヤツより軽視すべきですって?冗談じゃない。悪いですが、今回だけは幾ら母の頼みとはいえ、受けることはできない。何しろ、ヤツは邪悪な存在です。人の家族を平気で奪い、人を感情なしに傷付ける。そんな存在です。

そんなヤツの願いを聞き届けるなどどうかしている。

 

 

「…………母さん、今回だけは貴方の言うことは聞けません。私の初めての友達なのです。それに改めて言いますが私はもう子供じゃないんです。行かせて下さい。」

 

 

「行くって何処へ!?ここは暗闇の回廊よ!出ることなんて出来ないわ!彼の力は貴方も知っているでしょう!?それにこの中で何処に向かうというの!?」

 

 

母は声を上げて、私をどうにか引き寄せようと試みてくる。しかし、今さら遅いです。見捨てるまではしませんが、私にとって現在大切なことは私を夜の町から一歩進ませてくれたあの子に恩を返すことです。ここにいては何も始まらない。

 

 

「…………けれど、今の私にはじっとしていることなんて出来ません。確かに宛はありません。切り開ける自信もない。ですが今、命の危機にある友を見殺しにすることは私には出来ません!」

 

 

 

「……………………そう。なら仕方ないわね。」

 

 

 

と母は無言で私の腕を強く握りしめ、動きを封じてきた。もの凄く強い力で握りしめられており、激痛が走る。折れている左腕ではないはずなのに、今にも折られてしまいそうなほど、力強く拘束されてしまう。

 

 

「……………ッ。か、母さん、い、痛いです……!離して下さい……!」

 

 

しかし、母は決して私の腕を離そうとはしない。この力加減は持病持ちの女性には確実に有り得ない力です。一体どうなっているのでしょうか………?

 

 

「………いいえ、ルキア。残念ながらそうもいかないわ。貴方はたった今、私達に対してとてつもない裏切りをけしかけた。そんな貴方を私は許すわけにはいかないわ。」

 

 

なんということでしょうか。まさか、本当に母までもが完全にヤツの支配下に下ってしまうとは。これは非常に不味いことになりました。とうとう、頼れる人が一人も居なくなってしまいました。

ですが、私は後悔はしておりません。何故ならば、私はもう弱くはない。かつての貴方(母さん)のように私も強くなっていくのです。

 

 

「母さん!離して下さい!私は行かねばならないのです!こ、こんなのって間違ってます!目を覚まして下さい!あんな父の皮を被った化け物など信用しないで下さい!」

 

 

折れた左腕も器用に使いつつ、必死に抵抗するも、力はどんどん増していくばかり。全く離れる気配がない。

ったく、私が関わった怪物達はどうしてこうも馬鹿力を持ったもの達ばかりなんでしょうか…!?

 

 

母は険しい表情でがっちりと私の腕を掴んだまま、微動だにしません。あれだけ大きな事を抜かして置いて、ここで殺されることは私にとって大きな恥になります。

それだけは、せめて自分の意地くらい貫き通さなければ、全てにおいて私は敗北してしまうでしょう。

やっと、ここまで来たのにみすみす命を投げ出すなど持っての他。

 

 

 

(ごめんなさい、母さん………!)

 

 

 

最後の抵抗で私は両足を使い、力のある限り踏み込み、跳躍して母の腹部目掛けて蹴りを叩き込んだ。まさか、反撃をされるとは想定していなかったのでしょう。驚愕して、彼女は唾を口から吐き出し、後退りをした。

それと同時に掴んでいた私の腕も離し、私は自由の身になった。

 

 

 

「よし、これで…………!………ウッ…………!?」

 

 

 

先程まで掴まれていた右腕の橈骨と尺骨の部位がズキリと傷んだ。これでまともに両腕が使い物にならなくなりましたが、取り敢えず足が動けば、どうにかなりますね。

 

 

そう思って足を少し捻ってみると、ほんの数十秒前まで、一歩も歩けないくらい疲労しきっていた脚部がすっかり回復していました。

 

 

母との対話の間に相当な時間が経過していたためか、定かではないがこれならば再び走って逃げることが出来るでしょう。

 

 

助走をつけてその場から、急いで立ち去ろうとすると、腹部を手で押さえた母が必死に私に追い付こうとふらふらと追いかけてきていた。

 

 

 

「待ちなさい、ルキア………!貴女をここから出す訳にはいかないわ………!」

 

 

 

そして、私は有ることに気が付きました。

 

 

それは母の眼球が血に染まったように赤く変貌していたことです。やっぱり、全部…………アイツに仕込まれた作だったとでも言うのでしょうか。

しかし、あの赤い瞳の持ち主は私の知る限り、一人しかいない。あの母はヤツの生み出した幻覚だとそう願いたいものです。

 

 

でなければ…私は………。実の母を蹴り倒してしまったことになります。そうなるともう顔向けが…。

しかし、それを断ち切ると言わんばかりに私の目の前で有り得ない出来事が起こった。

 

 

母と思わしき人物の背後に人ならざる生物が出現したのです。その特徴は、私の1.2倍ほどある大きな身長に武将が着ていそうな雰囲気の灰色をした鎧のような体。蜥蜴を模した構造をしている二本指の足に、鎖が巻かれた6本の指を持つ屈強な腕。

 

 

それに加え、さらに私を驚かせたのはその体ではない。その頭部(・・)だった。

なんと、頭が黄金色をした竜だったのです。ゴツゴツとした見た目ですが、頭部の後方に角らしきものが二つついていて、爬虫類の特徴をした鋭い犬歯がびっしりと並んでいる以上、竜としか呼ぶことができない。それに横に二つの眼球に加え、額の部位にもうひとつの目玉が存在していました。

 

 

明らかに異質な見た目ですが、それはあの時、幽霊列車や工場へと向かう途中にて見掛けたあの竜頭の男だったのです。何故ここにいるのかは、私には分かりませんが、少なくとも私の味方とは限りません。

 

 

母は背後にその男が突然現れたことに気が付き、慌てて後ろを振り返る。冷や汗が母の首筋に蔦るのが確認できます。どうやら恐れているのか、ピクリとも動かなくなりました。そして、次の瞬間に男は背中に背負っていた巨大な刀身を持つ刀を取り出し、両手で握る。そして、その凄まじい大きなの刃をものともせずに尋常ではない速度で振るった。すると、

 

 

 

 

母の首がそのしなる刃によって瞬時にはね飛ばされた。

 

 

 

 

余りに突然の出来事過ぎて、一瞬思考が停止しそうになりました。 しかし、母の首が真っ二つにされ、地面へ転げ落ちた事実より、その後の様子に目を奪われました。

首だけとなった母の頭部が消滅し、代わりにあの男(ルーシー)が出現したのです。

ということは、今までいた母の姿をしたあの人はやはり、彼の生み出した幻覚だったということですね。

そして、ヤツのその表情は怒りに満ちており、眼差しだけでも人を殺せてしまいそうな強烈でおぞましい姿でした。

 

 

竜頭の男は、独特な構えでヤツに向けて刀の刃を差し向けた。やはり、敵対しているのかお互いに一歩も引く様子は見られません。そして、この緊迫した空気の中、先に口を開いたのはルーシーのほうからだった。

 

 

「お、おのれ、貴様…………!またしても私の邪魔をしおって………!この私を誰だと思ってやがる……!?」

 

 

その口振りからは、私に話し掛けてきたときとは余裕が見られず、少なくとも気を緩めるとただではすまないことは確かでした。

すると、竜頭の男はゆっくりと顔を此方に向け、ふと上部だけの笑みを浮かべた。

目は瞼が動かないため、表情は読み取れませんが、口元だけは大きな歯を見せ付けるかの如く、大きな笑みでした。

それはまるで、今まで私に会いたくてたまらなかったような優しい笑みだった。

 

 

その嬉しそうな笑みを浮かべられると私もどうすればいいのか、分からなくなり、困惑してしまう。

 

 

「あ、あの、私は……………。」

 

 

反射的にだったが、男に話し掛けようとするが、言葉が出てこない。何しろ、相手も化け物の姿をしている。信じろというほうが、難しいでしょう。

困惑している私のことを案じたのか、男は小さく口を開き、こう囁いた。

 

 

 

 

 

 

 

行け、絶対に振り返るんじゃないぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、彼は相手の方へと向き直り、両手で刀を構えた。信じがたいですが、私の味方のようです。私はお言葉に甘えてここから立ち去ることにしました。

しかし、これで彼に助けられるのも二度目ですね………。何者かは知りませんが、これは好都合な展開です。このまま物事が運べば、ヤツを頭から追い出せるきっかけにもなりうる可能性だってあります。

 

 

あまりにも出来すぎた願いだと分かっていながらも、私はその希望を内に秘め、虚空の中を走り続ける。

 

 

 

しかし、その希望もすぐに打ち砕かれた。

 

 

 

「はぁ、はぁ……………、あの野郎、手こずらせやがって……!危うく逃げられるところだったぜ。」

 

 

目の前までヤツが瞬間移動をしてきて、退路を塞がれてしまいました。後ろに振り返って逃走を図ろうと試みても、すぐに回り込まれて逃げ場を失う。

 

 

「…………クッ、どうしたら………。」

 

 

「幾らガキで俺の所有物とはいえ、限度ってもんがあるんだよ。俺の目の前から逃げやがったことを死にたくなるほど後悔させてやる。」

 

 

「ちょっと待って下さい!あんな怪物が出てくること自体想定外でしたし、ましてや母さんが貴方の作り出した幻だったなんて…………。」

 

 

「黙れ、もう口を開くな、ルキ。そんな言い訳は関係ない。お前は私の前から逃げ出した。その事実だけは誰も曲げられない………そのくらい馬鹿のお前でも分かるだろ?…………………。ったく、どうしてお前ら人間どもはいつもそう都合の良いときに限って命乞いをするかねぇ…………。」

 

 

彼は呆れた仕草を取りながらも、指を、パチン、と鳴らした。

………すると、体が急に火照りだし、汗がみるみる垂れはじめる。そして、腕から火が発火したかのような激痛が走った。

まさかと思い、私は自分の両腕を顔まで近付け、この熱気の正体を確かめようとした。

 

 

確認すると、私の腕からは本当に火が燃え上がっていた。しかも、恐ろしいことに、外部からではなく、体の内側から発火し、焼かれている。

次々に、他の部位からも火がつきはじめ、顔からも火の手が上がった。

 

 

「い、いや……………………!!!。」

 

 

 

「さーぁて、そろそろ私もストレスのゲージが最高ラインまで到達しちまったからな。お前で存分楽しませて貰うぞぉ。」

 

 

彼は嬉しそうに邪悪な笑みを浮かべると再び、眼光を赤く光らせた。

 

 

な、何ですかこれ……………。か、体から火が上がってる…………?そ、そんな、い、嫌。熱い、助けて、熱い、助けて……………

 

 

 

 

 

助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い

 

 

 

 

あ、あぁ、顔から腕から、胸も足も全てが熱い

 

 

 

 

 

 

「いやァァァァァァァァァァァァァァ!!!」




さぁ、いよいよクライマックスになってまいりました。次回も、少々おそくなるとは思いますが、どうかどうぞ最後までお付き合い下さい。
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