異世界から時の魔王も来たようですよ?   作:じおー

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「ーーーこの本によれば、ごく普通の青年・暮合(くれあい)零明(れいめい)。彼にはごく普通に暮らし、ごく普通の家庭を持ち、ごく普通に生涯を終える未来を辿る筈()()()。『トリトニスの大滝』の近辺にて、水神の眷属である蛇神と戦いに、『仮面ライダージオウ・フォーゼアーマー』の力で勝利をおさめる。そして、この世界で最初のギフト、〝水樹の苗〟を手に入れたのだった。蛇神に勝利を収めた暮合零明の前に、金髪学ランの問題児逆廻(さかまき)十六夜(いざよい)と〝箱庭の貴族〟の黒ウサギが……おっと失礼。ここから先はまだ皆さんにとっては未来の出来事……でしたね」


魔王と金髪と黒ウサギと

「それで?その通りすがりの高校生が俺たちに一体何の用なんだ?見ての通り、俺たちは戦った後で疲れてるんだけど?」

 

「あぁ。最初は〝世界の果て〟とやらを見に来たんだが、なにやら面白そうな事してたみたいだから、是非混ぜてもらおうと思ってな」

 

『……?何だ人間?』

 

「ん、いやなに。最初はお前の相手でも()()()()()と思ったんだが、その感じじゃあこっちの特撮ヒーローみたいな奴の相手の方が面白そうだと思ってな」

 

『っ、小僧ォ!!……ガァッ!!』

 

「さっきやってた大量の水を使った攻撃ならともかく、何の捻りもないただの突進じゃあ俺には効かねえぞ?」

 

 

白雪の突進を躱して懐に潜り込んだ少年の脚が、白雪の巨体を難なく蹴り上げた。蹴り上げられた白雪の巨体は重力に従って川へと落ち、そのまま動くことはなかった。

 

「白雪!」

 

「さて、前座も片付いた事だしそろそろメインディッシュといくかっ!」

 

「ッ!?」

 

 

腕を組んで少年の繰り出した拳を受け止める。白雪の巨体を難なく蹴り上げただけあってかなりのパンチ力だ。

 

 

「ヤハハッ!やっぱりこの世界に来て正解だな!元居た世界じゃ、俺の拳に耐えられる奴なんて居なかったからな!」

 

「っく!……ハァッ!」

 

「ぐっ!……中々いいパンチするじゃねえか……よぉ!」

 

「うっ!」

 

 

腕でガードするが少年の回し蹴りを殺せず川辺を転がり回る。この少年、生身で仮面ライダー並みかそれ以上の身体能力をもっている。

 

「速くて重い……なら!」

 

『フォーゼ』

 

『カメーンライダー!ジ・オウ!アーマーターイム!3・2・1フォーゼ!』

 

「お、さっきの奴か」

 

「ハァッ!」

 

『フィニッシュターイム!フォーゼ!リミットターイムブレイク!』

 

 

ロケットモードになって少年の周りを高速で飛び回る。4,900km/hのこのスピードには流石について来れまい。

 

 

「ロケットなだけあって中々のスピードだな……だが!」

 

「っな!?」

 

「まだ俺の方が…速い!」

 

「ぐぁっ!」

 

 

難なく俺を捉えた少年にぶん殴られ、地面を転がりながらフォーゼアーマーが解除される。このスピードより速いとかあの少年、絶対に人間辞めてるに違いない。

 

 

「フォーゼでも駄目ならこれだ!」

 

『カブト』

 

『カメーンライダー!ジ・オウ!アーマーターイム!Change Beetle! カブト! 』

 

 

本編ではついぞ使用されなかった、『仮面ライダージオウ・カブトアーマー』になる。『仮面ライダーカブト』の力を持つこの姿なら、あの少年の速さにも余裕で対応出来る筈だ。

 

 

「お、今度はカブトムシか。次はどんな面白いもんを見せてくれるんだ?」

 

「悪いな少年、残念だけどその希望には応えられない。何故ならーーー」

 

「がぁっ!?ぐっ!?がはっ!?」

 

「ーーー今の俺とお前では、時間の流れが違うからな……っふ!」

 

 

再び『クロックアップ』し、動きが遅くなった少年に次々と拳や蹴りを繰り出す。いくらこの少年が速いとはいっても、流石に『光速』ではないだろう。

 

 

「ゴホッ!?……オラァッ!」

 

「無駄だよ少年。お前がどれだけ速く動こうが、今の俺には止まって見える」

 

「……やはは、こりゃあ幸先良いな。来て早々、ここまでの奴とやり合えるなんてな。……なあ、この世界にはオマエみたいな奴がワンサカいるのか?」

 

「さあな?生憎と俺もお前と同じでこの世界には来たばかりだからな」

 

『フィニッシュターイム!カブト!クロックターイムブレイク!』

 

 

ほぼ停止した時の中を進み少年に背を向けて立ち止まる。カブトの必殺技と言えば、やっぱりこれだ。

 

 

「……ライダーキック。………ハァッ!」

 

「ガァッ!?」

 

 

カブトアーマーのフィニッシュタイムを受けた少年は、川辺を勢い良く突っ込んだ。流石の彼もしばらく満足には動けない筈だ。

 

 

「……おいおい、マジかよ」

 

「……ヤハハ。今のは、かなり効いたぜ?……ッベ!」

 

 

だが俺の予想とは裏腹に少年は起き上がった。吐き出した唾に血が混じってるから確実にダメージはあるのだろうが、だとしてもこれは予想外にも程があった。

 

 

「……なぁ少年?お前ももう充分楽しんだだろうし、ここらでお開きにしないか?俺の負けでいいからさ」

 

「何言ってやがる、いい感じに盛り上がってきたばかりじゃねぇかよ!!……それに、俺もオマエもまだ全然本気じゃねーしな?」

 

 

これ以上は俺も()()()()()()()()から終わりにしようと提案したが、見事ばっさり断られてしまった。むしろ、この一言で少年に俺がまだ本気を出してないと気付かれてしまった。

 

 

「……仕方ない、か」

 

 

ただのアーマータイムのタイムブレイクじゃあ彼を戦闘不能には出来ない。なら、()()()()()()ならばーーー

 

 

「ーーース、ストップ!ストップなのでございますよ御二方!?」

 

「ウ、ウサ耳?」

 

「お。思ったより早かったな黒ウサギ……って、その髪の色はどうしたんだ?」

 

 

カブトアーマーを解除した直後、俺と少年の間に桜色の髪にウサ耳を生やした少女がどこからともなく割って入って来た。どうやら、この少年の知り合いみたいだ。

 

 

「黒ウサギの髪については後です!それよりも十六夜さん!この状況は一体全体どういう事ですか!?」

 

「〝世界の果て〟を見にいく途中にこの特撮ヒーローもどきとデカい蛇がやり合ってたのを見つけて面白そうだったから乱入した。んで、先にデカい蛇をのしてコイツとやり合ってた。OK?」

 

「OK♪……ではございません、このおバカさま!」

 

 

黒ウサギと呼ばれた少女がどこからかハリセンを取り出し少年、『十六夜』の頭をスパーンっと叩いた。成る程、どうやら彼女はツッコミポジションらしい。

 

 

「……とりあえず、終わりって事でいいよな?」

 

 

目の前でまだコントを続ける2人を眺めながら、俺は変身を解除した。




ウォズ「かくして、暮合零明は1人目の問題児、逆廻十六夜と〝箱庭の貴族〟黒ウサギと出逢った。この出逢いこそ、彼の物語の始まりを告げる祝福の鐘である。そして、次なる問題児達との出会いはすぐそこに・・・」
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