異世界から時の魔王も来たようですよ? 作:じおー
「ーーー改めて自己紹介しておこうかの。私は〝サウザンドアイズ〟幹部の白夜叉だ。4桁の門、三三四五外門に本拠を構えておる。そこの黒ウサギとは少々縁があってな。ちょくちょく手を貸してやっている器の大きい美少女である」
久遠達が明日急遽ギフトゲームをする事を知った俺達は、自分達のギフトの事を知る為に大手商業コミュニティ、〝サウザンドアイズ〟の支店に来ていた。店に着いた当初、閉店準備をしていた店員と黒ウサギが揉めているところに突然この自称美少(幼)女が現れたのだが、まさかの〝サウザンドアイズ〟幹部だった。
「その外門、って何?」
「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若い程都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者達が住んでいるのです。ちなみに、私達のコミュニティがあるのは一番外側の階層、7桁の外門ですね」
「……超巨大玉ねぎ?」
「どちらかと言えば、超巨大バームクーヘンじゃないかしら?」
「そうだな。どちらかと言えばバームクーヘンだ」
「バームクーヘンか、そういや最近食ってないな」
「み、皆さま……」
俺達の言葉にガックリとなる黒ウサギ。まぁ、確かに例え方はアレだけど身近なモノに例えた方がイメージしやすいから仕方ない。
「そして私が居る4桁以上が上層と呼ばれる階層だ。その水樹を持っていた白蛇の神格も
「へぇー……て事は、貴女は白雪よりも強いって事ですね?」
「当然だ。私は東側の〝
「最強のホストか、そりゃあいいな」
「ええ。是非ともお相手願いたいわね」
「……うん」
白夜叉の『最強の
「ちょ、ちょっと皆さん!?」
「よいよい黒ウサギ。私も遊び相手に窮しておる故のう」
「ノリがいいわね。そういうの好きよ?」
「ふふ、そうか。ーーーじゃが1つだけ確認しておく事がある。おんしらが望むのは〝挑戦〟かーーーもしくは、〝決闘〟か?」
『ーーーっ!?』
そう言いながら白夜叉が懐から取り出したカードが眩く光り、あまりの眩しさに思わず腕で目元を覆う。程なくして光りが収まったのを感じ、一体何が起きたと思い腕をどかした俺は目の前の光景に頭が追いつかなかった。
「……は?何処だ、ここ??」
ついさっきまで〝サウザンドアイズ〟の支店にある白夜叉の私室の和室に居た筈だった俺達は、いつのまにか見た事もない全く別の場所に居た。周りを見渡すと白い雪原に凍りついた湖畔、高い山脈ーーーそして
「驚く事はない。ここは私が持つ
「この土地全てが、ただのゲーム盤ですって!?」
「私は〝白き夜の魔王〟ーーー太陽と白夜の星霊・白夜叉。箱庭に蔓延る
「ま、魔王!?」
「……マジか」
ただの幼女じゃあないとは思っていたが、まさか『魔王』だったとは思わなかった。『蛇神』といい『魔王』といい、初日からぶっ飛ばしすぎにも程があるだろ。
「今一度問う!おんしらが望むのは、試練への〝挑戦〟か?それとも対等な〝決闘〟か?」
白夜叉の問いに場の空気が凍りつく。3人の様子を見ると久遠と春日部の顔からはさっきまでの勢いがなくなっており、逆廻に関しては顔を伏せていてよく分からない。さて、逆廻がどう答えるかが楽しみだ。
「……っふ、参った。やられたよ。降参だ白夜叉」
「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるという事かの?」
「ああ。こんだけのモンを見せてくれたんだ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」
「く、くく……してら他の童達も同じか?」
「……ええ。私も、試されてあげてもいいわ」
「右に同じ」
「ん?何だ、皆んなやらないのか?なら、俺がやらせてもらうとするかな」
『っな!?』
「零明さん!?」
俺の言葉に黒ウサギ達が驚く。なんだか空気が読めてない奴みたいになってるが、勿論ちゃんとした理由があっての発言だ。
「……ほぅ?てっきりお主は興味がないのかと思っていたのだが?」
「冗談。なんか面白い展開になりそうだったから様子見してただけだよ。それに、いずれは黒ウサギ達のコミュニティを壊滅させた魔王とやり合うんだ。こんな機会、逃すなんて勿体ないだろ?」
それに、ジオウの力を色々試すには『東側最強の主催者』であり『魔王』である白夜叉はもってこいだ。
「……く、くく。面白い奴だのう。小僧、お主名は何という?」
「暮合零明。何処にでもいる、ごく普通の人間だ」
「良かろう零明!ならばこの〝白き夜の魔王〟の力、存分にその身で味わうが良い!!」
「かくして、〝白き夜の魔王〟と決闘をする事になった暮合零明。『魔王』と〝魔王〟、果たしていったいどちらの力が上なのか……ご期待いただこう」