【完結】がっこうぐらし!RTA/卒業生チャート+α 作:兼六園
狐面剣士少女が個人的正義感から悪人をぶった切るRTAはーじまーるよー。
……このゲーム原作なんでしたっけ?
美少女たちがゾンビアポカリプスの世界を生きるゲームだった気がするんですが、一人だけパニッシャー時空から参戦してるんですけど。
ままええわ。そんなわけで今回でpart2
前回までの記録は10/50となり、今partでは12人の殺害を目標としています。
くるみ姉貴たちと別れてから数分、近所のデカめのスーパーを目指して屋根の上を跳んでいると、バンディットの実装で相対的に数が減っている『やつら』──初見のホモは居ないだろうけど、あえて説明すると生ける屍のことですね。
屋根から見下ろす先で、やつらとバンディットが戦っていました。二人のバンディットがボウガンを使って、交互に3体のやつらに向けて矢を撃っています。肩や胸、腹に刺さっては一瞬怯みますが、やつらは死にません。
──そう、VR版はPC版と違ってやつらの生態が原作順守になってるんですよ。要するに、こちらでは頭を破壊したり首を切ったりしないと死にません。まるでゾンビみたいだぁ(すっとぼけ)
住宅街の道路を利用して後退しながら交代で撃っているようですが、動きながら遠距離武器を当てるのは難しいんですよねぇ。
【スキル】という形で能力を向上させれば走りながら頭に投擲武器を命中させたり、あらゆる攻撃を弾けるようになったり、落下ダメージを軽減できるPC版の主人公がおかしいってそれ一番言われてるから。おみゃーの事だよ御形くん。
御形くんが大学を出てこっちに来ている乱数の場合、道徳倫理が菩薩のそれなので姪である紫陽花ちゃんの凶行を止めようとしてきます。
実力差が剣聖と初見の
一度ガチでぶち殺すつもりで上空落下忍殺キメようとして迎撃された時は『なんて恐ろしいモンスターを産み出してしまったんだ……』と今際の際に自分の行いを悔いるマッドサイエンティストみたいな顔をしてしまったものです。
誰だよこんなクソ強キャラ作ったやつ……。*1
まあそんなことはどうでも良いんだ、重要なことじゃない(ミストさん)。大事なのは眼前で鴨がネギを背負って歩いてるどころか懐に白滝も入れているということです。
ここで2人片付ければ、スーパーに屯してるバンディットたちの数が乱数により最低人数の10人だとしても目標に届くのです。
──さて、前回お話ししましたが、バンディット殺害数カウントの定義はプレイヤーである紫陽花ちゃんこと私が倒すことです。
……が、ここに抜け道があります。御形くんがモールでやつらを落下死させても経験値を得られたシーンを思い出してください。*2
そう、『先にダメージを与えておけばやつらに食い殺されてもバンディット殺害数は増える』んですよね。修正されてないのでバグではありません。では実
やつらK.B.SとバンディットA.Bの間に着地し、丁度やつらのうち1体の頭に刺さる所だった矢の棒部分を掴みます。ボウガンの矢は金属製ですが、妖刀の筋力バフならこの通り。
──ふんはァ!!
このようにして曲げるのじゃ。そして全速力でバンディットの間を駆け抜け、すれ違い様に一閃──二人の片足を一息で両断します。
そして叫び声をバックに屋根へと跳躍。逃げながら殺害数の変動を待ちましょう。
……ヨシ!(狐面猫)
殺害数が10/50から12/50に増えていますね。しかし……やってることは完全に邪悪のそれですが。逃げられないように足を切り落としてから食い殺させるなんて、これが……正義なのぉ? なんか(精神が)冒されてるよぉ!
まあお面に精神汚染されてるのはクソホモたちも察していることでしょう。
でもこれが無いと紫陽花ちゃんは単なる陰キャボッチとなってロックで食っていかないといけなくなるので……(ぼざろRTA)。許せサスケ、このRTAに優しさは無いんだ。
というわけでスーパーに到着。冷凍食品から保存食に水まで選り取り見取りの籠城にうってつけな場所ですが、まあまず生鮮食品の消化が追い付かなくなるので数日で食べ物が腐り始めて臭いで士気がだだ下がりになります。
バンディットたちは無駄に数だけは多いので連中が拠点に使うのには丁度いいのでしょう。
スタッフの休憩室がある裏手に回り、前回入手したお手軽テロセットことベアリングボール、火薬、発火装置、圧力鍋を取り出します。
ざらざらざらーっと材料を入れて、発火装置が十秒後に点火するようタイマーを設置。圧力鍋に蓋をしてから、筋力バフに物を言わせて窓から休憩室に投げ込みましょう。
この時間帯はバンディットたちがタバコ休憩をしに休憩室に集まっているので、確実に四人葬り去れます。十秒経過し、発火装置が作動。
圧力鍋の内側で爆発した火薬によるエネルギーが鍋を破裂させながら辺りにベアリングボールを弾けさせ、破片と共にバンディットたちを八つ裂きにしていきます。悲鳴を上げる暇もなく、休憩室は吹き飛びカウントも16/50に。
──手榴弾は爆発ではなく破片で殺す、というのは皆さんご存じでしょう。
休憩室という閉鎖空間には逃げ場なんてありません。伏せて避けろ!(メイドインワリオ)ともいかないんですよね。
そして休憩室で爆発が起きたことでスーパー内のバンディットたちはそちらに向かおうとします。即座に入口側に回れば……挟み撃ち、という形になるな(承り太郎)
んだらばいらっしゃいませー!(ソルジャー1st)と扉を粉砕していざ鎌倉。*3
音と気配からして人数は六人、合計十人とスーパーに現れるバンディットの最低人数な辺り乱数はおクソ(上品)だけど、道中に二人居たので運でギリギリ帳消しですね。
──では戦闘開始。爆発音に釣られクマーしてるバンディットを順に後ろから片づけます。血狂を鞘から抜いて低姿勢から一気に肉薄。
冷蔵の棚を足場に三角飛びして振り返ったバンディットAの首をスパンと斬り飛ばし、音に気付いて近付いてきたバンディットB目掛けて空中で身をよじり捻り、落下中のゆっくりバンディットをシュートしてぶち当て怯ませます。
床に着地する前に反対の棚を蹴り更に加速し、頭と足を上下反転した状態で血狂を振るってバンディットBもゆっくり饅頭に加工しました。
容赦の無い首斬り……うわぁこれがナウなヤングにバカウケな鬼滅の刃ですか。紫陽花ちゃんだって霹靂一閃くらい出来ますけど……(森久保)
──おっ、タオル持ってんじゃんじょん。止血から目隠しにと使えるので回収します。
さて残り四人……ですが、ここから逃げようと考えたのか想定より早く休憩室から店内に戻ってきましたね。首なしバンディットくん×2を見て私を敵だと判断するのは良いです──が。
四人中二人が逃げようとしてる辺り仲間意識は無さそうですね。所詮は竿役の集いよ……じゃあ逃げた方を真っ先に狙います(無慈悲)
死んだバンディットくんが持ってた鉄パイプをぶん投げて背中を向けて逃げた二人のうち出入口に近い方に当て、肘打ちで棚のガラスを割って破片を掴みスリケンのように投擲。
ガラスは反射的に振り返った手前のバンディットくんの首を掠め、遅れてスパッと頸動脈から血が噴き出します。首を押さえて膝を突くバンディットCの手からナイフを奪い取り、倒れてから起き上がろうとしたバンディットDの後頭部を蹴り飛ばして顔面を床に叩き付けましょう。
血の池を作り死亡したバンディットCの死体を傍らに蹴り飛ばしながらバンディットDの頭を掴んで引きずり、紫陽花ちゃんと戦おうとしたバンディット二人の元に戻りまして……さあ、バンディット解体ショーの始まりや。
──これは打ち切りっぽい終わり方をしたアニマエールの分! これは浪人生だったことを打ち明けた花名ちゃんの分! そしてこれが、完結したのに二期をやらないアニメの分だ──っ!!
何度か柄で顔面を殴り、刃で首を刈り、顎に突き刺し髪とナイフの柄を全力で握ってメキメキメキメキ! と首を90度傾けます。
逃げたらこうなるぞ、と無言で伝えて、死体をぶん投げて空の野菜の陳列棚に捨てておき──じゃあオラオラ来いよオラァ!(半ギレ)
バンディットくんは乱数やAIの行動次第では警察あるいは軍隊の銃器を所持していますが、地理的にもこの辺には交番すらないのでこいつらは銃を所持しておりません。
ので、こいつらを相手にするとき恐れるべきは時折生身の人間かと疑うレベルで狡猾な戦法を取る場合ですね。現にこうして、バンディット二人は片方に飛び掛からせながらもう片方が突然懐中電灯でフラーッシュ! してきました。
──ブモーッ!(レイスくん)
……このハゲドワーっ!!
エンティティ警察だ! ハゲドワ屈伸煽りライトマンは憲法第810条で禁止されている。
──突然の目潰しで視界が真っ白になりましたが、耳が無事なら問題ありません。
息遣い、武器を振る音、そして足音があれば──ガギィ! と構えた血狂の刀身にぶつかるバールの衝撃。このように、防ぐことは容易です。
バンディットくんも流石にたじろいでいますね。何故防げたか……ですって? 平成ライダー自体に意味が無いからな。*4
切っ先で巻き込むようにバールを弾き飛ばして、返す刀で腹をかっ捌きます。……やっぱり必要以上のグロ描写は規制されてるのか、腸がでろんと溢れてくることはないですね。残念。
──んで、私に懐中電灯を当ててきやがった奴は……スーパーから出ようとしてますね。
おっ待てゐ(江戸っ子)。お面の持久力バフを生かして即座に回り込みますが………………なぁんでくるみ姉貴達が居るんですかね。ちょっと再会が早いんじゃないこんな所で~!(半ギレ)
りーさん、めぐねえ、ゆきちゃんと他のメンツも勢揃いですか。ここはパーティー会場ではないんですがねぇ……ほら最後のバンディットくんも面食らって…………いや、あの顔は人質にでもしようかと考えてる顔ですね。
そもそもなんで彼女達が──と思ったけど、前回りーさんも居た時点で疑うべきでした。
この子ら、もしかしなくても今日モールに行くつもりだったのでしょう。
その予定に私が割り込んできて、更には道中のスーパーの一角が爆発と。
そりゃ気になって見に来るよね、怪我人がいるかもしれないとか考えるよねぇ~~~。
なんだお前ら!? 男のチャート壊して喜んでんじゃねぇよお前! ドロヘドロ!(名作)
──思考は一瞬、行動は刹那。
まあ狙うよね、ゆきちゃんを(倒置法)
ひとまず良質タックルで引き離して、物陰でトドメを刺せばよい。そう考えて真っ直ぐ突っ込みますが──このバンディットくん、最初から私へのカウンターを狙っていたようですね。
そんなんじゃ甘いよ、遅い遅い遅い。狙いが見え見えなんですよね。
ギリギリまで引き付けてから、カウンターで振り抜かれたバールを避け──蹴り飛ばすと同時に顎を掠めてお面が外れますが、筋力バフは妖刀由来なので問題ありません。
ゆきちゃんを庇うような立ち位置に居たしくるみ姉貴達とは楽しく会話したので、まあ後ろからシャベルでどつかれたりはしないでしょう。
……ああそうだ、ちょっとここからは子供への刺激が強いので、先程のタオルをインベントリから取り出して後ろ手にゆきちゃんの顔に投げつけておきます。冷蔵の棚に背中から突っ込んだバンディットくんの足を掴んで、皆の視線から逃れるように裏へと回り──はいじゃあ首の可動域の限界を超える運動行くよーっと。
──ヨシ!(草加猫)
これにてバンディット殺害数も22/50となり、残りは28人。原作ヒロインが介入してくるというイレギュラーはありますが、バンディット関連はチャート通りに進んでいますね(キレ気味)
さて落としたお面を拾い……あれ、無い。ちょっと! 不味いですよ! メガネメガネ……と足元に視線を向けていると、不意に会話イベントが発生。お相手は──ゆきちゃんですか。
その手には私の顔から弾き飛ばされたお面が。どうやら拾ってくれていたようですが……あのですね、紫陽花ちゃん、実はお面がないと碌に会話できないんですね。
『ふえぇ恥ずかしくて話せないよぉ』とかそういうレベルではなく、ガチのコミュ障なので目線は合わないし言葉も詰まります。そこに妖刀の補正で性格やらなにやらが歪むと──はい。
選択肢が『返せ』か『黙る』だけになりました。まあ紫陽花ちゃんがコミュ障なのは彼女の祖母が自分の姉にコンプ拗らせてるのもあって武人に育てようとしたのが原因なんですけども。
ライバル視してた武家に嫁いだ姉。薙刀術を途切れさせないように孫に強要した祖母。嫌で家出した先で出会った姉の旦那の祖父。薙刀術より楽しい剣術。刀の才に目覚めた紫陽花──これがっこうぐらし! でしたよね、朝ドラではなく。
──取り敢えず『返せ』で良いですね。今回は原作ヒロインに好かれる必要はありません。バンディット殺害は最悪相討ち覚悟で殺るため、下手に好かれるとやめさせようとしてきますし。
じゃけんお面返してもらいましょうね~。返せ! 俺の顔を返せ!(ロールシャッハ)
紫陽花ちゃんが顔を片手で覆いながら片手に刀を握って呼吸を荒くしてるのは先程まで殺して回ってて興奮したからとかじゃなく、単純にコミュ障が頑張って会話しようとしてるだけです。
お面がないと紫陽花ちゃんはTDN美少女になってしまうので、特に疑う様子もなくあっさり返してくれたゆきちゃんから受けとりましょう。
この丈槍由紀って人、もしかして天使なのでは……?(すっとぼけ)
受け取ったお面を顔に被せて後ろに回した手で紐を結びます。メニュー画面操作でポンと装備できるPC版と違って、
──完全復活・グレートハイドレンジアと化した紫陽花ちゃんBB。といった感じでお面も装備したので、ここから立ち去るのをオススメしてからスーパーを出……なんだこの淫ピ!?
出入口にめぐねえが仁王立ちして立ち塞がってきました。なんか妙に距離感が近い気がする……あっ、そっかあ……。
紫陽花ちゃんは背景設定で『こちらに引っ越してきたばかりで転校してくる予定だった』ので、多分パンデミック前に学校の見学で顔を合わせたことがあるのでしょう。
さっきお面が取れたのに加えて名前から私がその時の子だと理解して、何故バンディットを殺して回ってるのかと聞いてきます。
だってそういうRTAだし……と言っても理解はされないので、『正直に答える』か『答えない』か『押し退ける』から選びます。
3つ目は多分めぐねえが壁の染みになっちゃうからやめようね!
……しゃーない切り替えていけ。正直に答えてさっさとこの場から逃げましょう。
それでは適当に会話をしてからスーパーを出た辺りで今回はここまで。
次回、薬局&バンディットマンション。来週もキリコと地獄に付き合ってもらう。
──────────────────────
【狐憑きの面】
・被った者に山を駆け回る獣がごとき俊敏さと体力を与える奇妙なお面。本来なら前を見るための穴が目元に空いている筈なのに、このお面にはそれがない。にも拘わらず、どういうわけか着けた者は視界を確保することが出来る。
更には奇妙なことに、このお面を被った者は、例え村一番の乱暴者であろうと、借りてきた猫のように大人しくなってしまう。
まるで何かに取り憑かれていたようだ──。
ある者が、ふと──壁に飾られたお面を見て、震えた声色でそう言った。
──────────────────────
──スーパーの一角で起きた爆発は、くるみたちが乗っていた車に轟音を届かせた。
もしかしたらガスが漏れたのか。怪我人が居るのかもしれない。どちらにせよショッピングモールに向かう道にあるのだから、確認することは自然である。そう考えて、砕けた扉を跨いで中に入った彼女達が見たのは──。
「っ……! くっせぇ……!」
「血の、臭い……っ」
噎せ返る鉄錆の臭いに、くるみと悠里は咄嗟に鼻を押さえた。遅れて入ってきたゆきと慈が、顔をしかめて惨状を目の当たりにする。
暗がりで良く見えないが、首の無い男の死体。首を押さえて動かない男に──何かから逃げてきたかのように焦燥した顔で走ってきた男。
そして、棚を挟んだ反対から現れた黒衣の少女。見覚えのあるお面には、べったりと赤黒い液体が付着していて──男と少女はつい立ち止まる。──あとから来た彼女たちは、男の仲間が皆殺しにされたことを知らない。
故に、ゆきを狙ったように走った男が、凄まじい速度で駆け寄ってきた紫陽花目掛けてバールを振り抜き、避けた紫陽花が男を蹴り飛ばす様子を見ていることしか出来ない。
「えっ──!?」
「いったい、なにが……?」
「──紫陽花」
「紫陽花? ……じゃあ、やっぱり……」
黒いセーラー服を着た少女、古木紫陽花を見て、くるみの呟きを聞いて、慈は口を開く。
彼女は懐から取り出したタオルを後ろに投げ付けると、それはふわりと宙を舞ってゆきの顔を覆った。棚に背中から突っ込んで動かない男の足を掴むと、ポツリと呟いてから裏に消える。
「………………見るな」
「わぷ、なっ、なになになに!?」
「落ち着いてゆきちゃん、ただのタオルよ」
暴れそうになったゆきを押さえたくるみと、顔のタオルを取った悠里。なぁんだ、と言ったゆきは、不意に足元に転がっていた狐のお面を見付ける。それを拾い上げると、くるみが言う。
「それ……あいつのお面だな」
「さっきの男の人が振ったバールに当たったのね……不思議なお面。見てるだけで……惹き付けられる、というか……」
「おいりーさん、あんまり見るなよ。呪われたらどうすんだ」
ゆきが両手で持つお面を悠里はまじまじと観察する。呆れた顔で忠告したくるみは、彼女達が『めぐねえ』と呼び慕う女性──慈に視線を向けた。考え込んだ様子の慈に声を掛ける。
「めぐねえ、どうした?」
「っ! ああ、いえ……その」
「あっ、あの子戻ってきたよ」
ゆきの言葉に、一斉に視線が件の少女、紫陽花へと向く。もはや『なにをした』のかについての質問はしない。だが、四人は紫陽花の様子がおかしいことに気付いた。
「…………ふーっ、ふぅーっ……!」
呼吸を荒くして、足元を見ていた。片手で顔を覆い、片手に握る刀はガタガタと震えている。四人が見えていないかのように、紫陽花は一心不乱に足元をキョロキョロと見渡す。
「……紫陽花、もしかしてお面を探してるのか? なんであんなに……
「じゃあ私、返してくるねっ」
「っ、馬鹿、ゆき!」
ゆきは単純に、親切から、紫陽花の持ち物であるお面を返そうとして彼女に近付く。ただ──くるみと悠里は紫陽花の言動と行動が、俗な言い方をすれば
しかし『あいつは人を殺してるから近付くな』と精神が若干幼いゆきに言うわけにもいかず、自分達で気を付けておけば大丈夫だろうと、そう油断して──ゆきの行動力を甘く見ていた。
「えーっと、大丈夫?」
「ッ!! そ……れ──!」
びくりと体を震わせて、顔を覆う指の隙間から、紫陽花はゆきの手にあるお面を見た。
「────返せ」
「……へっ?」
「返せ……! それは、
獣が威嚇するように紫陽花は幼い声を低く唸らせる。はぁ……はぁ……と息を荒くさせ、ぎしりと刀の柄を強く握った。
──暴れるようであれば、最悪の場合は紫陽花を殴る。そう決意して静かにシャベルを構えたくるみの前で、ゆきは少し考えてからあっけらかんとお面を差し出す。
「はい、どうぞ?」
「…………あ?」
「大事なものなんだよね、大丈夫だよ」
「…………っ」
顔をうつむかせて、覆っていた手でお面を奪うように受け取り、顔に着けて紐を結ぶ。
──紫陽花は、一転して先程の激情など無かったかのように背筋を正して刀を納めた。
「……ここから出て、帰った方がいい」
「ど……どうして?」
「貴女が知る必要は無い」
なんでなんでと聞くゆきをあしらい、感情の振れ幅に違和感を抱き呆気に取られるくるみと悠里を余所に、紫陽花は出入口に向かう。
「……紫陽花さん、待ってください」
「誰」
「知りませんよね、学校で顔を合わせている筈なんですけれど、あの時の貴女は──何に対しても興味を抱いていなかったんですから」
「ああ、居たね、そういえば」
悲痛な顔で、慈は紫陽花に問う。
「彼女たちから聞きました。どうして──どうして、貴女が人を傷付けないといけないのですか。貴女がする必要はあるのですか?」
「誰もやれないのなら、私がやらないといけない。人を傷付け、物を盗むことしかしない、あまりにも生産性の無い害虫。何も考えず人を食らう死人よりも、物を考えたうえで人を傷付けるあいつらこそ、もはや人間ではない」
「──紫陽花さんっ……!」
貴女は──! そう続けて肩を掴もうとして、するりと横に抜けられる。つんのめる慈を悠里が支え、振り返った先に居た紫陽花は、出入口の扉があった部分に立ち、一言言ってから去った。
「私は、今が、一番楽しいよ」
遅れて追いかけるようにスーパーから出た四人は、既に姿を見せない紫陽花を探して建物の屋根を見る。深くため息をついた慈に、悠里がおずおずと質問を投げ掛けた。
「めぐねえ、あの子の事を知ってるんですね」
「……ええ、彼女はつい最近こちらに引っ越してきて、町がこうならなかったら転校してきている筈だった転校生です。
皆が下校したあとに見学に来ていて、顔を合わせたことがあるのですが──凄く退屈そうに、生きていて楽しいことなんて無いかのような顔で学校を見て回っていました」
「そうだったんだ……」
後輩になる予定だった少女だと知り、悠里とゆきが表情を暗くする。
その横で、くるみが口を開く。
「皮肉だな、今あんなことをしてる方が楽しいなんてさ。わかるだろ、あれ本心だぜ。あいつをどうにか出来そうな人って居ないの?」
「紫陽花さんは……引っ越してくる前に、家族とのいざこざで家出してこちらに来たことがあったそうです。こちらに紫陽花さんの祖母のお姉さんが嫁いでいて、便宜上『叔父』と呼んでいる学生さんが大学の方に居るのだとか」
「その人が居たら説得できたんかねぇ」
……どうかしらね。遠い目をして、慈は諦めたようにそう言った。
真昼時の太陽が、四人を炙るように照らしている。紫陽花の凶行は──止まらない。
次→11月18日00時00分