【完結】がっこうぐらし!RTA/卒業生チャート+α   作:兼六園

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癸の回 後

 修羅剣士に炎の匂い染み付いてむせるRTAはーじまーるよー。10日目後編もう始まってる! 

 

 前回ラストで【窮鼠猫噛】が発動したので、そのまま現場のやつらを一掃しましょう。

 体力1割未満とかいう死ぬ寸前!(KBTIT)な見た目なのに、古木くんがボロボロのまま機敏に動いてるように見えるわけですが、これもうどっちがゾンビなのかわかんねぇな? 

 

 攻撃速度まで2倍というかなりピーキーな状態なのでタイミングを間違えてカウンターを食らったり……しないようにしようね。

 これがシャア専用ダークソウルですか。ゴミトリウスがよぉ! 

 

 ──そんなわけで戦闘開始。

 

 タワーディフェンスの最終waveのようにわらわらと集まるやつらを切り捨てます。

 しかし一定数倒したらはいクリアとはなりません。前回も言いましたが、やつらを一定数倒して且つ『学園生活部部員の地下室への避難』を完了しないといけません。

 

 今回、戦力の為に感染バフゴリラことくるみ姉貴を連れてきましたが、古木くんとくるみ姉貴に劣るとはいえまあまあ戦えるスミコを連れてくれば『地下室に部員を避難』の条件を先にクリアできるので、やつらを倒す方に専念すれば恐らく今頃このイベント終わってました。

 

 ──とどのつまり、区間タイム通りに進んでいるように見えて、現在進行形でタイムロスしてます。はぁ~、あ ほ く さ

 

 スミコというイレギュラーが居たのに手元のチャートを遵守した走者の鑑にしてアドリブが効かない頭でっかちがこの野郎醤油瓶……! 

 

 

 …………記録レ■プ! WR狙えた筈だったRTAはーじまーるよー! (やけくそ)

 

 まるで()()主義かのように赤いタイムを一瞥しつつ、画面のあちこちからアンブッシュしてくるやつら(燃焼)にペグを当てて行きます。

 まるでパリみたいだぁ。まあ、パリは可燃物みたいなもんやし……。

 

 んだらばペグを使い切る勢いで一体ずつに当て、残った体力を刀で削りきります。

 筋力70超えのバイオゴリラことくるみ姉貴はシャベル片手に大暴れしており、古木くんの背後でやつらを刃先でぶった切るか足を掴んで振り回してはぶん投げていました。はぇ~(恐怖)

 

 イベントクリア条件の一定数とは、厳密にはイベント発生後に30体前後のやつらを倒すことが条件になっております。

 ペグを当てたやつらをきっちり倒しているなら最低でも20体は倒せているため、あとはくるみ姉貴が何体倒しているか……なのですが、医者志望のインテリゴリラことくるみ姉貴にも避難してもらわないと困るのでここらで指示を出します。

 

 好感度が高いことが逆に原因となりこの場に留まろうとする場合がありますが、一回の指示で聞かないなら千回の指示をすれば良い。

『チェスト』とはすなわち『知恵捨て』と心得たり、ということです。今回の将来の夢がお嫁さんなウェディングゴリラことくるみ姉貴はえらく素直ですね。偉いゾ~♡

 

 だかだかだかーっと校内に戻った感染していなければわりと甘々な恋人ルートに入れる乙女(Maiden)ゴリラことくるみ姉貴を見送り、死にかけの修羅剣士くんは燃え盛ることで何故か体力が増えているやつらを叩っ切りましょう。

 

 燃えてて攻撃力が上がるのはわかるんですが、なんで体力まで増えるんですかね。これバグでしょ、うちのシマじゃノーカンだから。

 親方(うんえい)に連絡させてもらうね。

 

 やつらの攻撃が掠るだけでも致命傷なので当たらないように気を付けつつ、攻撃速度が2倍すなわち本来の1発分の時間で2発叩き込めるDPSを活かしてきっちりぶち転がします。

 

 殿を勤めますが、別に全滅させてしまっても構わんのだろう? 修羅剣士の剣術見たけりゃ見せてやるよ(迫真剣道部)。あっしのヒテンミツルギー!(殺戮スイッチON)

 

 一撃もらえば即終了、やつらの動きはランダム。アドレナリンどばどばでなんか興奮してきましたね。VR版なら心拍数の急上昇でゲームを強制中断されるタイプ。

 

 体感でフラグ進行に必要なのは残り5体と仮定、念のため6体は倒すつもりで立ち回り、適宜近寄るやつらの首にチェスト関ヶ原します。

 明確な隙を作るには振りかぶりに合わせてガードして【弾き】ましょう。そのための【弾き】……あとそのための剣士チャート? *1

 

 1体目、背後に回り込んでバックスタブ。2体目、引っ掻きを弾いてから胴体を両断。そして3体目の大振り且つ上段の引っ掻きに対して、ギリギリで攻撃範囲から出つつ刀のリーチを最大限に活かし渾身の最大溜めR2! 

 

 ──と、流れで4体目を切り捨てたところで画面が暗転。思ったよりもくるみ姉貴がやつらをぶっ飛ばしていたようです。くるみ姉貴が地下室に避難できたようで、最終イベントのフラグが進行して無事クリアとなりました。

 

 それではちぃとばかし早いですが、イベントスキップを連打した辺りで10日目はここまで。次回、ついに最終回。

 

 ……といってもイベント飛ばしてタイマー止めたら後付けで飛ばしたイベント垂れ流すだけなので、実質今回が最終回で次回はおまけパートみたいなもんです。ではまた来週。

 

 

 

 

 

 ──最早汗が出ないほどに憔悴し、暗い顔色を青白く染める。呼吸が浅く短くなり、古木の耳はただ耳鳴りを聞くだけとなった。

 手に取ったペグを落としそうになり、誤魔化すように、しかしそれでいて正確に死者の頭部に向けて素早く投擲する。

 

「っ」

「古木さん!?」

 

 不意にカクンと膝から力が抜けた。ドロリと鼻から血が垂れ、手の甲で拭い立ち上がる。

 ぼんやりと霞む視界からまぶたを細めた古木は、背後でシャベルを構えるくるみの背中をとんと押して乾いた唇を開けて声を出す。

 

「……くるみ、地下室に行け」

「──なに言ってんだ、古木さんも」

「火は校舎にも回っている。こんな怪我人を連れてやつらから逃げ切れると思うか」

 

 ごうごうと燃え盛る炎が校舎を焼き、辺りには火炎が充満している。

 その場で立っているのも奇跡に等しい古木に歩幅を合わせて歩かせていたら、くるみは確実に逃げ遅れてしまうだろう。

 

「なんで──駄目だろ、あんただけ置いて逃げろって……馬鹿言うなよ!?」

「くるみ」

 

 ──くるみの胸ぐらを掴んだ古木は、無理に力を入れてブルブルと震える手で引き寄せ、額をコツ、と合わせて眼前で言う。

 

「……必ず合流する。帰ってくる。約束だ、俺は死なない。だから……向こうで待ってろ」

 

 ──嘘だ。そう、断言できるだけの雰囲気があった。今の古木は、まるで死期を悟られたくない野良猫のようで──額を合わせたままのくるみは目尻に涙を浮かべる。

 

 唇を噛み締めて、古木を見上げる。

 それから、すり──と頬を寄せ、声色を震わせながら古木へと言葉を返した。

 

「ごめん、ごめんな……相棒だ、って、言ったのに……今から、見捨てるんだ……っ」

「──絶対に、振り返るな」

 

 肩を押され、古木と距離を取るくるみは、言われた通りに走り去る。暑さで頭がくらくらして、視界が潤む。僅かな生前の感覚が残っているのか、火に覆われて慌てるように右往左往する死者を横切り、走って行く。

 

「──くそっ、くそ……っ!!」

 

 ぼろぼろと、涙が溢れる。満身創痍の古木を置き去りにして逃げている事実に、言葉に出来ないくらいの無力感を覚える。

 ()()()()()()()()死者を尻目にくるみは走る。古木への迷いを、振り切るように。

 

 

 

 

 ──地下室のシャッターをこじ開ける音が聞こえ、手前で待機していたスミコと慈はそれぞれ傘とバールを構える。

 ──が、死者たちがこじ開けようとするなら持ち上げようとするより叩こうとするのでは、と考えて得物を下ろす。

 

 そして外からシャッターを上げて入ってきたのは、シャベル片手に空いた片手で縁を掴んでいるくるみだった。目を赤く腫らし、険しい表情には悔しさを滲ませている。

 

「くるみさん……良かった、無事だったんですね。──古木くんは……どこに?」

「──ごめん」

 

 ホッとした様子でくるみに近付く慈は、シャッターの奥を覗いたりするが、古木の姿を見付けられない。しかしただ一言謝るくるみに、何かを察した様子で顔を向けた。

 

「……そんな……」

「佐倉女史、くるみ君を下に。()が彼を探してこよう」

「……やめとけ。火の手があちこちに回ってる。出ていったら、戻ってこられない」

 

 諦めたようにそう吐き捨て、片手で上げたシャッターを下ろす。熱で指が焼けているようだったが、くるみは痛みを感じていないかのようにそれを無視している。

 

「……ヘリが爆発して、古木さんが吹っ飛ばされて、死にかけのまま戦ってた。

 あたしは……逃げてきたんだよ、古木さんに言われた通りに尻尾巻いてさ」

 

 熱に体力を奪われふらりとふらついたくるみの体をスミコが支え、慈が持ってきた水を受けとる。頭から被って、残りを一息で呷った。

 

「逃げた、か。きっと()でもそうしたさ。君が悪いのではない、それに……彼は強い。知っているだろう? きっと、どこかに隠れてやり過ごしているかもしれない」

 

 だから大丈夫。したり顔でそう断言するスミコは、それでいてくるみの肩に置いた手を震わせる。不安なのだ。まさか彼に限って、死ぬわけがない、だがもしかしたら、と。

 

 ──壁にもたれ掛かり座り込む二人は、肩を寄せる。くるみが肩に頭を置き、スミコは保存食の徳用ドライフルーツを開けてつまむ。

 火が消えるのを待つしかない現状、古木を探しに行こうとすれば、ミイラ取りがミイラになりかねない。大人しくしているしかなかった。

 

 まるで現実逃避するように、スミコは無心で甘味を貪り、時折くるみの口に放り込む。慈は地下室の奥に戻り、生徒たちを見ている。

 

 ──ふ、と。

 

「────!」

 

 シャッターを叩く音が聞こえ、二人は即座に立ち上がる。傘とシャベルを手に、ガシャ、ガシャ、と叩かれているシャッターを見た。

 

「やつら、か?」

「であるならば、それにしては──1人だけにしては叩く音が周期的過ぎないだろうか」

 

 まさか、と呟くスミコ。まさか、と思考するくるみ。音を聞いて再度戻ってきた慈に、スミコは吠えるように伝える。

 

「どうしました?」

「佐倉女史、包帯を持ってきてくれ! 大至急だ、急いでくれたまえ!」

「は、はいっ!?」

 

 びくっ、と体を跳ねさせた慈は大急ぎで薬品置き場に包帯を取りに行く。

 

「……古木さん、なのか……」

「かもしれない。

 ……が、シャッターが過熱されている。手に包帯を巻いてからシャッターを開けよう」

 

「──持ってきました!」

 

 よし、と言い、スミコは手早く手に包帯を巻く。くるみもまた、ぐっと手を握り、開いて、小さくため息をついてから同じように包帯を巻いてシャッターに近付く。

 

「──良いかい?」

「……せー、の!」

 

 縁に手を置いて、指に力を入れる。包帯越しでも伝わる激しい熱に顔をしかめるスミコは、しかし力を更に込める。くるみの助力もあって開けられたシャッターの奥には────

 

 

 

 

 

 

 ──ぜ、ひゅっ

 

 掠れた呼吸が廊下に響く。

 

 ──ぜ、ひゅう

 

 燃えた死人が廊下を歩く。

 

 ──ぜぇ、ひゅ

 

 死人が死にかけに襲い掛かる。

 

 ──ひゅん。

 

 ふらついて前のめりになる動きのまま、刀を翻して死人の首を撥ねる。

 

 ──ぜぇ、ひゅ

 

 廊下の端の地下室への入口、シャッターで閉じられたそこに古木は向かう。カラカラカラ、と、下がった刃先が廊下を擦る。

 脇の部屋から廊下に飛び出してきた死人を返す刀で撫で斬りにし、奥から現れたもう1人の胸と喉、顔を三度突いて目もくれずに歩く。

 

 ふらふらと歩き、カラカラと刃先を擦らせ、古木は廊下の奥にたどり着く。

 柄頭でシャッターを叩くと、ガシャンガシャンと滑稽な音が響く。

 

 

 ──ぜ、ひゅ、ぜぇ、ひゅー

 

 

 鼻の奥で血の臭いが充満し、古木の意識は重度の眠気から途切れ途切れになる。

 押し掛けた死者だと思われないように、なかば無意識に叩くテンポを同じにしている古木は、叩きながらもうつらうつらと船を漕ぐ。

 

 このまま開けられなかったら、煙に巻かれて消えてしまおうか。ガシャン、とシャッターを叩いたのを最後に、古木は手を止める。

 

 その直後、閉じられたシャッターがギシギシと音を立てて少しずつ開かれる。

 完全に開け放たれた先に、手に包帯を巻いたスミコとくるみ、二人の手を水で濡らして冷やす慈が立っていて──ふらりと倒れ込んだ古木を、咄嗟に慈が抱き留めた。

 

「ふ、るき、くん」

「……めぐみさん」

 

 ドク、ドク、と心音が古木の耳に届く。

 傍らに立ち、気まずそうに顔を逸らすくるみの頬に手を伸ばして、今にも途切れて消えてしまいそうな声で言う。

 

「やくそく……した、だろう」

「…………バカ野郎」

 

 だらりと落ちそうになった手を、くるみが掴んで頬に押し当てる。カサカサに乾いた手に、くるみの涙が染みて──役目を終えたかのように、カランと刀が床に落ちた。

 

「──おかえり」

 

 くるみのその言葉を最後に、古木はそっとまぶたを閉じる。慈に抱き締められたまま、膝を突いて、床に座り込むように眠る。古木の手を握るくるみの手のひらは、赤く焼けていた。

*1
タイトル読み返してこい




最終回→10月11日00時00分
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