【完結】がっこうぐらし!RTA/卒業生チャート+α   作:兼六園

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癸の回 前

 長いようで短かった気がするRTAはーじまーるよー。前作がpart30超えてたので短いですね……これは短いRTAなんだ……(昼飯の流儀)

 

 前回は古木くんの名前が明かされたところで終わりましたね。今回で10日目、すなわち最終日となります。お昼になるとイベント発生の合図としてヘリコプターの音が聞こえてくるため、それまでに武器をしっかり装備しておきます。

 

 それと、残りの3ポイントで最後のスキルを習得しましょう。その名は【窮鼠猫噛(きゅうそねこをかむ)】です。

 このスキルは『体力が1割未満』の時に『体力を除く全ステータスを1.5倍』にし、『攻撃速度を2倍』にすることが出来ます。

 

 ただし、デメリットとして『披ダメージも2倍』になります。

 体力1割未満で披ダメージ2倍は実質オワタ式と言っても過言ではありません。

 

 通常、攻撃速度は体力の低下で徐々に下がって行くのですが、【窮鼠猫噛】があると逆に上がるんですよね。具体的には、ぶん……ぶん……からシェイシェイハ! シェイハ! シェシェイ! ハァーッシェイ! くらいになります。

 

 ロウソクは消える瞬間に最も明るく輝くということですね。

 

 体力調整は確定で1割未満に出来るタイミングがあるので、それまではマックスを保ちます。それでは刀の手入れをして耐久値を回復させ、ペグが20本あることを確認。

 

 ペグはどうせ弱体化確定してるしここで使いきってしまっても構いません。仮に大学編までプレイする場合はボウガンの矢が代替品として使えますが、手で投げるくらいなら普通に使う方が強いだろとは言ってはいけない(戒め)

 

 では最終日だろうと容赦なく倍速。お昼手前まで飛ばして、二度目の最後の晩餐がごとき食事をします。今日は冷凍ステーキだ……おかわりもあるぞ!(毒ガス訓練)

 

 ──はい、改めて倍速。昼の時刻を合図に若干のロードを挟んでからイベント発生。全員連れて屋上に向かい、太陽を背に現れたヘリコプターを拝みましょう。

 うるせえ! ちんちん亭スイッチONだ! 

 

 ──開戦(はじま)る……ッ! 

 

 こちらに向かってくるヘリコプターですが、何やら様子がおかしいですね。フラッ♡フラッ♡ロスッ♡振り飛車っ♡と不安定に飛んでおります。それもその筈、パイロットは感染しており、症状が進行しているんですね。

 

 薬も打たずに救助に来るなんて各方面に失礼だよね。本当はランダル過激派なんじゃないの? 正体見たり! って感じだな。

 なに? ランダル過激派か疑ってんの? お客さんが疑うことは許されないんだよ? 

 

 オ゛ッ、ヤッベ、ちょっと墜落(おち)る♡ヴロロロロロ♡(ヘリローター音)

 

 オラッまだ墜落するな! 頑張れ頑張れ変態パイロット! ──という応援もむなしく、ヘリコプターくんは墜落してしまいました。

 柿崎ぃぃぃぃぃ! メーデー! メーデー! なんてことだ……もう助からないゾ♡ブラックボックスを真水に浸けるんだよあくしろよ。

 

 

 ………………はい(賢者タイム)

 

 

 いえ、ちょっとピトー菅にレバノン料理が詰まっていただけです。それでは最終イベント開幕。くるみ姉貴を連れて、他全員を地下室に避難するように行動を設定しておきましょう。

 

 校舎裏の駐車場付近に墜落したヘリコプターの元に向かうとイベントフラグが進行し、その後に時間経過でヘリが爆発します。

 程々に距離を保ってから爆発で吹っ飛ばされると、爆破ダメージと吹っ飛ぶダメージでちょうど体力を1割未満に減らせます。だから、【窮鼠猫噛】を習得する必要があったんですね。

 

 近くに立つくるみ姉貴も巻き込まれますが、爆発の直前で蹴り飛ばすことで爆発のダメージより蹴られた際のダメージ判定が優先されて無敵モーション中に爆発をやり過ごせるから安心! 

 

 

 爆発後からのイベント終了の条件は『学園生活部部員の地下室への避難』&『一定数のやつらの討伐』なのですが、やつらは燃えており、そのまま校内に入っていってしまうため、更なる時間経過で辺りは火の海になります。

 

 しかも燃えていると攻撃の威力が上がって何故か体力が増えます。

 焦げたフェラルグールかなんか? と疑うレベルですので、【剣術Lv3】と【窮鼠猫噛】の恩恵をフルに活かしましょう。

 

 兎に角……これ以上のガバは認めん。biim兄貴ブランドに傷が付くからな(搾精病棟)

 

 このあとの予定は爆発ダメージで【窮鼠猫噛】を起動してくるみ姉貴と一緒にやつらを殲滅、そしてくるみ姉貴を地下室に行くよう指示してイベント終了の暗転を待つ。これでFA*1

 

 ……等と言っている間にヘリに到着。

 やつらが群がっているのを見ながら一定の距離を保ち、背後に車があることを確認。あと5秒で爆発します。3、2、1……ここ! 

 

 ヘリが爆発する直前にくるみ姉貴を蹴り、倒れたのを確認して爆発に巻き込まれます。

 背後に車があるのを確認した理由は、ここで必要以上に吹っ飛ばないように壁になってもらうためです。リアルで車に叩きつけられたら死ぬので爆発には気を付けよう! (ゆうさく)

 

【窮鼠猫噛】の起動確認、ヨシ! (RTA猫)

 

 

 

 

 

 ──屋上に向かった全員が見たのは、空を飛ぶ鉄の箱。すなわちヘリコプターであった。

 

「ヘリだな」

「ヘリですね」

「まさか本当に来るなんて……」

 

 くるみ、美紀、悠里が続けざまにそう言い、上空を旋回するヘリコプターを見上げる。しかし、本能的に()()()を感じ取ったのか、それを見たゆきや瑠璃が震えながらに言った。

 

「なんか……怖い」

「……んー、こわい」

「だ、大丈夫だよゆき先輩」

 

 屈んで瑠璃をあやすように抱き締める圭はゆきに言う。それらを一歩引いたところで立っていた古木が、それとなくスミコと慈に伝えた。

 

「確かに、恐ろしくはある」

「そう、ですか?」

「そうとも。あれが味方であるか……それ以前に軍人である可能性すら低い」

 

 古木の言葉に繋げて語るスミコは、キョトンとした慈を見てヘリコプターに指を向ける。

 

「アレがもし、今回の事件の原因であろうランダルコーポレーションが向かわせた存在だったとしたら、最悪のパターンになる。

 軍と同等の戦力が、或いは軍を味方にしていることになり、更には──まあ、小生なら想定外の事故の生き残りは消そうとするだろうね」

 

「──待て、様子が変だ」

 

 慈を脅かすように大袈裟な手振りでそんな事を言うスミコは、古木の声に意識を向けた。古木が見やるヘリコプターの動きが、まるで風に煽られたかのように左右に揺れている。

 

「……これ不味くね?」

「ああ、操縦士の動きがおかしい」

「……見えんの? 視力幾つだよ」

「最後に計ったときは両方5前後」

「マサイ族かなんか?」

 

 その会話を皮切りに、ヘリコプターは校舎裏の駐車場付近に墜落してしまう。派手に轟音を奏でて、それから静かになった。

 

「墜落、したのか」

「……見に行くぞ」

「待ちたまえ」

 

 踵を返した古木の腕をスミコが掴む。視界の端では煙が上り、最悪の想定をしているが故に、スミコは古木に行かれては困るのだ。

 

「敵の可能性の方が高い」

「ああ」

「見に行く必要なんて無い」

「そうだな」

「──それでも、行くんだな」

「……ああ。お前の推察通りなのかもしれないが、どちらにせよ誰が乗っていて、何処の所属なのかを確認しなければならない」

 

 スミコが手を離すのを確認してから、古木はくるみ、と短く発してそれぞれ刀とシャベルを握って準備を整える。

 

「何かあったら全員で地下室に行け。なるべく奥の方に隠れて、俺たちが戻るまで絶対に出てくるな」

 

 断言して話を切ると、くるみに目配せして二人で屋上から駆けて出て行く。

 二段飛ばしで階段を駆け降りる古木に追従するくるみは、どこか異様に落ち着いている古木を横目で見て、決心したように口を開いた。

 

「あのさあ、なんかあった?」

「なにも」

 

 会話が終わった。

 

 思春期の子との会話のような気まずさがあり、しかしその気まずさも、外に出てすぐに煙の臭いが漂うことで意識を切り替える。

 

「──古木さん」

「……急ぐぞ」

 

 表に出て裏に回ろうと走る。駐車場の車を幾つか横転させながらその鉄の体を滑らせたのか、地面を抉るようにして転がっているヘリコプターが煙を吹かして静かになっていた。

 

 中を覗こうにも、ヘリコプターに死者が群がっていて近付くに近付けない。

 

「どーすんだこれ」

「石でも投げて一人ずつ誘うか」

「もう、がーっと行ってなぎ倒そうぜ」

「……出来るが、万が一がある」

 

 あっ出来るんだ、と呟いて、横に立つ古木を見上げる。そんな折、古木はふと、死者の群れの足元で何かが弾けたのを見た。

 

 ──パチパチと、火花が飛んでいた。

 じわり、じわりと液体が広がって、その火花に向かっていた。腐臭に混じったそれがヘリコプターの燃料だと理解し、古木は「引火」の二文字を思い浮かべる。

 

 

『爆発の対処法? 伏せるか隠れろ』

 

 

 まるで天啓のように幼馴染の言葉が脳裏を過り、古木はほぼ脊髄反射でくるみを蹴り飛ばす。──直後、閃光、衝撃、爆発音。顔を庇った腕やむき出しの胴体に熱が伝わり、凄まじい衝撃が古木の体を後方に弾くように吹き飛ばす。

 

「が────」

 

 肺から空気を強制的に絞り出され、背中から強かに車へと衝突し、バツンとブレーカーを落としたかのように、古木は意識を失った。

 

 

 

 

 

『安っぽい映画だこと』

 

 そう言って、白衣のポケットから煙草を取り出した女性が一本取り出して火を点ける。

 

『そう言うな。出口に押し付けられ……善意で渡されたんだ、一度は見るのが礼儀だろう』

『嫌なら断れ。……まったく』

 

 薄暗い理学棟の室内でテレビを前に二人横並びに座って見ているのは、雑な爆発に雑な演出、露骨に予算が少ない所謂(いわゆる)B級映画だった。

 紫煙(しえん)(くゆ)らせる女性が、テレビの中の演出に、知識から来る正論を真っ当にぶつけて行く。

 

『あんな至近距離で爆発が起きたら、主人公達(こいつら)は吹っ飛ばされるに決まってるでしょ。

 そうでなくとも衝撃で骨と内臓がやられて、最悪鼓膜も破けるじゃない』

『そうは言うが、結局は映画だ。面白いと思う人が居るのだから、これでいいんじゃないか? 事実として出口は絶賛していた』

『貴方はどう思ってるのよ』

『……予算が少ないわりに爆発は派手だ』

『それ作品への感想じゃないでしょ』

 

 女性の横に座る男は答えずに音量を上げる。紫煙の向こうから覗き込む瞳を見ないようにしつつテレビを見る男は、女性に聞いた。

 

『……こんな風に、研究しているモノが外に溢れ出すなんて事はあり得るのか?』

 

『はっ……馬鹿言わない。ウイルスなんてものは、P3施設という段階的に隔離された部屋の中で慎重に研究するものよ。この映画の馬鹿共みたいに初歩的なミスでもしない限り、ウイルスが漏れ出すなんて万が一にもあり得ないわよ』

 

 国内で幾つこういう施設が稼働してると思ってるんだ……と吐き捨てるように呟いて、ぼんやりと2本目の煙草を点けて口に咥える。

 

『──そう。あり得ない筈なのよ』

 

 プツンと、テレビの電源が落ちる。

 薄暗い室内に、煙草の火だけが灯る。

 女性は男──古木を見ると、その顔に煙を吹き掛けて呆れたような顔で言った。

 

『それで、御形。

 貴方は()()()()()()()()()()()()? 御形も、貴方が大事にしてる奴らも、全員死ぬわよ』

 

『……ああ。そうだな』

 

『ほら、さっさと起きなさい』

 

 コツンと、曲げた指の関節で小突かれる。それから意識が浮上するような感覚があり、古木は微睡みから抜け出す。それはあまりにも都合のいい、今際の際の走馬灯(ゆめ)であった。

 

 

 

 

 

 ──片手で古木の襟首を掴み、片手でシャベルを振るい、爆発の現場から遠ざかるべく、くるみは迫り来る死者を薙ぎ払っていた。

 

「あ゛ー! どけチクショウ!」

 

 シャベルの刃ではなく面の部分で叩くようにぶっ飛ばし、完全に脱力して重い成人男性を片手で引きずるくるみは、玉の汗を浮かべては垂れ流して熱で蒸発させる。

 

「起きろ古木さん! 死ぬぞ!!」

 

 ()()()()()()()古木に掴み掛かろうとする1人を蹴り飛ばして、爆発に捲き込まれ炎上した車に叩き込む。死んでる割には良く燃える……と考えて荒い呼吸を整える。

 

「はっ、はっ、はっ、古木さん……?」

 

 ぴくりと、古木の体が反応した。

 手を離して座らせると、古木は小さく呻いてからゆっくりと立ち上がる。

 

「古木さん、大丈夫か? 早く地下室に避難しよう。あいつら燃えたまま学校に入っていきやがったから、直にそこらで火災になる」

 

 額を切ったのか、ぽたりぽたりと血を流し、古木は立ったまま動かない。

 

「……マジで大丈夫か?」

 

 ──古木の視界は真っ赤に染まっていた。体は痛み、熱くて、寒くて、息苦しい。

 

「────」

 

 痛みと熱さと冷たさと使命感と殺意と敵意が渦巻き、痙攣する左手で無理やり柄を握り、震える親指で鯉口を切る。下を見て血を見る。

 

「────」

 

 痛い。苦しい。どうすればいい。寒い。熱い。眠たい。気を失ってしまいたい。止まりたい。斬りたい。守りたい。斬らなければ──

 

「────」

 

 

 ──不意に、カチリと。噛み合わなかった歯車が、綺麗に嵌まったような。

 

 それから、くるみの横に飛び出した死者の頭にペグが突き刺さり、古木は背後から迫るもう1人に2本目を投げ、そして()()()()()()()()()()()()()3人目の首を撥ねた。

 

 ほんの一瞬で3人を片付けた古木はゆらりと枯れ草のように揺れ動き、足元に転がっていたビニール傘を左手に握り、右手の刀の切っ先で傘の留め具を外してばさりと広げる。

 

 炎に身を包みながら接近してきた死者の爪で引っ掻く動きを傘で受け止め、ぐるりと回して腕を巻き込みながら横に捨てて、崩れた体勢の首を撫でるように刃を滑らせた。

 

「……なんだよその動き」

 

 見るからに、古木の動きが、キレが変わった。風に煽られればそのまま倒れて死んでしまいそうなのに、それでも尚──刀を振るう古木の動きから淀みが消える。

 

 ──日常を歩むのであれば確実に遭うことのない絶対的窮地。気を緩めたらそのまま死んでしまいそうな程に濃厚な敗色。

 それらの全てが、この土壇場で、古木の才能を十全に開花させるに至った。

 

 とんっ、と一足でくるみに肉薄した古木は、血の気が薄い顔で言う。

 

「このまま地下室に逃げたらやつらが殺到する。逃げる前に数を減らそう」

「──それは、いいけど、古木さんは大丈夫じゃねえだろ……隠れてた方が」

 

 突如としてひゅんと手を振り、数本のペグをそれぞれ1本ずつ均等に死者の頭部に投げて突き刺してから古木は更に続けた。

 

「問題ない」

「……だろうな」

 

 頬をひくつかせて、有り体に言えばドン引きしながらも、くるみは古木の背後に立ってシャベルを構えた。古木も滑らかな動きで刀を構えて、炎を纏う死人を真正面に見据える。

 

 ──二人の長いようで、それでいて短い最後の戦いが幕を開けた。

*1
ファイナルアンサー




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