異世界から時の魔王も来たようですよ? 作:じおー
「ーーー初めまして。私、〝ノーネーム〟の『黒ウサギ』、と申します。この度はこちらの彼が大変ご迷惑をおかけしてしまったそうで、誠に申し訳ございませんでした」
「申し訳ございませんでした」
コントを終えた十六夜と黒ウサギちゃんの2人から頭を下げられる。その際、両手を前に深々と頭を下げる事で強調される彼女の
「初めまして、暮合零明です。えーと、黒ウサギさんと十六夜くんだったかな?確かにいきなり襲いかかられて驚いたけど、俺も彼に一撃入れてるからそれでノーカンって事で大丈夫。白雪…あの蛇神からの試練も終わってたし」
「寛大な対応をして頂きありがとうございます。後日、こちらのリーダー共々改めて謝罪をさせて頂きたいと思いますので、貴方様の
『コミュニティ』。多分、ゲームとかでいう『ギルド』的なものなんだろう。白雪もそうだったけど、なんで俺がその『コミュニティ』ってのに所属している前提で話が進むんだろうか?
「えーと黒ウサギさん。実は俺、この世界には来たばかりだから、その『コミュニティ』ってのには所属してないんだ」
「そ、それは本当でございますかっ!? 」
「うおっ!?」
「零明さん!零明さんさえ宜しければ、是非とも黒ウサギ達の〝ノーネーム〟に入「STAYだ黒ウサギ」うみゃっ!?」
後ろから近づいていた十六夜に、両方のウサ耳を上に引っ張られて黒ウサギちゃんが変な声を出す。お約束通り、ケモノ娘の耳や尻尾は敏感みたいだ。
「い、十六夜さん!何故に
「『また』って、一回やられてるんだな……」
「いきなりソイツに襲いかかった俺が言うのもアレなんだが、ちょっと落ち着け黒ウサギ。いきなりそんな事言われても混乱するだけだろ?それと今のお前の態度を見て確信したんだが……オマエ、何か決定的な事をずっと隠してるよな?」
飄々とした表情から反転、十六夜の顔が真面目になった。どうやら、今の黒ウサギちゃんの行動が彼に
「……なんのことです?箱庭の話ならお答えすると約束しましたし、
ゲームの事もーーー」
「違うな。俺が聞いてるのはオマエ達の事……いや、核心的な聞き方するぜ?黒ウサギ達は
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さて、俺にはあまり関係ない(?)話だったわけだが、要するに黒ウサギちゃんは自分達のコミュニティが壊滅寸前だという事を黙って十六夜とここに居ない2人に黙っていたらしい。まぁ、言い出すタイミングとか難しいもんな、そういうのって。
「しかし〝魔王〟、か……」
「?何か気になる事でも?」
「あぁいや、単に興味深いなぁって思ってさ」
今、俺のギフトが『最高最善』、或いは『最低最悪』の『魔王』の力だって言ったら、この2人はどんな反応をするだろうか。まぁ、しないけど。
「おっ、なんか音が聞こえてきたな。これは……滝の音か?」
「だな」
「YES♪もう間も無く十六夜さんの目的地〝世界の果て〟、でございますよ♪」
『滝』に『世界の果て』、この世界は平たいのかな?
「うぉっ!」
「お……!」
数分後、俺達の目の前に壮大な景色が広がった。あまり景色とか見ても感動しない方だが、これは別次元だ。この景色を見て何も感じない奴がいるとしたら、ソイツはきっと心がない人形だ。
「ふふ、如何でございますか御二方?これこそがこの箱庭の〝世界の果て〟、〝トリトニスの大滝〟でございます。横幅の全長は約2800m、これ程の滝は御二方の故郷にもないのでは?」
「……あぁ、素直にすげぇな。ナイアガラのざっと2倍以上の横幅ってわけだな」
「!……十六夜は何でも知ってるんだなぁ」
「何でもは知らねーよ。知ってる事だけだ」
……感無量。十六夜が知ってるとは思わないけど、このネタがリアルで出来て満足だ。
「なぁ黒ウサギさん。この滝のスタートってどんな所なのかな?」
「お力になれず申し訳ありませんが、黒ウサギは箱庭の外の事はあまり存じ上げませんので。ですが、箱庭の上層に本拠を構える事が出来れば、そういった資料を閲覧する事が出来るかもしれません」
「そりゃあ、知りたければそこまで協力しろってことか?」
「いえいえ。ロマンを追求するのであれば、という黒ウサギの勧めでございますヨ?」
黒ウサギと十六夜の2人が互いにニヤリとし合う。案外この2人、お互い馬が合うのかもしれない。
「……その話し、俺も乗せてもらおうかな。分からないまま放置するのって気持ち悪いからな」
「ッ!……はいっ!」
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「ーーージン坊っちゃーン!お待たせしました!」
黒ウサギに連れられて街の中に入ってしばらく歩いていると、目当ての人物を見つけたのか黒ウサギが大声でぶんぶんと腕を振り始めた。
多分黒ウサギの声に反応した、噴水の前で
「お疲れ様、黒ウサギーーーってあれ?確か、居なくなったのは1人だけだった筈じゃ?」
「実はですね?なんと、十六夜さんを連れ戻す途中に偶然、もう1人勧誘する事が出来きたのですヨ!しかも!なんと蛇神様の〝力の試練〟をクリア出来る程の実力をお持ちです♪」
「えっ、それは本当ですか!?」
「YES♪ その証拠にほら!こーんな大きな〝水樹の苗〟を手に入れられたのですヨ♪」
驚く少年に黒ウサギは抱き抱えていた〝水樹の苗〟を見せつけていた。……勘違いしてもらっては困るが、あれは俺が黒ウサギに持たせたわけじゃなく、黒ウサギが自分が持つと言って譲ってくれなかっただけだ。
「初めまして、暮合零明だ。宜しく」
「あ、は…初めまして。
11歳。『魔王』にコミュニティを壊滅寸前までやられたとは聞いていたが、まさかこんな子供がコミュニティのリーダーをしているとは予想外だ。
この少年が大人顔負けな程優秀なのか、もしくは黒ウサギ達のコミュニティには
「こちらこそ宜しくジン君。それと、そっちの2人も初めまして。暮合零明だ」
「『久遠飛鳥』よ。宜しく」
「『春日部耀』。このこは『三毛猫』」
『ニャーオ』
ロングヘアーで赤いリボンを付けた久遠は少し気の強い感じ、もう1人の三毛猫を抱いている少女は大人しげな感じがした。……つい黒ウサギと比べてしまったのは反省しなければいけない。
「ーーーあ、そうそう黒ウサギ。
「……は、はいぃぃぃぃっ?!」
「かくして、コミュニティ〝ノーネーム〟への加入を決めた暮合零明は2人の問題児、久遠飛鳥と春日部耀との出逢いを果たした。さて、どうやら彼は大きい方が好みのようです。2人の成長については、今後に期待ですね」