【完結】がっこうぐらし!RTA/卒業生チャート+α 作:兼六園
前回の続きはーじまーるよー。今回はキャンピングカーを入手した所から再開です。
ハイエースとキャンピングカーで物資運搬量も運べる人数も倍になりましたね。
ぶっちゃけ車2台で日本一周旅行編でもやれるんじゃないかってレベルの重装備なんですが、それやると
これでは人が住めなくなる! 核の冬が来るぞ! に展開が転ぶと……んにゃぴ……作品がFalloutになっちゃうからね、仕方ないね。*1
そんなこんなで発進。ハイエースに古木くんとスミコとくるみ姉貴とみーくんが乗り込んで先行し、後ろではゆきちゃんとりーさんとるーちゃんと圭と太郎丸が乗っており、めぐねえがキャンピングカーを運転しています。
今頃は備え付けられたトイレを堪能したゆきちゃんが「水洗最高──!」と言っている頃でしょう。ま!はしたないですわよ(フレン)
そんで相も変わらず大学目指してバクシンバクシ──ンしてる古木くんたちですが、どうやら女性陣は匂いが気になるご様子。
じゃあ今日の車中泊は川沿いでやるとするか、しょうがねえなあ(サイヤ人)
んだらばパパパッと周囲を警戒して、停車。キャンピングカーの方で着替えたらしいゆきちゃんとくるみ姉貴と圭……とおまけにスミコが水着姿になって川に
四人できららジャンプして川に飛び込んで、数秒後にはシワシワのピカチュウみたいな足取りで戻ってきましたね。沸かした白湯を啜るゆきちゃんたちをよそに、しかし、くるみ姉貴はなーぜーかーピンピンしていました。
なんでやろなあ……とかすっとぼけつつ、一緒に冷水で服を手でもみ洗いします。
川に洗剤混じりの水を流すのは
古木くんの良心ロールプレイも兼ねて、洗剤水は排水溝の方に流しておきましょう。あとは服の水気を絞ったらキャンピングカーの中にでも干します。くるみ姉貴の怪力で制服がギチギチ言ってましたがまあ、大丈夫やろ。
ちなみに男キャラで女物の服を触ると好感度が低い場合はいわゆる『パパは私の服触らないでよ!』的なアレになりますが、古木くんは全員からの好感度が平均以上なので大丈夫です。
流石に下着は恥ずかしがられますがね、ともあれ制服を干しちゃいます。おや、めぐねえとスミコの下着……うわあすげぇデザイン。*2……*3
……うるせえ! 田舎少年はスケベな事しか考えないのか(呆れ)。それではやること終わったので夜まで倍速、今日も誰かヒロイン候補とお喋り……とはならず、川辺で寝泊まりしたことで原作通りのイベントが発生します。
ハイエースの方で寝ていた古木くんが開眼!(ゴースト)して目を覚ますと、外で誰かが住宅街の方に歩いて行くのを視認します。みーくんはキャンピングカーの方で寝ており、こちらにはスミコと古木くんしかおりません。
音も無く運転席のドアを開け……視線ッ!
……助手席で寝ているスミコに
5秒ほど視線が交わりますが……すっとまぶたが閉じられましたね。ゆ、許された。
では改めて
そう、実はくるみ姉貴は感染を克服したのではなく、進行が遅れているだけなんですね。着実にやつらに近づいているせいで、今のくるみ姉貴は仲間認定されスルーされているのです。
だから、近づいてきた古木くんには反応して襲いかかってくるんですね。……レッドファイ!
うっかり日本刀を持って来なかったので、手癖で持ってたペグ数本とその辺の鉄パイプでどうにかしましょう。くるみ姉貴が驚きながらも参戦するので……纏めてタイマン張らせてもらうぜ!
──まあ、カットしますがね。これRTAじゃないし、普通に楽勝なので。
そこそこの経験値をゲットしたので戻り、汚れた服を改めて洗い直します。
ペグも洗って汚れを落としておきます。
ついでに古木くんがくるみ姉貴の顔の汚れを手で拭うと、恐らく死人じみたひんやり触感を味わうでしょう。
などといったところで、夜間のお散歩がめぐねえとりーさんにバレたところで今回はここまで。とほほーお説教はこりごりだよーとなりつつ、次回から本格的に大学編開始です。お楽しみに。
──深夜の車内で、パチリと古木のまぶたが開けられる。なにか嫌な予感とでも言うべき感覚に突き動かされ、窓の外に目を向けると。
「……くるみ?」
キャンピングカーで寝ている筈だったくるみが、あろうことかシャベルを手に住宅街へと向かっていた。小さくため息をついてから運転席のドアを開けようとした古木は──隣から視線を感じて、おもむろに顔をそちらへと動かす。
「…………」
「────」
ふと、こちらを見やるスミコの爛々とした瞳と視線が交わった。さしもの古木ですら僅かに動揺して肩を跳ねさせ、それから、彼女は何も言わずにまぶたをそっと閉じる。
見逃されたのか、と脳裏で思案して、古木は静かにドアを開けて住宅街へと駆けて行く。
咄嗟の行動で刀を後部座席に置き忘れたが、投擲用のペグはベルトに挟まっている。
なんとかなるか──と思考した古木の眼前に、制服を着たくるみの背中が映った。
「くるみ」
「っ──!? ばっ、ちょ、来るな」
「──どうなっている……」
驚きながら振り返ったくるみ。
それもそうだろう、なぜならくるみは、感染した連中の真ん中に立っていたのだから。
自分には反応しない『やつら』が、追い付いた古木には反応する。その光景に古木とくるみはそれぞれ違う意味合いで驚愕しつつ、双方で得物を構える。足元を転がっていた鉄パイプをつま先で蹴り上げてその手に握りながら、一言。
「……今はこいつらを」
「────、ああ。わかってる」
──ざばざばと、川の冷水でくるみは制服を洗う。安物のシャツとジャージを着ているその傍らで、古木はペグの先端から半ばにかけての血を水に浸してから雑巾で拭っていた。
「くるみ。頬に血が」
「わりい、拭いてくれ」
「ああ……、っ──!」
水で濡れた指で血を取ろうとして頬に手を伸ばす古木は、指に伝わる、くるみの異様な冷たさに声に出さずとも目を見開いて動揺する。
「……薬は、効かなかったのか」
「効いてるから、こうやって生きてるんだろ? 古木さんは心配しすぎだって」
「するさ。……させてくれ」
「……ん」
わかった。と続けて、くるみは古木の肩に額を置く。気心の知れた猫のような甘え方に古木は口角を緩めて────背後の悪寒に反射的に首を傾けて視線を辿らせる。遅れてくるみもまたそちらへと顔を向け、そして表情が固くなった。
「くーるーみー?」
「古木くん……?」
「ひぇっ」
「……、スミコか」
そこに立っていたのは、怒りを取り繕おうとするも笑顔が痙攣している悠里と、逆に美しいまでの笑顔で古木を見下ろす慈だった。
ちらりと視線をハイエースの方に動かせば、助手席で優雅にお湯で溶いたココアを啜りながらも、こちらを見てにこやかに手を振るスミコの姿がある。ちゃっかりしている、と独りごちて、古木はくるみと顔を見合わせて小声で笑った。
「くくっ……やられたな」
「はははっ、スミコさんにチクられたのか」
お説教大会が開催された川辺で、どこか懐かしさを覚えながらも、古木はくるみ共々悠里と慈の言葉を大人しく聞き入れるのだった。
「しかし……この歳で説教されたのは初めてですよ、慈さんはどこか、母親のようだ」
古木の無慈悲かつ無自覚な何気ない言葉に、慈は、胸を押さえて背中から芝生に倒れた。
「うぐぅ──っ!!?」
「め、めぐねえ──っ!!」
「…………むごい……」
「……? な、なぜ……?」
次→11月4日00時00分(予定)