夜廻 振り返ってはならない夜の道   作:はるばーど

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ホラーのジャンルのはずなのに、11月末期にまだ投稿してるヤツ()

もう、虫とかも冬眠の準備に入り始めて、命を断つものも出てくるようになりました。ちょっぴり寂しいですが、悲しいけどこれ、競争社会なのよね


茶番は置いといて、最終回行きます。




終章 幻魔

 

私はあれからどうしたのでしょうか。暗闇に放り込まれた後に、母の幻覚に惑わされ、それから謎の鰐のおじさんが救ってくれた所までは覚えています。

しかし、それ以降の記憶が靄がかかったように曖昧になっている。さらには、身体中が大火傷を負ったかのように痛みを抱えている。

 

 

私は着ているタンクトップをつまみながら、胸元を覗き込み、胸や肩、お腹などのあらゆる部位を確認しました。すると、無数の箇所が焼け爛れていて、大きな火傷の後になっています。何故、火傷などという闇から程遠い傷を負っているのかは知りませんが、傷は一応殺菌されたようでほぼ塞がり始めていますね。取り敢えずは応急措置を取る必要はなさそうです。

 

 

今後、痕になって残ってしまいそうな火傷の跡ですがね………………。

 

 

気を取り直して、辺りを確認してみましょう。ここは何処でしょうか………。なんとなくですが、見覚えのある地形です。

周りには、遊具が並んでおり、私は無意識にブランコに腰掛けていた。

 

 

そうだ、この場所は私がこの夜、始めて訪れた公園だ。あの時には、私も臆病でたかが一、二体の影に怯えて逃げ回っていたものです。

数日しか経っていないはずなのに何だか懐かしく思えますね。

 

 

今は夜の8時頃といったところでしょうか。影ももう彷徨いていても可笑しくない時間帯のはずですが、誰もいる気配はない。今日は影達も休暇をとって休んでいるのかもしれません。確率は皆無に等しいですが。

 

 

さて、やるべきことを済ましておかなければ。

 

 

私はブランコから立ち上がり、公園から外へと出た。暗い暗い夜道をひたすら歩き続ける。

しかし、今回、家出して目的もなくさ迷うだけの私ではない。ちゃんと目的を持って行動している。目指す場所は自宅です。私にとっては楽しい思い出の欠片もなく、帰りたくもないあの忌々しい叔父が暮らす住宅。

 

 

ここから、自宅まではそう遠くはないので、多少歩けばすぐに到着します。急がねば。決心が鈍ってしまう前になんとかやり遂げなければならない。

 

 

 

 

━━━━━━━━数分後

 

 

 

 

…………やっと着いた。私の………家だった(・・)場所。真っ赤な屋根に典型的な白い壁。それに壁よりも白く染まっている玄関の戸。思い出すだけでも恐怖のあまり身震いしてしまう。

 

 

私は手を胸に置き、高鳴る心臓を静めために、深呼吸をし、深く息を吐く。

代々の人々には、この感覚は理解しがたい感情なのでしょうが、兎に角恐ろしいのです。

 

 

大人の男が平手打ちで、自分の頬を打つ瞬間。毎日、仕事から帰っては酒を浴びるように飲み、荒れ狂う叔父に怯えてクローゼットに隠れる日々。少しでも機嫌を損ねれば、げんこつやまた平手打ち。手のひらが頬に直撃し、深く痛み出すあの感覚は忘れようもない。

 

 

服を脱がされかけたこともあった。平手打ちなどは人の叱り方などで聞いたことはあるので、それは個人的な事情として百歩譲って許しましょう。

しかし、服を脱がされ、シャツ一枚にするのだけはどうしても許せない。あの恥じらいと複雑な気持ちは女にとって究極の屈辱だ。いくら身内への体罰とはいえ、流石に度が過ぎている。

 

 

さらには、胸を思い切り掴まれ、揉まれたこともあった。思い出すだけでも背筋がゾッとする。

 

 

 

気持ち悪い。

 

 

 

それでも、私は叔父に対してやらなければならないことができたのです。なので、多少震えながらも、私は自宅に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━数日しか経過していないはずなのに、とても懐かしく思える。ゴミ袋だらけになった玄関の間。もう今では歩く場所すらままならない。

靴を脱ぎ、その汚ならしい空間を抜けて、戸を開けると今度は、空き缶の山がそこら中に散らばっているリビングへと抜けた。

 

 

これもいつも通りの光景だ。ストレスを抱えた叔父が飲んだくれて、そこら辺にビール缶をポイ捨てしたものが山積みになっている。

ある程度は、私が片していましたが、いつしかそれを上回る勢いで増えていったようです。

今では、家具が見えなくなるまで缶が投げ捨ててあり、机が埋もれて姿を消していた。

 

 

お風呂場や洗面所、お手洗い場など一階のあらゆる場所を捜索してみましたが、叔父の姿は見当たらない。

 

 

ということは、二階の寝室にて就寝でもしているのでしょうか…………?或いは、未だに仕事場から帰っていないだけかもしれない。

 

 

兎に角、二階にて確認するのが最善でしょう。私は、あるものを取り出し、台所を後にリビングを抜けて、階段をゆっくりと上がっていった。

 

 

階段を登りきり、寝室へと到達すると、そこには私の予測した通りに叔父がだらしない姿で就寝している所を発見した。

近くに設置してある小さな机にはこれまた大量のビール缶が転がっている。

 

 

そこには花瓶もありましたが、ビール缶の山によって端によってしまっている。

さらには、中の小さな勿忘草はすっかり茶色く染まって枯れきっていて、見る影もない無惨な姿へと変わってしまっているのです。

 

 

そんな事を考えていると、叔父が私の存在に気が付いたのか、目を擦って布団から起き上がった。そして、物凄い形相近付いてきて私の腕を掴み、右手による平手打ちを喰らわされた。バチン、ともはや清々しいくらいの打撃音が寝室に響き渡る。

 

 

私は、目を叔父から背け、ヒリヒリと痛む頬をそっと手のひらで撫でた。この男は私がたとえ怪我をしていようとしていなかろうとお構い無しに私を傷つけるのです。

日常茶飯事だと分かっていながらも、未だに慣れることの出来ないこの状況。

そもそも、慣れてしまうことが既に狂っているのことなのかも分からないですけど。

 

 

そして、叔父はすっきりしたような顔立ちになり、私に向かって命令を下した。

 

 

「………ったく。どこに行ってた、このうすのろ女。あまり彷徨かれるとこっちも迷惑なんだよ。余計なことはするな。分かったな!?。」

 

 

普段は、私に対してすぐにでもここから去ってほしいなどとほざいている割には、いざ私に出ていかれるとすぐに手のひら返しをし、ここに留まらせるように指図する。

多分、問題が起きることや経済関係に関わることなどを避けているのでしょう。

 

 

なんと都合の良い男だろうか。わがままにも程があるというものです。

 

 

「…………詫びくらいしろ、ルキア。」

 

 

そう言って彼は、千円札を無理矢理私に押し付けてきた。このやり取りの目的は分かっていた。私にお酒を買ってこいと指示しているのです。

そして、適当なお惣菜でも買って、さっさと夕食を済ませろという合図だ。

これもいつもと同じ会話の内容である。

 

 

何故、今までこんな男の言いなりになって苦労していたのか。

 

 

 

私は貴様の都合の良い奴隷じゃない。

 

 

 

私にだって自由に生きる権利くらいある。私が家出したことで少しは私の扱いについて考え直して欲しかったが、時間の無駄だったようです。仮にも、私は姪にあたる存在。少しくらいは情けをかけて欲しかった。

 

 

物凄く損した気分へと陥る。失望した。ここまで堕落してたとは。所詮こんなものでしたか。

 

 

私は背中を向けている叔父に無言で近付いていく。

 

 

そして━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は隠し持っていた歪な形状の短刀を叔父の首元に突き刺した。

 

 

 

 

「ッグ!!!?お、お前何を…………!?」

 

 

「今まで、私に散々してくれたその御返しです。因果応報ってやつですよ。叔父さん(・・・・)?」

 

 

………何が起きたのか分からないって顔をしてますね。それはそうでしょう。何せいきなり、首元から激痛が走り、大量の流血を流しているのですから。

 

 

なんだかんだ、彼のことを叔父さんと呼んだのは、人生で二度目くらいな気がする。

喋る気力すら失くなるほど、私は辛かったのです。このくらいの報復(・・)など今までの仕打ちに比べたら、まだましな方だ。

 

 

「……………お前、こんな事して………ただで済むと思うなよ…………!」

 

 

血反吐を吐く叔父は、此方を振り返り、私の腕を掴もうとするが、力が失われてきているため、そのまま地面へと崩れ落ちた。一生懸命、首を押さえつけ流血を止めようと試みているが、もはや手遅れ。

 

 

時間を掛けてゆっくりと絶命していくでしょう。

 

 

それに私は手を貸すことも、下すこともしないのです。ただ、手のひらでバクテリアが蠢いているだけのこと。

人間はバクテリアが幾ら喚きだそうとも気にしませんからね。

 

 

そのまま息の根が止まるのをただ、見守るというのも悪くないのですが、こいつには随分いたぶらてきたものです。

刃物で全身を穴だらけにするのも悪くない。

 

 

どうやっていたぶり返してやろうかと余韻に浸っていると床に突っ伏している叔父が首元を押さえて必死に私に対して訴え掛けていた。

 

 

しかし、生命力が弱っている影響か全く彼の言おうとしている言語を読み取れません。

おそらくですが、命乞いを私に対して求めているのでしょう。

 

 

ええ、ええ、よく分かりますよ。命を失うのは何よりも恐ろしいことですものね。

しかし、それを教えてくれたのは貴方だということをお忘れなのでしょうか?

それならば、それ相応の御返しをしなければ筋が通らないと言うものですよ。

 

 

「やめ…………ろ、お前………げほっ………。俺なしで、これから、どうやって生きて、いくってんだよ…………。」

 

 

「……………言っている意味が理解出来ませんね。私の命は既に死んだのですよ。父や母を失った、あの時から。」

 

 

そう吐き捨て、私は虫の息となっている叔父の脇腹に、蹴りを入れた。

叔父の口から、さらに血が吐き出され、蹴られた腹部を抱えてのたうち回っている。なんとも無様な姿だろうか。とても気分が良い。爽快です。

 

 

まもなく、頬って置いても勝手に叔父の命は絶命するでしょう。

さて、この血だらけになった身体を掃除しなければ。一分だってこの汚らわしい血を付けていたくない。

私は、証拠隠滅のために浴室のある一階へと下っていった。

 

 

 

 

 

 

 

一方、二階に取り残された叔父はこんな事を呟いていた。

 

 

 

「幻…………………魔…………………。すまん、姉貴…………俺じゃ…………守り………………切れんかった…………。」

 

 

 

当然だが、彼女は最後に叔父がこのような言葉を残して言ったことは、何一つ聞いていない。

 

 

 

そして、血を洗い落とした後「神谷 ルキア」はこの住宅街から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、自宅にて彼女の叔父に当たる人物が刃物で首を一突きにされ、殺害されていたのを後に警察が発見した。

 

 

辺りは血の海と化しており、惨劇だったという。そして、余程苦しんで死んでいったのか、涙を浮かべて、絶命していたらしい。

 

 

詳細は不明。

 

 

警察は、十中八九ルキアの仕業だと断定し、捜索を続けているが、はっきりしたことは分かっていないそうだ。

 

 

興味本意で殺人現場まで赴いてみたが、立ち入り禁止の「KEEP OUT」のテープがクロス状に入り口に貼られていて、見学すらできない状況になっている。

 

 

 

 

 

 

多分、あそこに行ったんじゃないかな。

 

 

 

 

 

 

 

また、夜がやってくる。

 

 

 

 

 

 

 

今度はもっと過酷な夜道となるだろう

 

 

 

 

 

 

それでも、迎えに行かなきゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

決してその夜道を振り替えるな。

 

 

 

 

 

 

 

そうすれば、追い付ける。

 

 

 

 

 

 

 

待ってろ、ルキアちゃん。

 

 

 

 

 

 

もうすぐ、会えるから。

 

 




誰が最終回で完結すると言った?


という訳でまだ続きます(笑)ですが、だいぶ前に、別のタイトルにて続きを投稿させていただくことは告知していますので、ご了承ください。


とはいえ、最終回は最終回。


ここまで、付き合ってくれた皆様有難うございました。


また、別の作品にてお会いしましょう。


私は、ちょっと人を探しに行かねばならないのでね。


ではでは、また何処かで。
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