【完結】がっこうぐらし!RTA/卒業生チャート+α 作:兼六園
あたーらしーいーあーさがっきたー、な大学編はーじまーるよー。
(おおよそ希望は)ないです。前回は幼馴染こと青襲椎子をスカウトしたところで終わりましたね、今回は翌日の朝から再開です。
幼馴染同士、個室に二人きり、何も起こらない筈がなく……とお思いでしょうが、特に何も起こりません。とはいえデータ上の椎子姉貴の好感度はカンスト寸前なので、一歩踏み込めばめぐねえが負けヒロインになりますね。
そんなわけで二日目の朝、隣で寝ていた椎子姉貴に寝ながら頭を抱えられているので拘束から逃れましょう。頭の上で丸まって寝ている辺り、まるで縁側で昼寝してる猫みたいだぁ……
まだ睡眠中なので、元の位置に戻してそっとしておきましょうかね。ツレを起こさないでくれ、死ぬほど疲れてる(コマンドー)
椎子姉貴の持っていた古木くんの私服は、またそのうちお着替えします。
部屋から出るとくるみ姉貴と鉢合わせますが、なんかニヤニヤされてますね。
昨日はお楽しみでしたね……とでも言いたいのでしょうが、そんな顔が出来るのも今のうち。大学に進学してもやることは変わりません。
──
空き部屋を使ってめぐねえ主催の勉強会が始まるので、古木くんは小学生のるーちゃんを相手に簡単な計算問題を作ってワクワクします。
──暫くすると、疲れてぐったりしているゆきちゃんとくるみ姉貴が大学に上がったからには自主性で勉強したいんですけど! 聖いしどろす? の大学に通ってるんですけど! と抗議。
それもそうね……と丸め込まれためぐねえもといチョロインピも納得。*1
何の勉強をするかについてのレポートを纏めてくるようにと言われ、授業も終わります。
みーくんとゆきちゃんに混ざって話をしていると、どうやらゆきちゃんはやりたいことと言われても具体案は湧かないようです。先のことを考えてみては、とみーくんに言われ、先のことすなわち将来についての話題になりました。
ちなみに古木くんは【弾き】のシステム上、先の先より後の先の方が得意です。*2
ともあれ、ゆきちゃんも将来何になりたいかを決めたようです。原作完結してるしなれますよ……というメタ発言は置いておき、レポートの為には資料が必要でしょう。
だから、図書館に行く必要があるんですね。
早速図書館が使えるかを穏健派の一人ことアキに訪ねると、一応無事であると聞けます。
と、喜ぶ二人をよそに、彼女は古木くんにヌシに気を付けろと忠告してきました。*3……*4
それを聞いた古木くんは……なにやら正体を察しているのか微妙な表情をしていました。いったい誰なんやろなあとすっとぼけつつ、護衛も兼ねて帯刀してんだらば二人を送りましょう。
──なんか静かですね~と詠唱開始したくなるほど人も『やつら』も居ない図書館に到着。
本が日焼けするからと薄暗くなるように設定されている室内は、最低限の明かりすら無い状態でしたが、古木くん(とヘッドホン装備の私)は人の気配を感じ取っております。
出ておじゃれ、隠れていても獣は臭いでわかりまするぞ。二人を待機させて隠密行動し、隠れている何者かの裏を取ります。
息遣い、消しきれていない気配、お粗末な隠密……そこだァ────ッ!!(肩ポン)
古木くんに逆ドッキリされたヌシは飛び上がって驚き、その声に反応して二人は懐中電灯をこちらに向けてきました。
それにより、我々を驚かそうと隠れていた部屋のヌシ──もとい、図書館を寝床にしている本の虫の姿が露になります。
彼女は
図書館の本を全て読破することが夢らしいのですが、そもそもの話として、リセは世界中の素晴らしい本は全て読み通したいのだとか。
でも本は年々どころか日々新刊が出てしまう。だから世界がこうなって、もう新しい本が出ないことに少し安心している……と。
…………ですね!(適当)
やっぱり変態なんじゃないかなぁと危惧しながらも、それはそれとして図書館のヌシらしく、みーくんとゆきちゃんの探している資料の棚に案内してくれましたとさ。
などといったところで今回はここまで。次回、椎子姉貴を高校組と大学組に顔合わせさせます。お楽しみに……うわ古木くんとリセの関係って友人なんだ……相手は選んだ方がいいと思う。
──大学構内の一角、図書館に訪れた古木と美紀、ゆきは、薄暗いを通り越してほぼ暗闇と化した室内に訪れていた。
「図書館のぬしってなんなんでしょう」
「…………ああ、そうだな」
「その反応からして知り合いですね?」
「まあ……悪い奴ではない、大丈夫だ」
刀の柄頭を手のひらで擦りながら、古木は渋い表情を作って美紀に返した。
「漫画とかあるかな~」
「違うでしょゆき先輩。えーっと、300番台の棚はあっちですかね……、ん?」
「? どしたのみーくん」
「いえ、今誰かが……」
「──ここに居ろ」
美紀の言葉に、古木は言葉少なに指示を出して腰を屈める。それから足音も無く脇道に逸れると、先ほどまであった存在感がふっと消えた。
「……気配消せるんですねあの人」
「凄いねぇ、ニンジャみたい」
万が一にも『やつら』が紛れ込んでいたら大事であるという警戒心もあるが、それはそれとして、古木はこれからこちらにイタズラを仕掛けようとした知り合いの背後を取っていた。
美紀やゆきなら誤魔化せるだろうが、ただ息遣いを押さえただけでは、ただじっとしているだけでは隠れることは出来ない。
ゆえに、古木は、おもむろに横合いから肩を叩いて女性の耳元で声をかけた。
「──何をしている」
「うわ──っ!? ……あだっ!」
ビクッ! と肩を跳ねさせて、女性は驚いた拍子に後頭部を本棚にぶつけた。
「古木さん!?」
「どうしたの?」
声の主を探ろうとこちらに懐中電灯を向けた二人は、頭を押さえてうずくまる女性と、呆れたようにそれを見ている古木を発見した。
図書館内を移動しながら、女性──稜河原 理瀬は美紀とゆきの目的の資料がある棚まで案内をしながら談笑している。
「いやあお恥ずかしいところを」
「いえ……それで、先輩は……」
「ああ、リセでいいよ」
「リセ先輩はここで暮らしているんですか?」
「うん。食事の時とかは戻るけどね、基本的にこっちで寝泊まりしてるかな」
美紀の質問にリセが返し、更にゆきが問う。
「すごーい! 本が好きなんですねっ」
「この図書館の本を全部読むのが夢なんだ」
「お前ならやりかねん」
「そうだねえ。というか御形くん、暫く見てないと思ったら高校の方に籠城してたんだ」
「ああ。色々とあってな」
「ふぅ~~ん」
くつくつと喉を鳴らして笑うリセに、古木は眉をひそめる。それから本の素晴らしさを語りつつも、本がこれ以上増えないことに小さな喜びを覚えている様子のリセを変人か何かを見るような目で見ると、彼女が二人を目的の本の棚に案内する光景を見届けた。
レポート作りの資料を持ち帰った美紀たちと別れ、図書館に残った古木は、まるで自室のように寝袋とデスクが置かれた一角で、ランプを点けて栞を挟んでいた本を読み返しているリセの傍らに立ちながら会話を交わしている。
「君も意外と本が好きだよねえ」
「そうだな。学者志望が近くにいたのもあるが、読書は嫌いではない」
「ああ……幼馴染さん。青襲さんだっけ、あの人も最近見てないなあ」
「理学棟に籠っていたらしい」
「──そっか、生きててよかった」
リセは一度本から目を離して古木を見て、目尻を緩めて微笑を浮かべる。そんな彼女に、古木は一拍置いて口を開いた。
「本が作られることはなくなったから、読んでも読んでもキリがない状況ではなくなった……と、リセ、お前はそう言いたいんだろう」
「そうだね」
「……本気か?」
「ふふ、そう見えたかい?」
「お前の態度は少しわかりづらいからな」
かぶりを振ってそう言うと、不意に気配を感じて視線を向ける。そこには、クリップで纏めた紙束を片手に持つ美紀が立っていた。
「美紀、どうした」
「ん、やあ! また来てくれたね」
「……あの、これを読んでください」
「んん? これは……卒業アルバム」
「お前たちで作ったのか」
「はい、コピー機をお借りして」
パラパラと捲り、それからリセは顎に指を当てて思考を巡らせる。
「卒業アルバムか。915-日本文学 日記 書簡 紀行……あたりかな。うん、ありがとう。じっくり読ませてもらうよ」
「……あの、私も本が好きです。でもやっぱり、新しい本も好きなので読みたいです。だから、これからもっと本が増えたらいいなって……そう、思うんです」
それとなくその場から数歩離れながらも、古木は美紀の言葉に口角を緩めた。
「……うん、私も、このアルバムの続きを読んでみたくなったよ」
「まだ一冊ですけど、もっとたくさん読めるようにしていきたいですよね」
「そうだね……それにはまず書く人が増えないとね。つまり人口増大だ、その為には食料の安定供給、衛生、教育、文明復興……大変だよ?」
リセはそう言い、美紀は肯定しつつも、辺りを一瞥してから返す。
「──でも、その為の本ですよね」
「────」
「あ、すみません……偉そうでしたよね。ではその、失礼します」
「いやいや楽しかったよ、足元気をつけて」
その場をあとにした美紀を見送るリセに、陰から会話を聞いていた古木は呟いた。
「一本取られたな」
「ふふっ、そうだね。……そのための本、か」
「美紀は聡い子だ、周りの子達もな」
「道理で、御形くんがちょっと過保護な訳だ」
「……そうだろうか」
「そう見えるけどねぇ」
パタンと、本を閉じて、リセは古木に視線を向けて笑いかけていた。
次→12月2日00時00分(予定)