因みに夜廻要素が消えかけています。オリジナルキャラクターの行く末と思ってご覧下さい
あ、私はそろそろ時間なので行かなければ。では本編どうぞ
夜明
もうどうでもいい
復讐とか、友達とか
家族なんて
どうでもいい。
私は限りなく神に等しい近い力に触れた
それで
真実を知った
この世界がただの
傀儡でしかなかったことに
一つの物語に過ぎなかったことに
何もやる気が起きない
心を毎日読まれている感覚に陥っている
まるで誰かが小説を読んでいるみたいに頭に浮かんだ言葉が
一つ、また一つと見られている気がする。
今、必死に青い少女が私を救おうと躍起になっている。
それも全て無駄で終わる
いえ、
その行いは結果的に私を救うという
しかし私の抱くこの思いが根本的に解決はしない
この見張られているような感覚からは永久に逃れることはできない。
私はそれを悟ってしまった
救ってもらった所でこれから何を求めて生きていけばよいのか
自分でも何も分からない
神様になったところで
良いことなんて一つもなかった
気が付くと私は寝室に寝かされていた。灰褐色の天井。思い出すだけで嫌になるほど見た薬品やそれ扱う臭い。
推測するに私は病棟にいるらしい。今、横の通路を通過していった看護師のような白衣を纏った人を見る限り、少なくとも医療関係の施設であることは間違いない。
最もそれが
疑うことすら疲れた。本物か幻覚による偽物だろうと知ったことではありません。今でも誰かに読まれている感じがする。見せ物として読まれている気がする。
止めて………私の心を読まないで……………
何もしていたくない、何も見たくない。元々、こんなこと望んですらいなかったのにあの男め……………。
ふとうつむいた顔を上げると、現在はいつなのか疑問を感じた。私の知る限り、記憶は叔父を殺したあたりで止まっている。
まだ、殺害したことがバレていないとすれば逃げるなら今しかない。
キョロキョロと辺りを見回して、時間を確認するための道具がないかを捜索する。
壁にカレンダーが貼ってあるのを確認した後、目を凝らして日にちをじっくりと伺う。
現在は…………少なくとも八月の下旬ですか。それに今は夜中。そうとう耽っているあたり、11時頃、と言ったところでしょう。
しかし驚くべきはそこではなかった。西暦を確認した瞬間、私は目を疑った。
操り人形になったときから、既に2年近くの時間が経過していたのです。
叔父を殺害した記憶はこの2年が過ぎた後、ということでしょうか。
何にせよ自分は今、かなり危機的状況に陥っていることは分かる。この推測が正確ならば、先ほど言ったように私は殺人犯として指名手配されているということになる。
いっそのこと、この場で死んでしまえば楽になれるのではないか。
この町の亡霊の一部になってしまうのは気が引けます。ですがこの場に生きてしまっていることの方が数倍辛い。
あの夜で全てを失くした。心の底から愛していた父と母を奪われ、
唯一の友達もたった一日で失ってしまいました。
「もう……………何も残っていない…………何も」
独り言を溢した後、自然と目元から雫が溢れ出る。雫は次第に流れ堕ちる滝へと変わっていく。
これでは私は町の徘徊者と何も変わらない。
憎悪と喪失感に苛まれている。何が違うのです、これでは怪物と大差はありません。
私は自身にされた点滴の針を抜き、手首に突き立てた。
ごめんなさい、こともさん。あの時格好よく散ろうなどと都合の良い、私らしくもないことを考えていましたが、無様にも生き残ってしまいました。
貴方がちゃんと
でも死んでいないのならばそれで充分です。私はもう無理だと感じていますが、生きてほしい。家族を救ったあの瞬間に生きることの素晴らしさを噛み締めていてほしいです。
遺言などおこがましく卑しいものなど私は残さない。
瞼を閉じ、刃物を振りおろそうとした。
しかし「ガラッ」という戸が開閉した音と共に、その行為は遮断された。
「あ、あの…………『神谷 ルキア』さんの部屋ってここでいいんですよね………!?」
よそよそしい態度で女の子が入室してきました。
年は私より下のようですが、こともさんよりは背丈が高い。それに学生服にブラウンの髪。
私はその姿に見覚えがあった。
けれど話し掛けようなどという気分にはなれません。 また幻覚か、と騙されるのはもううんざり。
女の子がこちらの様子に気が付いたのか、近寄ってきて近くの椅子に腰掛けた。けれど、なにやらモジモジしていて一向に話し掛けてこない。
数分間の沈黙が辺りを包み、ただただ時計が時を刻み続ける音だけが響き渡る。
チラチラと目線だけで様子を伺うも、立ち去る気配はないし、消えるような様子もありません。
未だに信じられないところはありましたが、私は本物かどうか確かめるためにわざと独り言を溢した。
「…………………幻覚じゃないんですね」
「え………………何か言いました…………?」
びくっとした反応を見せ、確証を得るためにこちらに問い掛ける彼女。
これでは、幻なのか現実であるかどうかすら分かりやしません。骨折り損でしたね。
「………………いえ、別に。なんでもありません」
「そ、そうですか…………。あ、あの妹をご存知だと聞いたのでそれで…………」
「………………あぁ、よく知っていますよ。
妹さんには大変お世話になりました。
お礼を言わなければいけないのはこちらかと」
「い、いやそんな!私も不甲斐ないばかりに妹や貴方には苦労を掛けてしまって…………」
私はある事に一つ気が付いた。
言動を見るにまるで私と最初に町で出会ったことを覚えていないかのように立ち振舞っていました。
「……………………一つ伺ってもよろしいですか」
「あ、はい。なんですか?」
「……………私達、どこかで会ったことはありませんか?」
「い、いえ…………ありませんが」
やはりそうですか。私とあの日、住宅街で会ったあの事は何も覚えていないのですね…………。
草むらに追いやって私と妹さんを助けたことも、神社の奥に捕らわれていてそれを私達が助けにいったことも……………
「でもなんでそんなことを聞こうとしたのですか?
…………あ、すみません。私、飼い犬を探しに出掛けた辺りから記憶がなくて…………」
予想は的中した。しかし追求はしない。
何者の仕業なのかは知りませんが、これ以上突っつき回しては彼女が苦しむことになってしまう。
「………………本当に大したことではありません。
そこまで気にしなくてよろしいのですよ?」
「……………ありがとう。貴方が誰だか思い出せないのは心苦しいですが、感謝しています。
ありがとうございました」
感謝の言葉を残して、女の子は病室から去っていった。手元を見ると一輪の花が残されていた。
『黄色い薔薇』でした。それを見て、私はやっと安心して逝けると確信した。
薔薇を手に取り、握り締めながら再び刺突の刃を突き立てました。
しかし、またもやそれは妨害された。病室から今度は看護師が顔を覗かせ、自殺を図ろうとする私の右腕を止めた。
(……………もうッ!!今度はなんですか!!?)
早く逝かせてくれないこの状況に心がモヤモヤします。
頭をクシャクシャと掻いた後に、その看護師の方へ身体を向け、用件を聞く。
………………もしかして私って意外とチョロい、というヤツなのでしょうか。
話を聞く限り、どうやら用件とは私との面会らしいです。しかし、これに私は一つの疑問が脳裏に過った。
私は家族を失った。心配してくれる人なんて誰もいないはずです。だとしたら警察でしょうか。
それだとしてももう、この世にいる時間も残り少ないので無意味でしょうが。
すると病室に看護師に案内されて、その人は入ってきた。
男の学生でしょうか。年下だということは分かりますが、それほど年齢に差があるほどではない。
黒いボサボサした髪に円形の眼鏡、私が通っている学校とは違う制服を身につけていた。隣町の学生が纏っているもの。一度だけ見たことがある。
しかし、会ったことは一度もない赤の他人だ。
友達ですらないのに何故…………。
疑問に思った私を察したのか、その男は話し掛けてきた。口を開き、軽い口調で話し掛けてきた。
「やぁ、ルキアちゃん。
久しぶり…………ってあ、そうか。
「?????」
唐突な展開に頭がついていかなかった。どういうことなのでしょうか。何故、彼はまるで私と出会ったことがあるような口調で話すのでしょう。
私が質問をする間もなく、彼は淡々と喋り続ける。
「いやー、探すの苦労したよ。何せ殺人犯に仕立て上げられてるもんだからさ。おまけに蜥蜴野郎に捕まってるし?
探ってるのがバレないように情報仕入れるの大変だったよ。
あ、そうそうこともちゃんにも会ってきたよ。君のことは覚えてなかったけど助けられたことは覚えてたって。良かったね」
「いやあの、少し待って━━━━━」
「けどホントに会えて良かった。もう二度も君を失うかと思って肝冷やしたよ。それでさ━━━」
「待ってくださいッ!!!」
苛立ちで少し怒鳴るような大声をあげてしまったけど、舌が回り続ける彼を止めることには成功しました。
見たところ幻覚でもないようだし、悪い人でもなさそうなのです。だからこれ以上失礼な態度は取りたくない。
私は深呼吸をし、一旦気持ちを整える。流石に向こうも喋りすぎたと反省したのか、こちらが話し掛けるまでじっと待ってくれています。頭の中を整理して、冷静に、彼に質問を問う。
「……………色々聞きたいのは山々なのですが、まずは何故私が
何から何まで聞きたいほどは山程あります。しかし、彼は少し抜けている雰囲気がある。
なので、答えてほしい部分を切り取ったように具体的に説明した。
彼はウンウンと相槌を打ちながら、ゆっくりと喋り始めた。
「……………確かに聞きたいことはいっぱいあるよね。
分かった。順を追って説明していこうか。
歩ける?出来ればこの夜の町を歩きながら説明したいんだけど」
「……………いいですよ。しかし徘徊者に襲われても私は知りませんからね?」
私はこの男に付いていく振りをして、隙を見て逃亡を図り、雲隠れをすると心に決めた。
病院から男と一緒に夜の町へと足を踏み入れました。
この一寸先が霞んでしまうほど暗いこの夜の中を迷う素振りが一切見られず、頭に地図が浮かび上がってでもいるかのように男は突き進んでゆく。
時々、徘徊者に出くわすことも当然ありましたが、彼は一般人とは思えないほどの冷静さを保ちながら、行く手を阻む徘徊者を退けています。
しかも、です。彼が「ここあれが出てくるんだっけ」と呟いた後に予期した通りに徘徊者が現れる。
相当な変人だとは思っていましたが、まさかここまでとは。何度も気が遠くなるほどここを歩いたのでしょうか。
本来、闇夜とは避けねばならない亡霊の領域。死ぬなどとほざいていましたが、彼のことに対して興味深く思ってしまっている自分がいた。
知りたい。何故、私がこのような末路を辿ってしまったのか。彼はそれを知っている気がしてならない。
しばらく進んだ後、またもや見覚えのある地に出た。
商店街です。百足の化け物が代々守り続ける、神聖な土地
今は見る陰もない、シャッター通りへと変わり果ててしまっています。商店は全て閉鎖されており、あちこちに貼り紙が貼られている。
紙にはショッピングモール建設予定地につき、急ぎ立ち退き下さい、と。
あまり思入れはない場所ですが、いざこのように変貌してしまうとなんとも表現しがたい残酷な気分へと陥ります。
「ここの近くにある神社を知ってる?」
「…………えぇ、とても良く」
「……………あそこね、取り壊されちゃったんだ。…………ヒドイ話だよね。人の勝手な都合で先人達の財産をああも簡単に失くしちゃってさ」
そんな罪悪感に満ちているのは私だけでなく、彼もだった。
感受性が強いのか、それとも実際にここの持ち主と何か関係があるのか。良くは知りませんけど、ここは追求すべき点ではないのでしょう。
私が知りたい
「……………私に大事な話というのはそんな昔話だったのですか」
「ん、あ、いや!ちょっと寄ってみたかっただけなんだ。
色々行ったって聞いたからさ、立ち寄ったことがあるかなぁ……なんて思ってさ!…………ごめんね?何か気に触ったかな………?」
「…………フフ、いいえ。少しからかってみただけです」
「はいぃ!?何それぇ!?
酷いなぁ、謝ったのに俺ただ、からかわれただけかよぉ………何この負けた感じ」
ぶつぶつと文句を言いながら分かりやすく落ち込む彼が面白くて、私は少し心が和まされた。
よくよく考えてみれば、こんなに明るい会話をしたのは何年ぶりでしょうか。忘れていました、この感覚。
こともさんと会話をしていても楽しかったですが、それとはまた違う安心できる感情が込み上げてくる
一人で和まされていると、彼ははっと我に返ったかのように首を振り、焦った様子で喋り始めた。
「違う違う、そうじゃなくて。俺はある場所へと行きたいんだよ」
付いていく内に、この人から逃げ出す考えなどとうに忘れてしまっていた。
それくらい平然としてられる気分になっているのです。さっきまで自殺しようとしていた自分が馬鹿馬鹿しく思えてくるほどに。
そして、近くの藪を通り抜け、また見覚えのある地へとやってきた。
お墓です。私と私の友達を死してもなお、導き続けた勇敢な犬、ポロ。その亡骸を埋めた墓。彼はそこに用があったらしく、その場で足を止め、
墓の前でひざまずき、何も言わずただ沈黙を貫き通した。
私は覚えています。あの感触を。まだ生温かい勇者
こうも死を重んじるということは彼も何かあったのでしょうか。追求したくてもできない。そんなジレンマに捕らわれつつあった。
だが彼は何のために私をここに連れてきたのでしょうか。
もう一度屈辱の地に訪れ、私を戒めるため?それともただの好奇心による模索?
分からない、分からないけれども。少なくとも彼は人を陥れるようなことはしないことはなんとなくですが感じます。
「ここに連れてきたのはね、ルキアちゃん。彼に会って欲しかったから」
「………………彼?」
墓から立ち上がると私の背後を指差し、その男は言った。後ろを振り返ると、微かだが懐かしい気配がした。
目には見えません。けれど気配だけなら感じます。温かく安心できる気配。そこには何もないはずなのに触る動作をすると気持ちいい毛の感触が掌に伝わる。
「こ、これは…………………」
自然と涙が溢れ出る。とことん情に脆いことが彼に伝わってしまったでしょうが、そんなことは今は気にするべきところではありません。
ようやく言い残せなかったことが
「私と
私は感謝の言葉を残した。気持ちがすっきりした気がします。けれど彼は私の元から離れる様子はありません。
それどころか寧ろ私を心配しているのか、悲しみの感情が伝わってくる。
幾ら撫でても宥められないため、どうしたものかと試行錯誤していると、男が話を持ち掛けてきた。
「相変わらず優しい性格だね。会わせることが出来てこっちも嬉しい。
………………でも君は本当に
隠さなくていい。さっきまで、君は自らの命を絶とうとしていた、そうじゃない?」
先程まで私が思い描いていた構図を見抜かれ、内心少しムッとした。
変人の彼なりに心配してくれていることなのかもしれないが、私の魂は私のもの。とやかく言われる筋合いはありません。
どうせこの際です。全てを彼にぶつけてやる。何も知らないで私の気持ちを気遣うなど非常に腹立たしい。
「……………貴方には何が分かるというのですか、私の抱いているこの気持ちが!!
貴方ねぇ!?私のことを上から言いますが、生きていたと希望があった親を二人とも失った時の喪失感が分かりますか!?
友達の瞳が潰されたと聞いた時の絶望感が分かりますか!?人の記憶から完全に忘れ去られたことがありますか!?体内から焼かれた時の苦痛が貴方に分かりますか!!?」
勢いに身を任せ、彼の首根を両手で掴み、怒号を上げて問いかけた。
今まで蓄積していた憤怒と怨み、そして悲しみが限界を迎えたことによる行動なのです。彼のことを恨み殺すように虚ろの瞳で睨め付け、威圧をかける。
透明になったポロは何もしなかった。彼も知っているかのように目を背けている。そんな感覚がしたのです。
たった一晩。それだけで全てを失ってしまった。これならまだ経験をした人は多いかもしれない。けれどこれに加え、数々の拷問、恐怖、幻と味わったことは数知れない。
いい人ではあります。いい人なのですけど、被害者として私を憐れむ目がどうしても許せなかった。
それならば、虐めに会ったほうがまだマシと思えます。私は別に同情されたいわけではありません。
ただ理解してほしかった。この闇夜の世界の受け入れと喪失に蝕まれた
「べ、別に被害者だなんて憐れむつもりは毛頭ないよ。………は、はは」
彼はまたもや私の心情を見透かしたかのように、今私が思った言葉に対しての回答を返してきた。渇いた笑いを浮かべながら。
ますます腹立たしい。所詮、人間など口だけの生物、嘘つき。
自分とは違う、周りと違うなどとして勝手に他の個人を馬鹿にし、蔑む。
救いようのない
「………………命乞いはしないのですね」
「そ、そりゃ死ぬのは嫌だけど、そ、それで君が満足するなら別にいいんだけどね、死んでも」
「…………………何故、そうまでして私に構うのですか。
こんな
「お、お化けに呪い殺されたりするより断然マシなだけだよ。それに美女に殺されるとかそうそうある話でもないでしょ?…………へへ、ウグッ!?」
首を絞める力を強くし、彼を生死の境目まで追い込む。
流石に険しい表情になり、余裕な素振りは見られなくなった。
「…………………どこまで私を誑かせば気が済むのですか!
あの
正体を言いなさい、さもなくばこの場で私は貴方を殺して見せますよ?」
更なる威圧をかけ、彼の正体を追求する。なんとなく私は察しがついていました。彼が闇が生んだ化け物達の手先なのだと。
少なくとも、数秒前までの私はそう思っていた。そう、先程までの私は。彼があんなことを言うまでは。
「げほッ……………君の………
『友達』の使いだと言ったらどうする?」
「ッ!?」
その言葉を聞いたとき、私の時間が一瞬止まった。
私は何も言わずに彼を掴むのを止め、そっと手を離した。咳をして蒸せる彼。わなわなと手が震え、その場で立ち尽くす。
「……………まさか、そんなことって……」
「ゴホッ……………ま、まぁ正確に言うと君の友達
もうその人は君のことを覚えていない」
「ど、どういうことですか………………?」
冷静さを取り戻した私は彼を気遣いながら、問いかける。
疑問だった。あの時は追求する気も起きなかったものですから、なんとも思いませんでしたが今となれば話は別。
唯一の手掛かりとなる彼を殺すところだった。何をやっているのだろうかと私は自分を恥じた。
「非情な言い方かもしれないけど、君は本来この世界に存在していないはずなんだ。
けど、色々あって君はここに誕生してしまった。しかも、酷い目に遭わせられながら、ね」
「なら私は…………この世界の……………
「というより生きていた時間軸がズレてしまった、の方が正しいかもしれない。」
「……………そうなると、私はやはりこの世から消えるべき存在なのでしょうか」
「あぁ!!いやいやいや!そんなことをしなくてもいいんだよ!
元々、そのために俺は君の元を訪れたんだし、そんな死ぬなんて言わないで?お願い」
「……………けど私は」
「大丈夫、君は連れていってもちゃんと俺がいる。約束だ。
君を絶対に一人にはさせないし、責任は必ず取る」
「……………ありがとう」
いつぶりでしょうか。感謝の念を人前で述べたのは。少々照れくさいですが、これは私の心からの本音。恥じる必要などありません。
すると朝日が昇り、日が差し始めた。眩しい。太陽なんていつも見ているはずなのになんだか懐かしい。
いつしかポロの気配は墓に戻っていた。彼もようやく安心したのか、徐々に感じられる気配が薄れてゆく。
そんな消えゆく気配に私はそっと別れの言葉を告げた。
「……………貴方もありがとう、そしてさようなら」
「いい?ルキアちゃん」
「えぇ、準備はできました。いつでも構いません」
「本当にいいんだね?ここから去れば君のことを覚えている人は誰一人いなくなる。
ま、まぁ俺を除く、だけどね」
「元より存在を消すことが望みだったのです。今になって後悔などしません」
胸に手を当て、私はその言葉を強く感じた。思えばつまらない人生でした。
いつしか夢も何もかもを失っていたし、自分をも見失っていました。
もう一度、この人生をやり直したいと問いかけられたとしたら、私は間違いなく否定するでしょう。
けど彼とやり直すなら、なんとかなるかもとそんな甘い期待も抱ける。朝日が訪れるというのは本当だ。
私には永遠に夜明がこない、と言われ続けましたが、それは私を迷わすための偽りの言葉でした。夜明は来る、必ず。
生きることはとても恐ろしい。いつ死ぬかも分からない恐怖に怯えながら日々を過ごしていく。愚かだと私は蔑んでいましたが、今になればまだマシに思えるというものです。
元より、生き物とはそういうものですし、どう生きるかは個人の自由。これは私の選択。私が選んだ夜道。
近くに光の扉が生じ、私と彼を導いている。私は彼に手を繋がれた。男性に手を繋がれたことなど初めての経験だ。
お互いに少し照れて、顔を同じタイミングで俯かせた。そして、向き直り微笑みあった。
「じゃ、行こうか」
「えぇ」
私達は光を潜り抜け、新しい明日を迎える旅へと出掛けた。
林には犬の遺体が眠っている墓だけがポツンと残された。
その墓の前には、勿忘草が供えられていた。
そして、後からやってきたポシェットを身に付けた少女二人がそれを拾い、何も言わずに持ち帰っていった。
そういえば、名前を聞いていませんでしたね。貴方の名前は何というのですか?
あ、俺の名前?そうだね、まだ言ってなかった。俺の名は……………………………
これを持ってこの物語を終了いたします。
短いですが、いかがでしたか。面白かったとは言えないでしょう(笑)
糞みたいな設定で申し訳ありません。
何か脱字や誤字、設定の不明な点などがございましたら引き続きご連絡をお願いいたします。
ではまたどこかの夜道でお会いしましょう。
それでは
あ、ちょっと待ってルキアちゃん。今そっちいくから。