夜廻 振り返ってはならない夜の道   作:はるばーど

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前回の答えは『オニイトマキエイ』です。


影廊楽しすぎてやめられません。


本編いきましょう。


四章 闇夜

 

私は『普通』という言葉が嫌いだった。『平等』という言葉も同様に。学校で虐めを受けていたときも、先生は庇ってくれるときはありました。しかし、その時には必ず

 

 

「皆さん、ルキアさんには『普通』に接して上げてください。彼女も我々と同じ人間なのです。『平等』な立場は一緒なはずです。」

 

 

と言います。まず生まれた時点で皆、違うところは沢山あるはずです。見た目、性別、身長・・・様々な用途が違っています。ですが中には、私のように色々な面で異なる人種も存在する。

 

 

人間は無知なものに対して恐怖を抱く。『皆違って、皆良い』という言葉と矛盾しており、私は心の中でいつも馬鹿馬鹿しく思っていました。

 

 

ですが、必ずしも無知は罪という訳でもないらしい。こともさんを見ていると、それがよく理解できる。私の事を何も知らなかった彼女でしたが、私とたった数時間歩いただけなのに、もう私に懐き始めている。

 

 

こうして見ると、人間も中々興味深い。と同時に可愛くも思えてくる。兄弟がいない私にとってまるで彼女は、妹のようです。単純でとっても素直だけど、とても強い。私よりもずっと。その強さ、私も欲しかったですね・・・。ちょっぴり、私はこともさんの事を羨ましく思いました。

 

 

さて、無駄な考え事は置いておきまして今、私達は田んぼの方に向かっています。田んぼの方に行くためには踏切を通らなければならないのですが、さっきからずっと踏切が降りていて中々通れる様子がありません。

 

 

現在、夜中の12時くらいですか。東京など都心部の方ならまだ電車は通っていそうですが、何しろここはかなりの田舎町。普通の電車は止まっているでしょう。なら、踏切も作動するわけはありません。電車まで化け物達の一部と考えるのが妥当です。・・・だとしたら、何処かに廃電車があるのかもしれませんね。少し気になりますが、探索はしません。

 

 

下を向いていた目を線路に戻した途端、目の前に制服を着た黒髪の女の人が現れた。一体いつの間に・・・。こともさんも気付かなかったようで動揺しています。

 

 

すると、線路の奥から金属同士が擦れ合う音が聞こえてきました。なんと、向こう側から本当に電車がやってきていました。不味いですね・・・このままではこの人は弾かれてしまうでしょう。呼び掛けなければいけません。

 

 

そう感じ取った私は、目の前の女の人に呼び掛けようとしますが、既に遅かった。それは今まで目の前に居たはずの女の人が姿を消していたのです。

 

 

電車が眼前を通過していく。その電車には乗客が誰も乗っていません。しかし、最後尾に誰かが乗っているのが一瞬だけ見えました。誰でしょうか・・・?あの女の人ではなく別の人が見えました。

 

 

乗っている乗客は迷彩服を着た中年の男の人でした。顔や肩などの部位が焼けて爛れているおり、何か竜の形をしたアクセサリーを首から下げているのが辛うじて確認できます。

 

 

しかし、なんとなくですが見覚えがあるような・・・?けど会ったことも見たこともないはず。なのに、この感情は・・・。なんでしょうか、何か大切な人だった気が・・・。駄目です、思い出せません。

 

 

考え込んでいると、電車が通過していったので踏切のバーが上がっていきました。まるで私達を呼び込んでいるかのごとく。だからといって止まるわけにもいきません。もう一度電車が来ないかを確認し、こともさんの手を握って私は踏切を渡った。

 

 

踏切を渡った向こう側には予想の1.5倍の広さの田んぼが広がっていました。辺り一面、田んぼだらけ。途中、お地蔵さんが置いてあった広間がありましたが、そこを抜けるとまたしても田んぼです。影も当然のように彷徨いており、私達の行方を阻んで来ます。それでも突き進んでいく。

 

 

少し歩いた後、田んぼの奥の方に光沢のような光が一瞬だけ見えました。何か落ちているようです。しかし、拾いに行こうと思っても溝の途中に存在してたであろう足場がなくなっています。

 

 

私なら飛び越えれば行けなくもない距離ですが、こともさんが怖がって飛び越えたくないと言うので、私達は何か足場がないか捜索することにしました。まだ右側に道が続いているので、探索を進めていると小さな神社が見えてきました。

 

 

そこにはあの女の人もいました。しかし、相変わらず線路の時のように、背を向けたまま、此方に目もくれません。害がないとでもいうのでしょうか・・・?いや、そのようなことがある訳がありません。

 

 

ここに留まっている影達は皆、悲しみや憎しみによる憎悪で満ち溢れていました。ただの霊だとしたら、おそらく私達に見えることなく昇天しているでしょう。

 

 

神社に近付くと、女の人は消滅しました。いえ、立ち去ったという方が正しいでしょうか。何が狙いなのか理解できません。ですが、体の周りから出ていた沸々としたオーラはきっと憎しみによるものでしょう。私と同じ、家族か親しい人に傷つけられた者によるもの。

 

 

「あっ!ルキアお姉ちゃん!あそこに大きな板があるよ!」

 

 

こともさんが指差した方角には、確かに橋に使えそうな程よい大きさの板が置いてありました。湿ってはいますが幼女が渡るくらいなら、何とか使えそうです。さっそく、あの道が途切れていた場所へ持っていくことにしましょう。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

あれから5分程たった後、私達は向こう岸に続く溝に拾った板をかけて横断することに成功しました。今、考えると私が向こう岸に飛び越えて、こともさんを手で引っ張ってくれば良かった気もします。まぁ、今さらですが。

 

 

さて、探索を再開しましょう。こともさんは早速、先程光を発していた金属の物体に近付いていきました。すると、それは千切れてボロボロになった誰かのネックレスでした。その近くには黒ずんだメモ用紙が落ちています。私はこのメモを拾い上げようとすると、

 

 

タスケテ、コロさレる、タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケ

タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ

 

 

 

・・・ナゼ、ワタシがシナナキャいけナイノ?

 

 

おそらくメモに記してある文字と同様の言葉が頭に鳴り響く。・・・ここに来てしまったのは間違いだったかもしれません。早く逃げなければ。仮にこともさんのお姉さんがいたとしても、ここでは生き残ることは困難なはず。ここにはいないでしょう。

 

 

稲が植えてある水辺からあの女性が接近している。いえ、正確には浮遊しているといったところでしょう。あの人はもうこの世の住人ではない。分かりきっていたことですが、何処か気を抜いていました。ここにいる影達は皆、怒りや憎悪に満ちている・・・と。

 

 

すると、彼女は瞬間的に私達の目の前に急接近し、原型が残っていない顔を押し付け、見せ付けてきた。その顔はもはや目玉以外、かき混ぜたようにぐちゃぐちゃです。その真剣な目から感じ取れる怒りは私達に向けられている。

 

 

「ひっ」

 

 

こともさんが言葉にならない悲鳴をあげる。これ以上、幽霊を刺激してしまっては不味いです。私は固まって動けないこともさんを拾い上げ、田んぼの奥地へと走り出した。女の人はものすごい速度で此方を追ってきている。彼女に対する好奇心は吹き飛び、一気に恐怖の感覚が襲い掛かってくる。

 

 

まいりましたね・・・。心臓が破裂しそうです。息も上がってきました。肺が引き裂けるような気もします。しかし、彼女の追いかけてくるスピードは一向に収まる気配はない。それどころかどんどん増している気がします。このままでは体力を徐々に奪われていくだけですね。何処かに逃げ道は・・・。

 

 

すると、近くに水色のフェンスが立てられているのを確認できました。これで撒くことはできないでしょうか。一か八か、私はそのフェンスゲートを通り抜けられないかどうか賭けることにしました。しかし、遠くからでも南京錠が電柱の光によって輝いているのをが確認できます。

 

 

ですが、南京錠は新しい物のようですが、フェンス自体はかなり古びていて、ちょっとした衝撃でも加えればすぐに開きそうです。私はこともさんの頭を腕で覆い、衝撃に備えさせる。そして、私はフェンスに体当たりし、こじ開けた。古びた青いフェンスは大きな音を立てて、私と一緒に崩れ落ちる。なんとか侵入はできましたが、まだ彼女は追ってきています。

 

 

「・・・かなり、しつこい、です。」

 

 

息が上がっているため、言葉が途切れ途切れになっている。この先が行き止まりだった場合、もう逃げきれません。しかし、そんなことを想像している訳にもいきません。

 

 

再び全速力でこともさんを連れ、走る。土がぬかるみを帯びて、どんどん走りづらくなる。さっき体当たりしたため、全身がヒリヒリと痛む。だが気にしていてはきっと殺されてしまう。足を止めてはならない、振り返ってはいけない。

 

 

気付くと私は別れ道で立ち往生していた。左と右側の道に別れている。1つは下の暗闇に続く階段。もう1つはおそらく丘の頂上に続く道でしょう。どちらに進めば・・・!?

 

 

あまり、猶予は残されていない。私は直感に従い、右側の登り道を選択した。これが最後の賭けです。地面も石の道に変わり、走りやすくなる。これならば・・・!そう思っていると、道が途切れており、下は100m以上はある崖に繋がっていました。きた道を引き返そうとすると

 

 

「ル、ルキアお姉ちゃん・・・。あ、あれ・・・。」

 

 

あの女性が迫っている。もう逃げ場はない。焦りが生じ、冷や汗が顔を伝う。すると彼女は急接近して、私達を手で押し出した。体が宙を舞う。ああ・・・。反応が遅れたが私は崖に落とされた事に気が付いた。まるでバンジージャンプです。命の保証は全くない、本物の飛び降りです。

 

 

・・・え?そんな嘘です、そんな馬鹿な、嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌、死にたくないちょっと待ってこんなところで・・・。

 

 

地面が見えたと思ったら視界が真っ暗になり、おそらく、自分とこともさんの血飛沫が辺り一面に飛び散る音が耳に響く。そして、全身に凄まじい激痛が走ると同時に意識が失くなった・・・。

 

 

 

 

 

━━━━━━━はっ!?いや、辞めておきましょう。最悪の想像を巡らしてしまった。先程、掲示板に『この先、崖に注意』と記されていた。それがこの右側の道に違いない。私はそう思います。直感に従うのはやめ、私は左の暗い森に続く小路を進むことに決めました。

 

 

かなり長い階段が続いている。途中、幽霊の腕が私達に対して、助けを求めるように手を伸ばしている。しかし、今助けがいるのは私達の方です。もし、行き止まりだった場合どうすれば?私にはわからない。

 

 

ですがせめて、こともさんだけはなんとしてでも逃がさないと。彼女まで私のせいで殺されてしまうことになったら、死んでも死にきれない。

 

 

長く大蛇のように続いていた階段はようやく終焉を迎え、やがて小さな場所にたどり着いた。

 

 

そこには、女の人の死体が横たわっていた。辺り一面に血が飛び散っている。白いドレスを着ているのでしょうが、血が染み込んでおり、かつての美しさは失われています。

 

 

「こ、この人は・・・?」

 

 

こともさんがポツリと言う。た、確かによく見ればこの人、今追いかけているあの女の人に間違いありません。血もまだ生々しく残っている様子からすると死体はまだ新しいようです。死因は落下死でしょうか。しかも、顔から落下したようで顔の原型が失われています。

 

 

正直、考えたくもない死にようです。自殺したようにも見えませんし、他殺によるものでしょうか。

 

 

すると、近くに彼女が接近していることに気が付いた。不味い、もう追いついてきましたか。しかし、ここはもう森の最深部で逃げ場はない。ここはひとまず、こともさんだけでも逃がさなければ・・・。

 

 

と思った次の瞬間、こともさんが私の腕から下り、女の人の死体に向かって走り出した。

 

 

「なッ!?こともさん!何をッ!?」

 

 

こともさんはすぐさま先程拾った、千切れたネックレスを女の人の死体に置いた。すると、彼女の足が止まった。暫く立ち往生した後、彼女は静かに消えていきました。

 

 

・・・こ、これで良かったのでしょうか・・・?ネックレスが心残りだとは到底思えないですが、ひとまずここを去りましょう。ここにもお姉さんはいなかった。ならば、私達は先に進まねばなりません。もう一度、大切なものを取り戻しに行くために。

 

 

私達は彼女の死体に近くに生えていた、鮮やかな色の赤い花をお供えし、元来た道を引き返していきました。・・・心なしか彼女の気配がしたような気がしたのはおそらく気のせいでしょう。ええ、きっと。

 

 

そして、私は何かにつけられているようです。先に進めば進むほど、背後に感じている気配が強くなっていく。そして、私達が通ってきた道には血のように真っ赤に染まったクモの巣が張り巡らされていた。この様子からすると・・・まだこの町には、よまわりさん以外にも怪物がいるということになります。

 

 

急がねば。おそらく、狙いは私です。何が目的かはわからないですが捕まってしまえば、ろくなことにならない。それだけは言えます。次は商店街の方に向かってみましょう。あそこには確か、神社が建てられていますので、いざというときには逃げ込めますし、安心できる。そう願いましょう。

 

 

そして、気のせいでしょうか。何故か気温が上昇している気がします。額から汗が伝ってきたので、腕を使って拭う。しかし、こともさんにその様子は感じられない。私だけ・・・?ひとまずこともさんに一応伺っておきます。

 

 

「こ、こともさん。今、暑くないでしょうか?」

 

 

しかし、彼女は平気な顔をして

 

 

「?、暑くないよ。どうしたの?ルキアお姉ちゃん?」

 

 

と答えた。まぁ、何もないならそれでいいのですが・・・。

 

 

「い、いえ、何でもありません。さぁ、先を急ぎましょう。」

 

 

そして、私達は手を繋いで商店街へと足を進めた。

 

 

 




ども、はるばーどです。最後に近付いてきているのは、この町にいる影達のどれでもありません。それでは彼らは一体・・・?徐々に明らかにされていきますので、気長にお待ちください。


問題 ゲーム『ぼくのなつやすみ2』では『ゴンズイ』という魚が釣れます。さて、この魚は何の仲間でしょうか?

①ヒメジ ②ナマズ ③ウナギ

答えは次回まで。
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